「すいません……こんな時間まで話してしまって」
「いえいえ……」
たまたま休みの日にたづなさんと会ったため、成り行きでカラオケに行ったのだが、まさかその後歌うんじゃなくてウマ娘について話し合いすぎて、朝になった。今日はやすもうかと思ったけど、1徹くらい問題なさそうだったので、働いてきます(社畜の鏡)
「それでは、俺はトレーニングの準備してきます」
「はい、どうか無理だけはしないでくださいね?」
「もちろんです」
─────メジロアルダンの場合
「おはようございます。トレーナーさん」
「お、おはよう」
トレーナー寮に戻ろうとしたら、部屋の前にメジロアルダンがいた。
「すいません、こんな朝早くから訪れてしまって、少々トレーニングについての相談がありまして」
なぜかちょっとだけ圧を感じる。……というかこの構図は非常にまずくないか?トレーナーの部屋を訪れようと早朝行ったら、トレーナーが帰ってきた。……いや、俺は別にたづなさんと朝帰りしただけだ。やましいことはない。
「いや、大丈夫だよ……」
でも冷や汗がすごい。
「それにしても……トレーナーさんはどちらへ?走りにいかれていたのですか?」
「ああ、まあそういう感じ……」
「それにしてはだいぶカジュアルな服装で……」
今の俺は私服だ。私服で朝走るのはちょっと無理があるかな……?
「アハハ……」
「ところで」
「『お連れの方』とは楽しいひとときを過ごせましたか?」
瞬間背筋が凍る。形容し難い死の恐怖を感じる。
「ど、どうしてそれを?」
「あら?私は冗談で言ったつもりなのですが?」
墓穴掘った……
「どういうことか説明して頂けますか?トレーナー、さん?」
アルダンが笑みを浮かべる。目は笑っていない。
「いや、えっと、 その……たづなさんとウマ娘について話している間に、朝になってしまって……」
「なるほど……それは大変でしたね……もしかしてまだ話し足りなかったりしませんか?」
「いや別に─────」
「大丈夫です。今日はトレーニングを休んで一緒に『お話』しましょう?」
遮られた。どうやら俺に逃げ場は無いらしい。
「ワカリマシタ……」
─────シンボリルドルフ
「おはよう、トレーナー君。今日もいい朝だな」
「おはよう」
たづなさんと朝帰りして、寝不足で少し辛いけど、自分の体にムチ打ってなんとか生徒会室まで来た。
「早速で悪いがこの件について─────……トレーナー君」
いつも通り仕事を頼まれるかと思ったが、急にルドルフが表情を変えた。
「どうした?」
「トレーナー君、ウマ娘は人よりも何倍も五感が強いということは知っているかい?」
「もちろん」
聴覚で数万倍、嗅覚だけでも数千倍……まさか!?
「……君から、多少強めにたづなさんの匂いがするのだが……」
「そ、そう?なんでかなー?」
とぼけてみる。
「少し、こっちに来てくれないか?」
「う、うん」
何されるか分かったものではないけど、とりあえず近づく。
「これ、何だい?」
俺の頭についていた、少し茶色っぽい長めの毛が出てくる。そういえば、たづなさん、話しているうちにだんだん俺の方に距離を詰めてきて、最終的に肩と肩がくっつくぐらいだったんだよな……それか……
「あー、ちょっと分からな」
「とぼけいないでくれ、私は君が昨日何をしていたのか知っているんだ」
「……」
どうやらここで詰みらしい。
「……たづなさんと、ウマ娘について話し合っているうちに朝になりました」
「……ありがとう。正直に言ってくれて」
ルドルフの表情が少し柔らかくなる。
「……」
「更に話は変わってしまうが」
「?」
「今、この生徒会室には、君と私だけしかいない」
あれ?なんか雲行きが……?
「そして他のメンバーが来るのもおそらく2時間後とかだろう。つまりここで何があっても目撃されることはまずない」
「いや、それはどうかな……?」
少しずつ後退りする。
「まあ、怖がらないで聞いてくれ、いいかい?君と私は一心同体だ。今後このようなことがあって、お互いの関係が壊れたら嫌だろう?」
手を掴まれる。
「そこで、もう目印をつけておけばいい、と私は考えた。私と君の関係をより強固にするためにね」
「……」
「さ、一緒にたのしもうじゃないか」
ルドルフが、胸元のボタンを一つはずす。
「二人の時間を」