魔王と魔王 作:一般龍人族
KUK「NGM! 淫夢はもうやめろ! トータスでは淫夢ごっこは恥ずかしいんだぞ!」
HJM「おっ大丈夫か大丈夫か。バッチェ冷えてますよ〜。淫夢はトータスで流行ってるってはっきり分かんだね」
KUK「やめろって言ってるだろ!」
HJM「………………」
YE「貴方……」
KUK「俺が悪いのか!?」
とある部屋。
そこには四角い立方体があり、そこから首あたりから下と両手を埋められている長い金髪の少女がいた。
彼女の名を語るのは……今はやめておこう。
部屋の中に、黒い男が現れた。
「よく眠れてるか? オヒメサマ」
黒い男が声をかけて、少女は目を覚ます。
「…………誰?」
「恋のキューピッド……なんて綺麗なものじゃあないが、お前とある者が惹き合う為のお膳立てをしに来た者だ。じゃあ早速……」
男は少女の頭に手を乗せる。
「ッ、何を……あううっ!?」
少女の頭に禍々しいエネルギーを流し込む。白崎香織と同じようにだ。
「この先お前はあの男と出会い、好意を持つようになる。例えその者がどんな非道な行いをしようが、それでお前が離反することは決してない。ただ一途に男を愛し続ける。中々素晴らしい、まさしく純愛だ。そうは思わないか?」
「うぐっ、ああっ!」
エネルギーを注入しながら男は語り、その一方で少女は苦悶の声を上げる。
「悪であるこの俺が、まさか善行をするとはなあ。夢にも思わなかったぞ? ……っと、こんな所か」
男が語り終えた時、エネルギーの注入も終えていた。少女はぐったりと脱力し、項垂れる。
「次に目覚めたときには、誰もが羨む良妻になってることだろう。精々あの男との幸せを噛み締めるんだな。さて……次のお膳立てでもするか」
そのまま男は霧散し、少女は再び一人きりとなった。
◇◇◇◇
「おらっ!」
ハジメ……もとい、アナザージオウは兎の魔物を時計の針を模した長剣で切り刻む。
ウサギの身体は真っ二つになり、あっという間に絶命した。
「へぇ……こいつはスゲェや」
その後、変身を解いたハジメはウサギの肉を拾い上げる。そしてそのまま齧り付いた。どうでもいいが、ゲームだとウサギの名は蹴りウサギだったことを思い出した。
「魔物の肉は相変わらず不味いな。ま、能力を得られるからいいんだが」
魔物を食べたあと、ステータスプレートを確認した。やはりというべきかステータスは上がり、技能も追加されていて、その名も"天歩"であった。その文字の横には"+空力"と"+縮地"があった。
これはどうやら空中に足場を作り、高速移動する能力のようだ。
その後道中の兎や狼を倒し、移動を繰り返した。そして、例の魔物と出会った。
「ようクソ熊。久しぶりだな。この間は、よくもこの俺の腕を食いやがったな」
ハジメの目の前にいるのは、かつて彼の腕を斬って食べた熊の魔物だった。名前は爪熊。
「今度は、俺がお前を食ってやるよ。ありがたく思えよ、王の糧になるんだからな」
爪熊はそう言っているハジメを視線に捉え、呻き声を上げる。
「さて……こいつを使ってみるか」
ハジメは懐からアナザージオウのウォッチとはまた別のものを取り出し、リューズを押し込む。
『BUILD……』
「変身」
ウォッチを身体に翳すと、身体が黒い繭に覆われる。それが晴れると、アナザービルドに姿を変えていた。
白い煙が身体から吹き出す。青い戦車の装飾を軽く撫でた後、爪熊に向けて駆け出した。
赤い兎の足で地面を踏み込み、ジャンプ。その後は青い戦車の足で爪熊の腹にキック。
キックされた熊は鳴き声をあげて吹っ飛んだ。
「今更だが、変身してる時は左腕が復活してるのか」
左手をグーパーさせるアナザービルド。その間に、怒った爪熊はアナザービルドに向かって駆け出す。
