ブルーアーカイブの隅っこで   作:カピバラバラ

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怒られ叱られ愛されて

やぁ、トリニティの救護騎士団の医療室で目が覚めた私だ。

 

結局あの後、私が目覚めた頃には全てが丸く収まっていた。

 

風紀委員襲撃は存在そのものが隠匿され、アコちゃんは反省文二千枚を書く事に。

 

私の暴走は、日々の激務によって疲弊した事による夢遊病の徘徊だと。そんな馬鹿げた話があるか!となってしまうかと思われたが、何故か特段突っかかられる事無く通ってしまった……私の普段のイメージどうなってるんだ……?

 

ヒナちゃんについては、風紀委員のお仕事を二日程休んで、その後シナシナになった先生とツヤツヤになったヒナちゃんがキヴォトスに居たのを見つけた。

 

……私からはノーコメントで。

 

 

そして暫く私はトリニティに帰る事になった。駄々はこねまくったが、先生に『“君の事、心配している子達が沢山居るから、行ってらっしゃい”』と言われ、帰ってきたのである。

 

 

「あ、あはは、あはははは……ただいまっす……ハスミ先輩」

 

「……」

 

「あ、あの〜その〜…あ、あ〜こんな所に期間限定ジャンボアイスが〜!偶然近くの店で見つけたんすよね〜!」

 

「……」

 

「あは…はは……その………」

 

「……何か、言う事は?」

 

「申し訳ございませんでしたァァァ!!!」

 

先生から全部チクられた私の最終奥義!見よ!黄金比を巧みに利用した今私が出せる最適な姿勢での完璧な土下座!!これならば流石のハスミ先輩といえど…!

 

「……」

 

あ駄目だ下等生物を見る様な目でいらっしゃる。

 

「え、えへへ……その」

 

「この前のお説教では、貴方にとって何の苦も無かったようですね?」

 

「あ、いやそんな事は……」

 

ギロリ…!

 

「すみません命だけはどうにか!!!」

 

「命……命って、一番蔑ろにする!!貴方が!!!言っていい言葉ではありません!!!」

 

ミッ。

 

「貴方が……貴方がどれだけ周囲の人間から大切にされているか……!」

 

堪えきれなくなったハスミ先輩の目から涙が流れているのを眺める。

 

「……そんな、別にハスミ先輩が泣く事じゃ…」

 

「まだ!!分かってないのですか!!」

 

「ミッ。」

 

「そうですか良く分かりました。全員、集まりなさい」

 

そうハスミ先輩が口に出すと同時に、正義実現委員会の皆がやってくる。

 

「いいですか、デミ。今から私たち全員で貴方に対して思っていた事を言いながらぶちます」

 

「ぶちます!?!?」

 

「ではまず私から」

 

正座させられ、ハスミ先輩がじっと私の事を見つめてくる。

 

「……っ!貴方を!!大切な後輩だと思っている私の心を!!裏切らないで下さい!!」

 

ベチン!

 

顔面に鋭いビンタが刺さり、痺れるような痛みが走る。

 

「普段の戦い方や!自己の顧みなさで!!」

 

ベチン!

 

「苦しむ貴方の姿を見せられて!!何も出来ない私の弱い心を!」

 

ベチンベチンベチン!!

 

「これ以上失望させないで下さい!!」

 

パァン!!!

 

 

「ぉ…ぶ…わ、わがりまじだ…」

 

「全然分かっていません!!!!」

 

パパパパパン!!!

 

ぶたれ続ける私を見かねてか、コハルちゃんが飛び出て庇ってきてくれた。

 

「ハ、ハスミ先輩!それ以上デミ先輩の顔を叩かないで下さい…!」

 

「ぁぶぉ……コ、コハルぢゃん…!」

 

「私たちが叩く前にデミ先輩が倒れちゃいます!」

 

「え゛…?」

 

「はぁ…分かりました、では次はコハルが」

 

「よし!デミ先輩!私、デミ先輩に沢山言いたい事があるの!」

 

「ぢょ…ぢょっど待っ…」

 

「まずデミ先輩はエッチ!駄目!死刑!!」

 

顔面に向かって濡らしたハンカチのビンタが飛んでくる。

 

「いや関係な…ブヘァ!!」

 

「それとそれと……大切な私の目標の先輩の一人なのに!自分は居なくなった方がいい様な顔で居ること!」

 

「…そんな事一回たりとも思った事な…」

 

「嘘つき!」

 

パァァァン!!!

