エデン条約も、先生、もしくはトリニティ学園の皆やゲヘナ、アリウス、ゲマトリア視点多めに書こうかな……?
side 羽川ハスミ
「全く…!何度も言っているでしょう!?どうしてそのような無茶ばかり…!以前にも増して怪我を増やして、どれだけ心配させれば貴方は…」
「あはは、ごめんなさいっす……だけどこうしなかったら間に合わ無かったし……」
一年次、正実に入ってきてくれた後輩は、それはそれは無茶をする子だった。
ーー羽音デミ
「あ、ありがとうございます!」
「良いっすよ!次からは気をつけて下さい!」
彼女の身体能力は並外れている、将来的に見ればツルギと同じレベルにまで達するだろう。将来有望ではあるのだが……。
先程、爆発した建物の瓦礫に当たりそうになった生徒を救おうと身を呈して走って行ってしまった。
自分を顧みない、それが彼女の戦い方だった。まるで生まれついた時からそうであるように……教育係を任されたこの数週間、注意を続けてみたが効果は無かった。
「またあの様な速さを出して……身体は大丈夫ですか?痛いところは…」
「あ、足が…足がめちゃくちゃ痛いっす、なんなら身体が軋んで…グワァー!!」
「全く…!セリナさんの所まで運びますよ、本当に次は無いですからね?」
それでも最初はその身体能力もあって、風紀委員会を牽引していける存在だと思っていたが、セリナさんから聞いた話によると、無茶をした分身体が耐えられず壊れていくらしく……
「ひん…すみません……ハスミ先輩……いだだだだ!」
「……暫くそうやって痛がってなさい、貴方に据えるお灸はそれぐらいしかないので」
この有様だった。
(はぁ…ツルギにどう言えば……扱い方に困る生徒です、本当に)
敵に突撃しては倒れて運ばれて、他の生徒を救うために動いて倒れて運ばれて……
(戦闘能力だけは、申し分無いのですが……)
オマケに頭も少し足りない。中間テストの成績を見せてもらったがボロボロだった。
けれど…
「……デミ、貴方はどうしてそこまでして……人を助けるのですか?風紀委員会の入部届けにも書いてあった、『たくさん人を助けたい』…理由を聞いていませんでしたね」
運ばれている途中のデミに聞いてみた事がある、『どうして人を助けるのか?』と。
「あはは……えっと、人を助けたい、それが理由っすよ?」
「そういう事ではありません、貴方が何故、人を助けるのか、自分が怪我をしてまで動く理由を聞いているのです」
「……えっと、みんな酷い目や、嫌な目に合った時って…これ以上不幸にはなりたくない!…って思うじゃないですか?」
「えぇ…まぁ」
「そんな時、大体はそれ以上に不幸になる人ばっかなんす、誰も落ちていくのを止めてくれないから……そんな人を、少しでも減らしたくて、『私がいるからもうそれ以上は不幸にならない』って自信を持ってみんなを助ける人になりたいなって」
「みんなを助けた上で安心して私を頼ってくれる、そんな強い人間になりたいんです」
……やはりこの子は
「…………」
「それで自分の事が二の次になっちゃ元も子も無いっすけど!!」
「分かっているなら少しは抑えなさい!」
正義実現委員会に相応しい。
■
「スイパラ……ですか?」
「そうっすよ!期間限定春のスイーツフェア!一緒に行きませんか?」
「デミ…?私はダイエット中だと……言いましたよね……?」
「えー?そんなすぐ失敗するような……何でもないっす!!」
「全く……イチカとマシロとで一緒に行ってきなさい」
「ヤダー!ハスミ先輩と一緒がいいっす〜!二人と行っても楽しいけど、ハスミ先輩と一緒がいい〜!なんならみんなもハスミ先輩と一緒に行きたがるっすよ?」
目の前で駄々を捏ねられる、デミはいつもスイーツ巡りを私と行きたがるのだ。お陰様で割と貧相だった身体も見る見るうちにデカく……。
「……」
「お願い!頼むっす!この通り!」
そして毎度私はこの子に絆されてしまう。
「はぁ……分かりました、日程はどうしますか?」
「いいんすか!?ヤッターー!!せっかくなんでツルギ先輩と他のみんなも誘っときますね!日程は…………」
彼女が正実に入って数ヶ月が経つが、ありふれた私との食事を毎回毎回この様に心から喜ぶのだ、一度しっかりと断った事もあるが、その時は普通に引き下がったし、節操を弁えてはいるのだ…。(その後、結局OKしてしまった)
