転生してきた……
そんな言葉を聞いて信じる人など、余程のお人好しくらいしかいない
俺も体験しなければ信じたりしなかったはずだ
そう俺、星野愛久愛海アクアマリンは雨宮吾郎という人間だったが、見知らぬ男に殺され、アイドル星野アイの子供に生まれ変わっていた。
そして妹、星野ルビーもまた転生してきた人間だ
星野アイの子供として、幸せな第二の人生が当たり前のように続くと思っていた。
目の前の光景を見るまでは………
ピンポーン
呼び鈴がなり、母さんが応対しに玄関へ行く。
何故だか分からないが、俺も後についていった。
そして、俺が玄関に出たときに目に飛び込んできたのは、腹から血を流して後ずさる母さんと、ポタポタと血が落ちるナイフを手に持った、黒いパーカーを来た男だった。
何が起きたか分からなかった……だが、状況を整理するよりも身体が先に動いていた。
アクア「アイ!大丈夫か!アイ!!!」
「ふはっ・・・痛いかよ。俺はもっと痛かった!苦しかった!アイドルなのに子供なんて作るから!!ファンの事蔑ろにして、裏ではずっと馬鹿にしてたんだろ!この嘘つきが!!」
何なんだ……こいつは何を言ってるんだ??
「散々好き好き言っておいてよ!!全部嘘っぱちじゃねぇーか!!」
アイ「わ、私なんて元々無責任でどうしようも無い人間だし……人を愛するってよく分からないから……うっ……私は代わりに皆が喜んでくれるようなきれいな嘘を吐いてきた……ハァハァ……いつか嘘が本当になる事を願って頑張って努力して全力で嘘を吐いてたよ
……わ、私にとって嘘は愛。
私なりのやり方で愛を伝えてたつもりだよ」
「や、やめろ………」
アイ「君達のこと愛せてたか分からないけど……愛したいと思いながら愛の歌歌ってたよ……っ!……ハァハァ……いつかそれが本当になることを願って……今だって君のこと愛したいと思ってる……」
「う、嘘つけ……どうせ俺のことなんか覚えてないんだろ?」
アイ「リョースケ君だよね…よく握手会に来てくれてた……あれ?違った??私名前覚えるの苦手でさ………お土産でくれた星の砂大事に持ってるよ」
リョースケ「やめろ……やめろおおぉぉぉ!!」
ナイフを持った男が発狂し、部屋から出た時だった。
「待てよ犯罪者」
リョースケ「っ!!」
リョースケが逃げようとする先に、サッカーボールを持った幼稚園児くらいの子供がいた
アクア「(子供……?)」
アクアのいる位置からは共用廊下は見えない為、姿はハッキリと見えないが声からして自分と同じくらいの子供を予想した
「逃げろ!」と声をあげるべきたが、今はアイから目を離すことが出来ない。
どうすればと考えるアクアに、子供は続けて話す。
「マンションの前で不審な動きをしてるお前に盗聴機
をつけたけど、まさか人を刺すとはな……しかもクソみたいな動機でよ」
リョースケ「黙れ!お前みたいな餓鬼に何が分かる!!」
「あぁ知りたくもねーな。知ったところで、理解出来ても納得できねーからな」
そう言い子供はしゃがみ込むと、靴に手を寄せた。側面についているダイアルを回した瞬間、靴が発光し始める。
持っているサッカーボールを離すと、ワンバウンドしたところでボールを蹴りぬく
「本当に愛してるならなぁ………そいつの幸せを願ってんだよ!!!」
蹴られたボールは一直線にリョースケへと飛んでいき、直撃したリョースケは吹き飛び共用廊下の端、壁にぶつかると「ぐはっ…!」と声を出して地に倒れた。
すると子供は「大丈夫か!」と声をあげて部屋に入ってきたところで、やっと姿が見えた。
そして血だらけで倒れるアイのもとへ駆け寄ると、脈拍を確認し始めた
アイ「(この子は一体………)」
「顔色が悪く脈が微弱……大量の出血で血圧が下がってるのか……!!」
アクア「(こ、こいつまさか…)」
医療の知識……応急処置の知識があるんじゃ!?
ルビー「ねぇ、どうしたの!!そっちで何が起きてるの・・・!?」
扉の向こうから妹の叫びとも言える声が聞こえた
「今すぐ救急車を呼んでくれ!!刺されて大量に血が出てるってな」
ルビー「な、何いって…!?まずあんた誰!?」
「んなこと後でいいだろ!オメーの母さんを助けるためだ!早く!!!」
ルビーは子供の言葉の覇気に押されたのか、「は、はい!!」と言って救急車に電話し始めた。
そして子供は俺の方へ目を向けてきた。
「毛布とかクッション取ってきてくれるか?」
や、やっぱりこいつ……!?
