前回同様、通常ルートの後&ルビコンでの回想という感じの時系列。
・今回はベイラム寄りの木端傭兵のお話。あくまでベイラム寄りの傭兵なので、ベイラム要素自体は薄め。
→マイナーさんが解放戦線との腐れ縁持ち、イヴがRaD出身なので、見事に順番通りですな。
「よ、久しぶりだなマイナーさん」
「そうだな、ジョン。お前の僚機になってくれっていう誘いもな」
知り合いから仕事の誘いを受けた。
ベイラムが管理する島国にギャングが巣食っていて、そいつらの掃討作戦に雇われたから付き合ってほしいそうだ。
「ちょっと色々俺も考えたけどさ。やっぱり俺の知ってる中じゃあんたが一番頼りになるんだ。終わったらいつもの報酬はもちろん、こっちのツテでリゾート地のチケットも用意するからさ」
「ほう、少しは持ち上げ方を考えたじゃねぇか。いいぜ、ここ最近砂漠やら鉱山やらで海の旅に飢えてたところだ。思いっきり暴れさせてもらおうか」
イヴのツテで大豊と仲を取り持ってもらってからは、ベイラムからのアクションも大分穏当になって仕事ももらえるようになってきた。
それをわかってこの話を持ってきたんだろう。
……あの坊主は、俺と同じルビコン出身で、ちょうどあの時期に活動していた若い奴だからな。
だからまぁ、俺とベイラムが微妙な関係であることはよく知っているんだ。
◆
独立傭兵ジョン・D。
ルビコンの中にあるコロニー生まれの傭兵。
要するにルビコニアンってわけだが、解放戦線のクソどもと違って所謂『融和派』のところの出身だ。
特にジョンのところのコロニーは、ベイラムと話をしたようでな。
ベイラムから一定の利益を分けてもらう代わり、ルビコンの資源やらコーラルやらはベイラムに明け渡すしコーラル探査の仕事も手伝うって具合だ。
で、ジョンはベイラムから提供されたACのパイロットに選ばれて、出身が出身だからレッドガン部隊としてではなくベイラム寄りの独立傭兵として活動していたってわけだ。
ありていに言えば、ルビコン解放戦線っていう過激派と敵対する、融和派の売星奴って奴だ。
そういう言い方をするとあんましいい印象を抱きづらいんだが、不思議なことに俺は星粋主義者よりそういう売星奴って奴らと気が合うもんでな。
だからまぁ、ジョンの奴とも話せたわけだ。
あの時期は、ベイラムに取っ捕まった腐れ爺の情報を探るため、かなりベイラム寄りに仕事をしていたって都合もあったがな。
「きっついな、もう……!」
「かっかっか。そういう割に中々やるじゃねぇか、ルーキー。これで上澄みじゃねぇってんだから不思議なもんだ」
「そうか? 持ち上げてくれるのは嬉しいけど、正直俺は自分ができる方ってイメージが湧かないんだよなぁ」
「そりゃ、前提として腕前は『本物』ほどじゃねぇよ。強化人間じゃねぇ上に俺ほど適性があるわけではないから、パーツの大幅な変更についていけないってのもでかい」
「うっ……」
「けど。お前は『本物』じゃないなりに自分が見えている。じゃなきゃ、割り切ってアサルトライフル二丁持ちのまま腕パーツを換装だなんてセンスは出てこない」
「……あぁ、大豊の天槍フレームのことか。ベイラムから貰ったパーツのままじゃ、弾がばらけるからなぁ。かといって近接武器なんて使いこなせっこないし」
「そういう考えができるってだけで、下手なランク圏内よりよほど見えてる。俺だってアセンに詳しいわけじゃねぇが、そのスタイルで天槍パーツの採用は『わかってる』と思うぜ」
ジョンのAC『フロンティア』は、ベイラムをルーツとした中量二脚ACだ。
基本はベイラム製のフレームで統一して、同じくベイラム製のアサルトライフル二丁をメインとする機体。
肩には両方とも四連ミサイルを積んでいるから、中距離での射撃をメインとする『ミサライ機』としての運用を想定しているんだろう。
ジョンはそこからさらに腕パーツをより反動制御に優れた大豊の奴に換えて、しれっとブースターもQBではなく射撃を妨げない通常移動の性能を重視した奴に換えてやがる。
前者は自力でパーツショップから購入し、後者は色々頑張っているご褒美に俺の方でちと紹介してやったものだ。
おかげで中量二脚としてやや重くなっちまっているが、まぁミッションの状況に対応する分にゃ十分だ。
「あとは、どうしても上澄みのミサイラーほど遠距離に特化できないからなぁ。ある程度は近づく必要がある。その分のリスクも管理しないとな」
「それなら、一応考えた。最近になってようやくOSチップが手に入るようになってな、それでブーストキックとアサルトアーマーをなんとか入手したんだ」
