キタサトの幼馴染同級生概念~外堀責めを添えて~ 作:狸より狐派 ハル
~相田みつを~
一週間もほったらかしにして、本当に申し訳ない(某博士並感)。しかも文字量だってそんなに対したこと無いのに・・・。
また、実のところ申し上げますと私自身、恋愛は一切したことがなく、ラブストーリーものの作品は読んだことあっても、上手なストーリーの作り方というのがさっぱりです。
そのため今回のお話で、こんな展開は無理がある、などと思うかもしれません。
あらかじめお詫び申し上げます。
それでも読んでくださる方々へ、感謝を申し上げます。
あの二人は泣くことがあった。
まだ小さかった『彼』と出会ったとき、迷子で、雨で、転んで、それで泣いていた。
『彼』がその時に二人を助けて慰めたのが初めてだった。
次に夏休みの肝試しだったか。『彼』の母親が考えたお化けのせいで、まず二人は声を出すことすら出来なかった。
『彼』がまた二人を助け、サトノダイヤモンドの母親と目があってからやっと泣き出すことが出来た。
翌日、まだうなされている二人と『彼』はいてくれた。
しばらくたって、二人が公式レースに初めて出たとき、負けてしまって悔しさでまた泣いた。
『彼』は直接慰めることが出来なかった。その代わりにアグレッサーとしてともに走り、一緒に速くなった。
またしばらくたってバレンタインの日だったか、『彼』にプレゼントするはずのチョコを落として、二人はまたもや泣いてしまった。
もちろん『彼』は作ってくれたチョコを食べた。
『彼』は常に二人の味方である。それは今までもこれからも変わらない事実だ。
しかしまだ彼女たちに見せていないものがある。
『彼』にはその見せたものがないことを自分自身まだ経験すらないが、別にそんな日が来なくていい、と思っている。
願わくば、ただ彼女たちと幸せで平穏な日常をすごす。それが『彼』の願いだった。
あの二人だけでも幸せになってほしいと思って。
『彼』はただ二人を文字通り、《友愛》していた。
――――――――――――
「――くん・・・?」
サトノダイヤモンドは信じられないものを見るかのように困惑していた。
事実信じられなかった。
彼はあまり感情的にならない。自分から動くことも多くなく、基本的には二人の行動に合わせてついていくような人間だ。
そんな『彼』が、自分を求めようとしてくれた。何度自身の部屋のベッドでそんな妄想をしたのやら。
ついにするんだ、してしまうんだ。
そう思っていた矢先のことだった。
『彼』は・・・
『彼』は急に、泣いた。
顔同士の距離は遠ざかり、下に
『彼』の目からは
ポロポロ・・・いやボロボロ、ボロボロと横に落ちていき、枕を濡らしていく。
『彼』は泣いている。ただとにかく、なぜか泣いている。
「・・・・??」
サトノダイヤモンドは理解できなかった。自分が何かやらかした?いやまったくもってそんな心当たりはない。
確かに自分がやったことは大胆が過ぎる。だが少なくとも悲しませるためには何もしていないし、しようとも思わない。しかし何が悲しくて泣くものなのか。
ただとにかく、『彼』は泣いた。声は殺そうとしているが、うめき声が抑えきれていなかった。
――――――――――――
少しだったか、あるいはもっと時間がたっているだろうか。
彼は白状しようとした。何故泣き出したのかを。
不安もあった。これを今言ったら彼女に失望されるのではないかを。
勇気を出してここまでしてくれたと言うのに。
だが語らねばならない。ここまでしてくれた彼女のために。
『彼』が泣き出した理由。
それは《キタサンブラック》を思い出してしまったからである。
「・・・!」
目の前の異性を前に、他の異性を出すのはいかがなものか、というのは恋愛に
だがいきなり泣き出す、という奇行をしてしまったのだ。言わなければならないだろう。
キタサンブラック。常に『彼』と共に過ごしていた大切な存在の一人。それを今になって思い出してしまった。
彼女を思い出した時。明日どんな顔で会いに行けばいいのか、『彼』は怖気づいた。
『彼』にとって二人は自分の身以上に大切な存在だ。ゆえに二人を、個性を尊重しつつ平等に接したい。
大切な親友なのだ。いかなる時でも味方であり続ける。それが彼女等に対する思いだ。
だが、今この場で一線を越えてしまえばどうなる?
