ブルーアーカイブの隅っこで   作:カピバラバラ

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気づいたら1万UAも越えて沢山ご感想も頂き……趣味の書きなぐりですが嬉しい限りです…。

今回の話はだいぶ頭を悩ませました、深夜、目も脳みそもガビガビになりながら書いたものとなります。


挙句の果て

 

 

〜数日後〜

 

 

 

あっさりと、本当にあっさりとその後は全て丸く治まってしまった。

 

カイザー理事はそのまま解任、対デカグラマトン部隊も権限が無くなった彼に動かせる訳が無く、そのまま本社が吸収して行った。

 

アビドスの借金は取り消しに、今まで払ってきた分のお金は帰ってこなかったが、十分過ぎる結果となった。

 

対策委員会は連邦生徒会公認の部活になり、破壊された柴関も匿名のお金……きっと銀行強盗の時にお金を貰ったアル様が振り込んだのだろう、一応屋台として復興し、セリカちゃんのバイト先も安泰。

 

黒服は一旦沈黙し、ビナーや他の守護者の目覚めの予兆も無い。本当に全てが効率的に、美しく収まった。私というシャーレの仮入部の例があったからか、本当に一時的とはいえシャーレ指導の元でゲヘナ学園のヒナちゃん、そしてナギサに頼まれたのであろうヒフミちゃんが合同での調査でカイザーローン所属のPMC基地も全て打ち壊された。

 

 

セリカは攫われることなく、ホシノも逃げられない提案を受けることもなかった。退部届まで準備はしていたらしいが、先に先生が対策委員会の目前で話し、少し口論となったが、対策委員会の面々はその信頼を勝ち取り今回の作戦を立案した。

 

カイザー理事と借金の問題を解決し、先生は誰一人として傷つける事無く全てを収めたのだ。

 

 

 

そして、私は

 

 

「……知らな…かったな…」

 

何一つ知らなかった、結局対策だなんだ喚いてた私が出来た事ってなんだ?

 

「そも……そも……」

 

要らなかったんじゃ?別に先生は私に助けを求めてなんかいない、最初の砲撃を防げたからって……自惚れていたのか…?私はこの世界の主人公だとでも、ただ単に…『知っている』ってだけで、私は何も出来ていなかった。

 

更に言えば、アリウス学徒の襲撃、そもそもあの時は既にアロナが先生の手元にあって、ホシノが居た。あの人の強さなら先生の指揮に従えば、襲撃も私は要らなかった。逆に逃げた先で追い込まれて……。

 

……必要無かった?要らなかった……?

 

 

 

先生に助けられて、絆されて、辺獄である証明否定をしてくれて……ヒフミちゃんやカズサちゃん、ハスミ先輩……正実のみんなの優しさと、助けを借りて……ヒフミちゃんにあんな顔させて、ようやく自分について考える様になって……それが……これなの?

 

「そんな筈…」

 

今まで、今までずっとガムシャラに…必死にやってきて、死ぬほど、死んでるのかどうかすら分からない状態で苦しんで務めてきたことは……私の自己満足…?

 

この数日、私が関わらなかっただけで、全ての物事は円滑に進んでしまった……しまった?しまったって何、別にそれでいい筈なのに…?

 

あれ?もしかしてただの空回り…?え、いやこんなに頑張って……きて……あれ…?いや、認められたい訳じゃ……だって自分はそういうもので……。

 

「あ……あれ、あれ?えっと…お、おかしいな」

 

自分が頑張ってきた意味、それを探せば探すほど少なくなっていって……

 

「えと……えーっと、あ、あはは、えーっと……」

 

違う、そうじゃないだろ?私は……“私”を消した責任を……果たす為に……?そうだ、ヒフミちゃんや私に関わっていた全ての人へ……その責任を果たす……為…に…?

 

「はは…ははは、そうだよね?あれ?」

 

「やぁデミちゃん、おじさんとちょっとお話していかない?」

 

後ろから声を掛けられて心臓が跳ねた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「は……そ……そんな」

 

 

ホシノの口から語られたのは、黒服の私への考察。抱える事をしなくていい、先生がきっと助けてくれるから……とホシノに言われて…私の唯一の秘密……そこに踏み込まれた瞬間、なんだかよく分からなくなっちゃって……今の私って、そんな世界の仕業側だったの?

 

「うん、混乱する気持ちは分かる……だけど先生が、私達には先生がいるからさ……全部吐き出しても構わないんだよ?デミちゃん」

 

「は、はは……ありがとう……考えとくっす、そ、それじゃ私は一旦……家に……」

 

「そっか、わかったよ。また決心が出来たらおいで?」

 

「ははは……分かりました……」

 

 

 

 

 

 

家に戻ってきた

 

 

あれ?あれれ?

