この度俺は、VTuberになりません。   作:初見さん

31 / 34
我ら焼肉兄弟

夏休みに入った。

以前の春休みとは違って休みの時間がかなり長いので、宿題もそこまで焦らなくていい。かといって最終日に溜めるような主将みたいな真似はしないが……え? 何で主将が溜めるタイプなのか分かるのかって? 春休みで学んだんだよ。最終日に剣道部の先輩後輩ともども呼び出された時は流石にキレた。

あと剣道部員達のキャラが何気に濃かった。

 

「なんにせよ柔軟にならないとな……8月開催の夏祭りとか、不良絶対誘いに来るし」

 

楽しい事を共有したがるタイプである不良は、こういうイベントに弱い。修学旅行やオープンキャンパスなんかの時も、一人で勝手にテンション上がっていたのを何回か見かけた。

前まで素行の悪かった生徒にしては豊かな感受性……元々そういう性格だったのかもしれないが、家で見かけたあの残虐な絵のせいでかなり想像しづらい。それに、後天性という方が不良の尊厳を保てるしな……流石に高3の元ヤンが昔から魔法少女に憧れてるというのは、単なるギャップで抑えられる気がしない。

 

「黒澤映画の隣に並べるもんでもないような気が……」

 

元からジャンル云々には興味なさそうではあったがな…棚ごとに区分けして並べるのはそれこそ沼に肩まで浸かった場合だし、少し好き程度なら乱雑にまとめる気持ちも分かる。

…話が逸れまくったな。とにかく、夏休みは計画性もくそったれもない、イレギュラーだらけの破天荒な一ヶ月あまりになると思われる。

 

「そうなったら予定表は作る意味もない。スマブラとソシャゲで時間を潰しながらのんびりするか……」

 

これぞ青春。

こんな陰な夏休みを送って、太陽よりも熱い男に熱くなれよとか非常にけたたましい声で言われそうだ。ただ、家にこもってスマホを弄る夏休みは高校生の夏休みのデフォルトになりつつあるんだし、ちょっとは許容してくれたっていいだろうよ。

夏と言えば海だ、祭りだ、かき氷だ、なんてイベントとはこれまで無縁の生活を送ってきたんだ。いきなり順応できるか。

 

「まあ、まだ夏祭りに誘われると決まった訳じゃないしな……」

 

大丈夫……そう、大丈夫だ。何も心配いらないさ。

きっと平穏で素晴らしい毎日……はまず確定で待ってないだろうな、配信あるし。ただそれにさえ目を瞑れば……うん、まあ……その……そうね……

 

「…弱気になってる場合か。自分を保て、俺」

 

ぺちぺちと頬を両手で叩いて目を覚まし、椅子から立つ。

リビングに向かうと、クッキーを貪りながらスマホを見て寝ている姉がいた。俺より満喫してんなぁ…大学生の夏休みってこんなのほほんとしてるもんだったか?

 

「ごめんフィナンシェ切れた」

 

「あっそう」

 

姉が空の袋を持ち上げてそう言ってきた。確か鉄パイプが2週間くらい前に「神の恵みを有り難く受け取れ!」とか言いながら、ウッキウキの笑顔で持ってきた奴だ。大成功したんだろうな。

俺もあとでゆっくり食べようと思っていたから地味にショックだ。

 

「それより夏休みに入ったし、いよいよ海に…」

 

「一人で行ってこい」

 

「流石に焼肉組の皆は着いてくるからね!?」

 

ほう、姉に脅迫されたのか。可哀想に。

 

「じゃあ三人だけで行かせよう」

 

「より酷いよ!!」

 

真面目に言うと、そのメンツだからこそ行きたくないというか。姉もそうだが、姐さんも鉄パイプも内面を知らなければとんでもなく無駄に美人なのでナンパイベントが大量発生する。数年前の家族旅行でチャラ男のリポップを何度も経験した俺だから言える。

死んでも行かない。

 

「あんな地獄のハーレム味わうのはゼビウス一人で充分だ。分かったら部屋に戻りな」

 

「ぐうう……でも夏っぽいことはしたいなぁ」

 

そもそもの話、仕事以外で外出た事ないだろ姉は。外出時の行き先が本社固定な時点で海に出るのは向いてない。

焼肉組が車の免許を取れているのかという事実も気になる。一応大学3年だから20は超えているし、取っていてもおかしくない年齢ではあるが……まず姐さんはどうなんだ。改造かなんか仕込んでたりしない?

