ブルーアーカイブの隅っこで   作:カピバラバラ

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ちょっと他作品に浮気していました……。数話だけだけど、新しく書き始めたら止まらなくなっちゃって、ごめんなさい…。




焚べろ!全てを!!

『ーー皆さんとお別れを』

 

 

あの日の黒服の言葉が耳に張り付いている。

 

 

「……」

 

 

ナラム・シンの玉座で横たわりながら、意識の波へと沈んでいく。

 

 

「…嘘ついてごめんなさいっす、ツルギ先輩」

 

 

全部とは言ったけれど、本当に全部持っていった訳じゃない、最後の絞りカス…息を吸って吐くだけの身体は残してある。

 

 

「後ちょっと、後ちょっと……もうちょっとだけ、頑張らないと…」

 

 

勝利条件は複数ある。

 

 

一つ、桐藤ナギサと羽沼マコトの誘拐。

 

 

二つ、天童アリスの奪取。

 

 

三つ、私の事を覚えている全ての生徒の一時的な排除。

 

 

四つ、先生を除いた私の認識のすり替え。

 

 

「『Pass』は…黒服、儀式はマエストロ、反転はゴルコンダ、生贄は…」

 

 

「私と、ベアトリーチェ」

 

 

トリニティでの騒動が終わった後に、ベアトリーチェの未来を観測する実験を行った。何れ行う実験だったけれど、『舞台装置』の末路が観測された瞬間にベアトリーチェは発狂した。

 

 

自分諸共全ての『意味』を破棄しようと、アリウスの生徒と信徒を全て破壊、殺害しようとしていた為にゲマトリアを追放され、彼女の意義という贄を手に入れる事に。

 

 

「この世界って…案外脆いなぁ…」

 

 

意義やら意味やら、付与された記号で変わりすぎだっての。

 

 

結局、どれだけ研究しても結論は変わらなかった、この世界は廃棄口で私の殺し方は存在しない。私が見た未来の通りにね。

 

 

このままいけば無名の司祭共に操られるまま世界を滅ぼしてちゃんちゃん、その為に先生を殺してシッテムの箱を破壊する。

 

 

「…でも、謎があった」

 

 

この世界は廃棄口、全ての生徒が()()()()()()()()()()()()()世界。

 

 

……なぜそんな突拍子のない事を言えるのか。

 

 

ここはあらゆる世界の運命の行き着く先を代換えする、負の運命の終着点。

自浄作用、世界の代謝運動、好きな様に言えばいい。

 

 

きっかけは、そんな世界に居た貴方の事だった。

 

 

シッテムの箱OS、アロナ。

 

 

貴方は、私が知りうる限りでは……連邦生徒会長とプラナに呼ばれた。

 

 

なら、何故…。

 

 

何故、貴方はこの世界に居るんだ?

 

 

「プラナは言った、ここにいたんですねって」

 

 

「連邦生徒会長はあまねく奇跡の始発点本編に戻った、じゃあ貴方は誰なの?アロナ」

 

 

だから試した、ありとあらゆる可能性を追求した。

検証の末、私は私の知識に手を出しもした、夏イベを一箇所に集めるように仕向けたんだよ。

 

 

「世界は何れ、泡沫が如く消え去る…ね、マエストロの思考に似てきちゃったかな」

 

 

この世界に色彩はやってこない、この世界にクロコはやって来ない、無名の司祭すら無自覚のまま世界の脚本に乗せられ続ける。

元より連邦生徒会長と羽音デミの手で行われた世界に対しての大規模な詐欺だったんだね。

 

 

「…この世界は、真反対だ…全ての生徒の運命は、本編がプラスに進むにつれてマイナスに進む反対の世界、アロナは『失敗している連邦生徒会長』という存在の現れだった、アロナテラーかな、言うとしたら」

 

 

「その運命の路を覆して、その負債を背負い込む贄として私は選ばれた」

 

 

「お前らの願い、終わる世界にせめてもの救いを求めた…身勝手で最高の願いで私は死ぬより苦しんだよ…」

 

 

「……満足?」

 

 

虚空に話しかけても、誰の返事も返ってこない、当たり前だ。

 

 

「…私の役目は、名も無き司祭の嚮導でも自分の手でもいい、全てのキヴォトス人を…殺害する事」

 

 

「その後に『何か』が起きる、何かが起きてこの世界は救われる、私は苦行と苦痛、贖罪の果てに世界を救ったという『免罪符』を……あの男を殺した罪が許されるほどの功績という『免罪符』が手に入る」

 

 

「後は許すかどうかは……自分次第か」

 

 

……それが、用意された道。

 

 

「……どこまで」

 

 

「何処まで私を馬鹿にしたら気が済むんだ?羽音デミ、連邦生徒会長」

 

 

「私に、最後の選択の機会を与えるのも……お前らの計画の、余り物」

 

 

「分かってる、全部善意だって…」

 

 

「分かってるよ………」

 

 

「分かってる…」

 

 

わかってるから、分かり合えない。理解しているから、理解し合えない。

 

 

私の運命のダイスの目はたった一つだけだった、何万、何億回振り直しても変わらない。

 

 

私はそれを喜んで振るだろう、選ばなくていいのだから。

 

 

…でも、もしも。

 

 

……もしもそのダイスの目が何も指し示さない無地の白だったら?

