この度俺は、VTuberになりません。   作:初見さん

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絶望を贈ろうか

「て、弟妹…嘘だと、嘘だと言ってよ…」

 

俺の目の前には、青い顔をして姉が座り込んでいる。普段の強気な様子とは裏腹に、完全に怯えきった様子だ。だが、俺は一切の躊躇をせず、そのまま歩を進めた。俺と姉の距離が近づくごとに、姉の表情は歪んでいく。

 

「残念だが…姉にはここで死んでもらう…」

 

「もうこんな事やめてよ、弟妹!」

 

姉の必死な叫びは、虚空へと消えていく…

 


 

学校で不良と話すのが俺の日課になりつつある。最初は第一印象のせいで話をする気も起きなかったが、勉強を教えた辺りから和らいでいき、今では普通に談笑する仲になってきた。

 

「そうだ。最近どうだ? 部活とか」

 

部活…部活か…サッカー、野球、テニスに卓球。文化部で言えばパソコンや文芸、囲碁将棋なんてのもあったな。まあ、そんな夢が広がってる的な事ほざいても、俺はどこにも所属してないんだが。まあそれを言えば不良だって、バイトの事情だか何だか知らないが部活には入っていないしな。

 

「ウチは剣道が強いんだっけか」

 

「あー、今年も大会出場は間違いないってよ」

 

流石と言っていいのか…正直陰キャである俺からしたら学校で輝いてる陽キャの奴らは嫌いだ…Vtuberにも鉄パイプやゼビさんみたいにグイグイくる系の人や、ればーさんみたいに良識のある人もいるが、どちらも大勢の前に立って意見をしたり纏めたりするようなガラじゃない。陽とも陰ともつけづらいタイプも居るが、どちらにせよ俺と陽キャが相容れない存在であることは確かだ。不良だって内面的には陰キャだし。

 

「そういや今日はちょうど剣道部が活動してる曜日だな。どうせだし覗いてみるか?」

 

「…まあいいけど」

 

という事で暫し廊下をだべりながら歩き、階段を降り、玄関で靴を履き替え、外に出た。そのまま校庭の端を歩いて武道館に進んでいく。扉は練習中常に開きっぱなしのようで、凍えるような冷たい風が武道館にも流れ込んできていた。死ぬ気かお前ら。相変わらず運動部の生態は分からん。

 

「やあぁぁぁっっ!!!!」

 

「やぁぁっっっっ!!」

 

キーン。

…何か変な音すると思ったら音響外傷かよ。鼓膜破れたかと思ったわ。いや、そうでなかったとしても素人の俺達からしたらかなり掛け声がデカいように聞こえる。

 

「…君たちはもしや二年生? 何か用が?」

 

「えと、先輩すか?」

 

「いや、私は一応二年生だ」

 

主審を担当していた女子学生がこちらに気付いて振り向く。竹刀を担ぐその姿は袴の似合う和風美人だが、顔は若干童顔気味と言うか。身長も二年生の女子にしては少しちっさい気がしなくもない。剣道だけではなく、運動部全般は背が高いほうが何かと有利に見えるが、実はそうでもないのだろうか。

 

「実はかくかくでして…」

 

「ふうむ、しかじかで私達の部活を見学しに来たと? それくらいならば…いいだろう、主将の私が許す。勝手に見ていけ」

 

「あざっす!」

 

主将だったのか。俺がそんな主将に対して失礼な事を考えている内に、不良はどんどん話を進めていく。俺と出会った時もそうだしVtuberを紹介してきた時もそうだが、不良は人と話すのが上手い。ある程度の敬意を払いながらも親しみやすい口調で、なおかつ要件は手短に…というか、どういう訳か「かくかく」の四文字だけで済ませたが。コイツを通して会話したら、普段の会話がすごく楽になりそうだ。

 

「ん…次は私の番か。…そうだ、今日は偶然欠席が多くてな。主審を頼んでもいいか?」

 

