キタサトの幼馴染同級生概念~外堀責めを添えて~ 作:狸より狐派 ハル
『彼』たちがバスでついたところは一言で言うと和風の町だった。
昔の名残がしっかりと残った風情があり山の中ならではの緑に囲まれたそこは、心を落ち着かせるための旅行にはピッタリだろう。
「わぁ、素敵だね」
二人は去年の秋、修学旅行にて奈良を訪れたときのような新鮮味を感じた。
バスから降りて町の中を歩く。ほとんどの建物が今では珍しい木製で、いつもみるより固い素材でできた建物とはわけが違うものを見ると、なんだか穏やかになってくる。
石畳の上を歩き、ときおり着物を着た女性とすれ違う。まるで本当に昔の時代にいるような錯覚だった。
『彼』らはその風景を観たり、ご当地のお菓子を食べたりして楽しんでいった。
しかしそんな中、とある公園のベンチにて暗く泣いている女性を見かけた。
誰かを助けるのが生きがいのキタサンブラックにとって放っとくことはできず、彼女はその女性に声を掛けた。
「あの、大丈夫ですか・・・?」
「え?」
「その、よかったら話でも聞きましょうか?」
そういうと少しして心を落ち着かせた女性は語り出した。
なんでも数時間前、付き合っていた彼氏と別れてしまったのだと言う。
その彼氏とは数年の交際があったにもかかわらず、1年前ほどからデートをする頻度が減っていき、そして飽きられた。というのが大まかな流れだと言う。
「そ、そんなことが・・・」
思わぬ現状に足を入れてしまった、とキタサンブラックは思った。体は大人っぽいとはいえ、まだ色々な経験の浅い小学6年生の少女にとって、許容範囲外の問題だった。
助けたいと思ったのに地雷を踏んでしまい、余計に傷つかせてしまう。キタサンブラックはなんと返せばいいのかがわからなかった。
そんな中、『彼』は会話を続けてみることにした。まずは同情的に接し、励ましてあげる。
また、化粧をしているだけあって綺麗なオシャレの格好をしていたところについて、褒めてあげた。
この日のためにコーデしただろうとか、それに女性は存外お金がかかるとか、だからこそ妥協しないところなど。
「・・・だから彼氏は嫌がったんだろうね、こっちはお金を掛けたせいで余裕がなくなって、それでおごるように今まで頼み過ぎたんだと思う。今日はそんなことしないようにって思ってたのに・・・」
この日に限ってこうなったのは重い痛手であろう。だからこそ一つ疑問に思った。
女性はまだデートをしている最中に別れてしまったのではなかろうか。
「え?・・・あっうん・・・そうだね、よくわかったね」
なるほど、それではなおさら辛いであろう。せめて普段とは違うこの女性の魅力に気づけていたら状況は変わっていたかもしれない。
「つらいなぁ・・・どうすればいいんだろう・・・」
そんな苦痛を吐いてしまう女性。『彼』は考えてみる今の女性の心境はもちろん、その彼氏について。
そこで出した結論はこれだ。
新しい恋を見つけてみるのはどうか。
「「え?」」
そんな答えに、キタサンブラックもついシンクロさせてしまう。『彼』は彼氏の立場に立って考えてみた。
もしかしたらその男性も葛藤していたかもしれない。だから今まで関係が引きずるような付き合いになってしまい、しかしなにかしらがきっかけで、別れることを選んだのではないだろうか。
方法はともかく、合わせる自信がなかったのではないかとか、他になにかやりたいことが出来たのではないかなど、女性にはもちろん、そのお相手のことを落とすような伝え方はせずに考えを言った。
だからこそ今の感情を直す方法、それは新しい恋を見つけることではないのだろうか。それが『彼』の感想だった。
「新しい恋・・・?」
恋を失ったことにより、逆に新しい恋に挑戦することが出来る。もちろんいきなりそんなことが出来る理屈などない。
しかしそれは元彼氏も同じだろうし、女性の方はもうある意味解放され、なにをやってもしていい身のようなものだ。
新しい男性と出会い、今回のことを相談するときっとわかってもらえるのではなかろうか。
「・・・・・」
そこまで言って『彼』は一旦謝罪した。いきなり無理あることを言ったことや、そもそも異性と明確に付き合ったことのない者の考えなど参考にならないのではないかと伝える。
そんな『彼』に女性は呆然としつつも、少し顔が明るくなったように見えた。
「・・・ありがとう、話を聞いてくれて。話したら少しすっとしちゃった」
