「トレーナー、『SWEET』が『SHORTAGE』だよ……」
担当のネオユニヴァースが話しかけてくる。どこか元気がない様子や、『SWEET』が『SHORTAGE』ということから、甘味が足りないのかもしれない。
「もしかして何か甘いものが食べたいのか?」
ネオユニヴァースはコクリと頷く。なるほど。どうしたものか。…………そういやもう一人の担当のエイシンフラッシュがお菓子作りが得意って言ってたよな。彼女のもとへ言ってみるか。
「こんにちは」
「あら?ネオユニヴァースさんと、トレーナーさん、今日はどうしたんですか?」
「実はカクカクシカジカで〜」
「なるほど、ちょうど良かったです。今から15分32秒後から、シュークリームを作ろうとしていたんですよ。もしよければ、一緒に作りませんか?」
「良いんですか?」
と、言うわけでシュークリームを作ることになった。
「まずは生地をつくります」
そう言うと彼女は鍋に水・牛乳・バター・塩を入れる。
「沸騰したら火を一度とめて、薄力粉をいれます」
「混ぜてみて」
ネオユニヴァースにヘラが渡される。ネオユニヴァースは目を輝かせながら混ぜていく。少し動きはぎこちない気がするが、それより楽しそうだ。なんか初めて料理をする子供を見ているようで微笑ましい。
「また混ぜて、まとまってきたら卵をいれます」
「ヘラからゆっくり垂れるくらいの硬さになったら生地を焼く工程に行きます」
オーブンシートの上に生地を絞る。一つがざっと3センチくらいだからプチシュークリームのようだ。
「これをオーブンにいれて、次はクリームを作ります」
「ではまずトレーナーさん、この卵を混ぜてください」
「わかった」
料理は人並み程度にはできると自負している。たぶん、これくらいの難易度だから、今度別に作れるかもしれないな。
「これくらいで大丈夫?」
「はい、ありがとうございます。では次に薄力粉、牛乳バニラビーンズペーストを順にいれて、混ぜます」
「これを4分程度電子レンジで加熱します。ここでのコツは1分毎に取り出して混ぜることです」
「なるほど」
「そして、加熱したものを、密着するようにラップをかけて、冷蔵庫で冷やします」
冷めるまで、キッチン周りの掃除をしようかな。
「さて、ここから生地にクリームをいれていきます」
「焼いた生地の三分の一のところできって、そこにクリームをいれたら完成です」
「おお……」
終始目を輝かせるネオユニヴァースであった。
「これで飾り付けてっと、こういう感じで大丈夫かな?」
「はい、大丈夫です……ってあら?」
エイシンフラッシュがなにかに気づいたようで、こちらに近づいてくる。何かまちがえたことでもしちゃったかな?
「トレーナーさん、失礼します」そう言うと、エイシンフラッシュは俺の手を取って、人差し指を、ペロっと軽く舐めた。
「え……?」
「指先にクリームが付いていたので……つい……」
なんだろう、このあざとさ。俺はこの娘に敵わない気がする。
「……」
ネオユニヴァースが俺を見て固まっているのは、なぜなんだろう。なにげに初めて見る反応かもしれない。
「ではいただきましょうか」
「「「いただきます」」」
さっそく一つ口に入れる。……うんお店で売っているくらいおいしい。
「すごく美味しい!」
「それは良かったです」
「トレーナー……」
「うん?」
ネオユニヴァースに呼ばれたので振り返ると、
「ん」
なぜかまっすぐこっちを見ている。一体何をしてほしいのだろうか。
「ん」
顔を近づけてきた。一体何なんだ?
「うん?あれ?顔にクリーム付いてるよ。ちょっと取るから動かないでね」
そっと、指で頬についているクリームを取る。
「トレーナー」
「はい」
もしかしてなんか不味い事しちゃったかな。
「トレーナー、『私』は『満足』したよ」
ええ……!?どういうことだ?本当に分からない。
「なるほど……」
うえ!?エイシンフラッシュさんは何がわかったんだ?
本当にウマ娘の心、読めない。