■廃墟
ぴちょん………ぴちょん………
「…………」
「……………………」
どろっ………
「ぁ……」
「…手……が」
溶けだす手に目を配る。
「はは……捕まっちゃうかな………飛び出してきちゃったし……」
「首………絞めちゃったし………」
そうだ罪の現れだ、だから手が溶けてるんだ。
《■■■■》
《■■■■■■■》
「ロボッ……そっか…廃墟か、ここ」
廃墟のロボット達……未だ謎の多い名も無き神の遺産が眠るこの場所は『連邦生徒会』が…というより、『連邦生徒会長』が立ち入り禁止を命じていると予測している、きな臭すぎる場所。
《■■■■!!》
《■■!!!!》
ダダダダダダダダ…!!!
《……■■■■》
《…■■■■…■■》
銃撃と爆発により吹き飛んだ私を見て、ロボット達はその場を去っていく。
ゆっくり…ゆっくりと身体を再生させながら明日の事について考える。
「そうだ……明日は…ペロロ様の……」
ぐちゃっ……
「…………?」
ボトッ…
「目……」
地面に落ちて転がっていく目玉を這って追いかける。
「こんな色……してたんだ…私の目」
「気持ち悪いなぁ……ははは…」
《…………ザー……接近を確認》
「…っ!?しまった…いつの間にこんな所まで……まぁ…大丈夫か…」
《対象の身元を確認します……………………該当無し…ERROR…ERROR…?》
《…………》
《該当無し……神秘探求を行います……》
「身元……該当無しか、はは…私はちゃんと羽音デミっていう…………ははははは」
先程聞こえた神秘探求…?という言葉を私は知らない
「まぁ……いっか」
謎の機械が天井から出てきて私の『中』をまさぐる。
ぐちゃぐちゃと水と粘度の高いものが混ざり合う様な音が響く。
《…三位一体に依らず……二元論による立証……完了》
《……資格を確認しました、入室権限を付与します》
「…は?」
《下部の扉を解放します》
「まっ…!」
待ってーーそう叫ぶ前に私の身体は落下していってしまう。
「ぐぇっ…」
この場所は…AL-1Sが眠る場所…視線の先には裸の少女が椅子で寝ている、いや停止している。
「アリス…ちゃん…」
それ以上はダメだ、踏み込んではいけない。
「…唯一……唯一私の事を……知らない…」
踏みとどまれ、ブレるな、間違えるな違えるな!!!
「……」
これ以上の干渉は、きっと何処かで致命的なズレを起こしてしまう。今日はもう帰って……先生に謝って、寝よう。きっと先生は許してくれる。
“アリスが……魔王だからですか……?”
「…………」
“アリスは、勇者になりたいです!” “アリスの誕生日は、皆んなに出会えた今日です”
“先生と初めて会ったその日です!”
「…ぅ…ぅうううぅう゛……!」
思い違いだ、私は罪に濡れた沈む船でしかない。
なのに……
「アリス……アリスは……本当に…凄い子だなぁ…はは……」
思春期の…未熟な勘違いに過ぎないバカバカしいモノに……身体が……言うことをきいてくれない。
彼女の肌に……手を……
《状態の変化、及び接触許可対象の感知、休眠状態を解除します》
「ぁ…」
咄嗟に開いた彼女の目を服で塞ぐ。
「……状態把握難航、会話を……いえ、説明をお願いします」
「あ、あぁ私は君を目覚めさせてしまった…悪い大人だよ」
「質問、悪い大人とは…それと本機の視界を妨げる理由を述べて下さい」
「悪い大人はね、君を酷い目に合わせる人間の事、そういう奴はアリスみたいな可愛い子に顔がバレたらいけないんだ、だからこうして目を覆わせてもらってるの」
「了承……それとアリス…とは?」
「君の名前だよ、今日から…いや、今から私が端末で指示する場所に向かってくれないかい?その時、君は
「了承…………本機、アリスと呼称………貴方の名は?」
ズキンッ……
「あぁ、私の名前は……」
ズキンッ…………ズキンッズキンッズキンッ…………
「私の……名前は…………」
最後の……線引きだ
「…………」
「…………?対象の返答無し……再実行、貴方の名は?」
「………………私は」
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■ミレニアム ゲーム開発部
「わぁぁぁ!!!脚本がーー!!!!思いつかないよーーーー!!!!」
……
「は、廃部……廃部の危機が……」
私の声が、聞こえますか……
「コンコンコン、と本機は扉をノックします、返答を求む」
そこにいますか?
