ブルーアーカイブの隅っこで   作:カピバラバラ

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Lady…

ミレニアムシティ

 

 

ゲーム部 部室

 

 

 

「ちょっ!端での投げハメは狡いってば!」

 

 

「ユズから教わった必殺の型です!狡くありません!」

 

 

「うん、キャラ限限定条件下での投げハメ…コマンドミスも無い、上手くなったね、アリスちゃん」

 

 

K.O!

 

 

「うわぁぁ!?もう!ユズ!なんでそんな事教えちゃったんだよ!?これじゃ持ちキャラの『SUMOUレスラー』が使えないじゃん!」

 

 

「うぅ…それは、アリスちゃんがモモイにどうしても勝ちたいって…」

 

 

「アリスのWinです、私より強い奴に会いにいく…!」

 

 

「ムッキー!まだBO3で一回勝っただけじゃん!もう一回しよ!あんな状況にさせなかったら私が勝てるし〜?」

 

 

「今度はモモイがチャレンジャー…ですね」

 

 

「ニヤつくな〜!ムカつくー!!」

 

 

「三人共……本当にエデン条約の生配信見なくていいの?」

 

 

「後から見る!今はアリスをボッコボコに…!!」

 

 

コンコンコン…。

 

 

「「……?」」

 

 

「お客さんですか?」

 

 

「…わ、私隠れとくから……」

 

 

いつもの様にゲームをしていた四人。

エデン条約そっちのけで格ゲーを遊んでいた最中、ふと部室の扉がノックされた。

 

 

「先生かな?」

 

 

「先生は今エデン条約の調印式に参加途中らしいし……こんな時にユウカが来る訳も…」

 

 

コンコンコン……。

 

 

「…うーん、開ける?」

 

 

「うん、開けてみよっか」

 

 

ガチャッ、と扉を開ける。しかし面と面が合わさった瞬間、『どうぞ』と声をかける前に、悲鳴が喉から上がってしまった。

 

 

「わーー!?!へ、ヘル、ヘルメット団!?なんで!?」

 

 

「っ!!」

 

 

「……」

 

 

扉を開けて飛び込んできたのは、真っ黒なヘルメットを被った少女であり、何処からどう見ても襲いに来たヘルメット団にしか見えない。

 

 

「じゅ、銃!銃何処だっけ!?」

 

 

「……あ」

 

 

「なんでココにヘルメット団なんか!?」

 

 

「戦闘開始です!」

 

 

「外すの忘れてた」

 

 

アリスがスーパーノヴァを構え、モモイとミドリが部屋を駆け回る中、訪問者がヘルメットを外し素顔を晒す。

 

 

「…あ!!」

 

 

「ど、どうしたのアリスちゃん」

 

 

()()()()!」

 

 

 

 

「「「………」」」

 

 

 

「「「…!?!?!?」」」

 

 

 

 

「久しぶり、アリス」

 

 

「おか、おおおお母さん!?」

 

 

「アリスちゃんどういう事!?え!?その見た目で…け、経産……」

 

 

「」スッテンコロリンギッタンバッタン

 

 

「ユズが気絶したーー!?」

 

 

ドッタンバッタンと皆が転げ回る中で、来訪者はそっとアリスに近寄り話し出す。

 

 

「ごめんねぇ、アリス…長い間待たせて、何ヶ月振りになるのかな…悪い大人が会いに来たよ」

 

 

「はい!アリスお母さんとの約束をずっと守っていました!褒めて下さい!」

 

 

「偉い!賢い!良く頑張ったね、ヨシヨシ…」

 

 

「えへへ…」

 

 

眩しく微笑むアリスを見てみると、本当に親しい仲である事が分かる。

ワシャワシャと頭を撫でる彼女に害意も悪意も無さげではあるのだが…。

 

長い間アリスと共に過ごしてきたからこそ、彼女の穢れない純粋さを一身に受ける謎の人物に対してより困惑してしまった、身元不明、バッチリ不審者である彼女に。

 

 

「ねぇモモイちゃん、ミドリちゃん、少しだけアリスと話してきていいかな?」

 

 

