一般ルビコニアンデス傭兵の話   作:上代わちき

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六話

 

 

 

 

 

 惑星封鎖機構との戦いは、やはりいい稼ぎになった。

 

 地下坑道からのコーラル逆流だの、ザイレムとやらでの動きだの、旧宇宙港のゴタゴタだの、まぁ色々情勢も騒いでいた。

 それを尻目に、俺はアーキバスの依頼で惑星封鎖機構の拠点を襲撃したり輸送部隊の護衛をしたり、といった具合だな。

 

 途中でブランチを名乗るランカー二機が襲ってきたが、あれはなんだったんだろうな。

 俺を見て外れ扱いしやがる割りには、旦那ほどの『本物』じゃあなかったし。

 

 

 

 そして、ついにアーキバスとベイラム共同の大規模作戦が展開。

 要は皆揃って惑星封鎖機構との大決戦に臨むってわけだ。

 

 旦那は一番おいしいところを持って行ったそうだが、俺はそこそこでかい拠点の襲撃だ。

 お仲間と一緒になんかわけのわからんデカブツとその取り巻きの相手をさせられたが、まぁ金にしてやった。

 

 

 そうしているうちに、惑星封鎖機構の敗北は決定的になり。

 奴らはルビコンの外に撤退していったわけだ。

 

 

 

 

 そうして今、俺はもうルビコンの外にいる。

 オールマインドから借りた大型ヘリを返却して、傭兵仲間たちが乗る大型宇宙船に乗せてもらっているわけだ。

 惑星封鎖機構が消えれば、こういう船もまともに使えるって寸法だ。

 

 それに、俺の財産はAC一機とちょっとした手荷物・稼いだCOAMが入った電子カード程度だからな。

 荷物を纏めるのは簡単だった。

 

 

 

 

 

 ……。

 今だから思うが、ルビコンへの思い入れはないわけじゃない。

 俺はもともと、ルビコンの生まれだからな。

 

 だがルビコンでの生活はクソだ。

 惑星封鎖機構による搾取は酷いもんだし、ろくなもんじゃねぇ。

 

 だからあの時、サムの奴と喧嘩別れになってでもルビコンを出た。

 手切れ金代わりに奴のツテで貰った、エルカノ製のパーツを持ってな。

 

 

 

 後はBAWS製の安物パーツやら何やらのパーツを買ってACを新しく組んで、旅人系独立傭兵の始まりよ。

 すぐに色々性能がだめなのがわかって、企業製のパーツに買い替えたがよ。

 あの時期は純粋に強くなっていく機体と、AC特有の高機動な戦いそのものに喜びを見出してた楽しい時期だった。

 色々パーツや武装を吟味して、試行錯誤したもんだよ。

 だがそれでも、いくつかのBAWS製パーツと……奴の形見であるエルカノ製の頭部パーツは今に至るまで手放さなかった。

 

 だからなんだろうなぁ。

 密航してまでルビコンに戻る羽目になって、こうして惑星封鎖機構とドンパチしてまで必死に出ていく羽目にもなったのは。

 

 

 

 

 今回ルビコンに戻った目的は一つ。

 喧嘩別れのままだったサムの腐れ爺が、ベイラムにとっ捕まったからだ。

 そう、リング・フレディの奴に泣きつかれちまった。

 

 要は奴を助けるために、戻るつもりのないルビコンに戻ったのさ。

 まったくもって笑えねぇ。

 

 

 

 あくまでサムの奴を助けるのが目的だから、奴を無用に祭り上げる奴らの味方なんかしない。

 むしろ、例の作戦の状況が整うまでは好き勝手に殺して金に換えた。

 俺の中じゃ、サムとクソどもは全くの別物なのさ。

 そうでもしないと、本当にやってられない。

 

 

 だがまぁ、サムの救出は叶って、今度こそまっとうに今生の別れも済ませて、こうしてまたルビコンから旅立つことができたんだ。

 そう思えば、今回の出稼ぎもそう悪いもんじゃなかったかもな。

 

 

 

 

 

 後は、旦那との出会いかね。

 旦那はハンドラー・ウォルターの子飼いとして、もうしばらくルビコンで仕事を続けるようだ。

 だが、いずれは人生を買い戻して自由を得るとも聞いた。

 なら、またこの広い宇宙のどこかで会えるかもしれん。

 

 旦那は無口で不愛想だが、組んでいて気楽だった。

 こんなのは、他の傭兵仲間じゃ中々ない。

 もしまた会えたなら、あの加工ミールワームのスープでもご馳走してやりたいもんだ。

 

 

 

「さて、まずはお仲間から誘われちまった向こうの鉱山探査の仕事を済ませないとな。ACが必要って辺り、こっちも色々稼げそうだ」

 

「その後は……さらに向こうの地球まで行って、本場の温泉旅行を堪能しないと」

 

「こりゃ、まだまだ俺の旅は終わらなさそうだな」

 

 

 

 

 

 

「新着メッセージ」

 

「よぉ、旦那。ワンダラーのマイナーだ」

 

「あんたの活躍で、惑星封鎖機構はルビコンから撤退した。まったくもって、いい稼ぎになったよ」

 

「だが、ここらが潮時だ。後ろ盾のない独立傭兵は、この辺りが限度ってもんだ」

 

「俺は、このルビコンから出ることにした。最終的にこの星系からも出る予定だ。……向こうで大規模な鉱山探査の仕事があってな、ちょうどよかったのさ」

 

「まずは詫びさせてくれ。あんたの仕事に、最後まで付き合えないことを」

 

「そして忠告だ。あの企業共には気をつけろ。今のルビコンは、惑星封鎖機構が支配していた時以上に危険だ」

 

「ルビコンで仕事を続けるなら、奴らの動向は注視しておくことだ。特にアーキバスは、ひどくきな臭い」

 

「だからといって、ルビコン解放戦線もおすすめしないがな。あっちも大概クソだ。関わるなら、できるだけ慎重にな」

 

 

 

「……死ぬなよ旦那。あんたとは生きて会いたいからな。それまで、しばしの別れだ」

 

 

 




これにて、ワンダラーのマイナーのお話はおしまい。
マイナーはあくまで、小さな楽しみで生き続けるただの放浪者。
ただ、この世界線のドルマヤンはおそらく数か月~数年単位でベイラムに囚われていて、だからこそ古い友であるマイナーが動くことになった。
その救出さえ果たせばルビコンに用などなく、消えてしまうのは必然。

企業勢力に寄る一週目でも、二週目以降で解放戦線の仕事をこなす場合でも、マイナーの動向は大きくは変わりません。
レイヴンの火ルートだろうと、ルビコンの解放者ルートだろうと、星系の外へ旅立ったマイナーの生存は覆りません。



ただし、今となってはもう関係のない話ですが。
もし三週目以降で621が「武装採掘艦破壊」ではなく「武装採掘艦護衛」を選び、そのままコーラルリリース計画に乗ってしまうのなら。
マイナーを取り巻く運命は、大きく変わることでしょう。

おまけの後日談を挟んだ後の次回は、そちらの世界線の話です。
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