ブルーアーカイブの隅っこで   作:カピバラバラ

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ミレニアム スタディーエリア

 

 

調印式 一時間前

 

 

「今日は随分と人が多いな、アレか?エデン条約か?」

 

 

「そうそう!エデン条約?だっけ?今は色んな場所でお祭りしてるんだって!リーダーも一緒に遊びに行こうよ〜!」

 

 

ーーC&C コールサイン00 コールサイン01

 

 

今日は制服でお出かけ中。

 

 

「見て見て!コレ!舐めた形で固まるわたあめだって!」

 

 

「…飴じゃねぇか、つか昼飯食った後にそんな甘いもん食べれんのか?」

 

 

「うん!」

 

 

ミレニアムに関連が差程無いとは言え、三大マンモス校の内二校が協定を結び共に歩んでいくとなれば、どこもかしこもお祭り騒ぎ。

記念品や屋台に出店、先進が極まっているミレニアムといえど古式のお祭りを開いてしまう人の性からは逃げられないようだ。

 

 

「……」

 

 

「も〜…リーダー全然楽しそうじゃないじゃん」

 

 

ネルはこの雰囲気が肌に合わないのか、退屈そうに後ろ頭を掻いたり欠伸をしている。

 

 

「祭りにも調印式にもあんまし興味ねぇからなぁ…どっちかと言えば仕事の対応がめんどくさい案件が増える、関係者にトリニティ、ゲヘナアタシらにとっちゃ都合の悪い話だ」

 

 

「う〜ん?仲良くしようってお話なのに、私達には悪いことなの?仕事の数が減っても皆んなと一緒に御奉仕するのは変わらないんでしょ?」

 

 

「おま……いや、アスナの言う通りだな、C&Cの根本が変わる訳でも無いし難しく考える必要は無いか」

 

 

「うん!難しい事は置いといて、今は遊ぼ!」

 

 

「…あぁ、分かっ…ーー」

 

 

身体に伝わる浮遊感、高くなる視線。

 

 

「おい!なんで肩車してんだ!?」

 

 

「えー?だってこんな人混みの中だとネル先輩は直ぐに迷子になっちゃうし、これならリーダーも高い所から色んなお店見れるから!」

 

 

「お・ま・え・が! いつもすぐどっか行って迷子になってんだろ!迷子になってんのはアタシじゃねぇ!!てかちっちゃいっつったか!?」

 

 

「それじゃ出〜発〜!」

 

 

「話聞けよ!!おい!?どこ行ってんだァァァァ!?!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「リオ」

 

 

無機質で冷たい扉に向かって声をかけるが、当たり前に返事は無い。

 

 

「緊急事態です、話を聞きなさい」

 

 

周囲が鉄に囲まれた空間で声を発しているのは、ミレニアムで歴代三人しか得る事が出来なかった『全知』の称号を持つ天才ハッカー…

 

 

明星ヒマリ。

 

 

「『空白』の目的が分かりました、直にここも襲撃されて貴方の本目的すら破壊されますよ」

 

 

そして彼女が訪れているこの場所は、要塞都市エリドゥ。

 

 

『わざわざ敵がこの要塞に踏み入れてくれるというのなら好都合よ、エリドゥの演算機能とトキが居る限り私の計画に不備は無い』

 

 

そして返ってきた返事は部屋に響く機械音で、姿は見せること無く『不備は無い』と断言する。

 

 

「強情も今は自分の首を絞めるだけですよ?現在の調印式の混乱は『空白』の仕業です、『空白』が真にあの場での目的を果たせば貴方が誇るあの機械兵団も、トキも失う事に…」

 

 

『黙りなさい、名も無き神々の王女と同じです、有り得ない事を言論として用いた所で既に解決法が出ている議題に変更はありません、王女が破壊されれば『空白』も何れ自壊する』

 

 

「やはり行き着く先はそれですか、アリスちゃんはただの可愛い高校生だというのに…」

 

