魔王と魔王 作:一般龍人族
前回の
「突然だが、今からお前には異世界へと行ってもらう。そこでは異なる種族が争っており、その上お前がかつて戦ったアナザーライダーの力を持つ者……魔王がいる。お前はその魔王から……世界と民を守れるかな?」
というセリフに追記をしました。
今回の話にも少しばかり関わるのでチェックしていただければ幸いです。
「………………っ、う………………」
渦に飲み込まれ気絶した後、しばらくして常磐ソウゴは目覚めた。
「ここは…………っ」
身を起こし、周囲を見渡す。
見渡した先には、ブロックが浮かんでいる光景があった。そして、自身が大きなステージのようなものの上に立っていることにも気づいた。
「あ、起きた〜? おっはよ〜」
声がした方を見るとそこには、鉄の巨人がいた。
「……ロボット?」
「そのろぼっとって言うのが何かは知らないけど、私はゴーレムだよ〜」
「そうなんだ……アンタは誰? 俺は常磐ソウゴ」
「私はミレディ・ライセンだよん! シクヨロ〜」
「ああうん、よろしく。それで聞きたいんだけどさ、俺は何でここに? というかここ何処?」
無機質で、威圧感のある見た目の割には軽いノリに少し戸惑うソウゴだが、ミレディと名乗るゴーレムに尋ねる。
「ええとね〜、ここはライセン大迷宮ってとこ。私の家ぐらいに思ってくれれば良いよ。君は黒い渦から突然この最終試練の部屋に放り込まれたんだよ〜」
「そうだったのか……」
「いや〜あの時はびっくりしちゃったよ。しかも上から降ってくるもんだから。どうにかミレディちゃんによるナイスキャッチで最悪は免れたわけだけどね。お礼を言ってくれてもいいんだよー?」
「うん、ありがとう」
「ほうほう、素直でよろしい。ま、君からの質問に答えたわけだから、今度はこっちがする番ね。君は渦から放られた訳だけど、何か心当たりは?」
ミレディに質問され、少し考える様子を見せた後に、ソウゴは答えた。
「……突然現れた謎の男が渦を発生させてそれに呑み込まれた。俺の仲間も一緒に」
「なるほどね〜。その仲間、ここには居ないよ。迷宮内で君以外に人間は確認できなかったからさ」
「じゃあ、ここの外にいるってことか。ここからどうやって出られるの?」
「んー、それはねー……」
しばらく間を開けた後に、彼女は言った。
「————私と戦って、勝ったら教えてあげるよ」
それまでの高い声色ではなく、落ち着いた声でだ。ソウゴは表情を変えずに彼女に聞く。
「……何で?」
「少し、君を試してみたくなった。これで満足かな?」
「……とにかく、アンタと戦わないといけないわけか」
「そ! じゃあさっさと準備しちゃってー」
ソウゴは懐からジクウドライバーを取り出して、装着。同時にジオウライドウォッチのベゼルを回転し、起動。
『ジクウドライバー!』『ジオウ!』
「変身」
ベルトにウォッチを装填し、リューザーを押し込んでロックを解除。そのままサーキュラーを回転させた。
『仮面! ライダーァ! ジ・オーウ!』
巨大なリングが回転しながら出現し、ソウゴを囲む。その全身が黒いスーツに覆われ、後ろに出現していた大時計から弾き飛ばされてたマゼンタのライダーの文字が顔に嵌め込まれると、仮面ライダージオウに変身。
「……へぇ。その姿、もしかして君も異世界から来た感じ?」
「……君も?」
ソウゴは、ジオウはミレディの言葉を反復した。
「そ、少し前にここを攻略しに来た子がいてね。その子は異世界から来たと言って、君のように姿を変えていたんだ。ま、君みたいにゴテゴテした感じの鎧じゃなくて、禍々しい感じのやつだったけど」
「…………まさか例のアナザーライダー?」
ジオウは男の言葉を思い出して呟く。
「で、君も異世界人なの?」
「……そんな感じかな」
「ふーん……そかそか。ま、とりあえず」
戦闘態勢になったミレディは構える。
「ミレディ・ゴーレム第二号の力、とくと見よー!」
◇
赤熱化している剛腕がジオウに振りかぶられる。それを咄嗟に横に飛んで回避。
「……こんなに身長差あるけど勝たせる気ある?」
改めてミレディの身体を見上げるジオウ。その身はジオウの何倍もあり、二十メートルくらいといったところ。
「勝たせる気はあるよ〜。だって君、本気の力を出したくても出せないでしょ?」
「……何で分かった」
「君が持ってる力、まるで割れた陶器の破片みたいな状態だからね。一部の力しか使えないんでしょ?」
「……ああ」
実は、ジオウは変身をして気付いた。彼の強化アイテムであるジオウIIとジオウトリニティとグランドジオウのライドウォッチが使えなくなっていたのだ。