今後サトノダイヤモンドとは間違いなく今までのとおりに、
絶対に色目を使ってみてしまう。メリハリとか、
それを知ったキタサンブラックはどう思うだろうか?
優しい彼女はきっと自分は邪魔なんだな、と思ってしまうはず。そして自分たちから邪魔をしないために距離を取っていく。
そしてもう今までのような仲良しでは二度といられなくなる。
そんな恐怖が、『彼』の脳裏によぎった。
嫌だ。そんなのは絶対に嫌だった。
だから断ったのだ。・・・サトノダイヤモンドの思いを無下にしてまで。
『彼』にとって辛かったのは、キタサンブラックに対してだけではない。ここまでしてくれたサトノダイヤモンドに対しても、申し訳ない気持ちで一杯だった。
とても不安で、恥ずかしさのあまりに文字通り必死だっただろう。
自分なら到底、いや絶対に出来ないことを彼女はここまで出来た。
ならここまでしてくれた彼女のために、絶対に応えなければならないと『彼』は思った。
だが出来なかった。タブーにタブーを重ねてしまった。
彼女たち二人にはどうか幸せになっていてほしい。
そのためには今後のためとはいえ、まずは片方の望みを叶えない。そんな本末転倒な選択をしてしまい、罪悪感が『彼』を支配した。
「・・・・・」
サトノダイヤモンドはなにも言わなかった。
彼女がどう思っているのかは、『彼』にはわからない。
しかし、絶対に悔いているだろうと思った。そう勝手に決めつけていた。
「・・・・・」
サトノダイヤモンドはなにも言わない。
なにも言わないまま。
『彼』を抱きしめた。
『彼』はうめきながら困惑した。彼女は一体なにをしているのか。
「・・・そうだよね」
やっと喋り始める。優しく、穏やかな声でそう言う。
「キタちゃんは私たちの大切な友達だもんね・・・」
後ろめたさも感じる。彼女は続ける。
「キタちゃんは・・・あなたと出会う前からずっと私のために色々してくれてた。なにも知らなかった私に、いろんなことを教えてくれた・・・。あなたと出会ったあとも、キタちゃんは私たちを引っ張ってくれた。キタちゃんのおかげでいろんな人たちが笑顔になった」
「私は一番キタちゃんに助けられたと思うの。もしキタちゃんと出会わなかったら、絶対にあなたとも会わなかった。キタちゃんのおかげで今があると言うのに・・・私って、酷いなぁ・・・」
サトノダイヤモンドの声は、徐々に震えていっている。後悔がどんどんと大きくなっていく。
「本当に最低だよ・・・ちょっと考えたらこんなことを、しちゃいけないのが当たり前なのに。自分の我儘のためにこんなことをしようとして・・・」
自身の母親からは、後悔はないようにやりたいことをしろと言われたのは、記憶に新しい。
だがこれはもしかして、試そうと思ってあんなことを言ったのではなかろうか。
考えすぎかもしれない。だが、彼女にとって今耐えきれないのは、一番大切な親友を裏切ろうとしてしまいそうになったことだ。
「ごめんね?辛い思いをさせちゃって・・・」
『彼』の頭を優しくなでる。彼女の目からも、涙があふれる。
「ごめんね・・・!ごめんね・・・!」
サトノダイヤモンドは猛省した。キタサンブラックのことだけでなく、『彼』という大切な存在にとても辛い選択をさせてしまったことに。
『彼』はすでに泣き止んでいた。彼女の声を聞き、今どうい言う心境なのかを感じ取った。
そして『彼』も抱きしめ返す。
自分が先ほどまで感じていた辛さは簡単に消えていた。
彼女たちのためならば、自身がどうなろうとも
そしてそれと同時に、二人の絆がより強くなったことでもあった。