 

『貴方は夢想を抱くだけで現実を見ようとしない、確かに貴方の頭脳から導き出された『可能な未来』があるとしても、それは砂漠から砂金を探す様なもの、そんな自殺に近い賭けに付き合うつもりはありません』

 

 

「あら、冷徹非情の貴方が感情を計算に入れた勝負を賭けとして認めるとは、何かおかしなものでもたべましたか?」

 

 

『…茶化すのなら追い出すわよ』

 

 

「そういう訳にもいかないんですよ、リオ、貴方が考えている以上に事態は切迫しています、今すぐにでも……」

 

 

「アリスちゃんの元に、トキを送りなさい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あははははー!!ここどこー!」

 

 

「じゃあなんで分け目も振らずこんな場所まで来たんだよ!!学園の裏側に店もなんもねぇだろうが!」

 

 

「えー?うーん、なんでだっけ?」

 

 

先程までリードを手放された大型犬の様に走り回っていたのに、人気の無い静かな場所に到着した瞬間凍り付いたかの様に脱力してしまい、ネルは肩から転げ落ちそうになる。

 

 

「おっとっと、あん?」

 

 

「あれ、どうして私…ん…なんでだろ?」

 

 

「…あー…」

 

 

「分かんないけど、リーダーはここに居た()()()()と思う!私は別の所遊びに行ってくるねーー!!」

 

 

「おう、分かった…楽しんでこい」

 

 

「うん!」

 

 

「………」

 

 

彼女の秘密を、先生とC&Cのメンバーだけは知っている。

 

理屈が付かない絶対的な幸運、それ故に脳のショートが定期的に始まってしまう代償を抱えている。

 

その幸運が真に偶然なのか、それともキヴォトス人でも耐えきれない高度演算を行っているのかは定かでは無いが……。

 

 

「出てこいよ」

 

 

その代償はより大きな幸運と、より大きな脅威に遭遇した時にも発揮される。

 

 

「はあ」

 

 

誰も居ない筈の細道、空耳では無くハッキリと溜息がネルの耳に届いた。

 

 

「…へへっ」

 

 

「久しぶりだなぁッ!!喪服野郎!!!」

 

 

「最悪」

 

 

跳ねる幸運のうさぎの足は、神をも滑稽に踊りまわす。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さてと」

 

 

マガジンは懐に仕込んでいるのを含めて八個、以前に潰しきれてねぇのを考えると撃ち合いそのものが不利か。

 

 

「えっと、取り敢えずお話でも…」

 

 

「アスナがこんな辺鄙な所にアタシを連れてきた時点で、お前に弁明の余地はねぇよ、白髪喪服」

 

 

「……なんで私が見えてるんすか?というか服も今は違うのに…」

 

 

「勘」

 

 

紛れも無くヤツだ、極限までに存在感が薄いのにアタシの背筋には冷たいモノが走り続けてる。

 

 

あの後も一応は白髪のヤツのリストは調べ直したんだが、どれだけ調べてもあの時の喪服の条件には合わなかった……が、一人…可能性のある奴が居た。

 

 

メッシュだから候補からは外してたが、そもそもあの黒髪が元じゃなくて『白髪が下地だった場合』、ピッタリの奴が居たんだ。

 

 

「お前羽音デミだろ、色々やらかして、次は何をしようとして……いや、()()()()()()?」

 

 

「……」

 

 

「…だんまりか、ウゼェな」

 

 

以前姿は表さねぇし、胡散臭え……だが、キヴォトスに透明迷彩の技術を持ってるのはミレニアムぐらいだ、トリニティのコイツが持ってる理由は……凡そ悪い事でもしてんだろ。

 

 

「業務時間外なんすから、調印式のライブでも見に行けば良いのに……仕事仕事じゃ疲れますよ?」

 

 

「自分の事を一つも話さない奴に、生活を指示できるほど高尚なもんはねぇだろ」

 

 