「ふん」
アナザービルドはフルボトルによく似たアイテムを取り出し、口に飲み込んだ。
『水泳選手……! 弓道……! ベェストマァ〜ッチ……!』
腰にある歪なビルドドライバーから音が鳴り、ハンドルを回した。
ボトルから能力を獲得したアナザービルドは地面の中に潜り込む。
突如として敵が消えたことに戸惑いキョロキョロと辺りを見回す爪熊。そんな彼の後ろからアナザービルドが飛び出し、光の弓を取り出して矢を引いて放った。
その矢は爪熊の左腕を貫き、身体と離れ離れにさせる。熊は絶叫を上げた。
「次はこいつだ」
『KUUGA……』
「変身」
身体が黒い繭に覆われ、その後晴れた。アナザークウガに変身。
しかしその身長はかつて仮面ライダージオウが戦った巨大なものではなく、等身大の身長であった。
「おらあっ!」
駆け出したアナザークウガは飛び上がり、爪熊の腹へ炎を纏ったキックを放つ。さしずめ、アナザーマイティキックか。
爪熊の腹に歪な紋様が出現。封印エネルギーが迸り、そのまま爆発した。
変身を解き、爆発して飛び散った肉を拾い上げて食べる。やはり不味かったが、能力は得られた。
得られたのは"風爪"。斬撃を飛ばせるらしい。
それからハジメは迷宮を探索し、下の階層への階段を見つけ、入った。その階層は周りを照らす鉱石はなく、暗い。
「こいつを使うか」
『WIZARD……』
「変身」
ウォッチを身体に翳すと、繭と炎に包まれて姿が変化。アナザーウィザードに変身。
『ライト』
腰のドライバーに手をかざすと声がして、光球が現れて辺りを照らす。
アナザーウィザードが歩くに連れて光球も動いていた。
ここまでハジメがアナザーウォッチの能力をある程度使いこなせているのには理由がある。
実は、アナザーウォッチの中に仮面ライダーに関するデータも同封されていた。それで戦い方や能力の使い方を学べ、という男からの遠回しなメッセージだろう。
と、しばらくして体長二メートル程の灰色のトカゲが壁に張り付いているのを見つけた。
そのトカゲの眼が光を帯びてアナザーウィザードを睨みつけるが……。
「ほいっと」
アナザーウィザードが銃を取り出し、炎の弾丸を打ち出して目を潰した。
目を潰されて悶え苦しむ声を上げるトカゲ。確かトカゲは、バジリスクという名前だったか。
「いや〜、MY銃は良いもんだな」
アナザーウィザードは銃を見て呟く。持ってる銃の名は"ドンナー"。ハジメがウォッチの力で作った銃だ。
その後はトカゲを蜂の巣にして、他にも何体か魔物を狩ったり鉱石の採取を行った。
そして拠点を作り、そこで食事を行うことにした。後は例の癒し効果の水を出す鉱石も持ってきた。便利なものは使うべきである。
で、手に入れた技能は夜目、気配感知、石化耐性だった。夜目は暗闇でもよく見える技能らしい。あとの二つは文字通りだろう。
次の階層。そこは地面にタールのような液があった。技能の鉱物系探査を使うと、フラム鉱石が溶けてタール状になってるとのこと。後は火を使ったら発火するらしい。
「ま、俺には関係ないがな」
火属性の耐性を持つアナザーライダーもいるので、心配はしていなかった。
しばらく探索した後、サメの魔物がタールから出てきた。その名もタールザメ。攻撃を避けることは出来たが、気配感知に反応しなかった。
「今度はこいつかな」
『DEN-O……』
「変身」
しかしハジメは冷静にウォッチを押して変身。アナザー電王に変身する。
変身した後、飛び出てきたサメにアナザーデンガッシャーを投げつける。中々の切れ味なようで、サメはそのままタールに落ちて痛みに悶えながら跳ねている。
後はアナザーデンガッシャーに赤いオーラを纏わせて切り刻んだ。
