理事長は言いました。
「開催!トレーナーがサンタクロースとして生徒にプレゼントを届けよう!」
おっと、このロリ理事長は何を言ってんだろう。
「理事長さん、サンタさんは別にいますよ?」
「うむ、そうだがやはりウマ娘とトレーナーと絆を深めるうえでは、こういう行事があっても良いだろう?大丈夫。プレゼントの費用はこちらで出す!」
今しれっとサンタさんを信じてる発言していたよな?まあいい。
「それで、どうやって彼女たちに届けるんですか?寮に侵入してみます?」
お、キングのトレーナーさんいい質問したな。確かにどうするんだろ。
「うむ!君が言った通り寮に侵入してもらう!サンタさんの格好をして!」
このロリガキがあ!
「……冷静に考えてください、彼女らはウマ娘ですよ?バレたら何されるか分からない」
「じゃあ、そういう感じで頼んだ!」
しれっとシカトされた。まじかよ。
夜になった。理事長の宣言通り、各々がサンタの格好をしている。
「こんばんは」
「あ、南坂トレーナー、お疲れ様です」
「私はもう配り終わりましたので、失礼しますね」
「え?」
あれ、まだプレゼント配られて5分もしていないよな?しかも南坂さん、チーム持ってるから複数回る筈だし……何者なんだ?
「キタトレさん、覚悟はできてます?」
「ああ、ダイヤトレさん」
あちらでは二人のトレーナーが覚悟を決めている。
音を立てないようにドアの鍵を開ける。
よし、二人は寝ているな。ダイヤトレさんとアイコンタクトで部屋に入る。
忍び足で枕元に立つ。手のひらサイズのプレゼントを机に置く。
「じゃ、失礼しまーす……」
そそくさと退散しようとしたその時、
クイッと袖を掴まれた。
「と……れーなー……さん」
寝ぼけているよな、これ。どうしよう。
ふと、ダイヤトレの方をみる。
「ーーーーーーーーー」
声にならない声でダイヤトレが枕に押し付けられていた。
暗くてよく見えないが、サトノダイヤモンドがトレーナーの首を腕で捕らえて、そのままベッドに……ということか。
取り敢えず膠着状態になってしまったので、様子見するかな。
ふむ、キタトレさんとダイヤトレさんが帰ってこない。やられてしまったのだろうか。
まあいいや。
「ウララトレさん、行きましょう」
「ええ」
どうやら次はキングトレさんとウララトレさんが行くようだ。
キイ、とドアがきしむ音を出してしまったが、取り敢えず部屋に入る。
「大丈夫そうだな」
「(行きましょう)」
机にプレゼントを置いておく。
「……トレーナー?」
おっと、キングは起きていたようだ。
「すまん、起こしちまったか……その、理事長が」
「全部まで言わなくても分かるわ。取り敢えず急いでここから離れたほうが良いわ。ウララさん、気配には敏感だから」
「ありがとう」
ドアの近くに戻る。
「遅くまでお疲れ様」
「ありがとう……じゃあ、おやすみ」
「あ、ちょっと待って」
「うん?」
「その……プレゼントありがと……」
暗さで分からないが、おそらくキングは赤面しているだろう。もじもじとしながら言う彼女に対して俺の心の中のアグネスデジタルが尊死をしている。
「……どういたしまして」
「アツアツでしたね〜」
「うっさい」
ウララトレに見られているのを忘れてた。
「あ、おつかれ様です」
「おつかれー」
「いやーわりとスムーズに置けましたね」
ウララトレさんとキングトレさんは無事に帰ってきた。
「部屋までたどり着けるかな……」
「行けるところまで行きましょう……」
どうやら次はユキノビジンのトレーナーさんとマンハッタンカフェのトレーナーさんが行くようだ。
ドアの前につく。
静かに取っ手を回そうとするが回らない。
「あれっ?」
「どうしたんですか?」
「取っ手が回らない……」
「えっ?」
途端に周りの空気が冷たくなる。軽く耳鳴りもするし、だんだん体調が悪くなってきた。
『あ、すいません、てっきり侵入者かと思っていました。トレーナーさんですね、どうぞ』
どこからともなく声がして、ドアが簡単に開く。一体何だったんだ?
枕元にプレゼントを置く。
「か、カフェトレさん、先出てますね」
「おう」
なぜかユキノビジンのトレーナーさんの声が震えていたな。
まあ、いい。俺もそろそろ戻ろう。
『おっと、すいません。申し訳無いですが今日は、カフェと一緒に寝てもらいますよ。それが一番の彼女へのプレゼントなので』
「ひえええ……」
あれ、帰ってきたのはユキノビジンのトレーナーさんだけだ。マンハッタンカフェのトレーナーさんはどこへ?
……深くは考えないほうが良いのかもしれない。
「装備確認!」
「プレゼントよし、ウマ娘が掛かったときの催眠スプレーよし、スプレーにかかっても大丈夫なマスクよし、暗視ゴーグルよし、マスターキーよし……装備問題ありません」
「よし行こう」
どうやらエイシンフラッシュのトレーナーさんとスマートファルコンのトレーナーさんが行くようだ。……潜入ミッションでも無いのに、なんでそんなに用意周到なんだ……
ガチャ、と音がする。
「(解錠確認)」
「(俺は後方、お前は前方を)」
「(了解)」
そそくさと部屋の中に入る。
「(プレゼント設置完了)」
「(よしじゃあ戻るぞ)」
「(……ちょっと待ってください、ふたりともベッドにいないです)」
布団をかぶっているのはダミーだった。
「(何!?)」
その瞬間、視界が真っ暗になる。コレは何かを被せられている感じ……麻袋か!
「(急いで催眠スプレーを……)」
「させません」
すぐに手を払われる。ああ、終わった。
「じゃあ、トレーナーさん、このままドイツに行きましょうか」
「トレーナーさん、もうちょっとそのままにしててね!」
この時、俺はいろいろ悟った。
やばい、今度はあの二人がかえってこない。
「あれ、あの二人帰ってきてない?……しょうがない。俺が助けに行くか」
マチカネフクキタルのトレーナーさんが、意を決する。
……5分後
「ありがとう……フクキタトレ……」
「ありがとうございます……」
無事に救助された。
その後ほとんど問題が起きることはなく、プレゼントは置かれていった。
朝になり、とある3人のトレーナーの悲鳴が聞こえたのは言うまでもない。