魔王と魔王 作:一般龍人族
とりあえず言っときます
何があっても最後まで読んでください
繰り返します
何があっても最後まで読んでください
以上です
ちなみにですが朗報(?)です
今回はありふれのとある部分をリスペクトしたシーンがあるので、ありふれファンの皆様は楽しみにしててください
(さて……では聞かせようか。常磐ソウゴを絶望させる方法を)
数時間前、ハジメは例の男に話を聞かされていた。
(まず一つ……今回の件、黒幕は清水幸利だ)
(清水……あぁ、アイツか。あのいかにもザ・陰キャなやつ)
話したことはないが、清水の存在自体は知っていた。いつも自分の席でブックカバーをつけた本を読んでいるが、大方ラノベを読んでるんだろう。いかにも陰キャでキモオタの見た目だし。自分とは大違いだ。
(清水幸利は内に抱えたコンプレックスにより今回の事件を引き起こした。その事情を知れば、常磐ソウゴは奴を説得しようとする。そして説得が成功した時がチャンス、清水幸利を撃ち殺せ)
(…………まぁ確かに絶望はしそうだが、その説得、上手くいくのか?)
常磐ソウゴが説得を成功させるというのは賭け要素があるというのはハジメにも理解できていた。その懸念から男に問う。
(そう案ずるな、必ず上手くいく。お前は説得が成功するまで近くに待機だ……で、暗殺が成功、もしくは失敗した後に、ジオウと勝負するがいい)
(そう言う感じね……なるほど了解。ま、上手くいくに賭けておくか)
それからハジメは魔物との戦いで戦線を離脱した後、機を見計らっていた。
結果的に、暗殺はソウゴが未来を見たことによって防がれた。
それからハジメは、ソウゴと戦うことにしたのである。
◇
「はああああっ!」
声を上げながらジオウはライドヘイセイバーをアナザーライダー3人に向けて振るい、斬撃を飛ばす。
初撃、それは避けられた。
まずはアナザービルドとアナザーエグゼイドが向かってくる。片方はハンマーを取り出し、片方はその手に炎と氷を纏わせていた。
2人が向かってくる間、ジオウはビルドライドウォッチをセットし、再びビルドフォームに変身した。
アナザービルドからの一撃を避けた後、アナザーエグゼイドが高速で巨大な火球と氷塊を飛ばしてきたが、どうにかそれも避ける。
今度はこっちからの攻撃。ジオウは高速移動して2人に迫る。
それに対応できなかった2人は、ジオウの攻撃を連続で受け始める。しかししばらくして2人も高速移動を始め対応し始める。
やがてぶつかり合って衝撃波が広がり、3人は後退する。
「ふぅん……雑魚の割に足掻くなぁ、おい」
側で高みの見物をしていたアナザージオウがジオウの戦闘の様子を見てそう呟いた。
「んじゃ……こいつらを使いますかね」
『GAIM……』
アナザー鎧武のウォッチを押すと、空中にジッパーが現れる。それの名はクラックであり、チャックが下がり裂け目が開かれた。
そこから現れる複数の異形————その名も、インベス。初級インベスもいれば、ビャッコインベス、セイリュウインベスもいる。
アナザージオウか「行け」と顎でしゃくりながら指示すると、インベス達はジオウに向けて走り出した。
それに気づいたアナザーエグゼイドとアナザービルドは一旦その場から離れる。
かくしてインベスはジオウに突撃した。
「くっ」
群がられば厄介だ。早く倒さなければと剣を振おうと……。
「おお〜とっ! そいつらを倒していいのかぁ、偽ライダーくん?」
した、ジオウに対してわざとらしく声を張り上げるのはアナザージオウ。
「そいつらもしかしたら……元は人間かもしれねぇのになぁ?」
「何……!?」
その一言で、ジオウは剣を振ろうとすることを止めてしまう。そのせいでインベスに攻撃され、後ろへ後ずさった。
『先日、この町で何人かの男性が行方不明になってるんだ。その人達はまだ見つかっていない。原因も分かってないから、気をつけておくんだぞ』
ブルックの街の門番の言葉が思い浮かぶ。そして、フューレンでも同様のことが起こったと言う情報も。
「ッ! まさか……町で行方不明になってる人のことは……お前の仕業か!? 皆をこんな怪物にしたのか!?」
「何のことだぁ? 俺はただ、そいつらが元人間かもって言っただけだぜ? んなことしたとは一言も言ってねえ、言いがかりも大概にしてほしいなぁ」
あくまでも自分の仕業ではないと主張するアナザージオウ。その間にも、インベス達はジオウの元へ。
「くっ!」
ジオウはインベス達からの攻撃を防ぐ。目の前のインベス達は呻き声を上げていた。
嘘の可能性は、ある。動揺させるためのブラフかもしれない。町の人の行方不明も別の理由かもしれない。しかし、それもあくまでも可能性の話。
ジオウには、どうしても目の前の怪物達が人間のようにしか思えなくて。
怪物から人間に戻す方法は、無い。フォーゼのメディカルモジュールもあくまで傷や毒を治す為のもの。
「……………………っ……………………くっ……………………!」
『ヘイ! 鎧武!』『鎧武! デュアルタイムブレーイク!』
「うああああああああっ!」
迷いを無理矢理掻き消す為の叫び。
振るわれたヘイセイバーからオレンジの断面を模した斬撃が飛ばされ、インベス達に命中する。
「………………………………ごめん………………」
インベス達が爆破した後、ジオウはただ一言だけつぶやいて、拳を握りしめる。
「おいおいおい……人間を殺すたぁ、堕ちるとこまで堕ちたなぁ、偽ライダーくん。結局は、お前も我が身可愛さで人間を殺しちまうんだなぁ?」
自分の行為を棚に上げ、ジオウを非難し、侮辱するアナザージオウ。
——————当然ながら、さっきはシラを切っており、行方不明の人間をインベスにしたのはアナザージオウの仕業だ。
「そんなクズ野郎にはこいつで行くかぁ……変身」
『DECADE……』
アナザージオウはアナザーディケイドウォッチを身体に翳す。繭に包まれた後、アナザーディケイドへ。
アナザーディケイドが手をかざせば、灰色の幕……オーロラカーテンが現れる。
そこから、人影が召喚された。
呼び出されたのは、ダークライダー達。
滅、カリバー、デモンズ、グレア2、ドレッドだった。
「!? 仮面ライダー……!?」
彼らの姿を見たジオウが驚愕する。
「行け」
アナザーディケイドが顎でしゃくると、ライダー達は一斉にジオウに向かって駆け出した。
迫ってきた彼らに一斉に攻撃されるが、どうにか避ける。
「っ!」
『ヘイ! ブレイド!』『ブレイド! デュアルタイムブレーイク!』