それでも俺のこういう不遇な立ち回りにさせられる役は変わらないんだろうな。剣道着を着て竹刀を持ち直し相手の前に立つ先輩を見て、俺はそう思った。そこに休憩中の後輩が居るんだから、あの人に頼めばいいのに。

 

「えっと、やった事ないんですけど」

 

「掛け声は特に決まっていないぞ。開始の意図が伝わればいい」

 

「えぇ…もう、分かりましたよ…始めッ」

 

俺はヤケクソ気味に言い放った。

 

数分の打ち合いの後、試合は終了したようだ。結果としては主将が勝ったらしく、竹刀を再び肩に担ぎながらドヤ顔でこちらに戻ってきた。ルールとか全然分からんからとりあえず拍手でもしておこう。

 

「…何か疲れ気味だな、どした?」

 

「あ?」

 

不良が突然そんな事を言ってきた。確かに俺は昨日ゼビさんと徹夜コースに踏み入って、結局睡眠時間がミリも取れなかった。だが、流石に一回の徹夜でヘタれるほど俺の体はヤワではない。加えて今回はエナジードリンクという徹夜界のエリクサーまでも使用し、まさにバーサク状態となっている。死角は一切ない。

 

「そんな眠いように見えるか?」

 

「いや、目の隈とかはそんなにないけどさ。最近人と関わる機会が増えたから分かるんだよ、多分それは人付き合いのストレスによって生まれる疲れだ」

 

「人付き合い…?」

 

不良は頷き、俺に向かっていつもより真剣な眼差しで話し始めた。

 

「普段あまり人と喋らない人が、急に社交の場に出たら疲れる、みたいな? そんな感じだ」

 

「じゃあ俺の疲労はお前にずっと話しかけられたストレスによって生まれたんだな」

 

「え、俺ぇ!?」

 

「俺がこの学校で話してるのお前だけだし」

 

正直お前に話しかけられるまで、授業で差される以外で一言も喋らないどうしようもないまでのクソ陰キャだったからな…今回の剣道部の件といいVtuber講座の件といい、いつも行動を起こすのは不良側だ。こっちとしてはいい迷惑なので、そういうダル絡みだけは今すぐにでもやめて欲しい。

 

「私は入らないのか?」

 

「今日が初めての会話だから含まれないだろ」

 

「そっか、じゃあ俺が原因みたいだな! …じゃねーよ! マジかよ!?」

 

主将が関係ないと知るといよいよ原因を理解したのか、不良が凄まじいスピードで慌てだした。

 

「お前は俺の会話能力を舐めているようだな」

 

「いやいや! 能力のステータスは高い方じゃないのか?」

 

「だがMPまでは教えてなかったな」

 

「何かゴメン!!」

 

不良は困惑しながらも素直に謝罪を始めた。最初は適当に聞き流していたが、あまりにも申し訳無さそうな顔をするのでやめさせた。

 

「…」

 

だがその間、俺は少し考えてもいた。ストレスはじわじわ溜まるもの。少し前に始まって、俺が人間関係を築いているものと言うと何だろうか。

…あれ、Vtuberでは? という事は元凶は姉か。よし、死罪。

 


 

「という訳で心臓に過剰に負荷をかける刑に処す」

 

「嫌だぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」

 

「鼓膜に過剰に負荷がかかった」

 

姉の弱点といえばホラー。映画でもいいが、どうせなら公開処刑だ。俺がセレクションした怖くて難易度の高いホラゲーを、クリアするまで終われません形式で配信してやろう。姉は雰囲気系よりびっくり系が特に苦手なので、それが多いゲームを探してみた。さて、今回はどんな奇声をあげてくれるのやら。

 

「ねえ他の企画にしよ!? 怖いの以外なら何でもするから!!」

 

「男に二言はない」

 

「普段二言ばっかのくせにぃ!!」

 

キーキーうるさい。というか、ここまで必死な姉も中々レアだな。録音して焼肉組共に配布するか。

因みに、三期生の皆を焼肉組と呼ぶのはメンバーの名前に焼肉の部位の名称が入ってるかららしい。鶏冠井さんは言わずもがなだが、ゼビさんはリブロース、鉄パイプはタン、姉はササミ。初めて聞いた時は納得と同時に、姉だけ部位の名称が和名なんだな、と思った。どうにも締まらないのが三期生らしい。