 

 

 

そんな運命を根底から変える方法は?

 

 

 

「…だから、先生……早く、少しでも早く」

 

 

 

A. テーブルをひっくり返す

 

 

 

「迎えに来て……」

 

 

遂にダイスは砕かれ、運命の死を迎える。

 

 

「クリティアスの終結を、望む」

 

 

私の人生で、最初で最期の、私だけの決断。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最初に気づいたのは、また一人のゲヘナ生徒を目の前の敵から守った時だった。

 

 

聖歌隊の音撃がゲヘナ生に当たる前に、銃身で受けて地面へ流す。

 

 

「チッ!」

 

 

「…烏合か、やはり真の芸術を理解してくれるのは先生のみ……虚構の閨よ、私は動く」

 

 

「行ってらっしゃい、それと…始めるっすよ」

 

 

「……あぁ、虚構の閨よ、貴殿が私にだけに伝えた理由については詮索しないでおくが、その上で伝えておこう」

 

 

「残した空白に、ペンを取る事は容易だ、だがそれは駄作にもなりやすい、空白を美徳とする場合は特にだ」

 

 

「結末を追い求めるままに、醜悪に破滅せぬようにな」

 

 

「…うん、ありがと」

 

 

大きく息を吸って、吐き出す。

 

 

「始めよう、儀式の時間っす」

 

 

贄は用意された、今から私は黒服にもゴルコンダにもデカルコマニーにも先生にも、マエストロを除いた誰にも知られていない『秘密』を使う。

 

 

マエストロだけは恐らく、私を見てある程度を把握してしまった事だろう。

 

 

「ははッ!!何処まで皮肉なんだか!!!」

 

 

今更、本当に今更なんだけど……。

 

 

「私、転生者だからさ」

 

 

知ってるんだ、この世界がゲームだって。

 

 

元からこの世界を削除する方法なんて!アプリを長押しして消すだけだったのにな!!随分遠回りになったもんだ。

 

 

「証拠に、まだこの世界(ブルーアーカイブ)は私の脳内から飛び出してきちゃいない!皆、キャラクターなんだからさ…!」

 

 

「焼却開始ッッ!この世のデータ、アップデート分も全て消していこうか!!」

 

 

「羽音デミッ!!」

 

 

「ヒナちゃん!!!助けた後ろの子、よく見てみな」

 

 

「……っ…何が…」

 

 

目を配る暇は無い、けれど助けた後に声も聞いていない。

 

 

だから目に入れてしまった、その光景を。

 

 

「溶け、溶ける…!?!?たすけ、助けて……!!たす…ーー」

 

 

 

手を伸ばし、声を張り上げ…

 

 

 

…ーー燃えて、灰に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…なるほど、ククッ…なるほどなるほど、確かにこれは理解不能ですね…」

 

 

ボロボロになった右腕を抑える、聖園ミカ…ホシノさんとまでは言わずとも凄まじい肉体強度に戦闘能力に特化した神秘、撤退出来たのが幸運と言うべきか。

 

 

「世界が、燃え始めている」

 

 

懐に常に忍ばせていた『対抗手段』に燃え盛る火が付いていた。

 

 

あの時貰ったこの対抗手段は、羽音デミに対する『相互認識』、彼女が自分を羽音デミだと認識している間はこの玉に対しての攻撃は全て彼女自身へと還元されていく。

 

 

彼女の状態は、一言に言えば世界と互換を持っている状態だ。故に世界へ玉を通じて還元し、自然現象と認識を変換する、だが逆に言えばそれは彼女の自己認識次第で世界は…。

 

 

「…クククッ…まるで彼女が世界を内包しているかのようですね、役目を請け負っただけではありませんでしたか」

 

 

そう称すだけなら簡単だが……『何故』『どうして』という点においては一切合切理解出来ていない、可能性があるものとして強いて言うならあの視座だろうが…。

 

 

「早めに、向かわなければ行けませんね……ミレニアムシティへ…」

 

 

私の目的は……ただ一つ。

 

 

アトラ・ハシースの方舟を利用した世界軸移動。

 

 

契約を通じて彼女には名も無き神々の王女の確保を確約している。

 

 

「船内に入るだけでも…肩代わりが必要でした、感謝しますマエストロ」

 

 

ロイヤルブラッドの教義のミメシス、その内の『献身の聖乙女』を手に入れ、それを入場券に仕立てあげた、後は先生と交渉を行うだけ。

 

 

「最後の提案、そして交渉を致しましょう先生」

 

 

 

 

 

 

 

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