 

「例えば変な塗装とか……」

 

「いやいや、ないって。あっても車の天井が開くくらいじゃない?」

 

「オープンカー化かよ」

 

サンルーフなんて目じゃないな。絶対に断る。

 

「他の人は……」

 

鉄パイプは痛車にするタイプか、それとも外装は普通でも車の中にフィギュアを設置するタイプか……むしろ外に出すと汚れちゃうから車には何もしていないってパターンもあるか。

ゼビウスはまあ十中八九ワゴン車だろうな。あいつスポーツカーとか似合わん。

 

「運転技術次第だが……鉄パイプってコーナーでドリフトとかしないよな?」

 

「偏見過ぎる…流石に公道でそんな命知らずな真似はしないよ」

 

「そうか…待て、公道ではって」

 

姉の視線が俺から逸れた。自ら隙を見せ楽に逝く道を選ぶとは、ようやく力量の差を理解したか。

どうやら昔、免許を取得したばかりの鉄パイプが庭かなんかで練習して、盛大に事故った事件というのがあるらしい。誰か運転変われ、こんなのに任せたら海に着く前に三途の川だ。

 

「じゃ、じゃあ星先輩! 星先輩に任せるから!」

 

「嘘だろ、あいつ運転できんのかよ」

 

「いてて……うん。一期生は全員アウトドアだからね。その中でも、星先輩のドライビングテクニックは凄いんだよ。ゼビもればーも凄いって言ってた」

 

あのワクセイの事だから、車とか言いながらフォーミュラカー引っ張り出したりする気もするが……まあ、ゼビウスと姐さん二人のお墨付きなら多分大丈夫だろう。

 

「……て事だから、少なくとも移動手段は平気!」

 

「そうか、厄介だな」

 

「えぇ……」

 

配信に繋げられても困るが、こういう普通のイベントもそこそこ苦手だ。

皆で一体感を楽しむタイプの遊びは昔から得意じゃなかったんだよなぁ……でも、その辺は姉も一緒ではあるか。そういう目で見ると、一体感という言葉とは絶望的なまでに程遠い姉に、あの三人だけで太刀打ちできるのかという恐怖が迫りくる。

 

「そもそも姉含めて全員、水着とかあるのか?」

 

「え?」

 

「だから水着だよ、学校のはもう無理だろ」

 

「ゑ??」

 


 

「うちのドジが毎度すまんな」

 

「いやいや、こっちも今から買うつもりだったし」

 

「むしろ人が増えて楽しくなりました!」

 

「俺はそろそろ周りの男達からの目が痛いです……」

 

姐さんは姉を庇いながらも、口を抑えて楽しそうに笑っていた。鉄パイプも無邪気な笑みを浮かべながら、肩にかけていたカバンからロリポップを取り出して姉に与えていた。餌付けかな?

ゼビウスはいつも通り、死にかけのちいかわみたいな表情で俯いている。ドンマイ。

 

「それじゃ早速見ていきましょうか」

 

「にしても、最近4人で会う事が多くなったのね」

 

俺からしたらいい迷惑だ。いや、4人で会うところがと言うより、集合場所が姉、及び俺の家になっているところが。一人で住んでる家ならいいんだ、迷惑を被る人がいないからな。ただ、俺みたいな部外者がいる家は普通に考えて駄目だろ。

 

「他の人の家をローテーションで回るとかじゃ駄目なのか?」

 

「あてぃしんとこは別にいいけど、部屋がちょっとごちゃついてるから呼びにくいかなぁ」

 

「俺も大体そんな感じ。アパートだとやっぱ複数人でやる時キツくて…」

 

ゼビウスの発言のせいか否か、周りの人の目がより一層険しくなった気がする。美少女美女に囲まれた状況でその発言はちょっと……含みのある発言が多すぎて困る。

ミスリードどころかアンジャッシュに片足突っ込んでる。

 

「私の家は、ハバネロが笹峯さんを引っ掻いちゃうので…」

 

「なるほど……」

 

……じゃあ鉄パイプの家でいいのでは?

