「おはようございます」
「おはようございます。トレーナーさん」
校門前でたづなさんと挨拶する。
「今日は仕事納めですが、トレーナーさんは明日からの年末年始はどう過ごされるのですか?」
「そうですね……一度実家に帰るくらいしかないですね。自分で言うのも変ですが、趣味が仕事みたいなところがありますので、本当に何もしない気がします」
「そ、そうなんですか……」
まあ、そりゃ引くよなあ。そういうや「お前がモテないのはどう考えても仕事のし過ぎ」と言われたな。でもなあ。趣味って見つけるの大変じゃないかな。
「でしたら、トレーナーさん。トレーナー陣で行われる『新春会』に参加されるのはどうですか?」
「新春会ですか?」
「はい、毎年草津の旅館で行っているんですよ。あそこの温泉は良いですよ。体が芯から温まります。特に効能がよくて、私も冷え性気味なのですが……ってすいません。話からそれてしまいましたね」
「いえいえ……新春会ですか……参加してみようと思います」
「わかりました。トレーナー用メッセージアプリに応募フォームのURLが送られていますので、そこから参加の申請をしてください」
「了解しました。ありがとうございます」
スマホで、新春会の概要を見る。
開催!新春会!
諸君らの日頃の感謝を込めて、3泊4日の草津温泉へ招待することにした!
開催地:草津温泉
開催期間:1月4日〜1月7日
予定
一日目:旅館へ到着後、希望者はスキーへ、それ以外の者はゆっくりしているとよい!
二日目:希望者は草津にある寺社へ初詣に行く。その後ショッピング。それ以外の者はゆっくりしているとよい!
三日目:自由行動とする!
四日目:昼頃に草津を出発。午後三時ごろにトレセンへ戻ってくる予定!
費用:なし!こちら側が負担する!
へえー、普通にのんびりできるんだな。トレセンのことだからなんか凄いことやらされそうになるのかと思っていたわ。
※なお、トレーナー全員「かくし芸」を用意すること!
おっと、急に雲行きが怪しくなったぞ。まあいっか。テーブルクロスの練習でもしておくか。
それより、草津の温泉、楽しみだな。
『おはようございます。トレーナーさん。新春会の要項見ましたか?』
桐生院トレーナーからメッセージが来る。
「はい。今のところ参加する予定です」
『よかった!良ければ自由行動の日に、一緒に草津の街を歩きませんか?』
「俺で良ければ」
まさか桐生院からお誘いが来るとは思っていなかった。コレは楽しみだ。
『トレーナーさん、自由行動の日の予定はきまりましたか?』
今度はたづなさんからメッセージがきた。
「はい、同期の桐生院トレーナーと草津を歩く予定です」
『あ、なるほど。もしよければ私も参加していいですか?』
「俺は特に問題ありません。桐生院トレーナーに確認してみます」
『お願いします』
「桐生院トレーナー、自由行動の日なのですが、たづなさんも同行したいようなのですが、大丈夫そうですか?」
既読がついてから、五分後くらいに。
『ダイジョウブです』
と来た。
「大丈夫みたいです」
『それはよかったです。では自由行動の日、楽しみにしていますね』
なんか最後の言葉意味深だな。気のせいだろう。うん。
─────彼は知らなかった。この後、修羅場になることを。