帯電した刃を地面に突き刺し、周囲に電気を散らすことでダークライダー達を攻撃。
しかし、少し怯んだだけであり、グレア2が戦闘支援ドローンのヒュプノレイで光弾を放つ。
『BULLETBAANG』『INPHOENIX』『VANFENRIR』『ドレイン』
ドレッドはバレットバーンとインフェニックスとヴァンフェンリルのレプリケミーカードを読み込ませる。
ブラッディーBBを召喚し、炎と氷の弾丸を連射。
滅も光の矢を放ち、カリバーは斬撃を、デモンズは肩の装甲から蜘蛛を発射。
『ヘイ! ドライブ!』『ドライブ! デュアルタイムブレーイク!』
ジオウはドライブのタイヤを複数飛ばし、光弾や弾丸をいくらかは相殺する。
「ぐあああっ!」
しかし、相殺できなかったものはジオウに被弾し、彼をぶっ飛ばす。
「無様ですねぇ〜!」
「ふん……身の程をわきまえないからこうなる」
そんなジオウの様子を嘲笑うのはアナザービルドとアナザーエグゼイド。
「なら……!」
ジオウは赤いラメのかかっているライドウォッチを取り出す。そう、ライセン大迷宮で手に入れた重力魔法の力が籠ったウォッチだ。
リューズを押し込む。効果音が鳴るだけで声は聞こえたりしないが、身体に力が迸るのを感じた。
ジオウが手を掲げれば、黒い球体が生成される。
「へえ……お前も神代魔法を手にしてるってわけね」
その様子を見ていて呟いたのはアナザージオウ。
ジオウが手を振るうと、重力球が撃ち出される。
「"禍天"」
アナザーエグゼイドが呟くと、同じように重力球が生成され、球同士がぶつかり合った。その瞬間、衝撃波も起こる。
しばらく押し合いになっていたが、ジオウの重力球が押し負けて撃ち返される。
「ふん、自分の球で潰れ……」
アナザーエグゼイドが言いかけた瞬間、後ろに気配。ジオウが纏めて切りかかろと————。
「っ!」
「おいコラテメェ、なにまた人の女に手ェ出そうとしてんだぁ?」
ヘイセイバーの刃をアナザーディケイドが受け止めていた。
「懲りてねえってなら、また一発喰らわせてやるよぉ、おらあっ!」
「ぐああああああっ!」
刃を弾き、エネルギーの籠った拳でジオウの腹を殴る。
防御できずモロに喰らってしまい、ジオウは吹っ飛ぶ。
『ジャオウドラゴン!』『ジャオウリード……!』
『Add……』『スコーピオン!』『バッタ!』『アノマロカリス!』『Dominate up!』
『STEAMLINER』『UNICON』『DAIOHNI』
ダークライダーの内、3人がそれぞれアイテムを操作する。
『闇黒剣月闇!』『Fury in the dark……!』『ジャオウドラゴン……! 誰も逃れられない……!』
『スコーピオン!』『バッタ!』『アノマロカリス!』『ゲノミクス……!』
『ドレッド・参式』
カリバー・ジャオウドラゴン、デモンズフルゲノミクス、ドレッド参式。それぞれ強化変身を果たした。
「そおれっ!」
吹っ飛んで倒れ込んだジオウを、移動していたアナザービルドが首元を掴み上げて投げ飛ばす。
『カバンスラッシュ!』
『必殺リード! ジャオウドラゴン!』『月闇必殺撃!』
『DELETE』
『ドレッドパニッシュメント』
「ぐうううっ!?」
5人ライダーとアナザーエグゼイドが飛んできたジオウを必殺技で追い討ちをかけ、今度は上空に吹っ飛ばす。
「地面とキスしてろや、ドブカス」
最後に、上空に来ていたアナザーディケイドがジオウの頭にキックを入れ、地面へ叩きつけた。
軽くクレーターができ、その中で変身解除したソウゴが倒れている。
「くっくっくっ……ダッセェ姿だなぁ、偽ライダーくんよぉ?」
元の姿に戻っていたハジメがソウゴの元に近づく。そのまましゃがみ込んで彼の髪の毛を掴み、頭を持ち上げる。
「偽物は本物に敵わねえってことだよ、分かったかァ? なぁ、おい、クソ雑魚」
目を細め、ニヤニヤと笑いながらソウゴに聞く。尋ねられた本人は、ハジメを睨みつけた。
「ああ? なんだその目は。きしょいんだよ!」
「ぐふっ!」
ハジメはソウゴの髪の毛を離した後、頭を蹴飛ばした。
「おいテメェら、こいつのこと運んどけよ」
その場から歩き出し、ダークライダー達に命令をする南雲ハジメ。
彼の後ろ姿を、視界がぼやけながらもソウゴは睨みつけた。
「あ、そうだそうだ」
そんな時、ハジメが振り返ってソウゴの所に戻ってくる。
「おい、偽ライダー。お前、どうせ童貞だろ? ついでだからさぁ、一生童卒できねぇようにしてやるよ」
彼はうつ伏せになっているソウゴの身体を足で蹴って動かし、仰向けにする。
そしてハジメは、ソウゴの股間目掛けて思いっきり足を——————。
◇
ティオ達は走っていた。
どれくらい走ったかは不明だが、さっきの場所よりかは遠くの方に来たと思う。
彼らは一度立ち止まり、走った疲れからか息を荒げていた。
「………………ここまで逃げてきましたが、どうしますか? 流石に、常磐くんのことをずっと待っているわけには………………」
ソウゴの身を案じた愛子が、不安げな表情でティオに尋ねる。
「…………お主らは引き続き遠くの方へ行くんじゃ。妾は一度、彼の元に戻って様子を…………」
「その必要はないぜェ?」
まだ逃げるよう愛子達へ促そうとした時、その声は聞こえた。視線を向ければ、そこにはニヤニヤと笑う白髪の青年————南雲ハジメだ。ユエとシアも連れている。
「! 貴様…………」
「雑魚の偽ライダーくんは……俺達がボコってやったからなぁ?」
ハジメ達が退くと、彼らの目の前には————ボロボロになっている常磐ソウゴがいた。
彼は、滅とデモンズに両腕だけを持ち上げられ、まるで磔にされているようにも見える。
「常磐くんっ!」
「ッ、貴様ッ!」
ソウゴの姿を見た愛子が顔を悲痛に歪めて名を呼び、ティオは怒りハジメを睨みつける。
「くくっ、どうだぁ? 頼りの綱だったコイツが、見事までにボコボコにされてるぜ? 傑作だろ? カハハハハハッ!」
ゲラゲラと大声で嘲笑うハジメ。常磐ソウゴを見ている細められたその目には、彼を倒したという愉悦と侮蔑が混じり合っていた。
「そんでもって一番おもしれぇのは……コイツが玉無しになったってとこだ」
「玉……?」
ハジメの言葉にティオが思わず聞き返した。
「わかんねぇかよ? 玉ってのはここのことだよ、こーこ」
そう言ってハジメは自分の股間を指差した。
「……ッ、南雲! まさか、お前!」
その意味に気づいて、声を上げたのは玉井。他のメンバーも意味が分かり、戦慄の表情を向けたりする。
