図書館3人娘育成計画   作:ぴぴるぴる

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第3話 悪の魔法使い(笑)

アポなしでキティちゃん家に訪問しようとしている。今はロングドレスの上にカーディガンを羽織って猫耳、尻尾は収納中。

「ごめんくださーい。」

「はい。どちら様でしょうか?」

出たな、天敵め。

「こんばんわ。猫葉葵といいます。エヴァンジェリンさんはいらっしゃいますか?

 少しお時間いただけないでしょうか?今忙しければ出直します。」

「私はここの家政婦をさせていただいております絡繰茶々丸と申します。少々お待ちください。マスターに聞いてまいりますので。」

ファンシーだ。人形が多すぎ。

「マスターはお会いになるそうです。お入りください。」

「ありがと。」

「いえ。」

クーーールっ。これがクーデレのクーか。僕にはデレなんてないんだろうけどね。 

さぁここからが本番だ。気合い入れて騙しますか!

 

「私がエヴァンジェリン・A・K・マグダウェルだ。麻帆良の侵入者の撃退を担当している。自ら私の前に出てくるとは殊勝だな。」

「僕は猫葉葵といいます。そういうことではなく実はお願いしたいことがあってきました。」

「なぜ私が貴様の願いを叶えねばならん。」

「対価は払います。対価については必ず満足していただけるかと。」

「・・・・私のような悪党に何の用だ?」

「少し訳ありでして。」にょきっ

むぅ。せっかく猫耳と尻尾を見せたんだからちょっとくらい驚いてもいいのに。

「猫族か。いや人間とのハーフか?」

「ビョウゾク?」

「なんだ、ちがうのか?猫族とは猫の特徴を持つ妖怪たちのことだ。」

「違いますね。種族はキメラです。実はちょっと逃げ出してきまして。」

「キメラだと?・・・・人間をベースにしたキメラか。ここまで人間に近いのは珍しいな。」

「そうですか?関節や筋肉は結構違いますよ。」

脚を初期状態に戻してドレスをたくし上げる。これはさすがに恥ずかしい。

「球体関節だと?・・・・茶々丸。」

「ここに。」

「地下にある医療用の道具箱をもってこい。人形用の道具箱もだ。」

「イエス、マスター。」

「頼みごととやらは聞いてやろう。ただし!貴様の体を隅々まで調べさせてもらうぞ。」

眼がギラギラしてるのでこの場面だけ見ると変態っぽい。

サウザンドマスターの情報を対価にしようと思ったんだけど意外なところで食いついてきたなー。

「やったね!頼みごとはちゃんと聞いてよ。」

「ふん、いきなり砕けた口調になったな。それで野良ネコ、頼みごととは何だ?」

「名前で呼んでよー。魔法のことでわかんないところとか教えてほしいんだ。実技指導も込みでね。先生がいなくて知識だけ詰め込んでてさ。困ってるの。」

「お前からはまったくと言っていいほど魔力を感じられない。鍛えたとしてもそこらの魔法使いどもよりも下になるぞ。」

「あ、大丈夫。大丈夫。このチョーカーは魔力殺しっていう魔道具で使用者の魔力を抑え込んで他者に感じさせないようにしてるの。」

「ほう。一度外して見せてみろ。」

今外しても大丈夫なのかな。結界の効果って高位の魔物、妖怪の探知と拘束の効果だったはず。

探知はキティちゃんだけの可能性もあるけど。

「できれば魔法協会には知られたくないんだけど探知されたりしない?」

「結界の探知は侵入時に私にしか感知できんから大丈夫だ。」

外したらなんか体が重くなった。やっぱり結界効果の対象になっちゃうのか。

ところでなんでキティちゃんは硬直してんの?

