サウンズオブアース観察日記
ウチの担当ウマ娘、サウンズオブアースは、とにかく一挙手一投足が理解しがたい。気づいたら、他のウマ娘を口説いているし、気づいたら、バイオリン片手に校舎を闊歩している。
見ている分には面白いが、俺はあくまでも彼女のトレーナー。よってちゃんとコミュニケーションを取れるようにしなければならない。そこで同じく言動が理解しがたいネオユニヴァースのトレーナーに聞いてみた。彼曰く「観察日記をつけるといい」らしい。と、いうわけで作ってみた。
5月20日水曜日
今日はトレーニングのない日なので、サウンズオブアースを尾行することにした。
まず最初に彼女は三女神の像の前でバイオリンを奏でていた。(正確には音楽をながしていた)
これは多分毎日やっている気がする。もしかして彼女なりの精神統一なのだろうか。
トレーニング以外の日でもやるなんて偉いな。
5月21日木曜日
今日は放課後からトレーニングだった。基本的に彼女はトレーニングは真面目にする。
そこで、その後を観察した。
まず彼女は俺が帰ったと思った後、学園内を歩き回り始めた。何をしているのだろうと思っていた、その矢先
彼女は他のウマ娘に声を掛けていた。
「まさかここで君と会うとはね、キタサンブラック。もしよければ私とコンチェルトを奏でないかい?」
どうやらキタサンブラックのようだ。同じ世代だし、話が合うかもしれない。しかし、コンチェルト?協奏曲ということか?もしかして並走をお願いしいるのだろうか?
「え、あ、アースさん?その、顔が……」
書き忘れていたが、サウンズオブアースは、キタサンブラックに、いわゆる壁ドンをしている。いつもの癖なので俺は気にしていないが、キタサンブラックはきになるようだ。
「おおっと、失礼」
「ええっと、並走がしたいんですよね?いいですよ!」
「! ありがとう!君と奏でるハーモニー、ぜひ楽しみにしているよ」
わかりやすく声のトーンが明るくなった。なるほど、こういうことか。
その後、キタサンブラックと自主練をしていた。
5月22日金曜日
今日は雨だった。6月手前なので、そろそろ梅雨の季節だろう。
アース、彼女は図書室で勉強をしていた。自主練と、定期テストの対策であろう。
「‥‥」
流石に図書室なので黙っている。本当に、黙っていれば凄い美人なんだよなあ。
5月23日土曜日
今日は早めにトレーニングを切り上げた。午後にアースと演奏会を見に行くためだ。なぜそうなったのか、少し時が遡る。
「演奏会?」
「そうだ、トレーナー。カプリチオーソに商店街を歩いていた時、たまたま福引で当ててしまってね」
「なるほど」
というらしい。
演奏を聞きに行ったが、すごかった。こういうことはなかなか自分ではしないから新鮮だった。アースが演奏を聴いているときの表情は、表現し難いがとても純粋で、キラキラしていた。
ここ最近で色々なアースの側面が見れて面白い。
5月24日日曜日
取り敢えず4日観察したが、とても面白かった。普段表に見せないが、レースの勝利への執念は他の誰にも負けないくらいで、誰かとトレーニングできることが好きで、なんか彼女も思春期の女子なんだなあと思った。
今日は、アースとレースを見にいった。
敵情視察も目的だが、純粋にレースを楽しんだ。
レース後にウマ娘を口説いていたがいつも通りのことなのでスルーする。
5月25日月曜日
「トレーナー、これは?」
日記がバレた。
「エット…………日記デス」
「ほう……ふむふむ」
中を思いっきり見られた。
まだ5日分しか書いてないのが救いとも言うべきか。
「この調子でお願いだ」
何も咎められなかった。
少なくともプライベートを侵害しているから怒られると思ったのだけど……
まあいっか
「では、私はセッションの相手を探してくるよ」
「あ、ああ」
がたん、と扉が閉まる
「そうか『黙っていれば美人』か……」
扉が閉まった後、彼女が意味深なことを呟いていたのをトレーナーは知るよしもなかった。