 

「お、お……おかしいな?」

 

「わた、私が……私ってこれだけ?これだけの存在?」

 

最後に残った一つの理由、ただ単に『可哀想な子』。

 

あんなに深い絶望で私の心を離さなかった“私”を殺した事、言ってしまえば『可哀想』で、終わり。

 

「え……?」

 

それ以外、出てこない。

 

「え?いや……は?これだけ!?これだけが私!?!」

 

目が回る。

 

「……あえ?」

 

それすら『私』ではなく、理不尽に生を奪われた『羽音デミ』の『可哀想』だ。そう分かった瞬間に脳をガツンと揺さぶられた感覚に襲われる。

 

「わた……私、私って?」

 

今まで行ってきた事は、全て過去の『羽音デミ』が、こんな目に合っているんだ、という証明。

 

逆に言えば……

 

「今の私って……何?」

 

分かった、分かってしまった。今、こんなことを考え……不安に苛まれている要因が。

 

羽音デミの証明、それは過去にあり…今の私の事では無い。

 

私という罪の形……辺獄であると…証明し、自罰を繰り返す事で保ってした私という形は……先生によって否定された。

 

ヒフミちゃんのあの言葉、自分を見なくなったと言っていたあの言葉……。自分を見ていないのではなく、私という存在は……。

 

「……違う…違…うよね?」

 

自分が今までしてきた事は、心のどこかで求めていた……「私」の証明をしたくて……その欲望の現れさえも『羽音デミ』を示すものとなっていた。

 

「…………」

 

 

「何も無い……?」

 

自分を見なくなったのでは無い、羽音デミという鎧、辺獄という形、全てを取り払われた今の私を見る。

 

 

「何も……何一つとして……?無い?」

 

 

唯一、変わらないと思っていた肉体という縛りでさえ……私の肉体は……

 

「それは……世界が与えたもので……」

 

普通に考えて脳を吹き飛ばされて考えながら再生等出来るわけが無かった。自分の身体はただの世界の肉人形……記憶の外付けで動いている死体だ。

 

 

羽音デミはとっくに死んでいる、肉体の記憶、自分自身の過去の感情を覚えてないのは、この体が……死体だからか?……そうだったの?

 

 

みんなが知って、求めて……手を伸ばしている存在は……

 

 

「それは、『羽音デミ』で……」

 

 

 

私の責務や……罪は……私の在り方は……

 

 

「先生が……違うと……言ってくれたんだ……よね?」

 

 

 

私を、今の私を指し示す……もの……は…………

 

 

 

 

「…はは……………………え?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………」

 

 

 

最初、あれほど大切にしていた『羽音デミ』の痕跡。

 

 

部屋に飾ってあったもの全部

 

 

「捨て…ちゃったなぁ…」

 

 

手帳も捨てた

 

 

「は……はは」

 

 

 

朝日が眩しい

 

 

 

 

 

 

「そうだ、学校……シャーレ当番は終わったんだったな……」

 

 

 

 

間違えてはいけない

 

 

 

 

「ははは……また呼びつけられてるし、行かなきゃなぁ……」

 

 

 

違えては行けない

 

 

 

 

「あぁ……それとヒフミちゃんとしっかり話をしないと」

 

 

 

 

それでも私は

 

 

 

 

「ホシノには……まぁまた今度でいっか」

 

 

 

 

罪深い

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

再び数日後

 

 

 

■ゲヘナ学園 食堂

 

 

 

 

 

「やっほ、フウカちゃん」

 

「あ、デミさわこんにちは……ってえ!?な、なんでデミさんがここに?」

 

「ほれ、シャーレの部員書」

 

「あぁ、なんだ…シャーレ部員として来たんですね、食べていきます?丁度お昼ですし」

 

「そうするよ、カレーでも頼もっかな」

 

ゲヘナ学園の食堂、普段は火薬と暴力に塗れ、平穏な食事とは程遠い環境であった筈のこの場所は、今平穏に包まれている。その原因は……。

 

(おい!なんでトリニティの鬼神がここにいんだよ!)

 

(知らねぇよ!てかアイツはシャーレ部員だから喧嘩ふっかけてもボコされるだけだぞ?やめとけよ?)