と言ったら姉に猛反対されたし、しばかれた。しばくのは俺の特権だろ、アイデンティティ返せ泥棒。

 

「あと店内で普通に芸名とか言わない方がいいぞ、厄介な事になる」

 

「そんな事言われましても……」

 

「TRPGのロールしてる時と感覚的には似たようなもんだ」

 

「なるほど了解です」

 

通じるのかそれで。

何故かノリノリなゼビウスと鉄パイプに冷たい目線を向けつつ、キャラシ作成タイムが始まった。水着買いに着てるんですよ、これでも。

 

「改めてみると、大衆の前で自分が作ったキャラを演じるって中々な変態なのね」

 

「職業柄声がでっかくなりがちだし、個人情報を隠すためには必要ではあるけどね」

 

「いや性格は変えなくていいんだが」

 

ひとまず、さっさと本題行こう。これ以上余計な口出ししてると本来の目的を達成しないまま店が閉まってしまう。

 


 

「これかわいいですね!」

 

「こっちもいいのね。どうかな、笹……じゃない、えー……我が妹」

 

「ヴァージニア?」

 

水着選びで男女に別れた。3人姉妹的な感じでやれと言ってはいるが、いつボロを出すか心配だ。だがしかし、ゼビウスもゼビウスでほっとくとヤバそうな気がする。こいつのネットリテラシーが低い事は前々から承知しているし、念の為な。

姐さんに監視を頼んでおいたから恐らく大丈夫だとは思うが……

 

「んー、俺はこれにしようかな…弟……っと、危ない危ない…悪かったって、顔怖えよ…」

 

「いっそ口にガムテープ貼った方がマシか…?」

 

「発想が一番怖かったわ」

 

そう言いながら、ゼビウスの顔めがけてガムテープを貼り付けようと身を乗り出す。抵抗するゼビウスのせいで照準がずれて目に貼ってしまった。メドューサだこれ。

仕方がないのでもう一度テープを出して口に貼る。目と口両方が塞がれてるとかなりシュールな光景になるな……

 

ふぉふぇふぉーふんふぁほ(これどうすんだよ)!?」

 

「ガムテープ顔に貼り付けてる系男子でも目指したらいいんじゃないか?」

 

ふぁひほふぇ(なにそれ)……」

 

一部にはウケるかもしれない。エンタの神様的な。

キレながら痛そうにテープを剥がすゼビウスと問答をしながら、そのまま水着を選ぶ。

 

「お前は選ばなくて良いのか?」

 

「だから、そもそも行く気がないんだよ……」

 

「楽しいのに…」

 

「俺は家が好きだ。ここは譲れん」

 

ゼビウスは少しつまらなそうな顔で、でも『弟妹らしい』と言いながら苦笑していた。思わず俺もふふっと笑い返してしまう。ふふふあはは……

だから名前を言うな、しばくぞ。

 

「皆はワンピースとかラッシュガードを買ってるみたいだな。さーて俺はどうするか……」

 

「……あのさ、兄」

 

「どした?」

 

何の危機感も抱いていないゼビウスに溜息を吐きながら、周りを見るように言う。

言われた通りに周りを見渡すと、その店にいる人達、特に女子から熱烈な視線を受けている。それに気づいたのか、ゼビウスもモテを意識したポーズをし始めた。

 

「すまんな弟妹君、やっぱり声とビジュアルがいい男はモテちまう運命なの、さ……」

 

あのな、ゼビウス……お前……お前……!

