「こんにちは、トレーナーさん」
「こんにちは」
トレーナー室にノースフライトが入ってくる。
「そうだ、ノースフライトさん。式典用のちゃんとした服ってどこで買えばいいかな?」
普通のスーツを売ってる服屋でいいのかな。
「トレーナーさん礼服が必要なんですか?」
「まあ、そうだね。友達の結婚式に出ることになってさ、でも家にそういう服が無くてね……」
「なるほど、そういうことでしたらこのフーちゃんにお任せください!ちゃんとコーディネートしますから」
「ありがとう」
お店を訊くだけで良かったのだけど、まあいっか、ノースフライトが楽しそうだし。
「トレーナーさんはその結婚式にはどういう立場で行くんですか?」
「一応友人代表スピーチをすることになってる」
「なるほど、つまり一般ゲストの方々よりは少しだけ華やかなほうがいいですね」
「そうなの?」
「それはもちろんですよ。友人代表が他のゲストと遜色ないと少しだけ地味な印象を与えてしまいますからね。結婚式の服装で大事なのは『目立ちすぎず、目立たなさすぎず』ですから」
「へえーそうなんだ」
「あー、トレーナーさん、一応レンタルすることもできたはずですけど良いんですか?」
確かにネットで調べた時は、そういうレンタルもあるって知ってたけど
「うーん、これからノースフライトさんが活躍するならそういう場に出ることも少なくは無いと思うから、どうせなら買っちゃおうかなって」
「なるほど……嬉しいです。これは気合を入れてコーディネートしなければ」
街の少しだけ外れにある、老舗の服屋さんにつく。
「こんにちはー」
「あらー、フーちゃんいらっしゃい。……もしかしてそこの人のコーディネートするの?」
「はい、そうです」
「わかったわ。じゃ、準備してくるね」
「ここにはよく来るの?」
「はい、ここで偶に洋服の相談とかにも乗ってるんです」
「へえー」
ということで、ノースフライトによるコーディネートが始まった。
「まず、基本的に主役とか親族でなければ、ブラックスーツで問題ないです」
「へえー」
「主役より目立たず、一般ゲストよりは地味すぎず、がちょうどいいのでブラックスーツです。ただそれだけだと少し地味すぎる印象を与えてしまう可能性があるので、そこはアクセサリで少し華やかにしましょう」
「なるほど……わざわざありがとうね」
「いえ、私が好きでやっているだけですから!」
結果、一般的なブラックスーツに、グレーのネクタイ、白のポケットチーフになった。
「ありがとう」
「いえいえ、こちらこそ力になれて光栄です」
「そう言えば、友人代表として出るけど、新郎なら別の服とかあるの?」
「そうですよ、だいたい新郎は正礼装という、格の高い礼装になります。まあ……その時が来れば、わ、私がまた一緒に選びますから」
「いいの?ありがとう」
「……」
トレーナーさんは、私の言葉の真意を理解していなかったようです。少しホッとしたけれども、やっぱり淋しいです。私の思いに気づいてくれないかな。
服は自分の状態をよく表します。今はのんびりしたいのか、それとも気合をいれたいのか、そういうものは表現できていしまうのですが、やっぱりトレーナーさんへの思いは着飾ることはできないみたいです。