今までに継承してきたライドウォッチも、いつぞやのように壊れてはいないが、中身の力がある程度失われている。ビルドで例えるならば、ラビットラビットとかタンクタンク、ジーニアスとかだ。
「そう言う訳だから、優しいミレディちゃんは少し縛りを設けようと思った訳! 10割のうち7割くらいは手加減……で許してあげようかなーって」
「じゃあ、残りの3割を乗り越えればいいってことだよね?」
「ご名答!」
そのまま手を横に薙ぎ払う。ジオウはそれを上に飛んで回避。
『ギリギリスラッシュ!』
「はあーっ!」
取り出したジカンギレードにウォッチを装填し、即時トリガーを引いた。
マゼンタの斬撃がミレディの装甲にぶち当たる。
その攻撃により装甲に線状の穴が開くが、その更に奥には漆黒の装甲があった。
「そうそう、私に勝つためにはこの黒い装甲の奥にある核を破壊すればいい。でも、この装甲は滅茶苦茶硬いよ〜。アザンチウムっていう特殊な鉱石で加工してるからね」
「でも攻撃して削り続ければいずれ壊せるんじゃないの? この世にノーダメージの物体はないらしいしさ!」
「出来るもんならねェ!」
ミレディは周囲の浮遊ブロックを引き寄せて、削られた鎧を再生する材料にした。
ミレディは着地したジオウに向けて左腕のモーニングスターを発射。それもどうにか回避。
「削るならこれだ!」
『ビルド!』
ビルドライドウォッチを取り出して起動。空いている片方のスロットに装填し、ベルトを操作。
『アーマータァーイム! ベストマッチ! ビィールゥードォー!』
ビルドを模したアーマーが出現し、ジオウの身体に装着。ジオウ・ビルドアーマーに変身。
「ほーう?」
新しい姿に目を細めるミレディ。細めてるから分からないが。
ビルドアーマーに変身し、足を踏み込んで飛び上がる。
右腕に装着しているドリルクラッシャークラッシャーを巨大化させた。
「大人しく削らせると思う?」
「ま、だよね!」
宙に浮かぶジオウの身にミレディのヒートナックルが迫り来る。
その時、右側のフルボトルショルダーの色がオレンジ色に変わった。
ウォッチに残っていたタカフルボトルの能力によって翼を背中に生成し、ナックルを回避。
『フォーゼ! スレスレシューティング!』
銃口から複数本のミサイルが高速で発射される。
ミレディは腕を交差して防御の体制を取った。着弾するミサイルは爆発し、白煙を起こす。
『ソイヤ! ガ・イ・ムゥ〜!』
「はあっ!」
鎧武アーマーに変身して、二振りの大橙丸Zで腕に切り掛かるジオウ。
ミレディによって弾かれるが、なんとそのまま彼女の腕に飛び乗り、走る。
ミレディも払おうとするものの、そうされる前に、ジオウは彼女の顔に迫りエネルギーを纏った大橙丸Zで切りつけた。
「っ!」
ゴーレムの身体とはいえ、目はやられるらしい。片方の手で思わず抑える。
『3! 2! 1! フォーゼェー!』
フォーゼアーマーに変身したジオウ。そのままもう一度ベルトを操作。
『フィニッシュターァイム! フォーゼ!』
『リミット! タァーイムブレーク!』
身体にドリルモジュールのエネルギーを纏い、ミレディの鎧に突撃して高速回転。
「だから大人しくさせるかって……」
『ビルド! ギリギリスラッシュ!』
回転してる中で、ジオウは器用にジカンギレードにビルドライドウォッチを装填しトリガーを引いた。
「!?」
突如として、ミレディの前に複数のジオウ・フォーゼアーマーが現れる。4コマ忍法刀の能力の影響のようだ。
ジオウはジュウモードのジカンギレードを取り出して一斉掃射し、ミレディを妨害する。
「くっ! はあーっ!」
ミレディはモーニングスターを射出し、ジオウの分身の一体に攻撃。分身は吹き飛んで消滅。そのまま全員吹き飛ばした。
「最後は君……」
「いや、最後なのはアンタだ」
ミレディが回転を続けているだろうジオウに視線を向けたとき、ピシリと音がした。そのひび割れるような音は徐々に大きくなって、それと同時にジオウがミレディの身体を貫いた。
「ぐ……!」
心臓を貫かれるような感覚。核も一緒に貫かれたのだ。
ジオウが地面に立つと、後ろで大きな音が立てられた。振り返ると、ミレディが倒れていた。
「……俺の勝ち……でいいんだよね?」
「……ふふ、そうだね。すごぉーい、おめでとう。良く出来ましたぁ」
ジオウの確認の言葉に称賛の声を送るミレディ。が、その声は真面目に称賛してるようには思えず、人によっては煽ってるようにも聞こえるかもしれない。
「それで、ここからどうやって出るの?」
約束を果たしてもらおうと、ミレディに問うジオウ。
「まあまあ、そう焦らないで。とりあえず、光ってる壁があるよね? そこまで向かって欲しいな」
そう指示されたので、ジオウは歩き出した。とある浮遊ブロックに飛び乗ったとき、それが動き出して遠くに存在する光の壁の所まで運んだ。