サメを食べて獲得した技能は気配遮断であった。
その後も迷宮の攻略は続いた。
ある時は毒を吐く虹色の蛙と麻痺の鱗粉を撒き散らす蛾の魔物と遭遇した。
『GHOST……』
その時はアナザーゴーストに変身し、霊体化で毒や鱗粉を無効化して倒した。
ある時は密林の階層でムカデの魔物と遭遇した。そのムカデは身体の節ごとに分裂して襲いかかってきた。
『OOO……』
アナザーオーズに変身し、ガタキリバの分身能力を発動。電撃を放つ能力も使いムカデ共と戦った。
他には樹の魔物が出てきた。樹の根を地面に潜らせて突いたり、枝を鞭のようにした。
『GAIM……』
そいつにはアナザー鎧武で対処。樹の魔物に成っている果実は美味かった。
魔物を倒し続け、五十階層まで辿り着いていた。その階層で、彼はあるものを見つけた。
脇道の突き当りにある空けた場所に高さ三メートルの装飾された荘厳な両開きの扉が有り、その扉の脇には二対の一つ目巨人の彫刻が半分壁に埋め込まれるように鎮座していたのだ。
「もしかすっと、ここに例の吸血鬼の姫とやらがいる感じか?」
男の言葉を思い出しながら呟く。更に言えばその姫は封じられてるらしく、助ければ自身にベタ惚れ間違いなし、見事ヒロインルートに突き進むと言うわけだ。
「白崎もヒロインだと考えれば、今の俺はハーレムルートまっしぐらって感じか?」
まだ二人ではあるがハーレムなのに違いはない。それにもしかすれば八重樫雫や、クラスの女子もハーレムメンバーの一員になるかもしれないしこれからだ。
「吸血鬼の姫か……どんな女だろうなあ……」
ハジメは扉を触りながら吸血鬼の姫がどんな姿、性格をしているのか考えていた。姫というだけあって美しいのは確定事項だろう。
後は子供なのか大人なのか、巨乳なのか貧乳なのか。清楚系なのかワガママ系なのか、ツンデレなのかクーデレなのか。行為の時はどういうプレイが好みなのかとか。考えるだけでニヤつきが止まらなかった。
と、そこでハジメは扉に錬成をしてみる。しかし、赤い電流が走り彼の腕を弾いた。
その後雄叫びが響いた。両側の巨人が壁から出てきていたのだ。暗緑の肌で、四メートルほどの長剣を持っている。名前はサイクロプスである。
「ヒロインイベントの前の前座ってとこか……チャチャっと殺るか……!」
『HIBIKI……』
「変身」
紫色の炎に包まれ、アナザー響鬼に変身。2本の金棒に火を宿し、それを火球として2体のサイクロプスに飛ばした。
サイクロプスの身体は火だるまとなる。2体がもがいている隙に、ドンナーで目玉を撃ち抜き、頭部を破壊した。
元の姿に戻り、サイクロプスの死体から掌サイズの石を取り出す。その名も魔石。魔物達が共通で体内に保有してる力の核である。
石を扉の窪みに嵌め込むと、石から赤黒い魔力が走り扉の魔法陣に力が注がれる。その後何かが割れる音がして、周囲の壁が発光し始めた。
「さてと……ご開帳〜」
扉を押し開くハジメ。
開いた先は真っ暗闇で、大きな空間が広がっていた。夜目の力と手前の部屋の明りに照らされ全容がわかってくる。
中は石造りで出来ており、幾本の柱が奥へ向かって二列に並んでいた。そして部屋の中央付近に巨大な立方体の石が置かれている。
その立方体を注視していたハジメは、何かが立方体の前面の中央辺りから生えているのに気がついた。
近くで確認しようと扉を大きく開け固定しようとする。入った途端バタンと閉められ罠が起こった時のためだ。
しかし、ハジメが扉を開けっ放しで固定する前に、それは動いた。
「……だれ?」
弱々しい女の声だ。ハジメは部屋の中央を凝視する。すると生えている何かが動き出した。差し込んだ光がその正体を暴く。
「……思った通りだ」