 

「取り敢えずサムネと告知は俺がやるから、スマホ貸して」

 

「嫌に決まってんでしょ!?」

 

「言うと思ったからゼビさんに連絡して告知してもらった」

 

「うわあぁぁぁぁぁっ!!!」

 

絶体絶命、四面楚歌。今の姉の状態を表す言葉は大量に存在するが、あえて一つに絞るなら、俺はこう言うだろう。

 

「これが、背水の陣か…」

 

「挑む前提で言うなぁぁ!!!」

 

 

 

 

 

ライブ中                

鼓膜に自信のある方は大歓迎です

 10,145人が視聴中

   笹峯ノイズ 49万人

 

 

 

 

 

 

 ず え おライブ中                          し ろ わ だ

鼓膜に自信のある方は大歓迎です

 10,145人が視聴中                          う へ ほ つ そ

   笹峯ノイズ 49万人

 

「皆、弟妹を正気に戻してくれぇ…」

 

「いや俺は至って正気だが」

 

俺からすると姉の方が正気じゃないよ。正気の人は普通、事故で配信に出た弟妹を配信で使いまわそうなんて馬鹿げたネタ思いつかんからね。以前本社のお偉いさんに叱られはしたが、それはそれこれはこれ。人間やっていい事と悪い事があるってことで、今更過ぎるけど処罰を受けてもらう。このゲームは俺でもビビったので、姉からすれば精神的には死刑レベルだ。やったね。

 

「ほら、挨拶」

 

「うぐ…うぇーい…笹峯ノイズ…です…」

 

「仕掛ける側って最高だな。あ、どうも弟妹です」

 

コメント:タイトルどうした

コメント:異音が随分ローテンションだが…

コメント:今日はどんな企画なんだ?

コメント:大声で叫ぶみたいな?

コメント:苦情まったなしで草

コメント:というか当たり前のように弟妹が仕切るのか

コメント:まあ弟妹はレギュラーメンバーだし

コメント:焼肉組の一員と言っても過言ではない

コメント:もうチャンネル名改名しろ

 

「誰がレギュラーだ誰が」

 

今日は姉が予定を出来る余裕がない、というより単純に台本が用意されていないので、特別に俺が進行の役を買って出ているだけだ。まあ元はと言えば俺が勝手にサムネを作って告知して配信を始めたせいってのもあるし。…確かに言われてみればこれVtuberとやってる事変わらんな…まあいいか。

 

「今日やるのはホラゲー配信って奴です。いつも無茶言われてるから、たまには仕返ししようと思って」

 

改めて見てみると選考理由がクズすぎるな。その辺は姉とどっこいなので別にいいけど、さっきから姉のテンションがクソ低いのがアレだな。いざゲーム始めたらいよいよ何も聞こえなくなると思うが。何故って、タイトルにもある通り姉の叫び声で鼓膜がパージするから。今のうちにヘッドホンないしイヤホンを外しておけ。

 

コメント:久々のホラゲー配信キタコレ

コメント:最近はめっきりなかったもんな

コメント:弟妹が出演してから有耶無耶にされた

コメント:ホラゲー配信をやりたくないから弟妹を頻繁に呼んだ説

コメント:それだ

コメント:お前天才か?

コメント:だがそれで許さないのがデバッガー

コメント:とんだ鬼畜野郎で草

コメント:↑お前もじゃい!