 

「セクハラストーカー疑惑が再燃してんだよ」

 

「嘘ぉ!?」

 

あと名前を呼ぶな、何回言わせんだこの鶏頭。いや、一歩も動いてないのに忘れるのは鶏越えてるな……ある意味で一気に2つも伝説を作ったみたいだ。

ただ、代わりにゼビウスのメンタルに結構な爪痕が残った。

 

「いい加減懲りろって、どう足掻こうが所詮ネタにしかならないんだお前は」

 

「何でそんな事言うのぉぉぉぉぉ!!」

 

「お前キャラ崩壊してないか?」

 

ちょっと前までそんなガキみたいな事言わなかっただろ。格好のつかないキャラではあったが。

 

「とにかく、早めに選んで帰……っ!!」

 

視界の端に何かを捉えた。誰かは分からないが、身の危険を感じたのでゼビウスを無理やり引っ張って何とか隠れる。

今まで何回も助けられてきた本能に今回も従ったが…さて、鬼が出るか蛇が出るか……

 

「お前に合う浴衣選んでやるから行くぞ、発案者の主将さーん?」

 

「くっ…不良にまさか『夏祭りでは甚平を着る』なんて教養があったとは…」

 

「いや流石にあるわ。誰が荒んだ家庭を持った可哀想な高校生だ」

 

「言ってない。…せっかくだし、色々とコーディネートしてやろうと思ったのだがな……」

 

……ん? 不良…主将…と言ったか、今?

いやいや、そんな馬鹿な。聞き間違いなんて誰にでもある。紫式部だと言ってるのに何回も紫キャベツがどうしたんだと聞き返してきたウチの父さんのように、聞き間違いとは本当によくある事なのだ。だから心配する必要などない訳で

 

「しかし、あいつを誘わなくて良かったのか? 実質主役だろう」

 

「でもあいつ甚平どころか夏祭り自体興味なさそうだしなぁ」

 

「確かに……『夏祭り? こんな暑い中に外出る馬鹿いるか、とっととクーラー浴びて頭冷やしてこい小学生ズ』とか言いそうだな」

 

しばくよ。

流石に俺もそこまでは言わないし、誘われたらよっぽど苦手な奴じゃなけりゃ行くわ。うん、例えば姉とか、あとは今隣で空気を読まずに急に隠れた事を追求してくるゼビウスとかね。

 

「黙ってろ。キーキーうるさいわ、蚊か」

 

「何の説明もなしに隠されて騒がない人いる!?」

 

「ガムテープの刑に処してやってもいいんだぞ」

 

すみませんでした……

 

分かればいいんだよ、分かれば。

しかし参ったな……不良はともかく、勘のいい主将には勘づかれるかもしれない。浴衣と水着はコーナーが違うからかなり離れているとは言え、何とかして注意を逸らす対策を建てておかないとな……

 

「……あれ、どした?」

 

姉が来た。対策どころか致命的なデストラップだ。

名前を言いかける事が多々あった他の人と比べれば未だにノーミスな姉は良い方ではあるが、さっき姉が言った通りこいつら揃いも揃って声が無駄にデカいからな。まずないとは思うが、化け物レベルのフィジカルを持つ不良の聴覚に「姉とゼビウスに似ている声」と捉えられたらおしまいだ。

 

「おー、どう、決まった?」

 

「まあ一応」

 

「俺もいくつか候補はあるんだけど、そっから難しくてさぁ。そっちはどんな感じ?」

 

「セクハラ」

 

「なんで!?」

 

やっぱりうるせぇ。もうこいつらから離れて一人でひっそりカフェにでも行こうかと思ったけど、出口付近にいるからほぼ確実に見つかるな……

この流れでガムテープを使ったら今度こそ騒ぎになりかねないし、どうしたものか。

 

「そういやこいつがさっきからおかしくてさ」

 

「ん? うわっ、何隠れてんの」

 

「いや、そこに……」

 

俺が不良達のいる場所に指を差すと、姉はその指に従い棚の向こう側を見て、あー…と言いながら手を打った。

流石に察してくれたか、この状況で俺達がどうバレないように会計を済ませて出るか、そのルートを一緒に考えて欲しいという事を……

 