「これでも高尚な理由で活動はしてるんすけどねぇ」

 

 

風の流れ、聞こえてくる声の方向でアイツが何処にいやがるのかは大体分かった、アスナがアタシをここへ連れてきた時点でコイツはサッサと潰さなきゃいけない厄ネタ……。

 

 

だが、目的を聞き出してからも遅くは…ーー。

 

 

「ネルさんッ!!!」

 

 

「あ?って、デコ!お前…」

 

 

腹の底から出た良い叫びが耳に入ってきて振り返ってみれば、あのゲーム部の部長が涙と鼻水で顔をぐちゃぐちゃにして走ってきてやがった。しかも結構ボロボロだし、遠いしで良くここまで声を届かせれたな…?

 

 

 

「アリスを……」

 

 

 

 

 

「アリスを、助けて下さいッ!!!」

 

 

 

転び、泣きながらも強い意志を持ってユズは叫ぶ。

 

 

そしてその叫びは、確かにネルの耳に届いた。

 

 

「…ーー」

 

 

 

…アタシは、あのユズって奴の事は良く知らねぇ。

 

 

初めて顔合わせしたのもゲーム部に報復を仕掛けて、あのチビとタイマンを張った時だ。ありゃ一目で分かった、ビクビクと怯えながら他人を拒絶している奴の目をしてた。

 

 

つまらない奴だったからな、アリスと遊ぶ時に部室には邪魔するが、ロッカーに籠りきりで特に興味も無かったが……。

 

 

 

「C&Cコールサイン00(ダブルオー)

 

 

お前、相当危ない橋を渡ってきたんだろ?相手が相手だ、それにボロボロだしな。

 

 

「依頼達成率、100%…肩書きとして、約束された勝利の象徴なんて呼ばれてる」

 

 

あるじゃねぇか、度胸。

 

 

友達の為なら億さず胸張れる根性が。

 

 

「その依頼請け負った」

 

 

「…これだから本当に……もう、諦めてくれないっすか?」

 

 

「おい」

 

 

声と共に届くのは純粋な殺意。

 

 

姿を表さない理由も、妙に気持ち悪い感覚も、アスナがここにアタシを連れてきた理由も、今お前が何をしているのかも分かった、なら加減する必要はねぇよな?

 

 

「……かかってこい」

 

 

「誰がお前みたいなダセェ奴に構うかよ、おいユズ!」

 

 

「ピッ…な、なんでなん、なんでしょうか!」

 

 

「ったく、何時まで泣いてんだ……あぁもうほら、顔上げて胸張れ!」

 

 

「キヴォトスで一番カッケェお前が、今一番ダセェ奴に見せつけてやれ、高尚な理由ってもんがどんなものなのか……ダチの為に立って走れるお前の姿を」

 

 

「アタシが言い訳ばっかして逃げてやがるダサいザコに、代わりに教えこんでやるよ」

 

 

「教えて貰いたいっすね、私の使命よりも高尚なモノを」

 

 

「言ってろッッ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

かくして始まった調印式は、混迷を極め、それぞれの舞台の主役も到着した。

 

 

 

古聖堂 調印会場

 

 

 

「三割如きで、本当に勝てると思っていたの?」

 

 

「なんで総力戦と大決戦同時に相手にして、避難民を助ける余裕があるんすか?」

 

 

「…ヒヨリ、離れよう、あれに巻き込まれたら死ぬ」

 

 

「賛成です!!!」

 

 

「……やはり先生、貴方が居なければならぬ、芸術を真に理解せし貴方がいなければ…」

 

 

「「■■■■■■■■ーーーー!!!!!!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

古聖堂地下 カタコンベ

 

 

 

冷たい地下の中で、ここでもまた火種が産まれている。

 

 

「マエストロは先に行ってしまいましたか」

 

 

頭上を見上げれば、グレゴリオとヒエロニムスが地上まで貫通して空けた大穴から太陽の陽射しが差し込んでいるけれど、降ってくる血の雨にカタコンベは彩られていた。

 