「えぇ…えええ?これって現実?夢を見てる訳じゃないよね?」

 

 

「アリスのお母さん……という事はアリスってロボットだから、産みの親…もしかして、アリスちゃんを作った人なんですか?」

 

 

「うーん、ちょっと違うんだけどね、アリスがお母さんって呼びたいらしいからそう呼ばせてるだけで、本当にお母さんって訳じゃないよ」

 

 

「そ、そうだったんですか…良かった、学生さん?ですよね、それなのにてっきり…」

 

 

「はは、いやいや違う違う、まぁとりあえずアリス借りてくね〜」

 

 

「……ま、まって……下さい」

 

 

そのままアリスを肩車して出発しようとしていた所を、ロッカーから転げ落ち、気絶から立ち直ったユズが引き止める。

 

 

「アリスちゃんは…私達の部員で、今は活動中の身です……その、私達の家族の様な子でもあるんです……だから、お姉さんの身分を教えて貰わないと、幾らアリスちゃんが良くても、えっと、部長である…わた、私が許しま、せん…」

 

 

「ユズ…」

 

 

「分かったよ、部長ちゃん……羽音デミ、この名前に聞き覚えは?」

 

 

「……」

 

 

「誰それ?ミドリは聞いた事ある?」

 

 

「ううん、全然」

 

 

「そうだよねぇ、どうやってちゃんと身分を証明しようか…」

 

 

困った様に頭をかいて、ニコニコとしているアリスの頭を撫でながら考え事をする不審者。

印象は最悪だったけれど、アリスちゃんがここまで懐いているのなら問題ないかと思っていた。

 

 

 

 

その名を聞いた瞬間から、ユズがとる行動は既に決まっていたのだけれど。

 

 

 

 

「羽音」

 

 

 

「ん〜?」

 

 

 

「……羽音、デミ、貴方にアリスは渡しません」

 

 

 

「ふ〜ん?おっかしいなぁ、ソレ、ちゃんと消した筈なんだけど」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

混沌とした戦場に血の雨が降る。それは比喩では無く実際に、エデン条約調印式の場に血の雨が降っているのだ。

 

 

上空の気球船の爆発、地下から湧き出してきた怪物達、そして……。

 

 

 

ギャリギャリギャリギャリッ!!

 

 

 

「後何回すり潰せば倒れてくれる?」

 

 

「何回でも」

 

 

たった二人で血の雨を降り注がせている張本人達は、ジェット機がぶつかった様な衝撃を古聖堂に与えながら衝突を繰り返している。

 

あの場に居た誰もが、唐突に消えた二人の動きを認識出来ていなかった、既に調印式の場で戦ってる事も、この血の雨が全てデミの肉体から出ている事も知る由はない。

 

 

「貴方、少し…弱くなった気がするけれど、何かあったの?」

 

 

「……」

 

 

「それにあの時の無茶苦茶な馬鹿力も、その出鱈目な威力の銃も使わないのは何故かしら」

 

 

「………」

 

 

 

「…語らず、ね」

 

 

今の彼女には、あの時の様な凶暴性や狂気を感じ取れない。怪物的な再生力を活かした特攻も、建物を使った戦闘も避けている。

 

それに羽虫の様に付き纏っていたあの怪物も、距離を一気に突き放してからは追ってきていない、戦闘能力に何かしらの不備があるのならば、その穴を埋める為にアレらをつき従えているのかと思っていたが…。

 

 

「…畳み掛ける」

 

 

デストロイヤーの銃身が赤熱するまで撃ち尽くし、地面に向かって殴り飛ばしてからデミを踏み潰しにかかる。

 

 

「神父と教典」

 

 

「……!」

 

 

地面にめり込んだ状態で機敏に動き出した、踏み付けは外れ尚も逃げ回るデミを追おうとする。

しかし目を凝らして見れば彼女の身体から飛び出した黒い何かが、人の形を取って周りの人を襲い始めた。

 

 

「ひっ…だ、誰か助けて…!」

 

 

「…不味い、一般市民の居る所に……」

 

 

調印式の場に居るのは、警備を除けば万魔殿の兵にトリニティの武力派達、ただ役員として参加してきたトリニティの人間には戦闘能力は無い。

 

その救助に行こうとする動くが、唐突に振り下ろして突き刺さっていた右足にズンっと重みが掛かる。

 

 

「チッ…邪魔」

 

 

ガガッ!!