「そ、コイツは一生童貞卒業が出来なくなったってことだ」
それは、子孫を残すための機能を踏み躙ったと言うこと。それをなんともないことのように軽く告げたハジメ。
「貴様……!」
何処まで人の尊厳を汚せば気が済むのかと、ティオは憤る。その額には青筋も浮かんでいた。
「っ、ぁ、みん、な……逃げ、て……!」
「勝手に喋ってんじゃねぇよ雑魚。やれ」
「ぐふっ!」
ハジメは顎でしゃくりながら命令し、ドレッドがソウゴの腹を殴る。
それを見た愛子が「ああ……!」と口を手で押さえながらも声を漏らし、他一同もその光景に絶望の感情を覚えていた。
「さてと……よし、お前ら。清水を連れてこい」
残りのライダーであるカリバーとグレア2とドレッドに指示する。しかし、そこでティオが立ちはだかった。
「妾を忘れてもらっては困るな。……貴様は妾が倒す」
「おいおい、出来んのか? お前に」
「舐めるでないぞ。……やってみせよう」
ティオはダークライダー達を前に構える。
「ハジメ、ここは私が行く。……ハジメに楯突く愚かな女に力の差を教えてやる」
「私にもやらせてください! ハジメさんに歯向かうこのバカメスをボコボコにしてやるですぅ!」
「おーおーそうか。いいぞ、存分にやれ」
許可が降りたので、ユエとシアは前に出る。そして、アナザーウォッチを取り出した。
『WIZARD……』
『SABER……』
「「変身!」」
繭が彼女らの身体を包み、弾け飛ぶ。現れたのは、アナザーウィザードとアナザーセイバー。
「皆、ここは逃げよ!」
「でも!」
「いいから逃げよ! 彼は妾が必ず助け出す!」
その言葉を聞いて、愛子は悲痛な表情のまま、清水達と逃げ始める。しかし、
「逃げさせねぇよ?」
『X WIZARD』『ドレイン』
ドレッドがクロスウィザードのレプリケミーカードを使用。
「きゃあっ!?」「うわっ!?」
悲鳴を上げたのは愛子と清水、他一同の悲鳴も上がる。
彼らの足元に魔法陣があり、そこから出現している触手らしきものが彼らを縛っていた。
「お主ら!」
「戦いにギャラリーはつきもんだろ? さっきはいなかったから、お前が負ける様をちゃんと見てもらわないとなぁ?」
くつくつと笑うハジメ。再び彼を睨みつけるティオは、なんとしても勝たねばと決意する。
「貴方みたいに仮面ライダーの力もない雑魚に8対1は可哀想ですからね〜……私達2人で相手してやります」
「感謝しろ、バカメス」
画面の下でへらへらと笑うアナザーセイバーと、嘲笑の笑みを浮かべているアナザーウィザード。
(まずは削る……!)
一応、魔力は温存していたので大技を放つことは出来る。しかしすぐ出すのは得策ではない。まずは体力を削っていこう。
「呑み込め、紅き母よ。"炎浪"!」
魔力消費の抑制も兼ねて詠唱を行い、炎魔法を発動。炎の津波を発動し、アナザーウィザードとアナザーセイバーの2人へ放つ。
「ふん……大したことない」
『ブリザード』
腰のベルトに手を翳せば、猛吹雪が現れ炎の津波をかき消し相殺。
それからアナザーセイバーが接近してきて、アナザー火炎剣を振るう。手を構えることでそれを受け止めるティオ。
剣を受け流して躱すが、間髪入れず連続で攻撃がやってくる。
後ろに避けゆくティオが手を突き出して風の球を撃ち出す。詠唱はする暇がないので省略。
しかしその球はアナザー火炎剣に吸収され、更に勢いが増加して高速で打ち返された。
「ぐっ!?」
対応できなかったティオはそれを喰らい、後ろへ飛ばされる。
『グラビティ』
「がはっ!?」
更にアナザーウィザードがグラビティを発動し、ティオを地面へ叩きつけた。
「ちょっとちょっと〜、雑魚すぎますよ〜?」
倒れているティオを煽ってくるアナザーセイバー。
小技で削ろうとしたが、まさかここまでとはと、起きあがろうとしたティオは思う。出し惜しみをしてる暇は無かったらしい。
「っ、吹き荒べ頂の風、燃え盛れ紅蓮の奔流、"嵐焰風塵"ッ!」
詠唱とともに引き起こされたのは火炎の竜巻。それが2人の元へ飛ばされる。
「悪くない……が」
アナザーウィザードが手を掲げ、同じように竜巻を起こし、ぶつける。衝撃波を起こし、一瞬で相殺。
「良くもない」
横に気配。
手に紫色の炎を迸らせるティオがいた。
その炎がアナザーウィザードとアナザーセイバーの両者に放たれ、彼女らの身を焼き尽くす。それはティオが龍の形態で使っていたブレスであり、まともに喰らえばひとたまりも無い。
まともに喰らえば、だが。
「————ッ!」
腹に一撃、後ろへ。
「今の一撃はまあまあ良かった。私には及ばないけど」
相変わらず余裕綽々と言った様子のアナザーウィザード。隣にいるアナザーセイバーも同じ様子だった。
「魔力を一気に使って威力を底上げして、近距離から放つことで倒すって算段だったんだろうけど……作戦に夢を詰め過ぎた」
その言葉は倒れているティオに向けられる。
「っ、くっ…………ま、だ…………」
「しぶといですねぇ…………」
よろつきながらも立ちあがるティオにアナザーセイバーがエネルギーを纏うアナザー火炎剣を一閃。
「———————————ッ!」
ティオの胸元に大きく傷がつき、血が吹き出た。
「ティオさん!」
叫んだのは愛子だった。彼女の目にティオが地面に倒れ込んでいく光景が映る。
「そこのバカメスのこと、持ち上げといてくださいねー」
アナザーセイバーが指示し、倒れたティオのことをカリバーとグレア2が両腕を掴み持ち上げる。
「さてとぉ……邪魔者も消えた訳だから……」
ハジメが清水に目を向けたあと、ドレッドに目配せする。
「へ?」
清水が思わず声を漏らしたのは、突如として拘束が解かれたせいだった。
「さ、こっちに来るです」
「っ!?」
「清水君!」
アナザーセイバーが彼の服を掴み、無理矢理ハジメの元へ連れていく。愛子達はそれを見ていることしかできない。
「うわっ!?」
連れてこられた清水はそのまま地面に転がされる。
服が砂に塗れながらも起きあがろうとすると、目の前には南雲ハジメが。
「ひっ……!?」
「さて、と……どう痛めつけてやろうかなぁ……?」
怯えながらこちらを見てくる清水に、ハジメは顎に手を添え値踏みするような目を向けている。
「…………あ、そうだ」
何かを思いついたハジメがソウゴの元へ行くと、彼の懐を漁る。そこから取り出したのは3つのライドウォッチだ。
「何、を……」
「黙れ」
喋ろうとしたソウゴの腹を蹴るハジメ。その後、彼は清水の元に。