 

「今回やるのは『スポイルディザスター』だな。ホラー要素はキャラの造形しかないけど、結構びっくり演出が多い」

 

「もう! 弟妹はホントそういうとこだよ!」

 

まあ頑張れよ。ゲームを起動しておき、姉を残して部屋から出る。ホラゲーするとは言ったが、一緒にするとは言っとらん。

 

「えっ、ちょ、待っ―」

 

玄関の扉を開け、外に出る。そのままスマホのロックをスムーズに解除し、チャット欄のとあるトークルームを開くと、とあるURLが見える。それをタップし見てみると、そこには既に準備済みの二人の姿があった。ホラゲー配信をする事が罰だと、きっと姉はそう思っただろう。だが、実際に俺が仕組んだ罰は『ホラゲー配信で叫ぶ様を同期に見せる事』だ。

 

「お、始まった始まった!」

 

「こんな面白そうな企画乗るしかないのね!」

 

鉄パイプと鶏冠井さんは超ニコニコだ。うーんドス黒い。部屋の奥にはソファの立ち絵がありお茶も準備済みらしく、何なら焼き菓子まで用意してあるようだ。随分気合い入ってるな。この日のためにスピーカーを新調したらしく、姉の叫び声を聞くための準備が半端ない事が見て分かる。

 

コメント:えぐwww

コメント:モニタリングは伝統行事

コメント:年に一回はやるよな

コメント:今回企画したのは弟妹だけど

コメント:Vtuberは基本精神攻撃がメイン

コメント:司会進行消えた?

コメント:さっきまでいたんだけどな

コメント:残念だ

コメント:あれゼビは?

コメント:焼肉組全員じゃないのか

 

「ああ、ゼビはホラーちょっと苦手だから」

 

「煽りには強いけど単純な恐怖にはクソ雑魚ナメクジなんですよ」

 

なるほど。100%善意で仕組んでいるものなので、俺からしても無理して見に来なくていいと思っている。そうだな、叫び声だけ録音して音声ファイルとして送っておこう。そんじゃ配信は後で見ておくとして、本社にお呼ばれ食らう前にこっちから行っとくか。

 


 

「弟妹さん、あの、これ…」

 

声をかけられたのでふと横を見てみると、姉のマネージャーである相生さんがいた。差し出されたスマホを見ていると、ちょうど俺が見ていた配信が。どうやらお気持ち表明のようだ。流石はマネージャーと言うべきか、自分の担当の状況をもう理解している。そうと決まれば話は早い。

 

「ええ、ちょっと姉にお仕置きを」

 

「そんなけろっと済ませるものではないですよ!? おかげで私、さっきまでてんてこ舞いだったんですから!」

 

マネージャーも色々スケジュールとかが決まっているのか、大変だったようだ。タイミングをしくった可能性はあるが、善は急げと言うし俺はそれに習っただけだからしょうがないよな。

と、電話が鳴る。何だと思ってスマホを開くと、送信先は鉄パイプだった。

 

「もしもし、弟妹です」

 

『アタシメリーさ』

 

「間に合ってます」

 

切った。もう一度鳴った。何だよもう。

 

「もしもし、弟妹です」

 

『何で切るんですか!?』

 

「いや切るだろ」

 

知り合いの電話に出たらいきなりメリーさんが来るとか、倫理的にも精神的にもおかしいだろ。切るわ。気を取り直して、改めて要件を聞いてみる。今は同時視聴の配信中のはずだが、一体何故俺に電話を…

 

『配信見れば分かりますよ』

 

言われた通りに姉のホラゲー配信を見てみる。姉の動きが固まったまま動かない。通信エラーか? いや、でもコメントは動いてるし、というかなんなら加速してる。

 

「…完全に放心してるな、これ」

 

「叫ぶとかの範疇じゃないんですよね…」

 

「そんな訳で、応答してないから一旦再起動して欲しいのね」

 

うん、鶏冠井さんの言う通り、これじゃいつまで経っても始まらん。ちょいと姉にメッセージを送ろう。本社に着いた辺りでスマホを開き、チャットアプリによって姉に伝達。通知音にビビりながらスマホを取り出した姉は、画面を見て嗚咽を漏らしたあと「勘弁してよ…」と言いながら渋々ゲームを始めた。

 

「なんて送ったんですか?」

 

「『にがさない』って送ったよ」

 

「「うわっ…」」

 