「何だこの前のクラスメイト君じゃん、恥ずかしがってないで行ってくればいいのに」

 

「は?」

 

「へー…それで緊張してんのか。なら俺達もついてってやろうか?」

 

「は???」

 

「ほらイクゾー」

 

「は???????????????????」

 

何言ってんのこいつら? 充分な説明を出来てない俺も悪いが、説明を満足に聞かず予測だけで正解を導き出した気になって、結果的に迷惑をかけまくるこのアホ共のがタチの悪さは上だからな?

逃げようとしたがすぐに取り押さえられて、虚無顔&棒立ちで浴衣のコーナーまで運ばれた。

 

「うおっ、あいつ何でここに……何かこっち来てるし!」

 

「どうした? ……なっ!? どう……いう状況だこれは!?」

 

「俺が聞きたい」

 

バックハグ的な感じで動きを固められ、その上で持ち上げられたので抵抗ができない。ゼビウスはこういう所が無駄に強かったりするのであとでしばく。

姉はもう少し何かしろ、後ろをただただ着いてくだけとかワイクエの仲間かよ。

 

「よし、到着!」

 

「死ね」

 

「ひっでぇ」

 

「別に会いたいなんて言ってないんだよこっちは、余計なお世話レベル100だ」

 

俺がゼビウスを叱っていると、後ろから声がかかる。不良と主将……目が少し動揺しているが、まあそれは仕方ないので無視する事にする。

 

「あー……なんか店で会うのって新鮮だな。夏休みほぼ初日で出くわすとも思わなかったし…」

 

「俺は(万が一にでも焼肉組共の正体に気付かれたら超面倒なので)二人の邪魔をしたくなかったんだがな……」

 

「何だ、そっちは気付いていたのか……それで、その……後ろの人は、何だ……?」

 

ゼビウスはそう聞かれ、少し浮かれながら答えようとした。が、自分が名乗ったら駄目なタイプの人間だった事に気づいたのか顔を青ざめさせて真顔に戻る。

だから抵抗したんだよ、この大馬鹿野郎が。

 

「ア…アー……私ハ、コノ子ノ……アー……」

 

「は、はあ……大丈夫ですか? 冷や汗が凄いですが……」

 

「問題ナイデスヨ……」

 

ゼビウス、お前……壊れた人形みたいになったゼビウスの代わりに、姉が前に出ようとした。ので、容赦なくエルボーで脇腹を突いて黙らせた。

力なく倒れ伏す姉の姿にゼビウスがドン引きしていたが、まああの状況で勝手に動き出すのが悪い。先手を打って行動不能にしないと、後で自滅しかねないしな。

 

「え、だ、大丈夫すか!?」

 

「ちょっと体調悪いみたいだな。おい、先帰ってろ」

 

「アッハイ」

 

ゼビウスは片言返事のまま姉をお米様抱っこして帰っていった。あいつ公共施設のド真ん中で勇気あるな……

まあいい。こんな悪態吐きながらだが、内心では冷や汗ダラダラでこいつらと相対してんだよ。一人になったからボロは出にくくなるが、だからと言って誤魔化しきれる保証もないし。

 

「えーと……今のは……妹と弟か…?」

 

口調から悟ったか……面倒なので肯定のために頭を縦に振った。高校生の俺に成人済みの弟と妹ができるって、今更だがマジで意味不明だな。

まあ姉の同僚とショッピングに行ったら同級生と出会うっていう相対的に見れば割とレアな方のイベント弾き出してるから、俺からは特に何も言えんが。

 

「……ん? 妹? この前はあの人の事姉って言ってなかったか?」

 

「……………………」

 

え、そんな事言ったっけ。*1俺の記憶力がなさすぎるのかこいつの記憶領域が広いのかは分からんが…それについては、今はいい。

誤魔化さねば。さもなければ死ぬ。俺が。社会的に。

 

「…………気のせいだよ?」

 