 

本来の目的であった教義は捻じ曲げられる必要も無く、空は青々しく澄み渡っている。

 

 

「…貴方達は」

 

 

「おや、おやおや…ククッ…ロイヤルブラッド、仮面を外して宜しいので?」

 

 

「うん、貴方達を待っていたから」

 

 

その言葉で、黒服の瞳と呼ぶべきであろう位置の炎が少し燃え盛る。

 

 

「はて」

 

 

「ゲマトリア、マダムと同じキヴォトスの外からやってきた大人の人」

 

 

「………ロイヤルブラッド、貴方それを一体…ーー」

 

 

「わっ!?いてて…」

 

 

静かに燃える黒い炎の魔の手が伸びるより前に、後方から落下音と、落ちてきたであろう人物の声が聞こえてきた。

 

 

「何処…ここ……そうだ、私テレビ配信を見て、急いでナギちゃんに電話をかけようと…」

 

 

「ククッ…クックック……なるほど、なるほどなるほど…クククッ!惜しむは地下生活者…彼を解放せずに始めてしまった事ですかね」

 

 

「ん〜…?あ!黒服じゃん!やっほ〜☆」

 

 

「お久しぶりです、聖園ミカさん」

 

 

「死んでね」

 

 

豪速球で迫る拳は、黒服の胸部目掛けて確かな殺意と共に到来する。

 

 

「クククッ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

ミレニアム スタディーエリア

 

 

 

 

「一度言った筈だけどな、アタシの間合いに入って勝てるヤツなんか、このキヴォトスのどこにもいないって」

 

 

「なんでッ!見えて…!がッぐぅっ…!!」

 

 

ネルが傍から見れば何も無い空中にチェーンを巻き付けて、空中で殴り合いを始めている。

虚空との殴り合いも数分経てば、景色がブレ始め隠されていた姿を表した。

 

 

「随分と気持ち悪ぃ見た目してんだな、お前」

 

 

「持ち運びにっ!便利…ぃ…だからっす!!」

 

 

 

背中から肉の触手が飛び出し、それで作られた繭の中にアリスは眠っていた。

 

 

「後何発凌げるんだ?お前の最大の弱点は前の戦いで理解したよ、頭に打ち込んじまえば気絶して終わりだ、それを嫌って無理に防御と意識を向けてるから隙だらけになる」

 

 

「御教鞭どうも!!そんな事話して不利になっても…!」

 

 

「ほらよ」

 

 

チェーンが巻きついているのは胴体、それを思いっきり引っ張って拳を深く握り、振りかぶるネルを見て…

 

それでもデミが腕で防御するのは顔面のみ。頭では理解していても行動自体をそうせざるをえないように操られている。

 

溝尾に入った拳がデミの呼吸を狭めた。

 

 

「かひゅっ…」

 

 

塞ぎ込んだ所にネルの裏拳、足でデミの首を挟み込んでから振り回すようにしながら頭を狙い続けているため、防御を余儀なくされていて

ネルのその圧倒的な近接戦闘の技量は、『相手』の人体をも己が武器として活用し、常に使われる方へ不利な二択を押し付け続けている。

 

 

この距離間では、全ての攻撃がネルにとっては簡単にカウンターが挟み込めるし、銃を撃とうとしたデミは手首を折られ自身の銃で顔面を撃ち抜かれてしまっていた。

 

 

ミレニアムが誇る勝利の象徴、その者が最も得意とする状況下で戦う場合出来ることは二つ。

 

 

ひたすらに防御をし続け、サンドバッグになるか、逃げるかだ。

 

 

「お前…なんでそこまで弱っちくなってんだ?アタシの数倍は馬力あっただろ」

 

 

「ゲホッゲホッ…ぐっ…ちから、強くなった所で……この状況はどうにもなんないっすから、省エネ的な?」

 

 

「……」

 

 

確かにアタシならあの時の力がコイツにあったとしても、空中戦で近接っつう有利条件で負ける気はしねぇ……が、省エネって事はコイツ、既に別の目標に進んでる途中か?