「なんだ、その馬鹿魔力は!?もういい!さっさとつけ直せ!・・・これは他のやつらにバレたな。」

「えぇ!?」

ジリリリリン、ジリリリリン

「ここで莫大な魔力を感知したことくらいしかわからんだろう。誤魔化してくるから少し待ってろ。」

昔懐かしい黒電話。まだ実在していたのか。

「なんだ、じじい。・・ああ。・・・新しい別荘を作ろうとして失敗しただけだ。・・・・・そうだ。幸いこちらの住処は吹き飛ばなかった。・・・・・大丈夫だ。貴様の心配なぞいらん。片付けがあるから切るぞ。ではな。」

 

 

「おい、野良ネコ!貴様本当にキメラか!?」

「人間は僕のことキメラだって言ってたよ。やっぱり付けてた方がいいみたいだね。楽チン楽チン♪」

「この魔力容量でキメラだと!?一体どういうことだ?」

ありゃ考え込んじゃった。

「もしもーし。」

「えぇい!尻尾でつつくな!・・・・野良ネコ、貴様は何のキメラとして造られた?」

「さぁ?でも3つの生物を混ぜて作られたのは知ってるよ。人間とネコとーあと蟻。」

「蟻?」

「新種の蟻だよ。人間並みの大きさがあって結構知能が高かったみたいだよ。ホルマリン漬けの標本と資料にはそう書いてあった。」

「魔法生物か。十中八九貴様の魔力容量はその蟻が原因だな。どこの施設だ?」

「お探しの物は現在使われておりません♪だって、僕が逃げだす時につぶしちゃったから。」

「ちっ。・・・まぁいい。どうせ今の私では麻帆良の外に出られんしな。」

お、この音は茶々丸が戻ってきたかな。

「マスター、今の魔力は何でしょうか?」

「なんでもない。」

「・・・そうですか。道具箱をお持ちしました。」

「茶々丸、ここに置け。話が脱線したな。本来なら一も二もなく断るところだがいいだろう。そこまでの魔力があるのだ。それなり以上の術者にはなるだろう。まぁ私が教える以上それなり未満になることなぞ私が許さんがな。対価として私が満足するまで貴様の体を調べさせてもらおう。」

「オッケー。交渉成立!僕の魔力ってどれくらいなの?初歩の魔力探知もできなくてわかんないんだよね。」

「詳しくは測定しなくてはわからんが私の全盛期の魔力容量と比較しても5倍以上だ。野良ネコというよりは化け猫だな。」

「名前で呼んでってば。で、エヴァちゃん。いつから教えてくれるの?」

「ちゃんはやめろ。そうだな。実技込ならすぐには難しい。別荘でも引っ張り出すか。二日ほど待て。」

「別荘?」

ホントは知ってるんだけどね。知らないフリしときましょう。

「私が作ったダイオラマ魔法球のことだ。」

「ふーん。」

じっと僕を見つめてくるキティちゃん。なんだろう。何かやっちゃった?

「・・・球体関節になっているのは膝の部分だけか?」

「うん。そうだよ。」

「ではさっそく調べるとしよう。化け猫、ドレスをたくし上げてテーブルの上に座れ。」

「僕痛いのは嫌だからや・さ・し・く・し・て・ね♪アイタっ!」

「アホなこと言ってないでさっさと座れ!」

「はーい。」

そのハリセンどこから出したの?

 

 

 

「この体には驚かされるな。子宮と精巣を持つ真性の半陰陽、生物としてありえない球体関節、おまけに全身100%のピンク筋だ。今まで標本にされなかったのが不思議なくらいだな。それに身につけている魔道具も一級品だ。」