 

 

足止め、瓦礫の下からあの時の怪物に似た容姿を持つ小型の敵の手が私の足を掴んでいたのを無理矢理引き抜いて拳で破壊した。

 

 

「助けっ、あっ、やめなさい!やめ、やめて!!」

 

 

「っ、取り込んで…!」

 

 

黒い塊がトリニティの生徒に触れた瞬間、その箇所から融合が始まっていた。

 

 

「キャァァァァ!!?」

 

 

「おい!大丈夫か!!クソ、コイツ!離れろ!」

 

 

「銃が効かない!?…っ、各員退避!ナギサ様の元へ、先程のスピーチは聞きましたね!襲撃者の狙いは私達全員です!散開せずに古聖堂の中へ!」

 

 

次々と広がっていく被害を尻目に、逃げ回る彼女への最適ルートを考える。

 

 

(時間稼ぎ、ただそれだけじゃない……目的が不明な以上、時間が経てば達成されるものなのか、彼女自身が私を振り切って何かをする必要があるのか…)

 

 

「………ふぅ」

 

 

深く息を吐き、瞳を閉じる。

 

 

 

 

ーー集中。

 

 

 

「シッ!!」

 

 

ドガンッッ!! 破裂音か爆破音か、爆音が鳴り響いた瞬間…。

 

 

「…マジか」

 

 

()()()()()()()跳ね返る事で、瞬きの一瞬で殲滅。デミがどう動こうがこのまま地面に磔にし続けようと拳を叩き込んだ。

 

 

「終わりよ」

 

 

「が…っ…いや、間に合った」

 

 

防御の上から叩き潰す、一々言葉に反応して隙を作る訳には…ーー

 

 

「ッ!!!」

 

 

悪寒、戦場における一番の相棒である直感で自分の頭の後ろに向かって振り向きながら手を突き出した。

 

 

ドカァァァン!!

 

 

「……痛いわね」

 

 

(プレデターミサイル?そんな兵装なんて…)

 

 

「「それじゃちょっとは痛がって欲しいっす、微動だにもしてないのに」」

 

 

「…アレ、本当に人?」

 

 

「ひ、ひぇぇぇええ…アレの直撃を受けて傷一つ付いてないですぅ!?もう駄目ですぅぅ!ミサイル抜きでヒナさんを殺すなんて無茶だったんですよ!!」

 

 

「説明に時間かけすぎ、はよ来い」

 

 

「「あいよ」」

 

 

振り向けば、見知らぬ顔が二つ、見知った同じ顔が二つ。

 

 

「同じキャラが揃えば神名文字になるってね、合体合体と…」

 

 

その場に揃った同じ顔の三人は、手を繋ぎ取り合って、溶け合う。

 

 

「それじゃ、やりましょっか」

 

 

「…そういう事か」

 

 

「えぇ、そういう事っす、今は丁度三割って所っすかね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『アリウス分校生徒会会長に…ーー』

 

 

 

「……な」

 

 

“そっか、やっぱりベアトリーチェは既に…”

 

 

「何が……何がどうなっている…連絡がどうして繋がらないんだ…!!」

 

 

聞こえてくるサオリの声は、力弱く震え、今にも掻き消えそうな細さを持って、吐き出されている。

 

 

「生徒会長だと…?ふざけるな、そんな…だったらマダムは…」

 

 

“サオリ”

 

 

「…だとしても……か…変わらない、変わらず全てはただ虚しいもの、私達の復讐に、憎しみに終わりは無い、奴が命令したのは変わらず両校の粛清」

 

 

「その最大の障害を、ここで排除する」

 

 

“………”

 

 

カチャッ…。

 

 

“サオリ、貴方の事を私はよく知らない”

 

 

「……」

 

 

“私の中の記憶に在る貴方の姿は、幼いアツコ、ミサキ、ヒヨリと共に微笑む貴方だけ”

 

 

「貴様…それを何処で…」

 

 

“そして彼女らを背に、誰よりも前に立つサオリの姿”

 

 

“貴方は私達大人が果たすべき責任を、幼い頃から背負っていた、誰よりも人一倍…あの子達を守る為に”

 

 

“私はまだ、それだけしか知らないから、教えて欲しいんだ”

 

 

“今のサオリが…ーー”

 

 

バンッ!!