「え!?だ、誰だろう?今ドアの向こうから声が……」
この世界を救う……
「あ、開けてみる?返答を求むっていってたし…」
ーー勇者よ
ガチャッ……
■
“そうしたこの子が?”
「そうそう!アリスっていう子で、ゲーム部に入部してくれるんだってさ!」
「はい!アリスは……禁止されていますが、とある人に言われてゲーム部を訪れました!」
デミが飛び出した後、暴行の事実は隠してヴァルキューレに捜索願いを出して私もアロナと一緒に探し回ったが……見つけれなかった。
アロナに言われ、一旦休憩を挟む事に。その時手紙を貰い廃部になりそうで困ってると泣きわめいていたゲーム部に足を運んだある日のこと……。
“通話で聞いてた子とは随分…………アリス…?”
頭の中で何かが引っかかる、少し……少しだけだが彼女との“出会い”について思い出す。
「はい!私の名前はアリス!このゲーム部を救う……勇者です!」
「すみません、先生……お姉ちゃんがアリスにゲーム…『テイルズ・サガ・クロニクル』をさせたらこうなっちゃって、他にもいろんなゲームを…」
“あぁ、あのゲームね……”
あらゆるゲームプレイヤーをもってして未完成、正気が足りない、正気の代わりにクソが詰まりきったこの世の頂点(クソゲー)としか評価出来ないゲームを以前、事故で頭にプラステをぶつけられた時にやってみたのだ、その時を思い出しアリスの末路を想像する。
「あ、それとアリスは手紙を一緒に持ってきていました、こちらです」
“拾った子です、本人はロボットだそうです。ロボットだけどとても良い子なのでゲーム部で育ててあげて下さい。”
“……なるほど”
「奇妙でしたが、アリス本人もそう言っているのでとりあえず受け入れました」
「そして…先生、手紙に応えて下さってありがとうございます、私達ゲーム開発部は現在……部員数はアリスが来てくれたので大丈夫なのですが……」
「その先については私が話すわ、先生!」
ガチャりとドアが開け放たれ、ユウカが入ってきた。
“やぁ…ユウカ、昨日はありがとうね?わざわざシャーレにまで赴いてくれて……今度またお礼に、一緒に買い物でもどうだい?”
「べ、別に先生の為なら……って買い物!?い、行きます行きます!!」
「……じゃなくて!先生、貴方はゲーム開発部の廃部を止める事に巻き込まれたんでしょう?無意味な……いえ部員数が規定に…何故か知らない間にアリスちゃんの所属がゲーム開発部になってたとはいえ、貴方達の廃部は覆らないわ」
「ど、どうして!?」
「どうしてもこうしても無いわ、貴方達にはミレニアムに似合った成果を出せて無さすぎるのよ…!!あのクソゲーで『賞を取ったから〜』なんてほざいたら本当にシバキ回すわよ?」
「先置きエイムのヘッドショット!?!?」
うわぁぁぁんと叫ぶモモイを横目に、アリスに質問する。
“アリス…君に指示をした人の事はどうしても言えないかい?”
