ブルーアーカイブの隅っこで   作:カピバラバラ

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これにて……閉幕!!


辺獄…… カトリック教会にて「原罪のうちに死んだが、永遠の地獄に定められてはいない人間が、死後に行き着く」と伝統的に考えられてきた場所のこと, 洗礼を受ける前に死亡した幼児が行く場所(幼児の辺獄) 又はイエス・キリストが死後復活までの間にとどまった場所とも。


辺獄である存在証明

 

 

“何が君をそこまで苦しめているのか、何故だか全然分からないんだ”

 

“君を苦しめているもの、その姿形さえ分かったもんじゃない”

 

“先生として……情けないばかりだよ”

 

「いいんですよ、先生…それに分からないというより、私の秘密は解ってはいけない事なんす」

 

「ずっと傍で見ていました、逆に私は…本来は傍で見ることも許されないんす、間違えたのは私、本当は…『始まった』あの時に……死んでおくべきだったんですよ」

 

“……それは2年次の…?”

 

「ハハハ…そもそも先生は、私に関するほとんどの情報を手に入れているんでしょ?本当は私と質疑応答する必要性すら無いはず」

 

“…うん、問答する事自体に意味が…なんて事は言わないさ……君の中の戦いはずっと続いている”

 

“「この世界」との戦いだ”

 

“勿論私も…君自身を含めた、このキヴォトスに偏在する全てとのね”

 

“それは私が背負えるものでは無かった、私は、私に甘かったんだよ…君のように自分に厳しくなかったんだ”

 

 

「そんな事は……無いですよ、先生は今アビドスの生徒達の……それに、これから先の」

 

 

“君が苦しんでいる”

 

 

「……っ!」

 

 

“君が苦しんで、泣いて、誰にも…自分にも嘘を吐かなきゃいけない。そんな君がいる”

 

 

“私が私の生徒にそんな事を、そんな責任を背負わせた時点で私は先生では無い”

 

 

“『悪い大人』なんだ”

 

 

「ちが、違います!!先生はそんな人じゃない!」

 

 

「わ、私が秘めているものは、私が産まれ落ちたその時に与えられた使命!!先生が背負っていいものじゃないんです!!!!」

 

 

「私が!!私で、“私”であるための……!!そして、「世界」の為の…!」

 

 

駄目だ、このまま先生の話を聞き続けていたらおかしくなってしまう

 

 

「ぅぅぅ…ぁああア゙ア゙!!」

 

 

「ッ!?先生!!」

 

 

“大丈夫だよ、ホシノ”

 

 

駄々を捏ねる様に無茶苦茶に腕を振り回す、破壊されていくビルの瓦礫一片が先生の致命傷になりうるというのに、自分の事を制御出来ない

 

荒れ狂う暴風の中、先生は先程のデミと同じ様に、まるでそこに何も無いかの如く歩みを進める

 

 

「い、嫌だ!!近寄らないで!!死んじゃうってばぁぁぁ!!!」

 

 

“……”

 

 

飛んでくる石片を意に介さずに歩き続けてくる、既に負っていた怪我からも血が滲み、石片によって新しい傷が出来てしまう

 

 

目の前まで先生がやってくる、再びあの時の光景が蘇り、思わず手を先生に向けて力強く伸ばしてしまう

 

 

“………っ”

 

 

「ぁ……また……ちが…」

 

 

私の手が、先生の脇腹近くを薄く貫く……人の身である先生にとってはどうみても致命傷だ

 

 

「嫌……嫌だ……ごめん…ごめんなさ…」

 

 

“デミ、大丈夫”

 

 

“これっぽっちも痛くもないし、君のせいでもない”

 

 

先生が優しく抱擁をしてきた

 

 

“私の胸の音聞いてみて?私の体温を、私の命があるって事を”

 

 

……温かい

 

 

あの時……夢で感じた温かさとはまた別の、あの時感じた冷たさも無い

 

 

……生きている

 

 

“…デミは、赤子の時の事、覚えてる?”

 

 

「……え?赤……子?一体何を……あ…!それよりも怪我の手当を…!」

 

 

“赤子がする一番最初の行動、それも知っているかい?”