光の壁が手前に移動して抜き取られると、通路が出現。そこを進むジオウ。進んだ先には扉があって、それも横にスライドして開かれた。
「やっほー! ちっちゃいミレディちゃんでーす!」
扉を抜けた先には、小さいゴーレムがテンションを上げてそう言った。
「……反応うっすいねー」
特に何か反応を見せないジオウにそう言ったミレディ。
「いや……何だろう、ちょっと驚いて呆然としてたっていうか」
ジオウはウォッチに手をかけ、取り外して変身解除。元の常磐ソウゴの姿に戻る。
「へぇ、じゃあ驚かせようという私の目論見は大成功って訳だネ。まあとりあえず、この魔法陣の上に立って」
目の前に光り輝く魔法陣が現れたことに驚きながらも、言われたままにその上にソウゴは立つ。
「っ!」
頭に少しズキリとした感覚を覚える。それと同時に、懐が光り輝いたのに気付いた。
「……これ」
それはどうやらライドウォッチのようだが、いつものようにライダーの顔は描かれておらず、銀の上に赤いラメがかかっているようなデザインをしていた。
「……神代、魔法? 重力魔法?」
脳内に流れた知識の一部を呟くソウゴ。
「へぇ……どうやら魔法陣と君のアーティファクトが共鳴したことによって、それに私の重力魔法が宿ったようだね」
ソウゴが手に持っているライドウォッチを興味深そうに見つめながらそう言ったミレディ。
「……何でこの力を俺に?」
「縛りありとはいえ、私を倒したからね。例外だけど、特別に試練を乗り越えたってことで。少なくとも本気を出せない君の手助けにはなると思うよ?」
「へぇ……」
そう説明したミレディ。
「……話は変わるけど、アンタ確か俺みたいに変身する人と戦ったんだよね? その人は誰なの?」
「んーと確か、ハジメって名前だったかな。金髪の子と兎の子を引き連れてここに来てたの。知り合いだったりする?」
「……いや、知らないな。そんな名前の人と会ったことないよ」
「ふーん」
「それと、この世界についても聞きたい。俺を飛ばしたやつは、この世界が狂った神によって異なる種族が争ってるって言ってた。一体どういう意味なの?」
「……その男が何者なのか気になるけど……分かった、説明するよ」
それからソウゴはミレディから説明を受けた。
数千年も前の昔。この世界で神代と呼ばれた時代の少し後。世界は争いで満ちていた。人間族、魔人族、亜人族など、様々な種族が争っていた。
争う理由も様々であったが、一番は神敵であるからだった。種族や国が祀っていた神の神託で争っていた。
その争いに終止符を打とうとしたのが、解放者と呼ばれる者たちであった。彼らにはある共通点があり、神々の直系の子孫であるということだった。
それ故か、解放者のリーダーはある日知ったのだ。人々の戦争は、神々によって仕組まれたものだということを。その事実に耐えられなかった彼は、同じ志の者を集った。
神域と呼ばれる場所に神がいると知り、解放者のメンバーでも先祖返りと呼ばれる強い力を持った7人を中心に、戦いを挑んだ。
しかし、それに気付いた神は人々を巧みに操り、解放者達と敵対させた。
守るべき人々に力を振るうわけにはいかず、解放者達は次々と討たれていった。
残ったのは中心の7人であり、彼らは自分達では神を討てないと判断した。そしてバラバラに大陸の果てに迷宮を作りそこに潜むようになった。試練を用意して突破した者に力を授け、いつか神の遊戯を終わらせるものが現れることを願って。
「その7人の内の一人が、アンタってことなんだね」
「そーゆーことぉ」
「でも、アンタは大昔の人間のはずなのに何で生きれてるの?」
「ラーくん……私の仲間に魂を定着させる神代魔法を持った人がいてね。ゴーレムに魂を定着させてこうして生きながらえてるの」
すごいね……とソウゴは言った。実質的な不老不死に彼も驚いているらしい。
「……さて……この話を聞いて、君は……どうする? ……あのクソ野郎を……」
「倒すよ」
ミレディが言い切る前に、ソウゴはそう言った。
「——————」
「話を聞いた時から、とっくに決めてた。俺は、王様としてこの世界を救いたい。だから、アンタが言う神を倒す」
「…………王様、王様ね。そっか…………」
真っ直ぐと己を見つめるソウゴの目を見つめ返す。そこには決意があった。揺るぎのない決意が。
「……なら、王様の君に託してみようかな。————どうか、この世界を救ってほしい。人々の自由な意思を取り戻してほしい。私たちが目指そうとした理想を、受け継いでほしい」
「————ああ。継ぐよ、アンタ達の理想を」
そろそろソウゴくんの話を見せろって人〜!
-
は〜い!
-
ハジメの話を続けろ〜!