寒空の下、家のポストを開ける。
「おっ、あるある」
高校時代の友達、前の職場の人など、2、3人から年賀状が届いている。もちろんそれも嬉しいが、やっぱり気になるのは、キングと一緒に書いたあの年賀状だ。(4本め参照)
一番上にひっそりと彼女の筆跡の年賀状を見つける。
それと一緒に謎の手紙を見つける。宛名を見る。住所はわからないけど、名前は見覚えがある……どこかで聞いたような……
「あ!キングのお母さんか!」
……ちょっとまて、キングのお母さんから手紙が届くってこれやばい状況じゃないか?
……た、たぶん大丈夫だろう。
家に戻る。こたつに足を入れながら、届いた年賀状をじっくり見ることにした。
「あけましておめでとう。これからも私と一緒に一流の道を歩みましょう」
キングの年賀状にはそう書いてある。それと共に可愛らしい龍のイラストが書いてある。俺もキング宛てに似たようなもの書いたな。……思考がそっくりと言うか、なんというか……
丁寧な字であるけれども、よく見ると、一流の「一」の部分の最初にやけに筆圧が弱い。……いや、まあそうか。彼女のことを考えると少し合点がいく。ここまでずっと連敗している。何度も何度も練習して、よくて善戦。そりゃ少しでも弱気になるよな。それでも、めげない彼女が俺は好きだな。
さて、少し怖いがキングのお母さんの手紙を見るか。
『あけましておめでとうございます。トレーナー様。キングがいつもお世話になっております。さて、早速ですが、私の話は娘から聞いている通り、私は娘をこれ以上レースに出したくはありません。理由は、まだ娘に話せていませんが、「敗北」が何よりも怖いからです。私も現役時代何度もレースに負けました。あの時自分には劣等感と焦りと不安と恐怖が入り混じって正気ではいられませんでした。私はそれを心配しています。……しかし、しかしです。キングは何度も負けてもまた、ターフへ戻っていきます。私と同じ思いをしているはずなのに、です。私が思うに、キングの中では貴方の存在がとても大きな支えになっているのでは無いのでしょうか。少し気難しい娘に、共に駆けてくれる人が居ることで、走れているのではと思います。どうか今後とも、娘とはよろしくお願い致します。追記:年賀状が送られてこないかと娘がソワソワしています。あのような表情を見せてくれるのは初めてです。トレーナー様、何処かで「お話」できる時間を設けたいです。よろしいでしょうか?』
手紙を読む。……俺の存在が大きい?というのに少しピンとこなかった。だって俺がやっているのは、仕事だし、キングの支えになんてなれてすらいないと思っていた。
まあ、それについては後で考えるとして、追記がすごい気になる。なんでキングさんソワソワしているの?別に年賀状届くだけだよ?あとキングのお母さんがすごく怖いことを言っているんだけどこれって命の保証ある?
年始から心臓がキュってなった。
遅れてしまい申し訳ありませんでした。
今日の分は昼に公開予定です。