「もうお婿に行けない。」

「ふふふ。貰い手がなければペットとしてもらってやるぞ?」

「アブノーマルすぎる!・・・そんなにこの体が気に入ったの?」

「退屈した日々だったが貴様のおかげで少しは楽しみが増えるからな。で、男女。寝床の当てはあるのか?」

「呼び名が統一されない件について。」

「わかったわかった。葵、麻帆良に拠点はあるのか?」

「あるよー。ん~。」

どうする?念は教えておくか?キティちゃんの600年にわたって学んだ魔法の知識は膨大だろう。

研究者気質だし、目の前で念を使えば違和感に気づいて絶対ばれるよねー。

これからどんどん厄介ごとが増えてくんだからキティちゃんの前で念を使う可能性はかなり高い。

今教えておかないとあとで黙ってたこと怒られるだろうし・・・。

「なんだ?じっと見つめて。」

「一応僕のもう一つの秘密を教えておこうかなって。」

「まだ何かあるのか。話してみろ。」

「魔法とは別系統の技術を持っててね。僕を作ったところもその研究所みたいなものだったよ。」

 それで僕はその技術の空間系固有スキルを持ってる。そこが寝床。」

「陰陽道などの魔力を用いた魔法の亜種ではないのか?」

「魔法とは全くの別系統だよ。魔力も使わないし。使うのは生命エネルギー。」

「では氣か?」

「んー実は僕は氣がどんなものなのかわかんないから全く同じなのかそれとも何か違うのかはわかんないだよね。僕のは念って呼んでる。エヴァは氣を使える?できれば見せてほしいんだけど。」

「使えるぞ。あまり得意ではないがな。氣で身体強化でもすればいいか?」

「お願い。」

凝を使わなくても氣は見れるのか。これは全く同じというわけではないかな。

「触ってもいい?」

「好きにしろ。」

「んー?なんか変な感じ。」

精孔から漏れでてはいない。それにオーラというには何か違う。不純物みたいなものでも混ぜてる感じ?

「ありがと。もういいよ、エヴァ。氣とはまたちょっと違うみたいだね。」

「そうか。なら私に念というものを見せてみろ。」

「いいよー。では先に生命エネルギーの操作を見せるね。ほぃ。」

「・・・・・・おい。何も見えんぞ?茶々丸見えるか?」

「いえ、何も見えません。」

茶々丸には一生見えないと思うなー。

「あ、そっか。さっきの身体強化をして見てよ。」

「・・・見えるな。それは具体的にはどんな効果があるんだ?」

「僕は生命エネルギーをオーラって呼んでる。そのオーラをとどめたり放出したりして身体強化をするんだ。オーラを変化させたり具現化させたりもできて操作技術の発展として固有スキルを作り出すことができるよ。」

「空間系の固有スキルだったか。今使えるか?」

「ほい。」

オーラ操ってもキティちゃんの目の前に念空間への入口を作り出す。

「ふむ。」バチチッ!

「マスター!?」

ビックリしたー。呪いがあるから入ろうとしても弾かれるのか。

「私が弾かれたということは別空間を作り出すのか。確かに氣ではないようだな。氣ではここまでのことはできん。」

「手大丈夫?ちょっと焦げてるよ。見せて。」

 

 

紅い館のナイフ使い(ミスパーフェクト)

 放出系 特質系

 ・あらゆる対象の時間を操作する。

 ・自身以外への時間操作は接触しなくてもできるが距離が離れるだけ消費するオーラが増える。

  自身以外の時間停止は接触した対象にしかできない。時間の巻き戻しも同様である。

 

 

「ハイ完璧。」

「おい。今度は何をした?」

おぅ。すごい眼力。

「時間操作をしただけだよ。」

「お前は自分がしたことを分かっているのか!?時間操作をしただけ!?アホか!?

 時間の巻き戻しなんて魔法を使ってもそうそうできんわ!!この化け猫め!!」

「あううううう。ドレスを掴むのはやめてー。伸びちゃうよー。」

「マスター、乱暴はお止め下さい。」

「フーっフーっ。」

茶々丸のおかげで助かった。やっぱドレスが伸びてる。能力で直すか。

「その念というのが規格外なのか。それとも葵が規格外なのか。」

「自分で言うのもなんだけどたぶんどっちも。」

「葵、まさかとは思うが未来や過去から来たとかではないのか?」

「違うよ。」

実は別世界から来ました!

「・・・そうか。」

超との関係性でも疑われたのかな。

「他には何ができる?」

「制約はあるけど大抵はできるかな。」

「もはや規格外などではないな。バグだ!あの筋肉ダルマと比べるのもおこがましい。」

「照れちゃうね。」

「呆れているんだ!・・・・・・・・もしや私の呪いも解呪できるか?」

「たぶん。」

「やれ!今すぐやれ!!」

「えー。そんなことしたら僕が潜伏してるのがバレちゃう可能性が高くなるじゃん。」

「対価は払う!」

「んー。特に困ってることはもうないからなー。」

「ぐぬぬ。」

キティちゃんのぐぬぬいただきましたー!!