 

 

「だから一体何を…」

 

 

“自分を肯定するんだ”

 

 

“産声をあげて、生きていいと、先を望んでいいと、誰にも教えられずにね”

 

 

「……」

 

 

“君は…そうする前に、死んでしまったんだね”

 

 

「………そ……そこ…まで…そこまで分かっていて……分かっていて!!!今更…私に何の用が………!!」

 

 

“『君の中の戦いが終わるその時まで共に居続ける』”

 

 

「ぁ……え……」

 

 

“君が、自分の肯定の仕方を知らないなら……君が再びこの世界に産まれ落ちるその時まで一緒に居て、教えてあげるよ”

 

 

目の前まで伸びてきた手が私の身体に置かれる、その手が血に塗れているはずなのに怖くない

 

 

“君は私の大切な生徒で”

 

 

もう片方の手が先生自身を指し示す

 

 

“私は先生だからね”

 

 

「み、みんな壊すんですよ!?他ならぬ私が!!」

 

「ぜ、ぜーーんぶ!!貴方の大切な生徒達も!何もかも!!!先生が今手をさし伸ばしている生徒が!!」

 

 

“それは君が望む事じゃないだろう?”

 

 

“君が、望まない道を選ばなきゃいけなくなった時点で、私の責任さ”

 

 

“だから君が望む道を歩んでいる最中、倒れない様に私がいるんだ”

 

 

「〜っ!!分かってない!!先生は何も分かってない!!!先生の知っている私は全部嘘なんです!!!私がどんな事をするのか何も……!!」

 

 

“うん…情けない大人だよ、本当に…分からない事ばかりだからさ”

 

 

“でも、今デミが泣いている事は分かるかな?”

 

 

泣いている?私が?いや、泣くはずが…先生に言われたのは今まで通りの……私の責務で……事実なのに

 

 

「な゛い゛て゛な゛い゛!゛!゛」

 

 

“あはは……ほら、私の服で良かったら拭くかい?”

 

 

「拭゛か゛な゛い゛!゛!゛!゛」

 

 

そう言いながら顔を先生の胸に押し付けてしまう

 

 

“それにほら、君は自分を全部嘘だって言ったけど”

 

 

懐からボイスレコーダーを取り出す先生

 

 

「ぐすっ…そ、それは?」

 

 

「不器用で、不真面目を真面目にするような子ですが……」

「馬鹿で、おちゃらけてて駄目な部分いっぱいある先輩だけど……」

「とても頼りになって、ブラックマーケットでも助けてくれて、良いところが沢山有りすぎて決めきれませんが、一番を挙げるなら!」

 

『「「「『優しい子』です。かな。ですね!」」」』

 

 

“君が嘘だという君が……嘘をついて作り上げた、君が本当に優しい子なんだっていう証拠だよ”

 

 

「ぅ……ぅ゛ぅ゛ぅ゛……みんな嫌い!!!みんなみんな嫌いっす!゛!゛!゛」

 

 

“あ、またデミの事が分かった、今嘘をついたって”

 

 

「先゛生゛も゛嫌゛い゛!゛」

 

 

先生の言葉に沈んでいく、身を委ねてしまう

 

 

「……お話は終わったのかな〜?おじさんまた砂糖を吐き出しそうに……」

 

“あ、ちょっといい?ホシノ、デミ”

 

「ん〜なんだい?」

 

「ズビッ……何ですか?先生」

 

“ちょっと騒がしくなるかもだけど、直ぐに全部元通りになるから安心して待ってて?”

 

そう話した後、先生が血を吐いて倒れていく。

 

「「先生ぃぃぃぃ!?!?!」

 

「手当致します!!」

 

「セリナちゃん!?!」

 

ホシノに似た桃色の髪と救急箱を携える……そう、セリナがそこにいて手当を始めていた。

 

 

「そっかセリナなら……あれ?」

 

 

緊張が抜けてしまった身体、いつの間にかあの夢の景色が見えなくなった。

 

なのに視界が真っ赤で…

 

「あれれ、おかしい……な…」

 

手が震える、内臓が全部せり上がるような感覚、鼻血が止まらず血涙を流す。

 

‘…っ!!デミさん!!………ミさん!!…………!!’

 

 

 

あ これヤバ…





辺獄という存在証明……否定完了です……。

ハッピーエンドちゃんちゃんですね。だけどまぁハッピーエンドが約束されているなら何してもいいんすよ(主語爆デカ)一旦メンタル安定期に入ります。
これから始まるのは先生による一方的なカイザーコーポレーション解体ショーです。慈悲はありません。

カイザー理事「馬鹿野郎!勝つぞ俺は!」

羽音デミ「やぁ」

カイザー理事「どぼしでごんなことに……」
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