 

「あら、デミさん…」

 

「うげっ、ハルナ……」

 

問題児、美食研究会所属のハルナも食堂に現れ、再び混沌に包まれるかと誰もが予想したが……。

 

 

「……なるほど、本当に不器用ですね、貴方は」

 

「…?」

 

「…後で話があります、お昼を食べたら少し時間をお借りしますね、フウカさんも一緒に」

 

「えぇ……私給食部としての仕事がまだ……」

 

「お願いします」

 

「普段絶対見られない真剣な姿勢のハルナ……!?わ、分かったわ」

 

「では私はカレーでも頼みましょうか」

 

「カレー人気だな……」

 

特に衝突も無く、互いに頼んだカレーをパクパクと食べ始めた。

 

「そういえば、ハルナ…またフウカちゃんに迷惑かけたんすね?」

 

「い、いえ…あれは本当に事故でして、自作料理を作ろうとフウカさんに師事してもらって…」

 

「何がどうなったらそれで厨房が爆発しながら怪生物と粉塵爆発を撒き散らしながら突進するアンタらが見られるんすか……?」

 

「食べる時に感じるスコヴィル値を調節しようとしたら、色々ありまして…」

 

「色々あり過ぎだよ……」

 

「……」

 

黒舘ハルナからすると、デミとはトリニティに侵入した1年次の時から追われ続けた身で、ゲヘナとトリニティの垣根を越えて一緒に食事を取ったり、いつか夢見る究極の美食のシチュエーションに必要だと感じていたが……

 

はぁ、やっぱり…美味しく感じませんわね……

 

感じない、何時も感じる彼女との美味を。

 

「はぁ…食った食った、この美味さってどんなスパイスの仕込みしたらでるんすかね?自宅で作ってみたいんすけど……」

 

「ご馳走様です、さて……宜しい?」

 

「別にいいっすけど……何……うべべべべ!?!!」

 

彼女の首元に特注品スタンガンを押し付ける。超強力なスタンガンだが彼女に対してはもって10分だろう。

 

「行きますわよ!!フウカさん!」

 

すすまきにしてフウカさんを連れて先生の元へと向かう、私ができるのはそこまで。それで戻らなかったら暫く私の家で看病でもしましょうかしら…?

 

「な、なな何してんの!?」

 

「フウカさん、事情は後で…彼女に感じた違和感、フウカさんの中にある違和感を今は信じて下さい」

 

「………そういうこと…?いやまぁ方法が方法だけど」

 

「車、お借りします」

 

足早に駆けていく二人、あっという間の寸劇も終わり…食堂に残されたものは呆然としながら割と日常だな…と思い今日は素直に食事を摂った。

 

 

 

 

 

 

■シャーレ居住区

 

 

 

「む゛ー!む゛ー!」

 

“ハルナ…どうしたんだ……え!?フウカ……もこんにちは……ともかく、こ、これは一体?”

 

鎖で雁字搦めになった謎の物体が、ハルナとフウカの手によって届いた報を受け、彼女達に会いにいってみると……

 

目の前には鎖で雁字搦めになりすぎて誰だか分からない子が居る。

 

「羽音デミさんです、先生……ごにょごにょ…」

 

“デ、デミ!?……なるほど、分かったよ”

 

ハルナに“原因は不明、勘ではありますが先生の指示“直感でも良いから変化があったら連れてきて”を重視し連れてきました”と言われ納得する。私だけでは知りようの無い、生徒同士でしか分からない部分を助けてもらうために以前話した事だ。

 

 

「ゲホッゲホッ…何するんす…か!ハルナ…せ、先生…!」

 

“やぁデミ”

 

「それでは先生私達は失礼します、フウカさんとも話がしたいので」

 

「さようなら先生、ちゃんとご飯食べてくださいね?……あんまり不摂生だとその内押しかけちゃいますよ?」

 

“ははは、ハルナもフウカもありがとう、また後でお礼をさせてもらおうかな?……さて、デミ”

 

バタンと扉が閉じ、デミと向き合う。

 

「は、はい…何でしょうか?」

 

“……もしかして話したい事……ある?”

 

 

 

 

 

 

 

 

 

静寂ーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………は………い…」

 

 

“良いよ、全部吐き出してごらん”

 

 

「あ、あはは…別にそういう感じでも……」

 

 

“デミ”

 

 

あの日の救いを、私は…言えるのだろうか?『間違えている』と

 

 

「…あの……あ、はっ…ふっ…ふぅ、あの…先生……私」

 

 

「先生の事を……■したくて……」「私は先生に、■■れたから……」

 

 

口に出すだけで朽ち果てる程の感情を、憎しみを、愛情をぶつける。

 

 

“………それが君の戦いなら、私は私の命を預けるよ、けど…私の命にはもう既に背負ってるものが沢山あるからね。君との戦いをしなきゃならない”

 

簡単に、その思いを…想いを背負ってくれる、飲み干してくれる

 

 