 

 

 

「黙れ」

 

 

放たれた弾丸が空中で止められた。

 

 

「黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ!!甘い言葉、耳当たりの良い言葉しか吐けぬ愚者が!!貴様の様な人間の手で私達の居場所は奪われた!私の事を知りたい?勝手に覗いていろ!!無意味で無価値、虚しい人生が貴様の目を奪い時間を稼げるのなら幾らでも差し出してやる!!」

 

 

“…サオリ”

 

 

「知っているぞ、先生…貴様は偽善者の仮面を被っているのでは無く、偽善そのものが貴様の姿、大人という立場を使って子供に抗いようのない救いを齎す洗脳者……マダムと、何ら変わりない大人だ、銃弾が届かない力と暴力を無力に変える策略を背にして、何が生徒と向き合うだ」

 

 

先生を否定する言葉であるが……それは、彼女達のこれまでも否定する言葉。

今まで行ってきた全てが、抗いが虚しいものなのだと…。

 

 

「…あの女、羽音デミだったか」

 

 

“……”

 

 

「あの女がマダムの目に付いてから、マダムはおかしくなってしまった、それこそ先程の宣言が真実だと思える位には…」

 

 

「…だから、私は私の恩讐に火をつける、マダムが築き上げたものは虚しく崩れ去っていたんだ、アズサがこの世界から出ていった時から……いや、それよりも前、アズサが抗う為の答えを掴んでからずっと」

 

 

私の目に浮かぶのは、何時だってこの現実だった筈の世界から消えたアズサの背中だけ。

 

 

銃口は下ろさない、トリガーに掛けた指は今すぐにでも引けるようにしてある。

 

 

だから、とりあえず深呼吸をした。

 

 

「……〜…はぁ…」

 

 

どうすれば追いつけるんだ、どうすれば走れるんだ?

 

 

その答えを、未だ知らない私には、何も出来ない。

 

 

敵に聞けと?先生に、その立場ならと。

 

 

 

「先生、その名にかけて聞きたい」

 

 

今までの私なら、有り得ない事だ、戦場で敵に向かって言葉を放つ等。

 

 

けれど、けれど今は……何か、どうでも良くなってしまった気がする。

 

 

計画外の裏切り、唐突の襲撃者、そしてマダムに替わる人物…急に色々な事が起きすぎて、少し疲れたのかもしれない。

 

 

“うん”

 

 

 

「私達は……どうして」

 

 

だからといって、この質問をするのは間違っていると理解している。

 

 

理解している筈だ。

 

 

 

「……どうして、生き続けなければならないんだ?」

 

 

 

 

あの時の私には、答えられなかった問い。

 

 

 

 

「私達の結末は決まっていて、今を生きる事も、明日を望み生き続ける事すらも、本当は虚しい筈だ」

 

 

「……なら、何故アズサは走り出していったのか、何故幼い頃の私は…」

 

 

「…どうしてなんだ、先生」

 

 

“その答えを私が話す必要は無いよ、サオリ”

 

 

「……」

 

 

“アズサがそうだった様に、サオリ…貴方もその答えを既に得ているから”

 

 

「なっ」

 

 

“サオリは『私達の結末は決まっている』って言ったよね、そしてその結末がある為に虚しいとも”

 

 

“私の結末も決まっている、皆、最後には骨となり、消えていく運命…だからこそ結末なんかに意味は無いんだよ、サオリ”

 

 

“結末は私にも、誰にも変えられない、けれど結末が虚しいから今を、明日を生きる事すら虚しいのか?そうでは無い事を、サオリは知っていた筈”

 

 

“貴方は何の為にベアトリーチェに付き従い、アリウスに入校し、あらゆる苦しみと哀しみを背負ってきたのか”

