KAMEN-RIDER_WARS-OF-RELICS 作:大神
では、
―――アテナ視点
襲撃から二日が経った。復興はひと段落しており村もだいぶ元の形に戻ってきた。そんな中私達は村の道場に来ていた。そこは作りこそ古風だが壁にはしっかりとクッションが張られており、建物の一角には小型ながらもケージが設けられていた。
かく言う私も一緒に来たパラスと壁レスの練習をしていた。といってもニータップした瞬間四つ組みに持ち込まれ倒されたのだが。やっぱり生身だとこんなもんか。
天は二物を与えずというが機神にも適応されるらしい。特殊能力があっても多くの機神は肉弾戦は苦手なのだ。だからこそケイオスと戦うには人間と協力する必要がある。
大戦前に戦争が嫌だったのもこれが原因の一つだったんじゃないかと私は思っている。
「お疲れ様、あとこの前は助けてくれてありがとう」
「どういたしまして、それにしても強いね君」
「村の子供はみんなここで鍛えられるんだよ、それにあれに比べればまだまだだし。」
パラスはケージの方を見た。そこにはヘッドギアとレガースを付け激しい攻防を展開するカンラと護衛士の人マルの姿があった。L字ガードをオーソドックスで構え、ジャブと前蹴りで牽制するカンラと、伝統派空手に酷似した構えから踏み込んでいくマルという対極な対面だった。
しかし決着は一瞬で着いた。カンラがストレートを放った瞬間、マルが身をかがめ片足を取りに行ったのだった。完全に虚を突かれた形となった。カンラの対応が遅れたすきにマルは足を払い押し倒したのちバックチョークを掛けた。カンラは慌ててタップすると体を起こしたマルは起き上がり、2人は握手を交わした。
―――マル視点
復興の休憩中、仮面ライダーの少年からある懇願をされた。自分とスパーリングしてほしいと、仲間を守るためにより自分を客観視したいんだそうな。
結果的に普通に俺が勝った。まあ当然と言えば当然だろう。鍛えているとはいえ、片田舎の少年と常に命のやり取りを生業にしている自分では経験が違う。
しかし、彼はかなり筋がいい。極力危険は冒さず守りを固めながらこちらを削りに来た。狙いも悪くなかったしハンドスピードも目を見張るものだった。
むしろL字ガードで可能性を狭めていると言えるかもしれない。倒しきることにこだわればもっといい戦いができると思う。
聞いた話、このあたりの怪物は全滅したらしい。よし、ここは1つ―
「やるじゃんか、カンラだっけ?強いよお前」
「ありがとう、マルもさっきのタックル見えなかったよ」
「まああれは歴戦の技だからな、ところでさ」
「うちのキャラバン入る気ないか?」
―有望株は早めに手に入れるに限る。ザクロさん曰く外の世界に興味あるっぽいし誘うしかない。すると彼は少し困ったような反応をしていた。
「気持ちはうれしいんだけど今はまだ...葬式とかもしなきゃだし」
「まあゆっくり決めてくれよ、全部終わるまで俺たちはここにいるから」
手ごたえはあった、多分。
―――パラス視点
私とカンラはちょうど同じ時期に生まれたらしい。村の若者、もっと言えば子供はあまり多くないので私たちは大事に育てられた。一緒にいる時間も長かったしよく遊んだ。
そんな私から見た彼は一言で言うと英雄だった。格闘技や野良仕事を教わればすぐに覚えたし、何よりそれを鼻にかけなかった。彼は周りを常に気遣い、思いやっていた。先日の復興も自分の疲れよりも村の仲間を優先して動いた。何より、あの日彼は村を襲った怪物たちを討ち滅ぼした。
強くなければ生きていけない。優しくなければ生きていく資格がない。という言葉がある。まさしく彼のような人のことを指すのだろう。
「うちのキャラバン入る気ないか?」
そんな言葉が聞こえてきた。聞いた話、彼らのキャラバンは村に来る前怪物の襲撃を受けたらしい。現時点でそれに最も対応できるカンラの存在は喉から手が出るほど欲しいはずだ。カンラも村の外への興味を持っている。そう思うとどこか心が変になった。
―――カンラ視点
思ったよりできなかった。経験の違いを考えても力の差は歴然でやりたいことをやらせてもらえなかった。今の自分に何が足りないだろうか。
「お疲れ様。」
「悪くなかったんじゃない?」
「いや、まだまだだよ。」
パラスとアテナの2人が駆け寄ってきた。
「いや、いい線は行ってたよ。狙いも良かったし威力も申し分ない。でも、」
「でも?」
「ビビってたでしょ。倒しきるポテンシャルはあるのに待ちに徹しすぎだ。」
「でも、戦いは格闘技じゃないよ。生き残らなきゃ。」
「傷つくことを恐れていたら強くなれないよ。」
何も言い返せない。事実さっき勝てなかったし、今のままじゃ何回やっても結果は同じだろう。
「ほ、ほら、カンラも長く戦えた方がいいから...」
「攻めあぐねて死んだら終わりだよ、それに」
「君は自分を信じるべきだ、倒しに行けるって」
「機神の力は君たちの意志や願いで変わるんだよ」
自分を信じるべき、その言葉が自分の中で木霊していた。
ふとアテナの方を見るとどこか落ち着かない様子だった。
「この気配は!」
「アテナ!?」
彼女は険しい顔をしながら外へ飛び出していった。僕もあわてて彼女を追う。村の中に異変はなかったが高台へ行くと外に軍勢が佇んでいた。
「このあたりの敵はもういないはずなのに...」
「おそらく僕らの噂でも流れたんだろうね」
僕はアテナを連れ村の外に出た。彼女がベルトに変容し腰に巻かれる。
「変身」
機械のフクロウが覆いかぶさり鎧へと変化した。
「もう村には指一本触れさせない...」
頭の中で浮かんだあの惨状を二度と繰り返させないと戦士は誓った。
―――串刺し公視点
村から少年と少女が出てきたと思ったら姿が変わった。あれが例の仮面ライダーのようだ。
「串刺し公、如何しますか?」
「各人油断するなよ!子供でもアラクネを倒した奴だ。油断はできん。いざという時はあれも使う。」
隊の士気が上がるのを感じながら私は後ろにある切札の存在を意識する。
「ヴァンパイアの名にかけて、全霊をもって貴様を討ち滅ぼす。」
正面の敵を見据え怪物は闘志を込めた。
戦いの火ぶたが切られる
物事には向き不向きがあります。