「清水……確かお前、電王とダブルとフォーゼが好きなんだってなァ?」
それは男から聞いた情報。当初は果てしなくどうでもいいと思ったこと。
しかし、ソウゴの持つライドウォッチを使えばライダーの姿になることができるということも知り、妙案が浮かんだのだ。
「大好きだったカスライダー共の姿で、お前をぶっ殺してやるよ」
『フォーゼ!』『電・王!』『ダブル!』
ハジメがアナザーウィザードとアナザーセイバーに二つのウォッチを渡した後、それぞれライドウォッチのリューズを押して起動、そして身体へと埋め込む。
やがて、その姿は変貌する。
南雲ハジメは仮面ライダーフォーゼの姿に。
アナザーセイバー、シアは仮面ライダー電王の姿に。
アナザーウィザード、ユエは仮面ライダーダブルの姿に。
「あー……確かなんだっけ? ああ、あれだ。仮面ライダーフォーゼ、タイマン張らせてもらうぜ?」
「ふっふーん! 私、参上!」
「……ふっ、お前の罪を数えろ」
データで知った各ライダーの決め台詞をポーズと共に告げる。
「さ〜ぁてと、怪人退治の時間だぁ。お前のだぁいすきなライダーにぶっ倒されること、有り難く思えよ〜?」
フォーゼが手の骨を鳴らしながら言う。
「あ……あ……」
清水は、目の前にいる仮面ライダーを見て、ただ後ずさることしかできなかった。
「おら、起きろ。んーじゃ、まずは、一発目っと!」
「うぐっ!?」
フォーゼが清水を無理矢理立ち上がらせる。その後拳を作り、清水の腹を殴った。
「ほい、二発目!」
「ううっ!?」
またもや腹を殴る。余りの痛みに、清水は腹を抱えながら蹲る。
「何勝手に蹲ってるの? 終わりじゃない、立て」
「がっ!?」
そんな彼のことをお構いなしに、ダブルが今度は清水の顔を殴った。
「ユエさんやりますねぇ! それじゃあ私、もっ!」
「ぐえっ!?」
電王が清水の顔を蹴り上げる。
「おら起きろよ〜、そーらっ!」
フォーゼが清水の胸ぐらを掴みながら、顔を殴る。
それからもリンチは続いた。主に顔と腹が殴られたり、蹴られたりが何度も繰り返された。
「やめて! やめてください南雲くん! やめてッ! 南雲くんッ!」
必死にやめるように訴えかける愛子。しかしフォーゼ達は止まることはなく、清水は一方的に殴られ続ける。
「千切れない……!」
「くそ……! 解けろよ!」
愛子含め、一同は拘束を引きちぎろうとしても全く出来ない。
「っ…………ぁ……………くっ、そっ…………」
「う…………! っ、ぐ…………! はなせぇ…………!」
ソウゴとティオも滅とデモンズ、カリバーとグレア2の拘束から抜け出そうとするが、ボロボロの状態の今では抵抗しても自身を持つ腕は微動だにしない。
清水の顔は傷だらけで血で汚れ、青痣もできており、見ているだけでも痛々しい姿になっている。
「そいじゃあ最後に……これだ」
ふとフォーゼが何処からか、紫色の果実を取り出した。それは、ヘルヘイムの実。とある森に存在する、黄泉の果実。
「! やめろ…………!」
それに危険を感じ取ったソウゴは焦燥の表情になる。咄嗟に前のめりに動こうとするがそれをライダー達は許さず、押さえ込む。
そんな時、清水がこちらを向いていた。彼は手を伸ばしながら、
「だす、け、て……」
ソウゴの方を向いて手を伸ばす清水。
「かめ、ん、らいだー……」
「どこ見てんだよ。こっち向けや」
フォーゼに無理矢理顎を掴まれ、顔の向きを変えられると、清水の口に、ヘルヘイムの実が突っ込まれた。
吐き出せないように、口を押さえつけて。
喉が鳴る音が聞こえて飲み込めたのがわかった後は、手が離された。
「ア゛、あ゛ア゛」
しばらく経たぬうちに、清水の身体が緑に光り始める。彼の身体を大量の葉が覆い、それが晴れて現れたのは————インベスだった。腕の肥大化した爪と茶色の頭部からして、それはヘキジャインベス。
「……清水、くん……?」
呆然としながら、ヘキジャインベスのことを愛子は見つめる。
「清水、くんが……怪物、に? なん、で……どう、して……!?」
何がなんだが分からず、目の前の事実に愛子はただ混乱することしかできない。
「—————————ッ!」
ソウゴは一度唖然とした表情をした後、すぐに顔を怒りで歪め、フォーゼを睨みつける。
「これで本物の怪人になれたなぁ、清水。おめでとさん」
彼の姿を見て拍手を送るフォーゼ。
ヘキジャインベスは鳴き声を上げながら襲いかかるが、フォーゼはそれを軽くいなし、逆に背中に蹴りを入れて転がす。
「さて、じゃあ最後に、怪人にはライダーキックでトドメを刺してやるか。仮面ライダーはそれが定番だからなぁ? ユエ、シア」
「ん」「はい!」
フォーゼの呼びかけに応じるダブルと電王。
『LIMIT BREAK』『ジョーカー! マキシマムドライブ!』『FULL CHARGE』
それぞれアイテムを操作し、必殺のタメに入る。
フォーゼはロケットモジュールとドリルモジュールを装備し、ダブルは風によって浮き上がり、電王は足にエネルギーを纏い始めている。
「やめろ……! おい! やめろッ! やめろおッ!」
ソウゴのその声で止まることはなく、ライダー達はキックを放つ。
まずはダブルのジョーカーエクストリームが入り、その次は電王のデンライダーキック、最後は、フォーゼのライダーロケットドリルキックが入った。
「ア゛……あ゛……」
ヘキジャインベスはもがき苦しみながら、ソウゴの方を向いて手を伸ばしていた。その姿は、助けを求めているように見えて。
そしてそのまま、ヘキジャインベスは爆発四散した。仮面ライダーの、手によって。
「あ……あ……ああ……」
愛子はただ、その光景を見て涙を流しながら声を漏らすことしかできなかった。
「———————」
呆然とした表情をしているのは彼女だけではなく、ソウゴとティオ達もそうだった。
「いやはや、きったねぇ花火だなぁ」
起こった爆発にフォーゼは感想を一言。それから、ソウゴの方を見た。彼の呆然とした表情を見て、仮面の下で口角を吊り上げる。
「…………ククッ、ふははははははっ! …………見たかぁ? 雑魚偽ライダーくん? …………俺の勝ちだ」
奇しくもその言葉は、もう一つの未来で言われた言葉と似ているものだった。
◇
フォーゼは変身解除をし、南雲ハジメの姿に戻る。
「おい、どんな気分だァ? 雑魚偽ライダー君よぉ。1人でイキがってボコボコにされて、挙句清水を目の前で殺されるのはよォ?」
彼はソウゴの目の前まで来た後、嘲笑いながら問いを投げかける。
