キタサトの幼馴染同級生概念~外堀責めを添えて~ 作:狸より狐派 ハル
~小説家、アルベール・カミュ~
一日休んだので実質初投稿です(二回目)。
特に前書きはありませんが、とにもかくにも、ご愛読ありがとうございます。
それでは、お楽しみください。
『彼』とサトノダイヤモンドは電車に揺られてどこかへと向かっていく。
この時間には会社への通勤、部活のために通学している学生たちがたくさん乗っていた。
人混みが多いところを苦手とする彼女は少し窮屈そうにしていた。
そこで『彼』は外を眺めるようにと提案する。電車から眺める外の光景は、まるで町の時間の流れが速くなったかのように見え、つい二人は眺め始めた。
長い間電車に揺られていると、気が付いたら搭乗者がどんどんと少なくなってきているのに気づく。
逆に周りの風景は町々が減っている代わりに自然が多くなってきている。
そしてかつて見たことのある風景を目の当たりにした。
「わぁ・・・!海が見えたよ!」
一面に広がるその光景は先ほどまでの間近にあった木々という、同じ自然とは思えないほどの広大な景色だった。
そしてしばらく揺られると目的の駅に着いた。電車から降り、駅から出ると二人は既視感を感じた。
「あれ、ここって・・・」
そこは5年前、キタサンブラックたちと行ったあのリゾート地だった。
「わぁ、懐かしい・・・!」
二人は街を歩いていく。見たことのある建物、見たことのある店などなど、久しぶりだからこそ、感慨深い感情に満たされた。
そして泊まったことのあるホテルにたどり着いた時、入り口に入る前、ホテルのサービスに声を掛けられた。
「サトノ様ですね。お話はすでにお伺いしております。今回お二人が泊っていただく部屋まで案内いたします」
サービスに案内され、二人はまだ懐かしい感情を感じながら付いていった。
――――――――――――
夏休みの期間なだけあって、ビーチには水着姿の人々がいた。『彼』はホテルと繋がっている更衣室の出口におり、サトノダイヤモンドを待っている。もちろん彼も水着なため、上半身は裸だ。
「おまたせ」
海を眺めていたところ、彼女がやってくる。そっちに首を向けると、『彼』は固まった。
単刀直入にいうと、サトノダイヤモンドの水着は《ビキニ》であった。
サトノ家の彼女に似合う黄緑を基準に、上半身前に二つ、両腰にベージュの透けたフリルがあり、高級感を漂わせる。
腕にはバッグを掛け、サンダルも可愛らしくもどこか高貴で、より可憐に映った。
「どう、かな。似合う、かな・・・?」
自信がなさそうに、そう質問した。
そんな彼女にすぐ答えることが出来ず、じぃっと見つめてしまう。
「・・・あの・・・」
さて、もう一度確認しておくが、サトノダイヤモンドはまだ当時小学6年生である。
しかし体つきだけならすでに、ほぼ大人となっている。
そんな同級生を見て、普段と同じ対応が出来るだろうか。
「その・・・そんなにじっと見られると・・・恥ずかしい・・・」
その一言に、『彼』はハッとなって目線を逸らした。
気まずい空気が流れる。だがずっとここにいるわけにもいかないため、『彼』は彼女の手を握った。
「あっ」
もう一度見つめ、すぐに彼女を優しく引っ張る。サトノダイヤモンドもそのまま『彼』についていった。
――――――――――――
二人は浜辺を歩く。引っ張ってしまったことに罪悪感を感じた『彼』は手を放しており、気まずい空気がまだ残っていた。
この沈黙をどうにかした方がいいと思った『彼』は、もう一度向き、今度は似合っている、と伝える。
「えっ、あ、ありがとう・・・」
サトノダイヤモンドは照れながら答える。『彼』は次に海の方に向かい、彼女を誘った。
「あっ、うん」
波が丁度来た時、二人の足に海が
「ひゃっ」
海は予想以上に冷たく、つい声が漏れた。波が引き、そしてまたやってくる。そしてまた足に付いた時はさすがに驚かず、それを眺めていた。
「・・・私、初めはちょっと怖かったんだっけ。海が勝手にやってくるから、つい怯えちゃって・・・その時、キタちゃんとあなたが、手を繋いでくれたんだっけ」
