→621がストライダー破壊ではなく、ストライダー護衛依頼を受けた場合のIF世界線です。
「よぉ旦那。今回はよろしくな」
旦那と面識ができてしばらく。
ついに旦那から僚機の誘いが来た。
「武装採掘艦ストライダー。……護る側も護る側で、皮肉な縁を感じるぜ」
武装採掘艦護衛。
まさかまさかの、解放戦線からの仕事だ。
とはいえ、流石に旦那の誘いを蹴るほど頑迷なつもりはない。
俺の解放戦線嫌いと旦那の選択は別物だしな。
だからこうして、今回は解放戦線側としてしっかり仕事をするってわけだ。
「っ?! ストライダーが……?」
かと思ったらこれだ。
人がせっかくやる気を出したというのに、どうにも俺と解放戦線のめぐり合わせはよくないらしい。
ストライダーが沈んだ。
おかげで仕事はパーだ。
報酬も期待できまい。
だが作戦開始時点でこうなるなら、こっちとしては不可抗力だ。
少なくとも旦那の非じゃない。
「旦那、気を付けろ!!!」
それよりも、俺達は生き残ることを考えなければならない。
ストライダーが落ちたのなら、ストライダーを落とした奴がいるのは言うまでもない。
「くそ、なんだってこいつらがここに……?」
だが、なんでよりにもよってC兵器だ?
あの手のはやたら素早い。
俺の機体は腕パーツが腕パーツだからこうまで素早い相手への射撃戦は向かん。
足が止まったところにしこたま撃ちまくるか、右肩のミサイルを主軸にするかしかねぇ。
「片方の気は散らす。とにかくお互い生き残ることが先決だ! 地上で足を止めたりするなよ」
そして何より、向こうも撃ってくるミサイルが面倒だ。
こっちのAC特有の三次元機動をうまく使って避けまくるしかない。
「今度はヘリアンサスか……俺はミサイルをばらまく。奴らには銃よりもこういうのが効く筈だ」
とりあえず一機の姿勢を崩してブレードで仕留め、ほぼ同じタイミングで旦那も一機鎮める。
が、そこでパンジャンドラムとノコギリが合体事故起こしたような奴が来やがった。
俺の中の古い知識が、ヘリアンサスという名前と奴の特性を教えてくれた。
とにかくさっき旦那に言った通り、俺はミサイルをばらまくしかない。
正直ここまでくると下手な傭兵どころか、ある程度できるAC乗りでも生き残れるような状況じゃない。
俺としても暗殺者に襲われた時以上の緊迫感を感じる。
それでもミサイルをたくさんばらまいたおかげか、ヘリアンサスの軍勢もだいたい対応できているのが救いだった。
旦那も旦那で二機対応している辺り、上位ランカーに匹敵どころかそれを超えるレベルの上澄みだ。
「まだ来るか……あんたも気張れよ、旦那」
それでもまだ敵の増援が来るが、まぁやることは変わらん。
頼りになる相棒に背を預けてミサイルをばらまき、相手の動きが止まったところへライフルの弾やブレードの攻撃をぶち込むのみ。
全体的に奴さんの機動力が高いせいで口で言うほど簡単な作業ではないが、まぁ俺達なら対応できるというもんだ。
「……終わったか。あんたもよく耐えた。お疲れ様だ、旦那」
ともあれ、敵の殲滅を確認。
ひとまずは生存を勝ち取れたわけだ。
仕事がパーになったが、いい収穫も得られた。
やはり、旦那の味方に回るよう立ち回って正解だった。
なんとしてでも、旦那を敵に回すような展開は避けなきゃならん。
じゃねぇと、命がいくつあっても足りやしない。
「…………」
惜しむらくは俺の嗅覚が今の旦那を捉えているのだけが、ひどく気がかりだった。
本当に、旦那の敵になりたくないんだがなぁ……。
「それにしても……こんな形でストライダーが消えるとはな」
それはそれとして意外だったことが一つ。
今回俺が得るはずだった報酬を、旦那のハンドラーが補填してくれた。
それは旦那自身も同じだったようだ。
単なるRaDの紐付きじゃないと思ってはいたが、旦那も中々いい後ろ盾を得ているらしい。
おかげで俺もいい臨時収入を得ることができたってわけである。
野暮用だけ済ませたら、少し豪遊でもしようかね。