KAMEN-RIDER_WARS-OF-RELICS   作:大神 

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 チーフタンズの「the foggy dew」はマジ、作業用bgmにもってこいすぎると思うんです。
では、


自己破壊と信頼関係

 

ーーーカンラ視点

 

 決して油断していたわけではない。むしろ僕は命のやり取りにおいて一番大事な、生き残るという選択のために最善の戦い方をしてきたつもりだった。けど結果はこの様だ。これは競技じゃない。戦いだ。殺し合いなのだ。一瞬の隙が命取りになる。

 

 「一人で戦わせて悪いな。けどもう大丈夫だ。雑魚は任せとけ。」

 

 違う、悪いのは僕だ。戦場を軽んじていたから、調子に乗ったからこうなった。

 

 「どうした、先程の威勢は。まさかここで終わるはずあるまい。選ばれし戦士なのだろう。」

 

 そう言うや、ヴァンパイアは短槍を僕の首目掛けて振り下ろした。刹那、

 

 『させるわけないだろ。』

 「何ッ⁉︎ぐおおおおおおッ⁉︎」

 

 光のエネルギードームが僕の周りに現れ膨張し、ヴァンパイアを吹っ飛ばした。

 

 「アテナ?」

 『大丈夫、君を殺させたりしないから』

 「そ、そうじゃなくって...」

 

 言葉をうまく繋げようとする。僕が、彼女に言いたいことは...

 

 「ごめん、僕甘く見てた。だからいいようにやられて...」

 『良くやったとは言わないけどさ。君は自分一人できるベストを尽くした。文句はない、ただ』

 

 彼女は一呼吸おき再度言葉を発した。

 

 『君の戦いは独りよがりだ。一人の戦いには限界がある。』

 『君一人に犠牲を強いた私にも責任はある。』

 『だから、一緒に戦おう。』

 

 これだけ情けない姿を見せてなお、彼女は自分を信じてくれる。正直恥ずかしくって仕方ないけどやるしかない。僕は自分を奮い立たせた。

 

 「けどどうするの?あいつは僕よりずっと強いよ?仮面ライダー殺しまくったって言ってたし」

 『大丈夫、君が大好きな格闘家も一人じゃない。コーチがいて、トレーナーがいて、セコンドがいる。』

 『私を、信じて』

 「わかった。」

 

 この時初めて彼女のことを受け入れられたかもしれない。

ふと、前を見ると吹っ飛んだヴァンパイアが起き上がり、獲物を構えていた。

 

 「貴様ら、猿と産廃の分際でよくも...!」

 「僕はもう迷わない。アテナ、僕を導いてくれ。」

 『お安いご用!』

 

 彼女は僕に一番勝ちに近づける戦い方を聞き、それに賭けることにした。使い慣れたL字オーソドックスではなく、右足を前に、手は長い距離を保つアウトボクシングスタイルに、これで僕が強くなるかわからない。けど僕は自分を信じてくれるアテナを、勝利の女神を信じてみたい。

 

 「何のつもりだ。」

 「これならお前に勝てるんだってさ。」

 「戯言を。今楽にしてやる。」

 

 ヴァンパイアは勢いよくこちらに踏み込んできた。

 

 『今だ!躱しながら!左入るよ!』

 「ぐぅッ⁉︎」

 

 刹那、僕はステップを踏みながらヴァンパイアの顔面にストレートを直撃させていた。

 

 『君には一発がある。アクシデントに弱いけど、大胆で、勝負強い!だから勝てる!』

 

 完全に流れが来た。遠い間合いから相手の挙動を読み、一つ一つに対応してくれる相棒がいる。なら自分は自分にできることを徹底すればいい。もちろん指示を待つだけでなく、

 

 「あいつの槍、本体とは別だよね?壊せるかな?」

 『かけてみる価値はあるよ、やろう!』

 

 自分がやりたいこと、できることを伝えるんだ。それによりもっと強くなれる。

相手を見ると予想外の反撃に焦っているようだった。

 

 「馬鹿な!この私があんな素人に...!」

 

 それにより動きがより読みやすくなった。

 

 「こんなこと、あってはならない!あってはならないのだ!」

 

 苦し紛れに振り下ろした得物を躱し、ベルトのスイッチに指を落とす。イメージするはさっきの出した必殺の拳、それをより小さく収束させるように、左手に込められた力を邪悪な槍へと叩き込む!

 

 『雷電の拳よ!どこまでも響き渡れ!』

 「いっけえええええええっ!」

 

 それによりヴァンパイアの武器は崩壊し、奴の肉体、右肩の部分をも貫いた。またすぐ再生するかと思いきや肩口が爆発し遅れているようだ。

 

 『カンラ、見た?』

 「うん、あいつの再生、体を木っ端微塵にすれば追いつかない。一気に畳み掛けよう。」

 『よしタイミングは任せて』

 「頼んだ。」

 

 僕らはようやく確定した希望を前に気を昂らせた。一方いいようにやられたあいつは内心穏やかでないようで、

 

 「なぜだ、なぜ私がこんな奴に!」

 

 自暴自棄となり突っ込んできた。僕は再度ベルトのスイッチに指を落とす。終わったらまた倒れるだろうなとか、呑気なことを考えながら全霊を込め、目の前の敵を迎え撃つ。

 

 『迎撃!今ッ!』

 「そこだあ!」

 

 必殺の拳、左のオーバーハンドは邪悪な獣の顔面を捉え、その醜き体躯を地面に叩きつけた。僕は倒れたそいつを鬱憤を晴らすかのように、一心不乱に殴りつけた。

 するとヴァンパイアは、掠れ声で何か言葉を発した。

 

 「ま…だだ。ケイオスの悲願は…果たさねばならぬ。」

 『もう終わりだ。昔の御伽の英雄はこう言った。この世にまずい飯屋と悪の栄えたためしはない。』

 「ノトーリアスよ…!全て、滅ぼしてしまえ...!」

 

 その言葉と機械音が響き渡ると、最初にヴァンパイアの軍勢がいた場所の奥の檻のようなものが爆発した。

 

 「カンラ!」

 「マルさん!大丈夫⁉︎」

 「俺のセリフだよ!大丈夫か?」

 「僕は平気。アテナが助けてくれたし、マルさんが来てくれたから。」

 「そりゃよかった。こっちも片がついた。それより何だよあれ...」

 

 轟音から何かを感じたのか、マルさんがすっ飛んできた。自分も只者でもない気配を感じている。心なしかアテナも震えているようだった。

 

 『カンラ、逃げたほうがいい、あれはケイオスなんかじゃない。あれは!』

 

 煙が晴れるとそこにはこの世のものと思えない禍々しく神々しい巨大な獣の姿があった。虎と大猿をミックスさせたような怪物は途切れ途切れ吐息を漏らしながら様子を伺っていた。

 

 『機神だ!』

 

 本当の恐怖はここからだった。

 




 ようやくやりたいことの土台ができました。
ちなみにアテナの声はカンラにしか聞こえないとか言うクソ仕様なので敵側からしたら理不尽極まりないです。
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