全部ひらがなっていう所が心霊現象じみてるだの、逆に恐怖心を煽るだけなのにこれで始める異音はヤバい奴だの、それはもう好き勝手言われた。姉の精神状態も確かにそうだが、俺の前で堂々と、俺と姉への皮肉交じりで話す二人のメンタルも大概バグってるだろ。ひらがなに関しては単純に変換ミスっただけだから俺に悪意はないはずだ。

 

『…吹けば飛ぶような心臓がやるホラゲー実況、はーじまーるよー…』

 

「お、開始したな」

 

『いやー助かりました!』

 

普段からあまり大声を出したり泣いたりしない姉がここまで叫んでいるのも貴重だと思うのだが、そこの所は姉リスナー…デバッガーや、同期の焼肉組共はどうなんだろう。面白がってる人もいるし、ウケてる人もいるし、ネタとして擦る人もいる。三者三様ダナー。

 

『まずはプロローグをスキップします』

 

マジかよ最速スキップ入れ込みやがった。あまりにホラーシーンを見たくなさすぎて最早RTAみたいになってるが、こんなんで全クリ出来るんだろうか。いや、駄目だな。時短したとしても肝心の姉の操作はかなりぶっきらぼうだし、反射神経クッソ鈍いからこれでもクリア時間は一般プレイヤーより遅いと思う。怯える姉の需要は結構あるらしいので放置しとこう。

 

「にしても、いつ見ても笹峯さんの絶叫は凄まじいですねぇ…」

 

「子供の頃ハロウィンで父さんにガチな仮装されてからオカルト系列全般が大嫌いになったらしいです」

 

俺はその時まだ三歳くらいだったらしく記憶が全く無いので、どういったものなのかはよく覚えてない。ただ、姉によると今でもトラウマらしい。掘り返すと布団にくるまったまま動かなくなるのでかなりのものだったとは思う。物置小屋にあるらしいので見てみたいが、鍵失くしてて開かないんだよな今。

 

「へぇー…因みに何の仮装ですか? ゾンビ? フランケンシュタイン? それともワイトとか?」

 

這い寄る混沌(ニャルラトホテプ)

 

「想像の軽く斜め上を行きましたね!?」

 

俺もそう思う。まあ今回はクトゥ何とかの神話もどっかの財団も一切関係のない、純然たる西洋ホラーなので安心して欲しい。どうせこんなフォローをしたとて結局姉が苦手なことに変わりはないだろうけど、せめてトラウマドストレートの作品でない事だけは弁明しておこう。数分間の問答を繰り返し、茶を飲んで落ち着いた。

 

「それにしても今回は撮れ高がいいですね…弟妹さん、今後企画とか考えてみませんか?」

 

「嫌です」

 

「そこを何とか!」

 

そもそも一企業の社員が一般人に頼るな。いくら姉のマネージャーだからって、姉から他力本願を習得しないでもらいたい。俺だって姉に誘われるだけでも疲労するのに、最近はゼビさんや鶏冠井さんからやたらとゲーム配信に誘われる。俺の身体だって一つしかないんだし、二人と違ってまだ学生だ。こんなんじゃ学業に勤しむ暇がない。とは言っても今二年生だから本格的に頑張るのは三年に上がってからなんだが。

 

「暇な時でいいですから、ね?」

 

「そもそも何で俺なんですか」

 

「弟妹さんなら何とかなる気がしまして」

 

神龍か俺は。俺は七つ集めるもんじゃないし、そもそも七つに分かれるとか人間切断マジックじゃんか。俺にそんな高等マジックは使えん。またも数分間の問答を繰り返し、またも茶を飲んで落ち着いた。

 

「ったく…ま、予定狂わせたのは俺の落ち度ですし、分かりました。ただ、来年度は受験生になるので手伝えませんよ?」

 

「合点承知の助です!」

 

相生さんはいい笑顔でまたも死語を言い放った。うん、やっぱりこの人も例に漏れずヤバい人だったかもしれない。一般人に頼らざるを得ないほど切羽詰まってるだけかもしれないが、それはそれでボスが無計画という他ないな…せめて人員の増減程度は確認しといてほしい。