 

 

「もう!本当にアスナちゃんの事嫌いになりそうっす!!」

 

 

「さっさとチビを離せ」

 

 

「逃がしてくれても良いんすよ?」

 

 

「巫山戯るのも大概にしやがれ、限界は近いだろ?お前が何を考えてようが……ーー」

 

 

ネルがデミの襟袖に手を伸ばそうとした瞬間の事だった。

 

 

両者を繋いでいたチェーンが、急に一刀両断され、距離が離れる。

 

 

 

「なっ!?」

 

 

「あぁもう!やる事が多い!!」

 

 

間を断ち切り、空からホバーして降り立った金の髪とメイド服型のノースリーブにミニスカートを着こなす人物。

 

 

着地と同時に、デミに銃を構えトリガーに指をかけた。

 

 

「ターゲット確認、武装形態移行」

 

 

「あぁん!?テメェ誰だ?邪魔しやがって…」

 

 

「私はC&C、コールサイン04(ゼロフォー)

 

 

「はぁ?C&Cに04なんてコードネームは……」

 

 

「話は後にしましょう、先輩、今は『空白』の対処が先です」

 

 

「お・ま・え・が!!せっかくのチャンス中断しちまってんだよ!!!」

 

 

「……そうとも言えますね」

 

 

「なんでお前らは!アスナといい!!どっか変な奴はつくづくアタシをイラつかせる態度をとるのが上手いんだァァァァ!!!」

 

 

「……今の内に逃げれたりは…」

 

 

「はァっ…はァっ……クソ、突っ込み疲れた、つーか逃がす訳ねぇだろ馬鹿が」

 

 

「ぐぇぇっ!?」

 

 

いつの間にか繋ぎ直されたチェーンがデミの首に巻きついて離れない、唐突の乱入者だがこの距離をそうそう手放すほど隙は作ってないようで、ネルとデミの経験の差が状況を変わらさずにいた。

 

 

「ぐっ……ぎッ……がはっ…おう………じょ…け…いっ…!!」

 

 

「このまま…絞め落とす!04だかなんだか知らねぇがコレはアタシが受けた依頼だ!御奉仕が終わるまで黙って見とけ!」

 

 

「先輩、『空白』の手札はそれだけでは…ーーっ!」

 

 

トキの通信機に警告音が鳴り響く、リオから命令されこの場に来たが、この警報が鳴る事態はたった一つだけ。

 

 

《トキ、アビ・エシュフの一部武装の解放を認めるわ》

 

 

「了解しました、アビ・エシュフの武装のみ限定解除、対象の殲滅にかかります」

 

 

「殲滅って、おい!黙って見とけっつってただろ!」

 

 

トキの腕に成人男性の腕二回り分程の機械アームが覆っていき、簡易的な機関銃を形成する。

 

口径30ミリ、対象を消し飛ばずには過剰火力とも言えるソレの照準をデミに…ーー。

 

 

「……は!?!?」

 

 

「えっ!?待って、そこにはっ!」

 

 

ではなく、デミの背中に形成されている繭に向けられ発射された。

 

 

しかしそれは何重にも重ねられた肉の触手によって弾かれる。そして繭が解け、中からのっそりとアリスが起き上がって……。

 

 

「王女、名を、今呼びましたか……」

 

 

「………武装解除、限定解除、最大、殲滅対象『アリス』こと『名も無き神々の王女』特殊武装:アームギア…」

 

 

「おい、今殲滅対象って…!!」

 

 

「ま、まって!」

 

 

「…あぁ、始めましょう、私の大切なAL-1S、【ATRAHASISプロトコル】」

 

 

 

 

「「起動」」

 

 

 

古の民、十の戒命、その体現者が目覚める。

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