 

 

()()()()への答えは、分かっている筈”

 

 

「そ…れは……どうして、か…」

 

 

緩く、瞼を閉じる。

 

 

「……」

 

 

何時まで映り込んでくるのは、アズサの背中ともう一つ。

 

 

「…私は」

 

 

アツコと、ミサキと、ヒヨリと一緒に…笑っていたかった

 

 

アツコ達と一緒に、明日を迎えたくて…

 

 

あの写真は、私の心から片時も離れた事は無い。

 

 

「抗う事を、選んでいた?」

 

 

“そうだね、サオリはその道を選んだんだ、そして間違った教育を受ける事になってしまって、『自分の事』を忘れてしまった”

 

 

“終わりを迎えるまで、私達には多くの選択が出来る、そうやって選び続け、歩み続けた先の結末に向かって……その虚しい筈の結末に向かって、言い放つ為に”

 

 

“Vanitas vanitatum et omnia vanitas Sedetiamhodieresistamus(神は死んで今日も抗う)

 

 

 

「…………」

 

 

 

“だから”

 

 

“だからこそ、私は生徒を導く先生として”

 

 

“貴方の事をもっと知らなくちゃいけない”

 

 

 

「来るな」

 

 

 

引き金を引かせないでくれ、照準を向けさせないでくれ。

 

 

 

“貴方達の苦しみの、その責任を取るために”

 

 

「…っ」

 

 

一歩踏みよられる、二歩、近づかれる。

 

 

三歩、手が届く距離に居る。

 

 

“何度でも言う、私は私の罪業が故に”

 

 

“貴方達へ、贖罪を”

 

 

「…さらばだ、先生」

 

 

 

射撃音が曇天にコダマして

 

 

されども(現実)は終わらない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

上空からマガジンが落ちてくるのを気配で察する、周囲の敵の気配も既に希薄だ。

 

 

(アコ、ありがとう)

 

 

恐らく私の戦闘を邪魔しない様に、全兵力を以てあの背後に居た怪物とユスティナ聖徒会を足止めしている最中だろう。

その証拠に、私の五感な伝わってくる情報に目の前の敵以外の余分なものは無い。

黒い塊も、彼女自身の身体から分裂しなければならないようで、ここで彼女を縛り付けている間は問題が無い。

 

 

以前の経験からして彼女の戦闘センスは差程のものでは無いと知っていたが、今回は事情が違うようだ。

 

 

「ふっ!」

 

 

ヒナがドローンから落ちてきたマガジンを手に取る、そして交換する事で地面に落ちようとしていたドラムマガジンを蹴り飛ばし、先程蜂の巣にしていたデミに向かって音速で飛んでいく。

 

 

ガギャッ! という変形音と共に、音の壁を突き破った空のマガジン(投擲物)が以前の様にデミの身体を地面の染みへと変換するかと思われたが……。

 

 

「…なるほど、少しは学ぶのね」

 

 

「少しは」

 

 

一切の肉体強度を捨てる事によるすり抜けによって、無傷を装う。

 

 

「チッ、化け物共…アイツらの間に割って入れない」

 

 

「私達が連れてこられた意味って何なんでしょうか…虚しいです…」

 

 

右往左往していると、先程の地鳴りよりも更に大きな揺れと音が戦場を覆った。

 

 

「今度は…何…!」

 

 

「次は何なんですかぁぁ!?」

 

 

「……これは」

 

 

実の所、アンブロジウスを除きグレゴリオ、ヒエロニムスは風紀委員にも正義実現委員会にも足止めはされていなかった。

 

 

湧き出てくるユスティナ信徒と不死のアンブロジウスによって戦場は混迷し見逃されていたが、肝心の二体はその姿を消していた。

 

 

 

「はしゃぎすぎっすよ、マエストロ」

 

 

 

…ーー瓦礫の山が、爆破によって吹き飛ばされる。

 

 

 

 

「教義はここに完成した、ロイヤルブラッドのミメシス、虚の閨の権能、彼等は失敗作を超え、羽化し、降り立った」

 

 

「先生、貴方にお見せしよう、私の芸術を……!」

 

 

 

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