「………………ッ!」
「おーおー、良い顔するじゃねぇの」
ソウゴは歯を噛み締め、怒りの表情でハジメを睨みつける。それを向けられた本人は飄々とした様子。
「にしても、こんなみっともねえ奴が今まで仮面ライダーだってガキ共やキモオタに持て囃されてたとはとても思えねぇなあ。今や、ただの雑魚偽ライダーだってのに」
「ついでに言えば男としても終わってる」
「おっ、上手いこと言うじゃねえかユエ。座布団一枚」
ダブルの変身解除をしたユエの言葉にハジメが指を鳴らしながら返す。
「さてと、じゃあ今からそんな雑魚偽ライダーくんの人生を徹底的に否定するありがた〜い言葉を授けてやるよ」
ハジメが顎をしゃくり上げ、ソウゴを見下しながら、今から侮辱するという内容を堂々と告げる。
「確かお前さぁ……最高最善の魔王になるとかイキがってたらしいなぁ?」
それは、常磐ソウゴが掲げている理想。
「お前如きが魔王とか、どこまで思い上がってんだよ、お前。お前みたいなカスが世界を良くしたいだの、皆を幸せにしたいだの……んなことマジで言い切れるんだ。すげぇな、お前。おめでたすぎてビビるわ。マジで頭湧いてんな。誰もお前に幸せにして欲しいとか思ってねえっての。余計なお世話って言葉知ってるかぁ? って、お馬鹿のお前には分からないかぁ〜」
ギャハハ、とハジメは軽く笑いを上げる。
「んでもってぇ? お前のことを持ち上げてくれるやつらとも会ったらしいが……そいつらは敵に殺されたんだろ? 赤いのと白いのはスウォルツだったかに、緑のやつはもう1人のSOUGOだったかに。お前は敵が悪いだとでも思ってるんだろうが……結局のところ全部、お前が悪いよな? お前がカスの雑魚だから仲間は死んだんだよ。つかさぁ、お前の取り巻きは、お前とさえ会わなければ幸せになれたんじゃないか? そいつらの不幸は……俺のような人間に会えなかったことであり、お前みたいなゴミカスに出会ってしまったこと。それが真実だ。お前は世界を良くするどころか、他人まで不幸にしてんだ。この際だし、ハッキリ言ってやるよ。お前は『他人を巻き込んだ上に無様に敗北した負け犬』。この称号はお前にお似合いだな。無能で無知、クズで間抜け、何にも持っていない愚か者のお前が……残せたものはなんだよ? 何もないよな? なぁ?」
ハジメは醜悪な笑みを浮かべ続けたまま言葉を並べていく。
「そんでもって何より、お前の一番馬鹿なところは敵に騙されてたってとこ。さっき言ったスウォルツともう1人のSOUGOに利用されてたんだろぉ? しかも後者には替え玉として利用されてた……まさにピエロ、裸の王様ってわけだ。何処までも滑稽なやつだよなぁ。こんな間抜けで馬鹿やつに力を渡したカスライダー共も同じぐらい馬鹿だぜ」
「ッ!」
それは事実ではあった。常磐ソウゴはスウォルツに利用され、クォーツァーの首領である常磐SOUGOからはライドウォッチを集める為の替え玉として利用された。
しかし、ライダーのことを侮辱する言葉を告げた瞬間、ソウゴは下げていた顔を上げ、ハジメのことを睨みつけた。
自分のことはいくら馬鹿にされても良い。だが、ライダーのことは。託してくれた彼らのことは。
睨みつけてくるソウゴを見て、ハジメは不敵に笑う。
「全く、親の顔が見て見てみてぇよ。って、お前の親はもう死んでるかぁ! あーでも今は叔父がいたか? なんならそいつのことも、殺して親の元に送ってやろうか?」
「お前……ッ!」
「くっくっくっ、そうそう。そういう顔見せてくれた方が面白いんだよ。負け犬が俺のこと見上げてくれるのは堪らねえんだ」
常磐ソウゴが怒りに顔を歪ませるのを見るのが、今のハジメの愉悦。
「お前は全て奪われて、無様晒して、そうやって俺のことを睨むだけの姿がお似合いなんだよ、雑魚偽ライダー。お前がどれだけ何をしようが命を賭けようが、ぜぇんぶ無駄。何も出来ずに終わる。今だって結局、イキっておきながら清水を守れなかったしな。ほんっとに無様だよなぁ……ふっ、くくっ、ははははっ」
ハジメは、声をあげて笑い始めた。それを見たユエとシアも、釣られるように笑みを浮かべ、同じように声をあげて笑い始める。
ゲラゲラゲラ、ゲラゲラゲラ。ゲラゲラゲラゲラ、ゲラゲラゲラゲラ。
嘲笑が、響き渡る。
ゲラゲラゲラ、ゲラゲラゲラ。ゲラゲラゲラゲラ、ゲラゲラゲラゲラ。
常磐ソウゴはその嘲笑を、ただ聞くことしかできず—————。
「はっはっはっ……あー、笑った笑った。じゃあそういうことだから……」
ハジメはホルスターから銃を取り出し、それをソウゴに向ける。
「じゃあな、アホで馬鹿で間抜けで、ドブカスの雑魚偽ライダーくん」
引き金に指をかける。
乾いた音が、響き渡った。
◇
その場にいた皆の視線は、目の光を失い、骸となった常磐ソウゴに向けられている。
誰もが言葉を発することが出来なかった。尊厳を踏み躙られ、侮辱の言葉を浴びせ続けられ、その挙句、胸を紅い光が貫いて死亡した。
「おい、お前」
そんな空気の中で、ハジメは捕えられているティオの前に。
「お前にチャンスをやる。泣きながら土下座して今までのことを詫びれば、お前を俺のハーレムに加えてやるよ」
それは、降伏勧告も同義であり、生殺与奪の権は己が握ってると告げてるようなもの。
「だれ、が……きさま、なんぞに……!」
「ふーん、そうか。んじゃ、お前も死刑な」
そのままハジメはティオに銃を向け、連続で引き金を引いた。
もう一つ、骸が増えた。
「さーてと、そこの男ども。テメェらも死刑な」
ハジメは拘束されていた者達の内、男性陣に銃を向けて引き金を引く。言葉を発することさえさせてもらえず、骸が増えていった。
「女ども。テメェら、俺のハーレムに加わるか?」
残った女性陣に向けて、前置きなども無しにそれだけ聞く。
「……南雲、くん。どうして、どうして、こんな、ことを……」
「質問に質問で返すなよ。ハーレムに加わるかどうかって聞いてんだ。さっさと答えろ」
「…………もう、やめてください。これ以上、奪うことをしないで」
「はいはい、死ね」
引き金、引かれる。
「先生死んだけど、お前らどうする?」
視線を向けられるのは園部達だ。
「わ、分かったわよ! 加わる! 加わるから! 殺さないでッ!」
「奈々……ッ!」
そう叫んだのは宮崎奈々だった。彼女は、恐怖に負けてしまった。ソウゴやティオだけでなく、自身のクラスメイトや先生まで目の前で死んだ。
死にたくない。ああなりたくない。それだけが脳を支配していて、恐怖に屈するには十分だった。