「お、大躍進じゃねぇか! こりゃ俺が見込んだ通り将来有望だなぁ!」
「やめてくれよぉ。俺はできることをやるのが精いっぱいだ」
「だからいいんだよ、ルーキー。下手にパルスアーマーやターミナルアーマーとかに行かず、アサルトアーマーにするってチョイスもな。あれは、カウンターにはぴったりだ」
おまけにこいつのACにはアサルトアーマーが搭載されているって話だ。
それ一つあるだけで、姿勢が崩れた時に持ち直しやすくなる。
なんせ、ミサイル特化機体と違って、ある程度は近づいていかないといけないからな。
もし隙を晒せば、すぐ懐に潜り込まれて好き放題されるだろうな。
だがその隙に飛びつく敵に合わせてアサルトアーマーをぶつけることができりゃ、逆に相手への痛打となる。
俺の目には、うまい選択に見えるぜ。
ジョンの実績は、上澄み連中に届かずとも堅実なものだ。
旦那の台頭で目立たず、なんならアリーナへのデータ反映もまるで遅れていたが、しっかり後からランク圏内に入れるほどの奴だ。
だからまぁ、ジョンの誘いは積極的に受けてよく僚機として働いたし、腐れ爺を探す件を抜きにしてもいい稼ぎになって悪くない奴だった。
しいて言えば、旦那やイヴと違ってある程度は気を使って庇ってやらないといけないのが玉に瑕だが、まぁこればかりは仕方がないというやつだ。
「気張れよ、ルーキー。この俺を模擬戦に使うんだ。それに見合うだけのものを得てみせろ」
「っ! ……もちろん。俺だって、この星にくすぶったままでいるつもりはない。どんなに時間をかけてでも、マイナーさんのとこまで這い上がってやる」
特に、ルビコンから出て行ってやるという気概もいい。
なんでも、コロニーの雰囲気が閉鎖的で、だからずっと旅に出るのが夢だったそうだ。
傭兵としての稼ぎも、腕パーツとブースター購入やコロニーへの仕送りだけでなく、旅へ出るための資金集めとしての側面のあるんだとか。
思うところが一切ないとは言わないが、しかしまったくもって気持ちのいい奴だった。
◆
だがある時を境に、ジョンとの付き合いは一時的に途絶えた。
俺が、腐れ爺と余計なのを助けるためにベイラムに喧嘩を売ったからだ。
それからしばらくの間、ジョンとは交流できなかった。
そりゃ、ベイラムに喧嘩を売った奴とベイラム寄りで仕事をしている奴だからな。
立場的にどうしても微妙になる。
だから次に会えたのは、企業どもが中央氷原入りした後。
惑星封鎖機構が、企業・ルビコニアン関係なく蹂躙を始めた後のことだった。
その時の荒れ方は酷かった。
オールマインドがらみの、所謂中立地帯の施設の中で見かけたジョンは。
まるで別人みたいになっていた。
俺がいる場だと、まぁ話せた。
が、惑星封鎖機構相手だとさながら復讐鬼のそれだった。
事実、惑星封鎖機構は仇だったらしい。
後から聞いた話だが、ジョンのコロニーは。
惑星封鎖機構とアーキバス──特に、シュナイダーに近しい部隊──との小競り合いに巻き込まれて、消滅したとのことだ。
つまりはそういうことで、本当に嫌になる話だった。
だがまぁ、ある時を境にもう少しだけマシにはなった。
嗅覚からの推論だが、直接の仇かその関係者をぶちのめせたって具合だろうな。
その時に「これからどうするんだ?」と聞いたら、こう返してきやがった。
「俺は、旅に出るよ」
「約束があるんだ。ルビコンを出て、いろんな景色を見ようって。それが、俺の夢でもあるからって」
「今はもうこんなに小さくなったけど、これから一緒に宇宙の景色を見て回って……俺の夢が叶った姿を見せれたら……」
「……きっと、きっと。喜んでくれるはずなんだ…………!」
だから、お仲間が用意してくれた船に、無理くりジョンの席を用意した。
ルビコンから離脱する手段と、その後しばらく金を稼ぐ場までは世話をしたんだ。
その後のことは知らなかったが、まぁこうして会えたんだ。
仕事が落ち着いた後にでも、聞いてみようかね。
◆
「きっついな、もう」
「アサルトアーマーで一機落としておいてよくいうぜ、ジョン」
「けど、しばらく俺は近距離じゃキックしかできない無能だ。マイナーさん、しばらく相手の気を散らしてくれるか?」
「あいよ、任された。……だがあの数だ。その分の弾幕は期待していいな?」
「勿論。俺の出来ること、全部あいつらにお見舞いしてやる!」
今回の機体は、ビジュアルや引き撃ち戦法的にどことなく旧作的かも?