そんな過去を思い出す彼女。『彼』もその光景を思い出した。
『うぅ・・・なんだか怖いよぅ・・・』
『大丈夫だよダイヤちゃん!ほら、手繋ごう!』
『う、うん!・・・えっと・・・あなたの手も、いいかな?・・・うん、ありがとう!』
『それじゃあ、いっくよ~!』
『う、うん』
『『え~い!』』
「ふふ、ジャンプして着地したとき、バランスを崩してみんな倒れたんだっけ。そのとき呆然としたけど、あとで大笑いしたなぁ」
そう彼女は微笑んだ。そしてまた海を眺め始める。
「そのあとにいっぱい色んな遊びをしたんだっけ、ビーチバレーにビーチフラッグ、あとお山のトンネルを作ったりとか」
そうつぶやいた彼女に、もう一度トンネル作ろうかと尋ねる。
「いまは・・・いいかな」
そう返された。また二人からは沈黙が
思いにふけるのもいいのだが、折角二人になったのだから、もう少し話し合ってもいいはずだが、なかなか進展しない。
「えい」
そう悩んでいると、サトノダイヤモンドから足で海水を掛けられ、水しぶきが『彼』の足にかかった。
「どうしたの?せっかく海に来たんだから、遊ぼう?」
そう言われた。『彼』は少し固まったが、気を取り直して、今度は自分から海水を掛ける。
「あっ!ふふっ、やったな~!」
サトノダイヤモンドが掛け直し、『彼』もやり返す。そのときの『彼』らは昔のように無邪気に遊び合った。
――――――――――――
気が付けば正午に近づいていた。
「もうお昼だね、何食べよっか・・・あ!あれ食べてみたい!」
そう彼女が指を
「買ってきてもらえるかな?その間に私はいい席探してくるね」
ということで、一旦別れることとなった。
サトノダイヤモンドは食事用テーブルのあるスペースにやってくる。しかしすでにどこかしこも人が座っており、なかなか空席が見つからなかった。
「う~ん、どこも開いてないなぁ・・・」
キョロキョロともうしばらく探すが、それでも見つからない。
「そこのおねーさん」
「え?」
「俺達と一緒に食事でもどう?」
すると突然、見知らぬ男性2人から話しかけられた。
「おねーさんなんだか迷ってるようだから、俺たちと食事するついでに案内しようか?」
「いい席とってるんだー、一緒に食べようぜー」
「えっえっと、あの・・・」
「なあいいでしょ~いこうぜ~」
「その、困ります・・・私その・・・」
「いいじゃん、そんなつれないこと言わないでよ~」
ぐいぐいと急に押されてしまい、思ったことが上手く口に出せなくなる。
と、そのとき、今度は後ろからサトノダイヤモンドは肩を掴まれた。
「「「え?」」」
その3人は彼女を掴んだ本人を見る。
それは『彼』だった。『彼』は自分の体に収めるような形で彼女を引いた。
キッとした表情で男性2人を睨みつけた。
「え?・・・あぁ彼氏さん!?失礼しましたー!」
「あっその、すんませんしたー!」
すぐに理解した2人は退散した。その姿をしばらく見てある程度距離が出来ると、『彼』はサトノダイヤモンドを心配した。
しかし彼女はすぐに返事をせずに固まってしまっていた。もう一度『彼』は声を掛けた。
「ふぇ!?あ、あのっその・・・」
今度はどんどんと顔を赤らめている。一体どうしたのだろうか。
「そのっ・・・ちっ、ちかい・・・です・・・」
近い?と疑問に思ったのもつかの間、よく見れば彼女の体が『彼』の体にしっかりとくっついていた。しかも肩に手をまわしてしまっており、絵面がどう考えても食事をするこのスペースと合わない。
実際周りの何人かが『彼』らを見てしまっていた。
『彼』はすぐに謝りながら離れる。
「う、ううん・・・だ、大丈夫だから・・・」
今度は恥ずかしさで気まずくなる。周りの視線も痛くなった『彼』はまた彼女の手を握り、その場を後にしようとする。
「えっ、あっ」
握られたサトノダイヤモンドは、繋がれるがままに彼を追う形になった。
ドクン、ドクンと自身の心臓の音が聞こえる。男性らに話しかけられた時よりも彼女の心拍数は異常なほどに高くなっていたのだった。
次回の投稿は、朝6時を予定しております。
お読みくださり、ありがとうございました。