KAMEN-RIDER_WARS-OF-RELICS 作:大神
理由は戦隊ゲームと被るからです
あれからどれだけ時間が経っただろうか。
僕たちはカンラに助けられて街へ一目散に撤退し、もう目と鼻の先の距離まで辿り着いた。かなり遠い距離に感じられたが、それでもいまだに追いつかれていないことからも、彼がうまく立ち回ってくれていることが伺える。
「そういえば君らは良かったの?せっかく再開できた仲間なんでしょ?」
彼と旅をしているというキャラバンのメンバーに話を振ってみる。
「心配じゃないって言えば嘘になるよ。でも、」
温和そうな青年が口を開く。
「色々あったけどちゃんと生きてたんだ。だから今回も大丈夫だよ。」
「そっか」
彼らには彼らの事情があり信頼関係があるようだ。僕も今自分にできることをやるしかない。
あれ?僕にできることってなんだ?
裏切られたとはいえ、つい最近まで敵対していた人々は僕のことを受け入れてくれるだろうか。今はまだ気付かれていないけど、僕は彼らの敵であり、彼らを攻撃した。
ましてや今彼らが危険な目に遭っているのも僕のせいだ。
僕はここにいていいんだろうか。
「どうした?顔色悪いぜ?」
キャラバンの護衛士と思しき男性が話しかけてきた。
「な、なんでもないよ...なんでも...」
「そうか?なら良いんだが、気分悪くなったら言えな?」
「ありがとう、そうさせてもらう」
―――
思えば流れるような日々だった。旅の途中ケイオスに襲撃され、休むため村に立ち寄ったのは運命だったのだろうか。
そこで出会ったカンラは強く優しい少年だった。同時に仕事に関しても積極的に学ぶ姿勢を見せており、健気でかわいい弟分だと皆思っていた。
しかし、同時にあいつは危うい面を持ち合わせていた。最近になって彼は殿など、危険の伴う仕事を請け負っている。あいつが元来持ち合わせた優しさだろうか。それとも自分は周りよりタフだという自負だろうか。
いずれにせよ、あいつは自分より他人を優先するきらいがある。今回も見ず知らずの少年を介抱し、送り届けてほしいと頼んできた。
理由はわからないが、この少年はティンダロスに狙われていると推測できる。
「まああいつは大事な仲間だもんな。頼みくらいしっかり聞いてやっか」
思い出を振り返り、馬車を走らせ続ける。やがて、街の門が見えたときにそれは起こった。
突如少し離れた場所が爆発したのだった。
そうしてそこ立っていたのは、
「よう、さっき振りじゃんか」
黒と黄金に彩られた猟犬だった。
俺は仲間を庇うように前に立った。
「お前さっきの強襲型か?なんでここに...カンラはどうした!」
「カンラ?ああ、あの手ごわかったガキな。ぶっ殺した!」
不安か恐怖か、それとも怒りか、心を大きな衝撃が襲った。
そして、
「お前ぇぇぇぇぇぇぇぇっ!」
衝動の赴くままに武器を取り、俺は奴に飛びかかっていた。
「悪くねえ太刀筋だ。でも、」
あっさりと交わされた挙句俺は宙を舞っていた。投げ飛ばされたことに気が付いたのは、地面に勢いよく叩き付けられた後だった。
「所詮お前は人間だよ」
そう言うや強襲型は俺を殺そうと拳を振り上げた。
もう駄目だと思い、瞳を閉じる。しかし、直後に轟音が鳴り響いただけで痛みどころか少しの感触も感じなかった。
何が起こったか確かめようと瞼を開けると、巨大な槍によって吹っ飛ばされる強襲型が見えた。
「黙っててごめん、でも見殺しにしたくないよ…」
禍々しい鎧が俺を庇うように前に出る。
ーーー
気がついたら体が動いていた。正直今の今までボクはティンダロスの連中と戦いたくなかったし、何より彼らの前で変身したくなかった。だってどこまで行ってもボクは彼らの仲間を傷つけた敵なんだ。もっといえば人類を裏切って散々やりたい放題やってきた。それを知られるのが怖い。
でも、
『きっとこういうことのために僕はここにいると思うから』
脳裏に浮かぶのは1人の後輩の無垢な献身、ボクはあれを美しいと思った。
だから、できることをしよう。
まずは殺されそうな護衛士さんを助けよう。多分だけどキャラバンの人たちとかなり仲がいいはずだ。死なせたら悲しむはずだ。
つぎに護衛士さんを庇って前に立とう。奴らの大元の目的はボクだ。これで他の人が標的になることはないだろう。
「風見鶏の裏切り者がどの面下げて来やがった。人類を見捨ててケイオスに付いたお前が良いご身分だな」
「なんとでも言えよメンデス。これがボクの選択だ。」
その言葉を皮切りに戦いの火蓋が切られた。奴は体勢を低く構えタックルしてくる。ボクは組まれた瞬間に脇を差しなんとか倒されないように立ち回る。
「お前、あの時俺たちを襲った鎧だよな!?なんでこいつらと!」
護衛士さんが動揺しながらも思ったことを聞いてくる。
「こっちも事情があるんだ!それより!君にも大事なことがあるでしょ!」
そう言いながらボクはキャラバンの方へ視線を向ける。
「信じて良いんだよな?」
「もちろん!」
その言葉を聞くと彼は仲間の元へ戻って行った。
するとメンデスはすかさず拘束を解いて彼らを追おうとする。
「行かせない!」
ボクはそうはさせじと立ちはだかった。
拳と槍がぶつかり合う。自慢じゃないがボクはミゼーアを除いたティンダロス一派の中では一番強いと自負している。だからこそ手負いの今でさえ足止めは余裕だと思っていた。
しかし、
「見切ったぞ」
その言葉と共に突っ込んできたメンデスによって思い切り地面へ叩きつけられた。
「応急処置した程度で図に乗るんじゃねえよ。手負いのお前が勝てると思ったか?え?」
そう言われながら何発も馬乗り状態で殴られた。なんとか状況を打開しようと組みつくが、一瞬で引き剥がされさらに殴られる。変身も解けてしまった。
「昔のよしみで楽に殺してやろうとも思ったんだが、お前のせいで人間どもを逃がしちまったからな」
「さて、お前はどこまで耐えられるかな、心も身体も」
下卑た笑みを浮かべながら奴はボクへ再度拳を振り上げ殴ろうとする。
もう駄目だと思った瞬間メンデスはある人影によって蹴られ横に倒されていた。もちろん奴はすぐに立ち上がり反撃しようとするもひらりと躱される。
「ちょっと状況は読めないんだけどさ、君が”オレ”の仲間を助けてくれたんだよね」
そこに立っていたのは信じられない人物だった。
「ありえねえ!お前は俺がさっき!」
「殺したとでも言いたいんだろうけど、迂闊だったね。現に私たちはここにいる」
傍には相棒と思しき女神が立っていた。
「まだ戦いは終わってないぞメンデス、ここから逆転だ。」