「わた、し、も、加わり、ます、から……ころ、すの……やめて、ください……」
「妙子……ッ!」
それは、菅原妙子も一緒だった。彼女もまた恐怖に屈した人間。ただ、殺さないよう必死に懇願するしかできない。
「おいおい、その態度じゃあ、俺が無理矢理お前らを従わせてるみたいじゃないか。もっと嬉しそうに、笑顔でお願いしろや」
2人の態度を見たハジメは、ニヤニヤと嘲笑いながら命令。
奈々と妙子は、未だ恐怖で怯えながらも、必死に笑顔を作った。
「は、ハジメさんの、ハーレムにっ、加えさせてくださ〜い。お、お願いしますぅ」
「わ、私っ、も、加わり、たい、なぁ。おっ、お願い、しますっ」
必死に、乞う。死にたくないから。それだけの思いで、ただへつらう。それしか、道がないから。
「全く! そこまで言うんだったら仕方ねぇなぁ! よし、今日からテメェらは俺のハーレムメンバーだ。後でユエとシアに挨拶しとけよ?」
「あっ、ありがとうございますっ」「ありがとう、ございます……」
頭を下げて、ハジメに礼を言う2人。
「ふん……三軍か」
「いやー、ついに私もコキ使える下っ端が出来たってわけですねぇ!」
ユエとシアは奈々と妙子のことを早速見下す対象として認識している。
「んで、最後はお前だぁ、園部。どうすんだ?」
「…………ッ!」
残ったのは、園部だけ。
「……優花っち」
「……優花」
名を呼ぶだけで、多くは口にしない。彼女らが言いたいことは分かる。自分も、降伏すべきだと。もう、何もかも詰みなのだから。
「……南雲」
決めた。今、言うべきことを。どうすべきかを。
「——————死ね、地獄に落ちろ」
中指を立てて、告げた。
真平ごめんだ。こいつに懇願するなど。だから、もうヤケだ。プライドで死ぬのは、馬鹿なことかもしれないけど。
「お前が、な」
銃口が向けられた。引き金が引かれた。それからしばらくして、園部優花の人生は終わった。
「ふぅ……最後の最後で手間かけさせやがって……でも」
これで障害は全て排除し、取り除いた。
「……よぉし、行くかぁ」
こうして、南雲ハジメは偽物である仮面ライダーを打ち倒した。そして、彼に逆らう愚か者達も打ち倒した。
これからは、南雲ハジメの素晴らしき覇道が始まるのだ。
魔王と魔王
END
次回からは『ありふれていない時の魔王が仮面ライダーの力で世界最強』が始まります。
南雲ハジメの活躍をどうぞご期待ください。
ッつーかジオウって最低の駄作だよな。まずジオウのデザインがクソだせぇし主人公がメアリー・スーみたいでキショいし。こんなんより南雲ハジメの方が最高に決まってるよな。
ッつーかジオウって最低の駄作だよな。まずジオウのデザインがクソだせぇし主人公がメアリー・スーみたいでキショいし。こんなんより南雲ハジメの方が最高に決まってるよな。
南雲ハジメの活躍をどうぞご期待ください。
次回からは『ありふれていない時の魔王が仮面ライダーの力で世界最強』が始まります。
END
魔王と魔王
これからは、南雲ハジメの素晴らしき覇道が始まるのだ。
こうして、南雲ハジメは偽物である仮面ライダーを撃ち倒した。そして、彼に逆らう愚か者達も打ち倒した。
「……よぉし、行くかぁ」
これで障害は全て排除し、取り除いた。
「ふぅ……最後の最後で手間かけさせやがって……でも」
銃口が向けられた。引き金が引かれた。それからしばらくして、園部優花の人生は終わった。
「お前が、な」
真平ごめんだ。こいつに懇願するなど。だから、もうヤケだ。プライドで死ぬのは、馬鹿なことかもしれないけど。
中指を立てて、告げた。
「——————死ね、地獄に落ちろ」
決めた。今、言うべきことを。どうすべきかを。
「……南雲」
名を呼ぶだけで、多くは口にしない。彼女らが言いたいことは分かる。自分も、降伏すべきだと。もう、何もかも詰みなのだから。
「……優花」
「……優花っち」
残ったのは、園部だけ。
「…………ッ!」
「んで、最後はお前だぁ、園部。どうすんだ?」
ユエとシアは奈々と妙子のことを早速見下す対象として認識している。
「いやー、ついに私もコキ使える下っ端が出来たってわけですねぇ!」
「ふん……三軍か」
頭を下げて、ハジメに礼を言う2人。
「あっ、ありがとうございますっ」「ありがとう、ございます……」
「全く! そこまで言うんだったら仕方ねぇなぁ! よし、今日からテメェらは俺のハーレムメンバーだ。後でユエとシアに挨拶しとけよ?」
必死に、乞う。死にたくないから。それだけの思いで、ただへつらう。それしか、道がないから。
「わ、私っ、も、加わり、たい、なぁ。おっ、お願い、しますっ」
「は、ハジメさんの、ハーレムにっ、加えさせてくださ〜い。お、お願いしますぅ」
奈々と妙子は、未だ恐怖で怯えながらも、必死に笑顔を作った。
2人の態度を見たハジメは、ニヤニヤと嘲笑いながら命令。
「おいおい、その態度じゃあ、俺が無理矢理お前らを従わせてるみたいじゃないか。もっと嬉しそうに、笑顔でお願いしろや」
それは、菅原妙子も一緒だった。彼女もまた恐怖に屈した人間。ただ、殺さないよう必死に懇願するしかできない。
「妙子……ッ!」
「わた、し、も、加わり、ます、から……ころ、すの……やめて、ください……」
死にたくない。ああなりたくない。それだけが脳を支配していて、恐怖に屈するには十分だった。
そう叫んだのは宮崎奈々だった。彼女は、恐怖に負けてしまった。ソウゴやティオだけでなく、自身のクラスメイトや先生まで目の前で死んだ。
「奈々……ッ!」
「わ、分かったわよ! 加わる! 加わるから! 殺さないでッ!」
視線を向けられるのは園部達だ。
「先生死んだけど、お前らどうする?」
引き金、引かれる。
「はいはい、死ね」
「…………もう、やめてください。これ以上、奪うことをしないで」
「質問に質問で返すなよ。ハーレムに加わるかどうかって聞いてんだ。さっさと答えろ」