 

「それから、それからそれから!!」

 

「ま、待っで!ハスミ先輩!正実のみんな!助け…」

 

「私も言いたい事山ほどあります!」「私も私も!」「一度先輩はお灸を据えられた方がいい」「すみませ〜ん!!ここに正義実現委員会のデミさんは居ますかー!!チラシ見てきたんですけど想いをぶちまけながら叩けるって本当ですかーー!!」

 

「あ……あの子…いつもヤンキーに絡まれてる…あの子は温泉開発部の爆破から助けた…いや、ちょっとまって?私この人数にぶたれ続けたら死んじゃうよ?いいの?」

 

「それより酷い傷を抱えて帰ってきたから大丈夫ですよ、デミ…覚悟を決めなさい」

 

「ぁ…ぁぁ……うわぁぁぁぁぁ!!!!」

 

 

 

 

 

今日の正義実現委員会のお仕事 馬鹿な先輩にお灸をすえること

 

 

 

 

 

 

 

 

「前が…見えねぇ…」

 

終わった頃には顔のサイズが二、三倍になっていた。

 

更に言うと救護騎士団までやって来てボコボコにして帰ってったから数日間ベッドの上だ。

 

「ほら、デミ…食べれますか?」

 

ハスミ先輩が隣にいて、看病してくれている。

 

「ハスミ先輩が食べさせてくれるなら…なんて」

 

「分かりました、ほら…あーん」

 

「むぐっ」

 

もぐもぐ…じゃない!あれ?こんな素直な人だっけ?

 

「どうしたんですかハスミ先輩…!?ダイエットでも成功しました?」

 

「またぶちますよ」

 

; .̫ ; クゥーン

 

「……これだけみんなから…大切に思われてたなんて、初めて知りましたよ」

 

「えぇ、貴方は馬鹿を超えた大馬鹿者ですから気づかないのも無理はありません」

 

……あはは、うん…やっぱり言おう、これは言わなきゃ駄目だ。

 

「ハスミ先輩、私、絶対また飛び出していくと思います…というか近い日に」

 

「っ!?デミ…!!」

 

「ハスミ先輩…ハスミ先輩達が私の事を大切に思ってるのは分かってます」

 

「分かっていたら…!そんな発言…!!!」

 

「でも、行かなきゃいけないんです」

 

ハスミ先輩の目を見て言う。

 

「…っ」

 

「その時は…」

 

「頼って、いいですか?」

 

沈黙ーー

 

普段の私なら、パフェかなんかで騙しているこの時間を、今はたっぷり味わう。

 

「……わ」

 

「…わ?」

 

「…わか…」

 

わか…分かりました…?もしや本当に素直になってしまわれたのか?

 

「この分からずや!!もう知りません!!!でも頼る時は言って下さい!!」

 

そう叫びながら病室を出ていってしまった。

 

……はは、なんだ、案外私が苦しんでたものって呆気なかったのか?

 

いや、そんな事は…私は未だ………

 

「デミ」

 

「うわぁ!?誰…ツルギ先輩じゃないですか、ビックリさせないで下さいよ」

 

「…わた」

 

「わた?」

 

「私にも…言ってくれたら……必ず……きえぇぇぇへへへ!!」

 

また病室を……壁をぶち壊して帰ってんじゃねぇ!?

 

「はぁ……」

 

いつもの日常じゃない、ちょっぴりおかしな今日の日常、なのに、空は…

 

 

「透き通ってる」

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

■???

 

 

 

 

「で、話ってなんの用?黒服」

 

「クックック…私が何の用か、ホシノさんご自身がお判りなのでは?」

 

「……先生の事?貴方よりずっと頼りにしてるよ。それと…言われた時に初めて気づいたけど、私って貴方の事信用してたんだね」

 

「はて、信用?」

 

「そう、信用。先生とちょっと喧嘩しちゃってね…私は『対策委員会』の子達を信じる心よりも、『黒服』…貴方の提案、それに対する信用の方が大きくなり始めていたみたい」

 

「“勿論、悪い大人なのは知ってるさ…それでも、君から対策委員会を引き離す程に積み上げた信頼、信用…!HAHAHA……その悪い大人な黒服君に是非会ってみたいな先生は!!”」

 

「だってさ」

 

「クックック…クックックック………ククッ…クックック……」

 

「…黒服?おーい?」

 

「そうですか…信用…クククッ…先生が、寄りにもよって私に信用を説くと…クク……クックック……クックッククックック……」

 

「……壊れた?」

 

「……クック…失礼致しました…どうも先生に対して思案を始めると胸のトキメキが抑えられないようでして」

 

「う……っわぁ…」

 

「これが…こi」

 

「続きを言うなら頭を吹き飛ばすよ?」

 

「…クックック…本題に入りましょう……ホシノさん、私と手を組みませんか?」

 

「……またそれ?ふざけてるのか?お前は」

 

「いえ、今度は正真正銘、ただ単に協力関係にならないか?というお誘いです。逃げられない提案でも契約でもありませんよ」

 

「じゃあ何?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「羽音デミについてです」




平和だ…
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