一般ルビコニアンデス傭兵の話   作:上代わちき

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なんとなくエルデンリングのカーレみたいな案内人的キャラがいたら、世界観に深みが出るかなぁと思って架空NPCを生やしてみました。
そういうお話です。


一話

 

 

 

 俺はワンダラーのマイナー。

 稼ぎながら宇宙を旅する、根無し草さ。

 

 なんてことはない。

 ルビコンに眠るコーラルとやらが金になりそうだから、当面の旅費を稼ぎに密航しただけのこと。

 今では、コーラルに群がる企業の雇われ。

 コーラル争奪戦で金を稼ぐ、独立傭兵というわけだ。

 

 

「四機以上のACを落とした、サブジェクト・ガードの撃破か。……しくじった下位ランカーの尻ぬぐい、にしてはきな臭いが。まぁいい」

 

 今回の仕事は、汚染市街を巡行するサブジェクト・ガード……傭兵仲間じゃルビコプターだなんて呼ばれていた奴……の撃破だ。

 ランク圏外の木っ端を含めても最低四機を落とす強敵、とのことだが。

 

 さてはて、どんなからくりの話やら。

 まぁ、俺とて木っ端傭兵の一員には変わりない。

 変な陰謀に巻き込まれる前に、金だけ稼いでしまうかね。

 

 

 

「AC?! 企業の雇われか」

「おっと、解放戦線のクソか。忘れていたな」

「いや待て、私達はあんたと……ぎゃあああああ?!」

 

 この仕事は下準備が大切だ。

 乱戦ほど面倒なことはないから、予め狩場の掃除はしておくものだ。

 

 

「ACが、もう一機?! いったいどこから来た……?」

「む、ACだと?」

 

 クソどもを片づけると、グリッドの方からACが現れた。

 見た感じ、RaD製のフレームで統一されている……が、識別を見ると独立傭兵というわけでもなさそうだ。

 もちろん、RaDにこいつみたいなやつがいるとの情報も聞いていない。

 

 

 

「なるほど、あんた密航者か」

 

 この仕事のきな臭さの正体がわかった。

 おそらく、RaDの仕込みだ。

 

 奴らの仲間であるこやつをルビコンに迎え入れ、動きやすくさせる。

 そんなところだろう。

 

 右手にベイラムのアサルトライフルを持っているが、あの手のは誰でも買える。

 他の武装は中立系のメーカー揃い。

 やはりフレームの通りRaDがらみの奴と見るべきだ。

 

 

 

 

「ここ最近は密航者など見なかったが、あんた運がいいな。今この汚染市街には、ACの残骸がいくつかある。ライセンスの乗っ取りなら絶好の好機だ」

 

 となれば、あのサブジェクト・ガードも落とされたACどももすべてRaDの掌の上だろう。

 一歩間違えたら、俺もそうなっていただろうな。

 どんな魔法を使ったのか知らんが、ずいぶんとうまい手を使いやがる。

 

 

 

「なぁに、止めはせんよ。元は俺も密航者だ。ルビコンならライセンスの乗っ取り程度、よくあることさ」

 

 まぁ何にせよ、茶番には乗っておいた方がいい。

 ここまでうまく状況を整える奴を敵にしておくも面倒だろう。

 

 それに、こいつは危険だ。

 

 

 

 

「……なぁ旦那。一つ提案がある」

 

 ACに乗り慣れていないのか、ACの動きは拙い。

 だが、俺が片づけようと思ったクソどもの一部は、俺が手を付ける前にこいつが片づけた。

 

 四脚の相手をさせたわけじゃないから断言はできんが、それでもこの時点で上澄みの気配を感じる。

 俺の嗅覚が疼くんだ。

 こいつとだけは絶対に敵対するなっていう、長年宇宙を旅して得た嗅覚が。

 

 

 

「こうして会えたのも縁だ。必要があるなら、俺の商品を買わないか? 見ての通り、俺は行商人だ。食い物の代わりに死と殺しを運んで売る、暴力の行商人さ」

 

 だから、RaDを後ろ盾にしているだろうこいつには、媚を売っておくことにした。

 これだけの匂いを醸し出す奴なら、RaDの奴らがこうまで面倒を尽くすのも頷けるというもの。

 これからは、RaDとの付き合い方も考えるべきかもしれん。

 

 

 

 

「商談成立だな」

 

 長い時間を経て、どこかと通信を交わしたらしいこいつから了承の意思を受け取った。

 どうやら、俺のカンは鈍っていなかったらしい。

 

 

 

「俺はワンダラーのマイナー。宇宙を旅する、根無し草さ。今は企業達に暴力を売る旅商人だが、これからは旦那の仲間だ。よろしくな」

 

 

 

 

 

 

「独立傭兵ワンダラーのマイナー。……ルビコンで活動する独立傭兵だ。これからは、お前の先輩ということになる。621」

 

「奴から受け取ったサブジェクト・ガードの情報。ライセンス情報が残るAC残骸の情報。……そして、サブジェクト・ガードとの共闘」

 

「ランク圏内に相応しい嗅覚と実力の持ち主だ。奴に敵対の意思がない以上、無理に排除することもない」

 

「621、奴との縁は大切にしておけ。どこかで役立つ時がある筈だ」

 

 

 

 




ワンダラーのマイナー
ルビコンで活動する独立傭兵。老境に差し掛かる年齢だが、上位ランカーに匹敵する嗅覚と実力の持ち主。
企業の雇われとして金を稼ぎ、一方でルビコン解放戦線のことはかなり嫌っているようだ。
621に対しては比較的友好的な態度で接し、僚機で助けになると誘う。
ワンダラーとは「放浪者」を意味しており、転じて「俺は旅人」程度の意味。
一応星外にそういう名のコミュニティがあり、その一員でもある。ただしコミュ内のつながりは緩めなので、ルビコンでその名を名乗る意味はあんまりない。
マイナーは「採掘者」を意味する通称であり、各地の惑星探査に伴う採掘で稼いできた来歴に由来する。
本編で「暴力の旅商人」などと嘯いているが、要するに「報酬出すなら僚機になるよ」っていう誘い。


621
初ミッションの「密航」でワンダラーのマイナーと出会う以外は原作通りの無口系な彼・彼女。マイナーからは「旦那」と呼ばれる。
フレームのことでRaDの新しい紐付きと勘違いされているが、ハンドラー・ウォルターの正体のことを思うとあながち間違いではない。
なおマイナーとの遭遇により、ルビコンへの密航もライセンスの乗っ取りもよくあることと認識している。少なくとも前者は多分その通り。


・なお「密航」の状況が本当にRaDの仕込みであるかどうかは不明。作中はあくまでマイナーさん視点の推測。
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