生えていた何かは人だった。ハジメはニヤリと小さく笑い呟く。
上半身から下と両手を立方体の中に埋めたまま顔だけが出ており、長い金髪が垂れ下がっている。そして、その髪の隙間から紅い瞳が覗いている。外見年齢は十二か十三歳くらい。やつれているし垂れ下がった髪でわかりづらいが、美しい容姿をしていた。
「しかも、大当たり」
不細工だった場合はさっさと去っていたが、それは杞憂だった。
紅の瞳の女の子はハジメをジッと見つめている。
「あー、俺は決して怪しい者じゃない。訳あってここに迷い込んでな。そっちは何でそんな状態なんだ?」
両手をあげて自分は無害ですよ、というアピールをしながら少女に近づく。
「…………私は、裏切られてここにいる」
「裏切られた? そりゃ一体どういう?」
それから少女に事情を説明してもらった。
彼女は先祖返りの吸血鬼ですごい力を持っているという。その力で国の者のために頑張ったがある日、家臣にお前はもう必要ないと言われおじ様という人物にはこれからは自分が王だと告げられたという。
彼女的にはそれでも良かったらしいが、すごい力を持っているから危険だと、殺さないからとここに封印することにしたという。
聞いたハジメは所々で気になる言葉があるので質問することにした。そこでわかったのは、彼女はどこかの国の王族だったこと、首を落とされても治るほどの再生能力を持ってること、魔力を直接操れて陣もいらないという。
ハジメは「なるほどな」と一人納得した。
「……たすけて……」
ハジメが一人で納得しているのを眺めながら、ポツリと女の子が懇願する。
ここで助けないという手はハジメにはなかった。ヒロインGETのチャンスであり、ここで助ければ好感度大幅アップ間違いなしだからである。
そう言うわけでハジメは立方体に手をつけて錬成を行おうとする。
「あっ」
少女はその意味に気がついたのか目を見開く。
ハジメの魔物を喰ってから変質した濃い紅色の魔力が迸る。
しかし、イメージ通り変形するはずの立方体は、まるでハジメの魔力に抵抗するように錬成を弾いた。だが全く通じないわけではない。少しずつ少しずつ侵食するようにハジメの魔力が立方体に迫る。
「抵抗が強いな。だったら……」
『KUUGA……』
ウォッチを使ってアナザークウガに変身。少女は彼の姿を見て驚く。
アナザークウガはモーフィングパワーを発動。すると立方体が融解する速度が速くなり、少しずつ少女の枷を解いていく。
それなりに膨らんだ胸部が露わになり、次いで腰、両腕、太ももと彼女を包んでいた立方体が流れ出す。一糸纏わぬ彼女の裸体はやせ衰えていたが美しかった。そのまま、体の全てが解き放たれ、女の子は地面にペタリと女の子座りで座り込んだ。どうやら立ち上がる力がないらしい。
ハジメは変身を解除し、一仕事終えてふうと息を吐く。
「……ありがとう」
ハジメに少女は顔を上げて礼を言った。ハジメはニコリと微笑み、少女の頭を撫でる。少女は顔を赤く染めていた。
(おっ、ニコポとナデポも効いてるな)
ニコポとは、ニコリと微笑むだけで相手の頬をポッと染めて惚れさせること。ナデポとはニコポの撫でるverである。
とりあえずやってみたがまさか効くとは思わなかった。
「……名前、なに?」
女の子が囁くような声でハジメに尋ねる。お互いまだ名乗っていなかったのだ。
「ハジメだ。南雲ハジメ。お前は?」
女の子は「ハジメ、ハジメ」と、繰り返し呟いた。そして、問われた名前を答えようとして、思い直したようにハジメにお願いをした。
「……名前、付けて」
「は? 付けるって? まさか忘れたとか?」
長い間幽閉されていたのならあり得ると聞いてみるハジメだったが、女の子はふるふると首を横に振る。