アクア「応急処置の手当て分かるのか!?」
「まぁ最低限だかな」
アクアにとって、目の前にいる子供の言葉は希望だった。
以前危機であることに変わりないが、二人いれば僅かにアイの助かる可能性が出てくるのだから。
その後の記憶はほとんどない。
アイを助けることに必死だったから
気づいた時は俺とルビーはアイを運ぶ救急車に乗っており、子供はいなかった
ー優一sideー
俺、工藤優一は家の正面玄関からではなく、裏口からこっそり入ろうとしていた。
優一「(そーっと、そーっとっと……)」
蘭「優一?」
優一「ギクッ…!!」
声をした方に振り返ると、そこには般若が優しく見えるほど怒ってる母さんがいた
蘭「おかえり優一…………」ゴオオォォォ
優一「か、母さん……あはは…」
蘭「あはは…じゃないでしょ!また幼稚園抜け出しらしいじゃないの!!」
優一「だってつまらないし……」
俺はよく幼稚園を抜け出しては、近くの図書館や本屋にいって推理小説を読み漁っていた。
蘭「全くもう……心配するからやめなさい。そういうことは」
それから母さんに怒られてると……
新一「また抜け出しのか……あんまり蘭に心配かけるなよ」
そう言いながら部屋から出てきたのは父さんだ。
蘭「いつも事件に首突っ込むお父さんには言われたくないよね〜」
優一「うん!!」
新一「何で火の粉が飛んでくるんだよ………」
俺は父さんが外用の服を着ていることが気になった
優一「お父さんどっか行くの?」
新一「高木警部に呼ばれてな。何でも奇妙なことが多い事件だから協力してくれないかってな」
優一「事件!?どんな事件??」
マジ!?超俺も行きたい!!
蘭「こらっ!子供が事件に首突っ込まないの!」
新一「構わねぇーよ。もうすぐニュースで報道されることだしな」
新一の言葉に優一がキラキラな表情を浮かべる一方、蘭は「そうじゃなくて……」とため息をつく
優一「それで!どんな事件なの!?」
新一「星野アイってアイドル知ってるか?」
優一「知らなーい」
そんなアイドルいたっけ………??
蘭「優一知らないの!?」
優一「だって歌興味ねぇし」
新一「まぁ俺も高木警部にさっき教えてもらうまで知らなかったんだけどな」
蘭「ちょっとは歌に興味持ちなさいよ……」
新一「その星野アイって人物が自宅でストーカーに刺されたみたいなんだ」
あれ?
もしかしてその事件って俺がさっき遭遇したやつなんじゃ……
優一「刺された?……もしかしてその自宅って、幼稚園の近くだったりする?」
新一「そうだけど……何で知ってんだ??」
優一「えっ?あぁ…それは…………」チラッ
蘭「正直に言いなさい」
優一「はい………」
やっぱり母さんには逆らえない。
俺は正直に話すことにした。
幼稚園から抜け出しいつもの図書館へ行こうとしたところ、頭にフードを被った奴がいかにも怪しげにマンションの外を彷徨いてるのを見て盗聴機をしかけたこと。
しばらくすると男はマンションに入り自分は外で待っていると、盗聴機から誰かを刺したのが分かり、男がマンションに入ってから時間が経っていたから、上の階で起きたと判断して調べたこと
部屋に辿りつくと犯人が逃げるところだったから、キック力増強シューズで吹っ飛ばしたこと。
俺と、恐らく被害者の息子?と思われる子供と一緒に応急処置し、俺は子供二人と被害者が救急車にて搬送されるのを見送って帰ってきたことを説明した。
蘭「優一と一緒に応急処置した子凄いわね(優一みたいに推理オタクだったりするのかしら?)」←違います。
優一「それで星野アイって人助かったの?」
新一「高木警部が言うには無事一命をとりとめたらしい」
優一「良かった……」ホッ
蘭「優一偉いわホント」ナデナデ
優一「えへへへ……///」
優一「でも犯人は俺が吹っ飛ばしたそいつじゃないの?」
新一「あぁ、その犯人は『俺を騙して殺すよう仕向けた奴がいるんだ!』って言ってるみたいでな」
蘭「でも嘘ついてるかもしれかいよ?」
新一「それがそうでもねぇんだ」
蘭「どういうこと?」
新一「実は彼女が住んでるのは高層マンションでも上の階の方でな……しかも引っ越したのが一週間前なんだ」
蘭「????」
母さんがそれが一体何?という表情をしている
そして父さんはいたずらっ子みたいな顔をして俺に問いてきた。
新一「優一は分かるか?この意味」
優一「えっと……アイドルってプライバシーの管理が凄いから、そう簡単にストーカーに自宅が漏れるとは思えない。
