KAMEN-RIDER_WARS-OF-RELICS 作:大神
12月も頑張りましょう。では、
――マル視点
空腹、喉渇き、様々な欲求によって朦朧ながらも意識がはっきりしてきた。目を開け、体を起こすと周りは避難民たちが身を寄せ合っている。体は包帯だらけだったが痛みは引いている。どうやら親切な人たちが助けてくれたようだ。
ふと戦いを思い出す。戦闘員を切り伏せ、村人を避難させたが肝心の怪物にはいいようにあしらわれた。屈辱が全身を駆け巡った。
「おはよう、気分はどう?体調は?」
俺にそんな声をかけてくれたのはルピナだった。
「気分なら最悪だけど体は大丈夫だ。怪物はどうなった?他の皆は?」
「怪物は死んだし、死傷者は出たけど、今はみんな大丈夫、父さんと母さんも炊き出しとか瓦礫撤去とか手伝ってるよ。俺も薬草の調合とか、応急処置くらいならできるからここにいる。」
ふとルピナが静かにつぶやいた。
「仮面ライダーが現れてさ」
聞いた瞬間驚愕した。おとぎ話のヒーローくらいにしか思ってなかった。しかし、安心と共にある感情が湧き出てきた。
「護衛士が村一つ守れないとはな。」
諦めとも自嘲ともとれる言葉が出てしまった。自分は年こそ22と若いが14で故郷を出てキャラバンで護衛士として雇われ経験を積んできた。その経験をもってしても全くかなわなかった相手を倒した奴がいる。屈辱だった。
「マル、歩ける?ちょっと外を見ようよ。」
そんな俺の様子を見かねたのか、ルピナは俺を外に連れ出した。そこには惨劇の爪痕こそ残っていたが皆活気に溢れ、一生懸命復興活動をしていた。瓦礫を片付ける者、怪我人を助け出す者、炊き出しをしている者、沢山いたが皆精を出している。
「昨日の死傷者は合計で19人、動ける人は結構残ってたからね。」
「ここまで被害が最小限になったのは、父さんが早々に皆を避難させ、」
「君が避難民に襲い掛かる怪物を倒していったからだよ。それに」
ルピナはある一点を見た。そこには少年が大人たちに炊き出しのおにぎりを配っていたが、どこか疲労が見える。
「彼が昨日、仮面ライダーに変身して怪物を倒したんだけどその後倒れちゃって」
「きっとあの様子だと昨日の疲れとかまだ抜けてないと思う。」
「けど、起きてから周りの大人に自分にも仕事が欲しいって頼んでたんだ。」
「知り合いがみんな苦しんでるのに自分だけ何もしないのは嫌なんだって。」
ルピナは微笑みを浮かべながら語りだした。
「マルは知ってると思うけど俺は生まれつき体が弱くて馬に乗るのが苦手なんだよ。けど倒産や母さんの役に立ちたいから薬草とか治療とかできることを増やしていったんだ。できることをやろうと思ったから。」
「マルも同じ、怪物には惜しくも負けたよ?けど君のおかげでみんな生きてる。」
「護衛士に求められてるのは力じゃなくて仲間を守ることだよね、護衛、士なんだから。」
「俺は昨日だけで2回助けられたよ。」
どうやら自分は大事なことを見失っていたらしい。自分の本懐はとっくに果たしていた。けど今のままだとなんか嫌なので深呼吸をして口を開く。
「俺も今できることをやるか」
「大丈夫?」
「お前がきっちり処置してくれたおかげでな」
俺は着替えて集会所から駆け出して行った。
―――カンラ視点
起きてからアテナとの問答の後、両親や家に来ていた村長と話し、手伝いをすることになった。昨日話したキャラバンのお姉さんがやってる炊き出しを手伝うらしい。疲労で倒れた人間に無理はさせられないんだそうな。アテナと一緒に現場に向かった。
「君が怪物を倒してくれたのね、まだとっても若いのにすごいわ、名前は?」
「カンラだよ。怪物に勝てたのはアテナが助けてくれたからだよ。」
「私はザクロ、知ってると思うけど家族でキャラバンを運営しているわ」
自己紹介も程々にザクロさんや村の皆が作った料理を炊き出しとして配膳したり、弁当として避難所に届けたりしていると時間があっという間に過ぎていった。
途中、パラスや村の大人たち、キャラバンのボスのカシノキさん、避難所で治療をしていたルピナさん、村を守ってくれた護衛士のマルさんと話しながら仕事をしていると、いつの間にかどこかに行っていたアテナがこっちに駆け寄ってきた。
「カンラ、すごいことが分かったよ」
「すごいことって何が?」
「ここら一体にケイオスがいないんだよ、昨日来た奴が全部なんだよ。」
「本当⁉となると村は当分平和になるね。」
「けど当分仮面ライダーは休業かな、復興も終わってないし」
「まあこれからのことは後で考えよう。」
ひとまず村の危機は去った。しかし怪物の脅威はここだけのものじゃない。旅に出て人々を救うか、村を守り続けるかそれを考えるのはもう少し後でもいいだろう。
―――??????視点
「アラクネが死んだだと?」
衝撃だった。別に自分は彼と仲が良かった訳ではない。しかし彼の実力は同族として買っていた。それだけに驚愕した。すると戦闘員は続けた。
「聞いたところ仮面ライダーが現れたそうです。」
なるほど納得だ。奴らは我々にとっては災害に匹敵する脅威だった。
「いかがなさいますか、串刺し公」
「奴が出現した場所を教えろ、明日までに準備を整えるのだ」
特別な力がなくても人助けはできるという回でした。
蜘蛛ときたら次は蝙蝠、ということで