「もう、前の名前はいらない。……ハジメの付けた名前がいい」
「……はぁ、なるほどな」
新しい名前をつけるのをせがむほどに自分に惚れてるんだな。心の中のハジメはしたり顔でそんなことを考えていた。
実際女の子は期待するような目でハジメを見ている。ハジメはカリカリと頬を掻いたあと、考える素振りを見せて、彼女の新しい名前を告げた。
「〝ユエ〟なんてどうだ?」
「ユエ? ……ユエ……ユエ……」
「ああ、ユエって言うのはな、俺の故郷で〝月〟を表すんだよ。最初この部屋に入ったとき、その金色の髪とか紅い眼が夜に浮かぶ月みたいに見えたんでな……どうだ?」
我ながら中々良い名前だと、また心の中でドヤ顔をしているハジメ。
思いのほかきちんとした理由があることに驚いてるのか、女の子がパチパチと瞬きする。そして、相変わらず無表情ではあるが、どことなく嬉しそうに瞳を輝かせた。
「……んっ。今日からユエ。ありがとう」
「おう、取り敢えずだ……」
「?」
礼を言う女の子改めユエは着ていた外套を脱ぎ出すハジメに不思議そうな顔をする。
「これ着とけ。いつまでも素っ裸じゃあなぁ」
「……」
ハジメの本心としては、もう少し裸を拝みたいところだ。だが一応、今は着せておくことにした。
差し出された服を反射的に受け取りながら自分を見るユエ。確かに、すっぽんぽんだった。大事な所とか丸見えである。ユエは一瞬で真っ赤になるとハジメの外套をギュッと抱き寄せ上目遣いでポツリと呟いた。
「ハジメのエッチ」
ユエはいそいそと外套を羽織る。ユエの身長は百四十センチ位しかないのでぶかぶかだ。
ハジメはふと〝気配感知〟を使い、魔物の気配が直ぐ傍に存在することに気がついたのだ。場所はちょうど真上。
ハジメがその存在に気がついたのと、ソレが天井より降ってきたのはほぼ同時だった。
咄嗟に、ハジメはユエに飛びつき片腕で抱き上げると全力で〝縮地〟で移動をする。一瞬で、移動したハジメが振り返ると、直前までいた場所にズドンと地響きを立てながらソレが姿を現した。
その魔物は体長五メートル程、四本の長い腕に巨大なハサミを持ち、八本の足をわしゃわしゃと動かしている。そして二本の尻尾の先端には鋭い針がついていた。
一番分かりやすいたとえをするならサソリだ。二本の尻尾は毒持ちと考えた方が賢明だ。
部屋に入った直後は全開だった〝気配感知〟ではなんの反応も捉えられなかった。だが、今は〝気配感知〟でしっかり捉えている。
ということは、少なくともこのサソリはユエの封印を解いた後に出てきたということだ。つまり、ユエを逃がさないための仕掛けなのだろう。
「上等だ、殺れるもんならやってみろ」
ハジメは一瞬でポーチから癒し効果の水を取り出すと抱き直したユエの口に突っ込んだ。
「うむっ!?」
試験管型の容器から水がユエの体内に流れ込む。ユエは異物を口に突っ込まれて涙目になっているが、衰え切った体に活力が戻ってくる感覚に驚いたように目を見開いた。
ギチギチと音を立てながらにじり寄ってくるサソリモドキ。ハジメは不敵な笑みを浮かべながら宣言した。ユエを一旦地面に降ろしながら。
「邪魔するってんなら……殺して喰ってやる」
『KABUTO……』
「変身」
ウォッチを起動して身体に翳す。その身をアナザーカブトへ変えた。姿を変えたことにユエは尋ねる。
「ハジメ……さっきのあれもそうだけど、それは何……?」
「これは仮面ライダーの力だ。アナザーウォッチってやつを使えば変身できるんだよ。ちょうどいいから、この力を見せてやる。クロックアップ!」
ベルトの横の丸い装飾を叩くと、低い男の声で『クロックアップ』の音声が鳴る。
瞬間、ユエの目の前にいるサソリの身体から火花が散り出した。サソリは何事かと周りを見るが誰もいない。その間にも火花は散り続ける。