その時、電話が鳴った。

 

「もしもし、弟妹です」

 

『けて…助けて…』

 

姉のかすれた声だ。取り敢えず無視して、相生さんに一言。

 

「帰っていいですか?」

 

「あ、ええ。気をつけて」

 

またも鳴った。今度は何だ。ゼビさんか。

応答拒否。

 


 

「Hey」

 

「うぎゃああああああ!!!」

 

「何事」

 

「は、入るなら教えてよ…」

 

「ノックはしたぞ」

 

「…ノックする時に合図を頼む」

 

「そんな無茶な」

 

コメント:やっとか

コメント:弟妹来た

コメント:救世主

コメント:そして絶叫ww

コメント:あれ音が聞こえなくなったぞ

コメント:ん?音量ゼロになった?

コメント:鼓膜破れてる人数名いて草

コメント:比喩なしのノイズやでこれは

コメント:耳いてえ

 

何回も死ぬと見慣れてくるのか、8回目ともなるとそこまで怖がらなかった。初戦を突破したらまたびっくり演出でビビって頭が真っ白になるんだろうが、第一関門を突破しただけ褒めてやろう。その後も姉は絶叫し続け、そのシュールな絵面に鉄パイプと鶏冠井さんも大爆笑していたらしい。

 


 

64:名無しのライバーID:R+YWRbx+P

今年になってもう半月くらい経ってんのか…

 

65:名無しのライバーID:wTVwKRMyY

一週間なんてあっという間だ

 

66:名無しのライバーID:ZeQkCUEng

ワクセイが天地投げを解説してる間にもうそんなに経ったのか…

 

67:名無しのライバーID:Fpn5LBmOt

また何かおかしなことやってる

 

68:名無しのライバーID:pq/Is3AY1

何をやってんだ何を

 

69:名無しのライバーID:VyFJzP/0g >>70 >>80

今日は異音の配信があるそうだが

 

70:名無しのライバーID:WdWVHshR0 >>71 >>72

>>69 マジか

一応ソースは?

 

71:名無しのライバーID:NJbjuJa12

>>70 ゼビが言ってたぞ

 

72:名無しのライバーID:ThYF7caou

>>70 ゼビが呟いてた

 

73:名無しのライバーID:ePK0LU0zW

何でだよ

 

74:名無しのライバーID:2+iv9J/hn

そこは異音じゃないのか

 

75:名無しのライバーID:bZLjqasGv

何でも異音はやりたくなかったけど弟妹が思いついたらしく…

 

76:名無しのライバーID:VUDohEfpM

もう二次喜劇入れよ

 

77:名無しのライバーID:UBvjSuZ2/

今ならまだギリ三期生

 

78:名無しのライバーID:ETXDgJs7p >>79

異音がやりたくないって事はホラーか

 

79:名無しのライバーID:DtC3cjksB

>>78 異音ホラー以外あんまし好き嫌いないもんな

 

80:名無しのライバーID:FKoovVuin >>81

>>69

で、今やってる感じ?

 

81:名無しのライバーID:m1+EVnYHM

絶賛ライブ配信中

 

82:名無しのライバーID:GIlhgoONG

異音のホラゲー配信初めて見たけど面白いな

 

83:名無しのライバーID:v6zpc3T9K

開始一時間と経たずに弟妹に電話掛けてて草

 

84:名無しのライバーID:UIb9x0B9N >>85

何気に鉄パイプとスカが同時視聴枠やってるな…

 

85:名無しのライバーID:nuiRcwcFw

>>84 マジか

副窓で見ようかな

 

86:名無しのライバーID:le/QX3RRo

というか姉貴とサモナーもツブヤキしてるし

 

87:名無しのライバーID:CSc5jgkzq >>88

割と人気あんのな、異音の乙女モード…

 

88:名無しのライバーID:gGU8oTLep

>>87 お前poxovで調べてみろよ

飛ぶぞ

 

89:名無しのライバーID:VM4gAwNcm

飛ぶな

 

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