“だけど……デミ、君の望み…歩む道がそれで、そんな苦しい顔をしなきゃならないなら、私は君の道を正す先生じゃないといけない”

 

 

“デミは私の大切な生徒で、私は先生だから”

 

 

「ど……うして…そこで…微笑み、なんか…!なんで笑って!!」

 

 

言いきられた。そう言われてしまった

 

 

…そこで、そこで逃げてくれたら……私が、『羽音デミ』でない私が……!ようやく………

 

 

“君が……君である為に生きたいというのなら、私はその手を取るよ”

 

 

 

追いつけない、遠い……遠い星、燃え尽きることの無い輝きが全身を焼き焦がしていく。

 

 

私が、私であるために身を捧げる……と?分かってる、先生の言っているそれは……『羽音デミ』に対してなんだ

 

 

 

「憎い……憎いです……!憎いのに……なんでこんな……」

 

 

服を脱ぎ、今の私を見せる

 

 

「み、見てください……これが!これが私です!私!!」

 

 

“……デ…ミ、それ…は”

 

 

胸元に空いた穴、まるで抉れたように空いた穴の奥にあるべき『(心臓)』は無かった。

 

再生が上手くいかなくなった、私の肉体の内側は常に幼虫の中身の様に溶けては作られる、今でさえ手に力を入れてしまえば、ぐちゃぐちゃに崩れてしまうだろう。

 

“一体何が……!!?デミ!その傷は……グッ…!”

 

 

「先生、私を導くというのなら、『今』の私を受け入れて欲しいんです………先生の為に、この身全てを消費したい、先生の為に死にたい、先生を……私の(物語)で殺したい!!!」

 

 

“ガッ…ァァ……”

 

 

「私、全部知ってたんです!!ある日急に………全てを、この世界の未来を知って、それで…それで!その未来を知っていたのは『羽音デミ』じゃなくて…私が知ってる記憶で…知ってたから先生に合ったし、アロナの事も……」

 

 

「こ、殺したんです!『私』を、『羽音デミ』を!」

 

 

己の罪をさらけ出す、己の罪深さを全て吐き出していく

 

 

「私の…私が今ここに居るって……証が……欲しい…んです!」

 

 

私が追いかけてきた、遠い()は……既に燃え尽きていたから……

 

 

「私を!私を見ろ!!!私はここに……!!ここに……!」

 

 

捨てた筈の『罪』が這い上がって私の手を先生の首にかける

 

 

許されないの?

 

 

“デ……ミ……!”

 

 

バチン!と手を弾かれる、アロナの電磁バリアだ

 

 

「私も……見ていた、『私』という……夢を、それから醒めて……」

 

 

怖いーー

 

 

 

怖い、怖いよ怖い怖い怖い!怖くてたまらない!!みんなが手繰り寄せているものが、私に近づく度、怖い……怖くて怖くて……

 

 

「私が……『私』だって言いたい!!!その為に……その…ため…にぃ゛……」

 

先生に必死に頭を下げる、床を舐め、醜態を晒す、肯定する自分を持たぬ者、その足掻きを

 

 

 

「これ以上」

 

 

「私を、奪わないで下さい」

 

 

「お願い……します、もう……これ以上……」

 

 

言葉を、私の言葉を先生に送る

 

 

先生だけは、先生だけは信じているから、捨てて、チリになった私をかき集めて作った言葉を……先生だけは……

 

 

「『私』を……受け入れて……下さい」

 

 

 

 

 

 

“……うん、受け入れるよ…今の君を”

 

 

その言葉が耳に入った瞬間に、喜びが身体を突き抜けて…無くなった心がまた…………

 

 

 

“黒服とホシノから聞いたんだ、今のデミがどういう状態かって”

 

 

 

何か、決定的に掛け違えた感覚が……今……

 

 

……え?まって、待って待って待って……!?!

 

 

“それで、やっぱり納得出来なかった。君という生徒に…大人が背負うべきものを背負わせている事を”

 

 

ち、違う!違うちがっ……あぁぁぁ……!私、私から目を離さないで……?私はそこに……そこにいない!!

 

 

“デミには言っていなかったね、私は……私の生徒が歩む道を、生徒が信じている道を歩むためにならこの身体全てを捧げれる”

 

 

待って…………待って嫌だっ!

 

 

“君の戦い、それが君を押し潰して離さない「君の責任」で無いものなら、私はそれを許すことは出来ない!君が…君自身が選んで歩めるように……!君をそこから引きずり出して、産声を上げさせるんだ。まだ、産まれてない君の為に…………”

 

 

やめて!!!!!!!!!

 

 

 

“君を救うよ”

 

 

 

……救わ(殺さ)ないで。




皆様、ここからが入口です。
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