しばらくすると、サソリの目が何かに割かれたように血を噴き出した。それによって絶叫しもがくサソリ。
何が起こったのかと驚いてるユエの前にアナザーカブトが姿を現した。
「ハジメ……何したの?」
「ちょーっと高速移動をしてな。おかげでサソリの目を潰せたぜ」
「ハジメ……凄い……! 私も良い所見せないと……!」
そうユエは意気込む。
「えっと……ハジメ。血を吸わせてほしい」
「血を? もしかして魔法を使うために必要な感じか?」
「うん」
頷くユエ。分かったと、元の姿に戻ったハジメ。ユエは首に手を回し、そのまま首筋に噛みついた。
ハジメは首筋にチクリと痛みを感じる。そして、体から力が抜き取られているような違和感を覚えた。しばらくしてユエがようやく口を離した。
熱に浮かされたような表情でペロリと唇を舐める。その仕草と相まって妖艶さを感じさせる。先程までのやつれた感じは微塵もなくツヤツヤと張りのある白い肌が戻っていた。頬も赤く染まっている。紅の瞳は暖かな光を薄らと放っていて、その細く小さな手はそっと撫でるようにハジメの頬に置かれている。
「……ごちそうさま」
そう言うとユエは立ち上がり、今ももがくサソリモドキに向けて片手を掲げた。同時に、華奢な身からは想像もできない莫大な魔力が噴き上がり、黄金色が暗闇を薙ぎ払った。
そしてユエは、黄金の髪をゆらりゆらゆらとなびかせながら、一言、呟いた。
「〝蒼天〟」
その瞬間、サソリモドキの頭上に直径六、七メートルはあるだろう青白い炎の球体が出現。
ユエの伸ばされた綺麗な人差し指が振られる。青白い炎の球体はサソリに直撃した。
サソリが先程の比にならない絶叫を上げる。明らかに苦悶の悲鳴だ。着弾と同時に青白い閃光が辺りを満たし何も見えなくなる。ハジメは腕で目を庇いながら、その壮絶な魔法を眺めた。
やがて、魔法の効果時間が終わったのか青白い炎が消滅する。跡には、背中の外殻を赤熱化させ、表面をドロリと融解させて悶え苦しむサソリの姿があった。
ユエは肩で息をしながら座り込む。どうやら魔力が枯渇したのだろう。
「ハジメ……どう? 凄い?」
「ああ、凄いな。あんな魔法を出せるなんて。後は俺がやるよ」
「ん……頑張って」
ユエの言葉を受けた後、ハジメは次のアナザーウォッチを取り出す。
『ZERO-ONE……』
「変身」
ハジメの身体が繭と蛍光イエローの光に包まれる。現れたのはアナザーゼロワン。
アナザーゼロワンは蛍光イエローの軌跡を描きながらサソリの上へ飛び立つ。
背中の羽が黄色いオーラを纏って広げられ、キックの構えを取りそのまま急降下。狙うべき場所は融解してる背中だ。
やがてキックは命中し、サソリの身体は貫かれ背後にアナザーゼロワンが着地。サソリはそのまま爆発し、辺りに肉片を飛び散らせた。
振り返ると、無表情ながら、どことなく嬉しそうな眼差しで女の子座りしながらアナザーゼロワンを見つめているユエがいた。
変身を解いたハジメはユエの下へ歩き出す。
(ここから……改めて俺のハーレムルートが始まるわけだな)
今ここにいるユエと地上にいる白崎香織。二人が嫁になるのは確定済みだ。これからはどんなヒロインが増えていくのか……そう思うと楽しみでにやけが止まらなかった。
書いてて思ったけどこの作品のハジメって清水っぽいよな
そろそろソウゴくんの話を見せろって人〜!
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は〜い!
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ハジメの話を続けろ〜!