女性は立ち上がり、背伸びする。そしてもう一度こちらを向きなおす。
「いまはちょっと無理だけど、もう一度やり直してみるね。二人も私みたいにならないよう気を付けてね。素敵なカップルさんたち」
「カッ!?」
そんな勘違いをして、女性は去ってしまった。キタサンブラックは『彼』と女性のように付き合っているつもりはなかったためつい動揺してしまっていた。
『彼』も『彼』ですっとぼけているのだが、彼女にとっては思いっきり引っ掛かる一言となった。
――――――――――――
夕方になり、『彼』たちは目的の旅館にたどり着いた。いかにもな和風の建物で、入ってみると着物姿の女将さんが出迎えてくれていた。
女将さんに案内をしてもらい、今回泊まる部屋に連れてこられると、これまたくつろぎがいのある和室を紹介してくれた。
また、甘い和菓子と冷たいお茶までも届けにきて、なんでも入浴前にはしっかりとした水分補給とお菓子による糖分接種をすることにより、疲れで下がった血糖値を戻すことが出来るとか。
『彼』につづいてキタサンブラックも
着信名を見てみると、なんとサトノダイヤモンドであった。
驚いた彼女は『彼』に断りを入れてから、部屋から出てある程度距離を置き、その着信に出た。
「も、もしもし?ダイヤちゃん?」
『キタちゃん?ごめんね、こんなときに電話なんかかけちゃって』
「あっ、ううん、大丈夫だよ・・・それで、どうかしたの?」
『うん、ちょっとだけ聞きたいことと伝えたいことがあって・・・』
そう言われるとサトノダイヤモンドからの声が一旦途切れる。
少ししてまた声が聞こえる。
『・・・キタちゃんは、――くんと・・・キス、してみたい?』
「・・・うえええ!?」
そんな衝撃発言に、激しく動揺してしまった。
『・・・実はね、私ね、今日、しちゃったの』
それなら知っていた。なぜなら駅でそこを見てしまっていたからだ。
「その、だからね、こんなこと今言うのはホントに変だけど・・・キタちゃんも――くんに今日、キス、してみたらどうかなぁって・・・私だけだとなんだか不平等だなぁって思っちゃって・・・」
「~~~っ・・・」
顔を真っ赤にして唖然とするキタサンブラック。サトノダイヤモンドも同じような顔つきになっているだろうが、それはそれとして彼女には刺激過ぎた。
『・・・キタちゃんも――くんのこと、好きなんだよね?』
「・・・っ」
『それにこの旅行の目的は――くんに思いをしっかりと伝えたいことを伝えること、言葉だけじゃなくても方法はあると思う。だから・・・』
「・・・」
『だから・・・私もいっぱい――くんにいろんな思いをぶつけて、それで受け止めてもらったからね・・・キタちゃんもいっぱい、自分のことを――くんに全部吐き出してね。――くんなら全部きっと受け止めてくれるから』
親友からでもあり、もしかしたら恋敵なのかもしれない存在からのアドバイス。そんな声にキタサンブラックは何も返せなかった。
「・・・それとだけど、そこの旅館の温泉ね、実は混浴があるんだけど、二人が入れるようにこっちで貸し切っちゃったから、うまく使ってね!それじゃあ!」
「・・・えっ!?今なんて言ったのダイヤちゃん!?ダイヤちゃん!!?」
またもや投下された問題発言に大慌てで声を掛けるが、すでに通話はこと切れていた。
「こ、こここ混浴って、男の人と、女の人が同じお風呂に入っちゃうアレのことだよね・・・!?どどどどうしよう・・・!」
キタサンブラック11歳。レース本番以上の大試練が彼女を待ち受けていたのだった。
To Be Continued
ご愛読ありがとうございました。
また、いきなりあまりよくないお知らせになりますが、今後この小説の投稿を不定期にさせていただきます。
つまり投稿頻度が遅くなると言う訳です。申し訳ありません。
ほかにやりたいことや書いてみたい小説というのもありますが、やはり自分が飽き性というのが原因となってしまっています。
定期投稿を続けることで評価される、このサイトでせめてちやほやされたい、というわがままのために投稿し続けていましたが、なんだか徐々に作業じみてきてキツくなってしまいました。書いてる最中はいいのですが、書こうとするまでがキツいという本末転倒に・・・
これこそわがままになってしまいますが、首を長くしていた方々へは重ね重ね謝罪申し上げます。
それでも待ってくだされば幸いです。改めてご愛読ありがとうございました。