「はい…アリスは……あの人の声しか知りません、それに禁則事項に触れます……」
“そうか……ありがとう、アリス。……それと、ゴニョゴニョニョ”
「…!!はい!先生の指示に従い、アリスはこのゲーム部を救う勇者になります!」
「先生、聞いてるん…きゃっ、アリスちゃんどうしたの…?急に抱きついてきて……」
「ゲーム部…無くなったら、アリスは勇者じゃなくなってしまいます……ユウカは、アリスの事……勇者じゃないって思いますか……?ウルウル…」
「うっ!」
胸を押さえ込みながら蹲ってしまうユウカ、私はユウカがアリスにゲロ甘なのを知っているので、少しアリスに吹き込んでみた。
「ハァハァ…!危なかったわ、ご、ごめんなさいアリスちゃん。貴方が望んだとしても今のゲーム開発部には『役に立つ』っていう実績が無さすぎるのよ」
“ダメか…”
「先生までそっち側に行かないでください!!全くもう…」
「……ってやる」
さっきまでシナシナになっていたモモイが跳ね上がる。
「やってやる!ようは結果を証明すれば良いんでしょ!今度のミレニアムプライスで受賞すれば文句は無いよね!!」
「へぇ?貴方達みたいなガラクタ作りのプロが…?言っておくけど、受賞なんて高校球児がメジャーリーグにでるくらい無謀な事よ?」
「ガラクタじゃない!ともかくそのための準備もしてるんだから…!」
「そうなの!?」
「なんでミドリが驚くの…!?ともかく、私達は次のミレニアムプライスに切り札を使って、「TSC2」「テイルズ・サガ・クロニクル2」を、出すんだから!」
「…っ!まぁ、良いわ…私もなんだか楽しくなってきたし……アリスちゃんにも悪いし……二週間、次のミレニアムプライスには二週間しかないけど、頑張りなさい」
「はぁ…こんな姿を先生に見せたくは無かったけど、生徒会の仕事でもあるので、先生、次はまた……もっと落ち着いた、買い物後のカフェでもお話しましょう?それではまた、後で」
“うん、楽しみにしておくよ、またね?ユウカ”
■
「……」
「お姉ちゃん……啖呵切って策はないってことは……」
「あるよ!先生に来てもらったのもそのためだし…!」
“……“廃墟”の事かな?”
「え!?先生なんで分かっちゃったの!?噂のエスパー?」
「……“廃墟”って、あの?そこに行って何が……」
“うん、連邦生徒会が立ち入りを制限している所だね…モモイはそこで何かを手に入れたいみたい。その為に「シャーレ」の顧問である私が必要、そんな所かな?”
「ミドリ…先生って本当にエスパーじゃないよね?怖くなってきた……」
「そんな事聞かれても、って何かを手に入れるって一体……?」
「G.Bible、だよ」
「それって…」
“ その昔のミレニアムで伝説のゲームクリエイターが作ったされている、その中には「最高のゲームを作れる秘密の方法」が入っているとされ……▭-▭クイックイッ……”
「だからなんで先生知ってるの!?というかなんかメガネだけ光ってる!?…ともかく、ヒマリ先輩の情報とヴェリタスの協力で廃墟に目を付けたんだ」
“なるほど”
「廃墟……アリス、廃墟の探索をするのですか?ならアリスはお役にたてます!アリスはそこから来ました!」
「「!?」」
「あ、明かされた驚愕の真実!?アリスって廃墟産まれなの?」
「いえ、アリスは廃墟で産まれていません!とある人はいいました!今ここで、皆んなと出会った時に産まれると!アリスの誕生日はみんなと出会ったその日です!」
「あ、いや言葉のあやだけど……そう言われるとなんだか嬉しい!」
“…………本当に良い子だね、アリスは”
既に組んだ足の上に座っているアリスの頭を撫でる。
“よし、分かった、早速行こうか。“廃墟”に!”
「やったぁ!!先生大好き〜!」
モモイも私に飛びついてきたので、アリスに少しズレて貰って乗せる。
「……先生」
近づいてきて頭を近づけてきたミドリも、きっと撫でて欲しいのだと思い手を伸ばして撫でてあげた。
「ふふ……」
“それじゃみんなは出発する準備をしてきてくれるかな?アリスの武器は……後で見に行こうか”
「「「はーい!」」」
■
今、部屋には私以外……いや私以外に一人だけ居る。
“……ユズ、アリスは良い子だったね”
「はい……先生」
ロッカーから声が聞こえる。
「だから……あの子が……楽しいって、言ってくれたゲーム部を……宜しくお願いします、先生」
“勿論……大切な生徒の頼み事だからね、先生冥利に尽きるよ”
のそっとロッカーから出てきたユズを撫でる。
“…………”
けれど、未だ心には……
※ これでも先生には一切恋愛感情ありません……そろそろ刺されそう。
アリスとデミって……境遇似てますよね…………彼女が起動直前に抱いたモノって、それです。若いね〜……。