にんじん2本(ウマ娘短編集)   作:のるどすとりーむ

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34本め「こたつ」ウマ娘:ナイスネイチャ

 年も明けた一月上旬、トレーナー室にこたつを置いてみた。

「おお、こたつだ」

 ナイスネイチャが驚きの表情をみせる。

「出そうと思ってたんだけど、すっかり忘れてね。もう春だけど出しておこうかと」

「いいね〜ネイチャさん、こたつでゴロゴロしてま〜す」

「どうぞ〜」

 ナイスネイチャがこたつに入る。俺もこたつに入りたいから、反対側に座る。パソコンを開いて、作業をする。

─────

 暫く作業をしていると、さわ……と足に何かが触れた感覚がした。まあ、多分ネイチャの足だろう。あたってしまったからには、少し足の場所を変えなければならない。少しだけ変な姿勢になるが、足を斜め横にして、正面を向いて座る。

 

「あ、そういえばみかんあるけど食べる?」

「いいの?」

「うん、こたつにみかんは作法ってものでしょ」

「確かに」

 

 一旦こたつから離脱して、みかんを取ってくる。

 

「はい、どーぞ」

「はい、どーも」

 

 そしてまたこたつに足を突っ込む。

 

 今度は足を入れた時に、ネイチャの足と少しだけぶつかってしまった。

「あ、ごめん」

「ひへひへ(いえいえ)」

 みかんを口に含みながら、ネイチャは言った。特に気にしてないようだ。

 

─────

 それからまた5分後ぐらいに、今度はさっきよりもはっきりとした感じで、さわ……って触れた。ちょうど彼女が足を動かした先に俺の足があっただけだろう。

 

「あ、お茶持ってくるけど飲みます?」

「あー……じゃあ緑茶をお願い」

 

 今度はナイスネイチャがこたつを離れた。

 

「はい、どーぞ」

「はい、どーも」

 

 お茶を受け取る。あったかいこたつであったかいお茶は最高だ。

─────

 作業に少し行き詰まったので、みかんを手に取る。生まれがみかんをよく食べるというところでもあるので、少々特殊なむき方をする。

「へーそうやって剥くんだ」

「ああ、俺の地元ではこうだったよ。手が汚れにくいからおすすめ」

「なるほど〜……試してみるか」

ネイチャもみかんを手に取る。

 

 やり方は簡単、皮をむかずに皮ごと4等分に切り分ける。でそれの一欠を食べる時に皮を取って食べる。

 剥くのに時間もかからない。

 

「美味い……」

「そういやこのみかんはどこで買ったんです?」

「俺の親がわざわざ送ってきたんだけど……明らかに一人で食べ切れる量じゃないからここに持ってきた」

「あー……確かにここだったらあっという間に消費できる……」

─────

 暫く雑談した後、また各々のやることに戻った。ネイチャはスマホ、俺はパソコン。

 キーボードの打鍵音だけが部屋の中に響く。

 

 そしてまたまた、今度はしっかりとさわ……って触られる感覚があった。……まあ、たまたまだろう。

 

 しかし、ここで突然、左足を挟まれた。抜け出すために俺は足をジタバタさせる。しかし、人がウマ娘に勝てないのと同じで、びくともしない。

「あのー……ネイチャさん?」

「はいー?」

「足離してくれません?」

「んー……?トレーナーさんの足が一番あったかいので却下」

「ええ……」

 そんなに俺の足はあったかいだろうか?まあいい。これでも作業に支障は出ない。

─────

 暫くしていると、今度は別の感じで、さわ……という感覚がした。これ以上こたつに足は存在しないことから、多分ネイチャの尻尾だろう。偶に触れたり、軽く巻き付いてくるが、それでもまだ本格的にはこない。

 

 またここで侵入を赦した。俺が油断したその隙に、俺の両足を尻尾で縛った。

「ネイチャさん!?」

「……あ、あったかいので……」

 声が震えている。これ絶対わざとだろ。

 

「あ、そ、ソウダー、多分トレーナーサンがチカクニイタホウがアッタカイナー」

 すごい棒読みでネイチャさんが変なことを口走る。まさか、と思ったが既に手遅れだった。

 

縛られた足を引っ張られ、こたつに吸い込まれる。成人男性の出せる力の限りを尽くしたが、それでもこたつに吸い込まれる。

全身がこたつに入ったところで、グルンと、180度方向転換をする。

そしてこれまた尻尾を器用につかって、俺がネイチャの隣に出てくる。

 

「……」

「……」

 

ちょうどお互いに向き合う体勢になる。

 

「……」

「……ねえ」

「はい……」

「誰がこれ教えたの?」

「エイシンフラッシュさんです……」

 やっぱりか、ここまでの計画性とこのあざとさ。やっぱりあの娘だったか、エイシンフラッシュのトレーナーさんも今同じ状況なのかな。

 

「うーん……今すぐここから脱出したいけど」

「けど?」

「あったかいのでヨシ」

 俺は完全にこたつから出ることを諦めた。

「……」

やることもないのでネイチャの顔をずっと見ている。やっぱり可愛いよな。もうちょい自信もったって誰も止めないのに。

 

「……トレーナーさん……」

「はい?」

「顔、近くないですか?あと私の顔見過ぎじゃないですか?」

「だってやることないし。ネイチャの顔はずっと見てられるし」

「……」

 しっかりと顔が赤くなっている。

「やっぱりあれだいつ見ても可愛い。なんかもうすごく凄いくらい可愛い」

「クッ……」

褒められ慣れていないのか、更に顔が赤くなる。

「全てのパーツに均衡がとれている。もしかして神様の生まれ変わりだったりします?」

「……私が悪かったです……だからやめて……」

「いやいや、こりゃ将来が楽しみだな、絶対枕詞に【可愛すぎる】ってつくから」

「もうやめて〜」

 

 なぜかこたつでとれる暖かさよりもあったかくなった。なんなら少し暑いくらいだった。

 

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