「あー。」

「なんだ!?なにかあるのか!?」

「僕のことは他言無用。念についてもだよ。あと一つ貸しってことで僕が困ったことになったら助けてよ。」

「守秘義務をつけるくらいならば一向に構わん。貸しについてもだ。」

「呪いを解いても卒業まで麻帆良を離れないってのも追加ね。魔法を教えてもらわないと困るし。」

「他には?」

「あとは注意事項くらい。」

「なんだ?」

「呪いの効果はエヴァを麻帆良の外に出せなくなるだけで魔力を抑え込んでるのは結界の可能性があるよ。」

「なぜそう思う。」

「魔力殺しを外した時に体が重くなったからね。魔力の抑制効果がある結界でもあるんじゃないかな。」

「・・・・少し前に同じことを指摘されたことがある。だが疑問なのだ。なぜ10年以上も気づかなかったのか。」

どうやら超に教えてもらってたみたい。でも正確な情報は持っていなかったもよう。

「認識阻害も結界の効果としてあるんじゃない?世界樹がギネスに乗らない時点であるのは確実でしょ?」

「なるほどな。じじぃめ!ただでは済まさん!」

「短気は損気!協会は内に弱点を抱え込んだようなものなんだからそれくらいやっとかないと不安だったんじゃない?」

「だから許してやれと!?冗談ではない!!」

「許さなくてもいいけど契約はどうするの?卒業までは麻帆良にいてもらうよ?だからそれまでは穏便にね。」

「・・・わかった。」

「よし!それで質問なんだけど解呪した場合すぐに誰か駆けつけてくる?」

「呪いをかけたやつはサウザンドマスターだ。呪いが解けたとわかるのは呪いをかけた術者本人だのみ。感知できたとしてもじじぃくらいだ。」

「じゃ解呪したらすぐに寝床に逃げる準備しとこうかな。」

「連絡方法はどうする?」

「2日後に顔を出すよ。」

「わかった。ではやれ!」

 

 

エルフ耳の若奥様(バックスタビングウィッチ)

 具現化系 特質系

 ・念、魔法のあらゆる契約や効果を破戒する短剣を具現化する。

  破戒する契約、効果を選ぶことができる。

 ・物理的ダメージはこの短剣では与えられない。

  対象に刺さなければ効果は発動しない。

  10日に一度のみしか具現化することはできない。

 

 

 

 

sideエヴァンジェリン

恐る恐る葵が空中にあけた穴に手を伸ばす。

「・・・・入った。」

「解呪成功みたいだね。」

ジリリリリンッジリリリリンッ

いつもなら煩わしさしか感じない電話音も今ならオーケストラを聞いているかのように心地よい音色に聞こえてくる。

「もしもし。」

「もしもし。エヴァかい。タカミチだ。学園長から聞いたけど大丈夫かい?今はフリーだからなんなら手伝おうか?」

「大丈夫だ。もうあらかた片付いた。それに失敗は成功の母ともいう。新しい構想も思いついたし今は少し気分がいい。」

「・・・?そうかい。ならまた月曜に。じゃ切るよ。」

「あぁ、じゃあな。」

あいつはいつも変なところで気が利くな。

「誰からだったの?」

「じじぃからだと思ったが担任からだった。この分だとじじぃは気づいてないみたいだな。」

猫葉葵か。最初来たときは正義に染まった馬鹿な輩でも来たのかと思ったが、なかなかの拾いものだな。

いや、もうなかなかどころではないか。

「んじゃ寝床に一度来てみる。いろいろわかんない魔道具や材料があるから教えてほしいんだ。」

「いいぞ。このまま入ればいいか。」

「あ!いきなりエヴァが消えても何も言われない?」

「ダイオラマ魔法球を使っても何も言われたことはないから大丈夫だろう。」

「なるほど。んじゃご案内~。」

葵は今までどれほどの苦労を背負ってきたのだろうか。ここまで規格外なら狙ってくる敵も多いはずだ。

どこともしれん連中にこいつを渡すのはもったいなさすぎる。誰かの物になるくらいなら私がもらってやろう。

契約の期間は私が満足するまで。ククク、せいぜい楽しませてもらおう。

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