以下、パイロットデータと機体データです。
例によってかなりの長文ですが、よろしければお納めください。
ジョン・D
ルビコンのコロニー出身である、ルビコニアンの独立傭兵。
コーラル反応再検出の報を受けたジョンのコロニーは、すぐベイラムと交渉し、一定の利益を報酬として得る代わりにベイラムとの協力体制を築く。
その協力体制の一環としてベイラムからACを提供され、ジョンはそのパイロットとして選ばれる。
出身故に独立傭兵として身を立てているが、経緯故に比較的ベイラムに寄った独立傭兵として活動する。
しかし惑星封鎖機構によってコロニーを滅ぼされ、居場所を失ったジョンはルビコンの脱出を決意する。
独立傭兵として築いた人脈と『約束』が、彼に残された最後のよすがとなった。
AC // フロンティア
独立傭兵ジョンの機体。比較的重めの平凡な中量二脚AC。彼のコロニーとベイラムとの協定に基づき、ベイラムから提供されたAC。ベイラム製量産ACテストモデルの一つのイメージ。
基本的にベイラム製のメランダーフレームで統一しているが、腕だけ反動制御の向上を目的に大豊の天槍パーツに換装している。
武装は初期アサルトライフル二丁・初期四連ミサイル二門。これはベイラムから提供された武装を、武装変更の負担回避と中距離射撃戦法の維持を目的にそのまま採用している。
ブースターは、射撃を妨げない通常移動の速度を重視した「BST-G2/P06SPD」を、FCSはベイラムの中距離モデル「FC-008 TALBOT」を、ジェネレータは大豊製の「明堂」を使用。
拡張機能はアサルトアーマー。近づいてくる相手に対しては、ブーストキックやアサルトアーマーで迎撃するスタイル。
本来ならミサイル特化や四脚などに適性があるが、パーツを大幅に組み替えた上での適応ができないため、当初の射撃型中量二脚を維持したまま運用し続けている。
所謂ミサライ機。ミサイルとライフル弾をばらまくことに特化した機体。思想としては、ミサイルをばらまきつつ自分は回避行動に徹するミサイラー機・ミサオン機に近い。
ミサイラー機・ミサオン機との違いは、ライフル採用の都合で比較的近づく必要があるということ。そのため、アサルトアーマー採用で近距離戦性能を高めている。
操作負荷の低減を目的にフルオートのアサルトライフル二丁を採用し、その反動を制御するために天槍腕パーツを組み合わせている。
後はさらにミサイルを併用しながら、攻撃を避けるよう相手の周りを回り続けるだけの射撃機。
これはあくまで選択肢が限られているが故、できることだけできるようにした機体である。
そのため残せる結果や積み上げられる実績はランク圏外相応。一応四脚MTやランク圏外ACぐらいは倒せるため、ランク圏外の中ならばまだ上澄み側。
ただし「密航」以降は、アリーナに反映こそされないもののなんとかランク圏内に入り、アリーナ参加で前述のブーストキックやアサルトアーマーを入手して機体を強化している。
ベイラムから提供された当初は腕もメランダーパーツ、ブースターは安定と信頼のバランス型な「BST-G2/P04」だった。
逆に言うと、ジョンは腕フレームとブースター(……と、拡張機能)しか換装していない。
これはジョンが強化人間ではないが故の措置であり、傭兵として稼いだ資金の殆どはコロニーへの仕送り・自身の夢のための貯金として貯めこまれている。
メタ解説
「木っ端傭兵」感を出すのがコンセプト。本来はマイナーの「オデッセイ」も似たようなコンセプトを持つ側面があったが、さらに木っ端傭兵感に特化。
木っ端傭兵感を出すため、武装はW初期ライフル・W初期ミサイルで、フレームも量産型のメランダー統一……にしつつ、腕だけ反動制御に優れた大豊製天槍フレームに換装。
逆に言うと、大きくなった腕パーツ以外は本当に平凡な見た目の機体。
突き詰めればさらに重量型にしてガトリングに換装したり、もしくは一気に軽量化してより引き撃ちに徹するべきだが、そこまでいくと木っ端傭兵感がなくなるので没。
あと「初期アサルトライフルを使いたい」もコンセプトの一つなので、どうしても外せない。とにかくガトリングとは違った意味での射撃戦がやりたかった。
イヴの「アナザーコード」と同じ脳死プレイに適している機体。アナザーコードが見栄え・派手さがウリなのに対し、こちらの「フロンティア」は堅実かつ泥臭い仕上がり。
キャラクター的にはデモナのジョニー・Gが元ネタの一人。もし芭蕉腕などの呪いの装備や、ドルマヤン辺りの設定がなければジョンが621の友人ポジになる筈だった。
ちなみに名前の由来だが、上述の「ジョニー」とは別に、実はセント「ジョン」川が実在しており、レッドガンのコールサインと同じく実在の川・湖を由来とする名前にもなる。