「いや、確かに姉って言って……」

 

「気のせいだよ?」

 

「え……何かお前、口調おかしくね……? いや、ちょ、近…」

 

「気・の・せ・い・だ・よ?」

 

「は、はいぃ…………」

 

よし、オッケー。万事解決。

奥で未だにきゃっきゃしてる20才児、さっさと帰るぞ。こんな魔窟からは早くおさらばしたい。これ以上お前らのお遊びに付き合ってられるか。

そうして悠然と歩く俺の後ろ姿を見ていた不良と主将の目は、少し恐怖に染まっていた。

 


 

628:名無しのライバーID:a/+j25vJ9

夏だ!

 

629:名無しのライバーID:6Go9tvRBZ

海だ!

 

630:名無しのライバーID:DmrElj2T0

セミファイナルだ!

 

631:名無しのライバーID:VSlbq04kp

>>630 や め て

 

632:名無しのライバーID:+MVpmKS6Y

>>630

みんなのトラウマ

 

633:名無しのライバーID:alXJIvoAH

み"っ……!

 

634:名無しのライバーID:ZGAOE3Mr/

泣いちゃった!

 

635:名無しのライバーID:YjYlvFfoa

まあ実際今外はセミがクッソうるせえからな

 

636:名無しのライバーID:2S31JYN3n

あ、そうなん?

 

637:名無しのライバーID:aRhke3QF0

うるさい所は本当にうるさい

 

638:名無しのライバーID:AlMATdlyI

静かな所に住んでてよかった…

 

639:名無しのライバーID:qORQDoiRM

>>638 おいそこ代われ

 

640:名無しのライバーID:KpK8H+RsB

イヤホンとかつければいいのでは?

 

641:名無しのライバーID:8jeY11/3N

音楽聞けよ定期

 

642:名無しのライバーID:7sciAYNor

貫通してきますが何か?

 

643:名無しのライバーID:VWwM+loBH

自慢気に言ってんじゃねぇよ!

 

644:名無しのライバーID:gzrNmzmjr

何で威張ってんだ

 

645:名無しのライバーID:5hgtrbcx7

森林近くは毎日毎日虫がうるさいンゴねえ……せや

 

646:名無しのライバーID:12MqaKjwO

>>645 ちょっと待てや

 

647:名無しのライバーID:0IXW2BEEt

伐採するとか言わないよね……?

 

648:名無しのライバーID:5hgtrbcx7

>>647 やるかそんな事

海行こうかな思ただけや

 

649:名無しのライバーID:cQucZ7EQd

耳障りな声が虫から人間に変わるだけやで

 

650:名無しのライバーID:kFCix5G7B

確かに込み具合酷そう

 

651:名無しのライバーID:vcoDi8q+6

海開きから少し経ってるからな

初日もそうだが今行っても多分流れてるのは海水じゃなくて人の波やで

 

652:名無しのライバーID:PtYCFrm6w

>>651

誰がうまい事を言えと

 

653:名無しのライバーID:yXxWLEDN5

諦めて市民プールにでも行ってこい

 

654:名無しのライバーID:/TSPJEF3F

せや…せやな…

 

655:名無しのライバーID:FK4iTXxgZ

ここで皆さんにビッグニュース!!

あむりんがワクセイに騙されてお風呂ASMR出したからこれ聞きながらプール入ろうぜ!!!

 

656:名無しのライバーID:UQzlSmC+l

>>655 YEAHHHHHHHHHHHHHHH!!!!!

 

657:名無しのライバーID:fylsz/LPI

>>655

でかしたワクセイ!!

 

658:名無しのライバーID:icwon5TgV

>>655 あいつもたまにはいい仕事するやん!

 

659:名無しのライバーID:Keb53znJe

>>655 ヒューッ!!

 

660:名無しのライバーID:C1lpd2LY8

>>655

今年の夏はこれで決まり!!

 

661:名無しのライバーID:/v9h+5ASi

つくづく陰キャらしい夏休みやなぁ!!

 

*1
5話参照

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。