「……南雲、くん。どうして、どうして、こんな、ことを……」残った女性陣に向けて、前置きなども無しにそれだけ聞く。「女ども。テメェら、俺のハーレムに加わるか?」ハジメは拘束されていた者達の内、男性陣に銃を向けて引き金を引く。言葉を発することさえさせてもらえず、骸が増えていった。「さーてと、そこの男ども。テメェらも死刑な」もう一つ、骸が増えた。そのままハジメはティオに銃を向け、連続で引き金を引いた。「ふーん、そうか。んじゃ、お前も死刑な」「だれ、が……きさま、なんぞに……!」それは、降伏勧告も同義であり、生殺与奪の権は己が握ってると告げてるようなもの。「お前にチャンスをやる。泣きながら土下座して今までのことを詫びれば、お前を俺のハーレムに加えてやるよ」そんな空気の中で、ハジメは捕えられているティオの前に。「おい、お前」誰もが言葉を発することが出来なかった。尊厳を踏み躙られ、侮辱の言葉を浴びせ続けられ、その挙句、胸を紅い光が貫いて死亡した。その場にいた皆の視線は、目の光を失い、骸となった常磐ソウゴに向けられている。◇乾いた音が、響き渡った。引き金に指をかける。「じゃあな、アホで馬鹿で間抜けで、ドブカスの雑魚偽ライダーくん」ハジメはホルスターから銃を取り出し、それをソウゴに向ける。「はっはっはっ……あー、笑った笑った。じゃあそういうことだから……」常磐ソウゴはその嘲笑を、ただ聞くことしかできず—————。ゲラゲラゲラ、ゲラゲラゲラ。ゲラゲラゲラゲラ、ゲラゲラゲラゲラ。嘲笑が、響き渡る。ゲラゲラゲラ、ゲラゲラゲラ。ゲラゲラゲラゲラ、ゲラゲラゲラゲラ。ハジメは、声をあげて笑い始めた。それを見たユエとシアも、釣られるように笑みを浮かべ、同じように声をあげて笑い始める。「お前は全て奪われて、無様晒して、そうやって俺のことを睨むだけの姿がお似合いなんだよ、雑魚偽ライダー。お前がどれだけ何をしようが命を賭けようが、ぜぇんぶ無駄。何も出来ずに終わる。今だって結局、イキっておきながら清水を守れなかったしな。ほんっとに無様だよなぁ……ふっ、くくっ、ははははっ」常磐ソウゴが怒りに顔を歪ませるのを見るのが、今のハジメの愉悦。「くっくっくっ、そうそう。そういう顔見せてくれた方が面白いんだよ。負け犬が俺のこと見上げてくれるのは堪らねえんだ」「お前……ッ!」「全く、親の顔が見て見てみてぇよ。って、お前の親はもう死んでるかぁ! あーでも今は叔父がいたか? なんならそいつのことも、殺して親の元に送ってやろうか?」睨みつけてくるソウゴを見て、ハジメは不敵に笑う。自分のことはいくら馬鹿にされても良い。だが、ライダーのことは。託してくれた彼らのことは。しかし、ライダーのことを侮辱する言葉を告げた瞬間、ソウゴは下げていた顔を上げ、ハジメのことを睨みつけた。それは事実ではあった。常磐ソウゴはスウォルツに利用され、クォーツァーの首領である常磐SOUGOからはライドウォッチを集める為の替え玉として利用された。「ッ!」「そんでもって何より、お前の一番馬鹿なところは敵に騙されてたってとこ。さっき言ったスウォルツともう1人のSOUGOに利用されてたんだろぉ? しかも後者には替え玉として利用されてた……まさにピエロ、裸の王様ってわけだ。何処までも滑稽なやつだよなぁ。こんな間抜けで馬鹿やつに力を渡したカスライダー共も同じぐらい馬鹿だ
◇
鐘の音が鳴り響いた。
「!?!?!?!?」
意識が濁流にでも流されたような、そんな感覚。
ハジメの前には、常磐ソウゴがいる。自分が殺したはずの。彼も何が起こったと困惑している様子だが。
そして、別の箇所でも困惑はあった。
「清水、くん……!?」
「なん、で……おれ、生きて……」
愛子の目の前にいる無傷の清水。彼は、今の自分の状態を見て戸惑っていた。
「何が……!」
『W RIDER』
『ジョーカー! マキシマムドライブ!』
「あううっ!?」
戸惑ってる時、何処からか電子音が流れてきて、アナザーエグゼイドが何者かによって攻撃された。
「ユエ!?」
『DEN-O RIDER』
『FULL CHARGE』
「ぐふうっ!?」
「シア!?」
次に攻撃されたのはアナザービルド。
『FOURZE RIDER』
『LIMIT BREAK』
「がぼあっ!?」
その次に、アナザージオウが攻撃される。
『DECADE RIDER』
『FINAL ATTACK RIDE! DE・DE・DE・DECADE!』
「ぐええっ!?」「ぐぎゅうっ!?」「ぎゃあっ!?」
最後は、3人同時に攻撃され、地面に転がり元の姿に戻る。
「なんだってんだ!? 何が起こって……!」
その時、天から光の柱が差し込んだ。それが晴れると、人影が見えた。
「カグヤ様……ゴージャスに降臨」
現れた男は告げる。白いシャツの上に青いロングコートを着込んでおり、金髪でその面貌は整っている。
「誰だ……!? 何もんだお前は!?」
「我が名は、鳳桜・カグヤ・クォーツ。世界をゴージャスに輝かせる男だ、覚えておくと良い」
「はぁ……!?」
なんだこのいかにもなナルシ野郎は。格好からして成金臭さもある。ハジメはそう思った。
「先の事態、カグヤ様が介入させてもらった」
「! 時間が戻ってるのはテメェの仕業か……!」
「そのついでに、貴様がインベスにしていた人間も元に戻しておいた」
「な…………!?」
さらっと言われた一言にハジメは驚愕する。
「……いや、んなもんハッタリに決まってる!」
「そう思うなら確認すればいい。貴様がヘルヘイムの森に仕舞ってるインベス達をな」
「ッ!」
そう言われたハジメはウォッチの力でクラックを作る。自分がわざわざ行くわけにもいかないので、偵察機のオルニスを中に入れて、ヘルヘイムの森を調査。その結果は。
「……ッ、数が、減ってやがる……!?」
「だろう?」
ヘルヘイムの森からは、人間から変化した分のインベスは居なくなっていた。ハジメはカグヤことを睨みつける。
「……でもなぁ! 俺がインベスにしたのはクズ野郎どもだ! 何したっていいんだよ! クズどもを人間に戻してるお前の方が間違ってるだろうが! アァ!?」
「例え更生が不可な救いようのない悪党だろうと、異形に変えて人間の尊厳を奪うのは許されないことだ。貴様の行いはゴージャスから程遠い」
「ちいっ……!」
自己中な批判をものともせず、真っ向からそれを切り捨てるカグヤ。彼が特に表情を変えずに告げる様がハジメには気に食わなかった。
「アンタは、一体……」
「ジオウ。この世界に来たついでに、貴様の仲間達も連れてきておいた」
「え?」
その時、ソウゴの近くにオーロラカーテンが現れる。カーテンの向こうには三つの人影が見えた。
「ジオウッ!」「ソウゴッ!」「我が魔王ッ!」
「皆……!」
中から現れたのは、ゲイツ、ツクヨミ、ウォズ。
「大丈夫か!?」「怪我はない!?」「ご無事か!?」
「う、うん。今はどうにか……」
ウォズに肩を掴まれ、ゲイツとツクヨミに迫られながら尋ねられ、戸惑いながらも答えるソウゴ。良かったと、3人は安堵する。