仮に引っ越す前の自宅からストーカーしてたとしても、部屋は高層だから外から見えないし、仮にアイって人がマンションに入る時にこっそりくっついていったりしたら流石に疑われるだろうし………
ま、まさか!誰かストーカーに部屋の場所知らせた奴がいる!?」
新一「正解だ」
蘭「じゃあ誰かがストーカーにアイさんを殺すよう仕向たってこと?」
新一「さぁな。そこまではまだ断定できないが、謎を全て解明してやるさ」
優一「事件解決したらまた話聞かせてよね!」
新一「あぁ、だからお母さんの言うことちゃんと聞くんだぞ」
優一「うん!!」
新一「じゃあ蘭行ってくる」
蘭「頑張ってね」
父さんが外に出ていくのを俺達は見送った。
優一「俺も行きてーなぁ……」
蘭「優一にはまだ早いわよ」
優一「でも!俺は絶対シャーロック・ホームズみたいな探偵になって、いつか父さんを超えてみせる!」
蘭「親子ねホントに…」
その三日後、二件の殺人教唆疑いである人物が逮捕された。
その人物は未成年であったため名前や顔は公表されることなく、知っているのは関係者のみ。
だが、今の情報社会において犯人が出所したとしても、今まで通りの生活をこなすのは困難だろう。
必ず罪とぶつかる日が来るはずだ
その罪と向き合って欲しい……子供ながら探偵として、そう思った。
ーアイsideー
事件から一週間が経ち、星野アイの身体は順調に回復していた。
医者曰く、退院も近いとのこと
そして今日、星野アイはソワソワしていた
理由は2つ。
一つは息子のアクア、娘のルビーがお見舞いに来てくれること。
そして二つ目は……
ガラガラ
新一「体調は大丈夫ですか?」
事件を解決してくれた恩人の一人が挨拶に来てくれるから
アイ「この通り順調だよ。でもホントに来てくれてありがとう」
新一「いえいえ、事件解決の挨拶も兼ねてですから」
新一はベットの横にある椅子に座ると、二人は会話に花を咲かせた
アイにとって、この時間は心地よかった
アクアやルビーにこれ以上心配かけない為、言えないことを沢山聞いてくれたから
アイ「あの…新一さんに聞きたいことが…」
新一「俺にですか?」
アイは何故聞こうとしたか分からない。
でも、目の前にいる名探偵・・・なら答えを知ってそうな気がしたから。
だから聞いてみた
果たして私がファンを愛しているのかどうか
自分がアイドルになった理由は、「愛してると言ってるうちに嘘が本当になるかもしれない」と思ったから。
自分が死ぬと思った直前に、アクアやルビーへの愛が嘘偽りでないのに気がつけた。
じゃあファンには?
やはり嘘だったんだろうか?
でも、彼はアイの予想とは違う答えを出した。
新一「愛してるじゃねぇーか」
アイ「えっ?」
新一「ファンを笑顔にするのを考えることを愛って言わなければ何て言うんだ?」
アイ「…….っ!!」
新一の答えにアイの目が見開いた。
そっか……愛は一つじゃない
こんな簡単で身近なところにもあったんだ……
アイ「もう一つだけ……私の応急処置してくれた子、新一さんの息子だよね?」
新一「あぁ、優一な。本当は連れてきたかったんだけど風邪ひいちまってな」
アイ「やっぱり!似てるからもしかしたらと思ってたんだよね」
アイは納得したのか首を縦に振る
だが、その表情は何処か陰があった。
新一「よく言われます。それに俺に似てすぐ危険なことに首を突っ込んで……」
胸がザワザワする
新一「よく嫁に怒られてます」アハハ
でも何となくこの感情の意味が分かった。
ー本当に愛してるならな……そいつの幸せを願ってんだよ!!!ー
子供なのに、信念をもった少年
朦朧とする意識の中聞こえてきた声だが、その声はとても心に響いた
アイ「あの新一さん……」
私が出来ることは何だろ……
そんなの初めから決まってる
新一「何でしょう??」
アイは下を向き大きく息を吸うと、新一に向けて顔を上げた
アイ「私達家族を助けてもらってありがとうございました」
この時のアイは、嘘一つない飛びきりの笑顔だった。
お読みいただきありがとうございました。
ここでは物語の補足説明させていただきます。
・カミキヒカル捕まるの早くね?
カミキヒカル?
新一を敵に回した時点で詰んでます笑
後作者である俺を敵に回した時点でもな!!←ここ重要
・今話OPが『運命のルーレット廻して』な理由は?
工藤家が関わったことで星野アイの死ぬ運命が変わったので、この曲ぴったりじゃん!と思ったから。
・書くのが辛かった
今話の為に、アイの最期のシーンだけを何十回見るんです。もう涙枯れました……
チマチマ投稿ですがよろしくお願いします!
ではまた、世紀末の鐘の音が鳴り止まぬうちに……