一般ルビコニアンデス傭兵の話   作:上代わちき

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二話

 

 

 

 

 ボナ・デア砂丘には、武装採掘艦がある。

 解放戦線どもが歩かせている、特大のクソだ。

 

 こいつは本来資源の運び屋だ。

 まかり間違っても戦場にしゃしゃり出てくるようなもんじゃない。

 それをわざわざ武装化させてそうさせているんだから、ルビコニアンってのは嫌いなんだ。

 

 

「通信が入っています」

 

 それは、企業どもも同意見らしい。

 ついに、こいつの破壊依頼が来た。

 ……例の旦那に。

 

 

 

「あんたは、ハンドラー・ウォルターか。旦那の代理人ってわけかい」

「この間は621が世話になった。その礼というわけではないが、仕事の話を持ってきた」

 

 確かに、旦那には恩を売っておきたいとは思っている。

 解放戦線のクソどもにも、さらにもう一発泣きを入れてやりたいとも思っていた。

 だから、この仕事は丁度よかった。

 

 

 

 

 

 

「よぉ旦那。今回はよろしくな」

 

 ボナ・デア砂丘。

 ルビコンで珍しく雪に塗れていない地域の一つだが、なんにもないことには変わりないからあんまり大差ねぇ。

 それよりも、ここを己の縄張りのように闊歩する巨大野グソが鬱陶しい。

 

 

 

「武装採掘艦ストライダー。……まさか壊す側に回ろうとはな」

 

 砂嵐が吹き荒れる中、ストライダーが作戦地点に姿を現す。

 仕事の時間だ。

 

 

「アイボール起動! コーラルよ、ルビコンと共にあれ!」

 

 武装したストライダーの情報はもらっている。

 とにかく近づかんことには始まらない。

 

 でないと、上に乗っかってるアイボールからレーザーが飛んできやがる。

 それをかいくぐるのが、この仕事の第一段階だ。

 

 

 

「アイボールから発射されるレーザーには気をつけろ。しばらくは俺が気を散らしてやるが、油断するな」

 

 幸い、俺は企業製の大容量ジェネレータを積んでる。

 この作戦とブースターの相性はあんまりだが、それをEN容量で誤魔化して何とかする。

 その間に、旦那に近づいてもらってストライダーにとりついてもらうってわけだ。

 

 

「……これだからレーザーは嫌いなんだ」

 

 とはいえ、アイボールから飛び出てくるレーザーは脅威だ。

 それなりに対策してあるとはいえ、そう何度も凌ぎたくはない。

 

 ENの武器には、いい思い出がない。

 

 

 

「しまった、ACが一機乗り込んでいる!」

 

 旦那は、しっかり仕事をしているらしい。

 実にいい相棒だ。

 

 

 

 

 

 

 旦那がストライダーにさえとりついてしまえば、後は勝ったようなもんだ。

 俺は適当にアイボールの気を散らすために弾をばらまいているだけで、金が入る。

 

 

「アイボール破壊……馬鹿な!」

 

 それはそれとして、ストライダーからは距離をとる。

 あの手のは壊れる時、ろくなことにならんのはよく知っている。

 

 

「アイボールの破壊確認。退避する……旦那もすぐ逃げるんだ」

 

 当然旦那にも逃げるよう呼びかける。

 こんなところで死なれるのも、目覚めが悪い。

 

 

 

「コーラルよ……ルビコンと共にあれ……!」

「コーラルよ、ルビコンと共にあれ……ねぇ。ルビコンの内にあれだの、その賽は投げるべからずだの、よくわからん警句を唱えやがって」

「……っ?! 貴様、なぜその警句を……っ」

 

 アイボールが壊れたことで、ストライダーが自爆。

 

 汚い花火だ。

 見るに堪えん。

 

 

 

 

「ミッション完了、か。……これだからルビコニアンって奴は。これでいい薬になった筈だが」

 

 ともあれ、仕事は終わりだ。

 金も入るし、少しは酒でも飲んで贅沢してやろうかね。

 これからが楽しみだ。

 

 

 

「旦那。いい仕事だったぜ。機会があれば、また呼んでくれ」

 

 

 

 

 

 

 旦那と別れた後、オールマインドから借りた自動運転の大型ヘリにACを乗せる。

 これが今の俺の居住地で、ルビコンにおける移動拠点だ。

 殆どはACの修理と弾薬補給のためのもので、パーツの取り換えやら何やらをするにゃさらに専用のガレージまで飛ばなきゃならんが、そうでなければだいたいここで生活が完結する。

 

 

「AC接続完了確認。それじゃ、修理頼んだぜ」

『了解しました。ワンダラーのマイナー』

 

 大型ヘリに付属されてるCOMに指示を飛ばし、後を任せてガレージエリアを出る。

 勿論修理にはそれなりの資源が必要だが、今はヘリ内にある分で事足りる。

 

 定期的にオールマインドやら中立地点やらの施設に立ち寄って補給するときに修理機材や弾薬を買っては積ませているから、それがACの修理費・弾薬費の理由となるわけだ。

 他のところもそうしているかどうかは知らんが。

 

 

 

「ふぅ、ここのお湯は本当に気持ちがいい。ルビコンが寒すぎてクソだからだろうが」

 

 ヘリ内部の殆どはAC用ガレージスペースが占めてるが、一応キッチンもあれば風呂トイレもある。

 何ならオールマインドが気を利かしたのか、それともルビコンでそういう文化が根強いのが悪さしてるのか、寝室は昔懐かしの和室仕様になってやがる。

 酒を片手に炬燵に入ってテレビを見ていたら、気分はもう温泉旅館に泊まる旅行客だ。

 

 

 

「酒があって助かった。他の連中には内緒で持ってきた、このせんべいもな。これを飲み食いしながら見るテレビは、最高だぜ」

 

 ルビコンはクソで、戦場にしゃしゃり出てくるルビコニアンはもっとクソだが、こういう時は悪くないと思える。

 この日は実に、良い夜を過ごすことができた。

 

 

 

 

 

 

「新着メッセージあり」

 

「ルビコン解放戦線のリング・フレディだ。我々は、ついに帥父の収容地点を割り出すことができた」

 

「独立傭兵ワンダラーのマイナー。事前の取り決め通り、救出に協力してくれ」

 

「我々への参陣を蹴るという件も、今までの殺戮についても、帥叔と話をつけてきた。この救出作戦を終えた後についてもな」

 

「だからどうか、師父だけは。頼むぞ……!」

 

 

 




土着の企業であるBAWSが芭蕉シリーズを展開していることを思うと、多分ルビコンは何らかの形で日本文化が根強いのではないかと筆者は考えています。

ちなみに一般独立傭兵がACガレージ付きの大型ヘリが使えることも、そのヘリ内に生活ルームや和室があるのも独自設定です。
でもそう考えた方がなんとなくロマンがあると筆者は思うのです!
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