「余計な真似を……!」
「南雲ハジメ、一つ聞かせろ」
「ああ?」
ソウゴの下へゲイツ達が合流したことを疎ましく思ってた時、カグヤが一歩前へ出た。
「貴様はジオウの生き様を否定した。ならば、貴様はあの男を貶められるほどの生き様を刻んだのか? これまでに、ライダー達の生き様に勝るよう励んできたのか?」
「…………何を聞くかと思えば、バカなことだな。俺はそこの雑魚よりも素晴らしい生き様を刻んでるさ。そんなことも理解できないか? ふっ、これだからアホは困る。アホなのは、その格好と口調だけにしてくれよな」
やれやれ、と言った様子で手をひらひらとする。その後「そもそも」と前置きをした上で
「カスのライダー共の生き様なんて、どれも大したことがねぇだろ。単純に周りが持ち上げて美談にしてるだけだ。誰かを庇って負傷やら死亡やらもそいつが弱いだけだし、人を助けるのもただの自己満足の偽善。自分が思うままに力を振るうのが、ライダーの力の正しい使い方だ。どいつもこいつも、間違った使い方しかしてねぇんだよ」
「……なるほど、それが貴様の考え方、と言うわけか。ならば、一つ提案をしよう」
それからカグヤは、ハジメに向けて手を差し出した。
「南雲ハジメ、アナザーライダーの力なんて捨て、共にゴージャスにならないか?」
「はっ、誰がテメェみたいな成金野郎の下につくか。つーか、さっきの話を聞いて何を思えばそんな提案ができるんだよ?」
「貴様にはゴージャスが大いに足りない。輝く為の素質はあると言うのに、折角のその価値を自ら汚している。勿体無いことこの上ないだろう」
「テメェの物差しで測んなや、成金野郎。俺に素質があるのは認めるが、俺は充分輝いてる。お前風に言うなら、もうゴージャスなんだ。それを分かってないお前の方がゴージャスが足りねぇんじゃないか? お前みたいな奴っているんだよなぁ、見た目だけ着飾って中身はスッカスカのクズ」
突然の不意打ち、インベスの戦力削減。予想外のことが多々あり、それに戸惑ったりはしたものの、カグヤと話す内、ハジメは既に余裕を取り戻していた。
「…………手を取る気は無いようだな。ならば仕方あるまい。力ずくで貴様を叩き直すしかないようだ」
「へぇ、随分と強気じゃねぇか。さっきの不意打ちを当てられたことがよっぽど嬉しいみてぇだなぁ? はっ、そんなにイキがりやがって、ガキかよ」
恐らくだがさっきの攻撃はこいつによるものだろうとハジメは推察する。突然のことだったので、どんなだったかは余り分からなかったが。
「行くぞ、ジオウよ。共に雪辱を晴らす時だ」
それからカグヤは一つのカードを取り出し、振り返ってそれをソウゴに向けて投げつけた。
それはジオウの顔が映し出された黄金のカード。
「これは…………ッ!?」
その時、常磐ソウゴは自身の心臓から燃え上がるようなものを感じた。
「貴様の炎を一時的に活性化させる。後は、貴様次第だ。力を取り戻したいならば、強く願い、意思を示せ」
「—————————」
カグヤのその言葉を受け、ソウゴは目を閉じる。
—————————俺は。
どれだけ否定されようとも。
何人に嘲笑われようとも。
己の尊厳を踏み躙られても。
王として、仮面ライダーとして。
人々を、民を、守るために。
その為に、力を。
勝つための、守る為の、力を。
「—————————!!」
目が開かれる。
時の力が燃え上がる炎と共に、王の、主の元へ回帰する。
それを見たカグヤは微笑む。
「……ゲイツ、ウォズ、ツクヨミ。アイツはアナザーライダーの力を持っている」
呼ばれた3人はハジメの方を見る。
「アイツを止めたいんだ。早速で悪いけど、一緒に戦ってくれる?」
「ああ」「勿論だとも」「うん」
ソウゴからの問いに、3人は力強く頷いた。
「意見は纏ったようだな」
「ああ……皆、行こう!」
『『『ジクウドライバー!』』』
ソウゴは腰にジクウドライバーを装着。ゲイツとツクヨミも同じく。
『ビヨンドライバー!』
ウォズは緑色のビヨンドライバーを。
『LEGENDRIVER!』
カグヤは己の腰に黄金のドライバー、その名もレジェンドライバーを装着。
『ジ・オウ!』『ゲイツ!』『ウォズッ!』『ツクヨミ!』『CHEMYRIDE!』
ジクウドライバーの3人はライドウォッチを、ウォズはミライドウォッチを起動し、カグヤはドライバーにケミーカードを装填。
「雑魚が何人こようが一緒だァ……全員纏めて潰してやるよ。ユエ、シア、行くぞ。調子乗りのイキり偽ライダー共にお仕置きしねぇとなぁ」
「んっ、天罰を下してやる」
「ぶちのめしてやるですぅ!」
『Zi-O……』『BUILD……』『EX-AID……』
ハジメ達もアナザーウォッチを起動。
それぞれ準備は整った。後は、その言葉を叫ぶだけ。
「「「「「変身!」」」」」
「「「変身!」」」
『ライダァー、タァーイム! 仮・面ライダァー! ジ・オーウッ!』
『仮・面・ラ・イ・ダァー! ゲイツ!』
『スゴイッ! ジダイッ! ミライッ! 仮面ライダーウォズ! ウォズッ!』
『仮面ー! ライダァー! ツクーヨミー! ツ・ク・ヨ・ミ!』
『LE・LE・LE・LEGEND!』
それぞれの身体が変化する。
片やメカニカルな、もしくは煌びやかな鎧を纏う者達。
片や歪なる怪物の姿をしている者達。
仮面ライダー、ジオウ、ゲイツ、ウォズ、ツクヨミ、レジェンド。
アナザージオウ、アナザーエグゼイド、アナザービルド。
息を吐き、ジオウは己の紛い物を見据える。相手の持つ力を必ず破壊せねばと、内心でその思いを巡らせる。
「覚悟しろ南雲ハジメ」
レジェンドはアナザージオウを指差す。
「カグヤ様達が貴様らの悪行に……ゴージャスな終止符を打ってやる」
「カカっ! やってみろよ、出来るもんならなァ!」
告げられた宣戦布告にアナザージオウは嘲笑混じりにそう返す。
「…………行くぞッ!」
「ぶっ殺してやる!」
ジオウとアナザージオウが声を上げ、両者が駆け出す。
リベンジマッチが、幕を開けた。
次回
ゴージャスタイム2023
ちな登場したグレア2はベロバverやで
席外してたらレジェンドライダーの1人が玉潰しとSEKKYO(というかただの人格否定)されてる上に最終的に殺されてるのを知ったカグヤ様の心境や如何に
股間のシーンはカットしようかと一瞬思ったけどやっぱ載せることにしました。玉潰しは本家でもやってたんで
ちなクズ野郎をインベスにしたって言ってるけど別にクズじゃない人間もインベスにしてるよ