私はいつしか後輩であるデミにその正義の在り方を……『人を助ける』在り方に心を焼かれていたのだろう、日常で彼女を見る目がいつしか変わっていた。
(……まだ昨日の怪我は完治していないでしょうに)
傷だらけで、ボロボロで、それでいて日常を最大限に楽しんでいる……彼女は私の心を揺さぶり続ける人間だった。
「さてぇ……なぁに食べるっすかねぇ……マシロも誘うんすか?」
「うわぁ!?ってイチカちゃんっすか、ビックリさせないで下さいよ……マシロちゃんも誘うっすよ、それでまぁ春のスイーツフェアなんで…………あれ、春のスイーツって何があるんだ……???」
「春はとにかくイチゴじゃないっすか?いちご大福とか、苺タルトとか……あ、桜餅ありましたね」
愛おしいのか、何なのか……私は彼女が飛び出していく事に対し忌避感を抱く様になってしまった。毎回毎回傷だらけで戻ってくる彼女を見ると、私自身がなんだか惨めな様な気がして……
ツルギなら彼女を行かせる前に止められる、実際ツルギと合同任務を行った時は、飛び出そうとする彼女よりはやく暴れ回って、無茶をしようとしていたデミを叩き落としていてくれたお陰で、傷はほとんど無かった。
そしてデミがツルギと特訓をするようになって、ますます正義実現委員会として成熟していく一方で……彼女の先の未来を心配する気持ちもあったが、こうして楽しそうにしている姿を見ると安心できる。
「……今更ですが、貴方達……」
「「??」」
「口調、似ているんですね……」
「「そんな事ないっすよ……あ…」」
彼女の同期も、皆優秀な者ばかりだ。このままなら何も心配することなくツルギも後を任せられるだろう。
■
「正実だァーー!!向かいうてテメェらぁ!」
「「「「ォォォォ!!」」」」
「お前らだな?」
「「「え?」」」
ドゴォォォォン…!!
目の前でガタガタヘルメット団が潰れた空き缶の様になっていく。
「……酷い有様ですね」
「おっ、ハスミ先輩……ここはほとんど片付きましたよ?」
「……お疲れ様です、デミ」
……一年が経ち、デミも二年次となってまたいつもの様に活動を進めていた……が、彼女に対して最近引っかかる事が出来た。それは二年生になった彼女の初めての登校時……そして……
『……!デミ……?その髪は一体……』
『イメチェン……失敗したんす……聞かないで下さいっす……ぐががが……』
口ではいつもの様に気楽に話す
『デミ!……何故そのように要らない傷まで負って!!今のは庇われずとも大したダメージには……』
『いでぇ……イテテテ……!!いやぁ〜咄嗟に動いちゃって、ごめんなさいっす、グワァー!運んでほじい……ハスミ先〜ぱ〜い……助けてぇ……』
口ではいつもの様に痛みを訴えて、喚いている
なのに……
違和感、そう、拭いきれぬ何かの違和感が私の中に産まれた。
「……デミ、貴方が人を助ける理由、覚えてますか?」
「え?ちゃんと覚えてるっすよ、不幸な人が、それ以上不幸にならないように、安心出来るように助けれる強い人間になりたいって」
「そう……覚えているならいいんです」
違和感
あんなに心焦がれて、揺さぶられた彼女の『正義』が今は……ただ自分を痛めつけるものへとなってる気がして……。
ツルギが正式にティーパーティーから戦略兵器と認識された時、デミも噂になった通り名がある。
【鬼神】
誰のものか分からない返り血を浴びて、怪力無双の如く暴れ回る……その血に、自分のものが混ざっているというのに。
「……」
「あ、ハスミ先輩、もしかしなくても向こうの爆発音って」
「……!ツルギですね、またやりすぎてないと良いのですが」
ドゴォォォォン!!!!!!!
「……ダメそうっすね」
結局、救出対象もPTSDとなり、ティーパーティーのナギサ様から休みを命じられた……。
(次の日…)
「きぇへへへ……きひひっ……!」
「………えっと……」
「今日は歓迎してくれてありがとう、って言ってるっす」
「あ、はい……」
「…………はぁ」
(溜息付いた……!?ありがとうっていってから溜息付くことある!?)
「美味しいデザートを放課後スイーツ部のみんなと一緒に食べれて嬉しい、のはぁ……っすね」
((何で分かるの……??))
「くひゃぁぁぁぁぁ!!……げへっ……くへへへ……」
「な、何!?」
「あんまりにも楽しくて嬉しいんで、思わず恥ずかしくなっちゃってますね」
(こわい……) (訳わかんない…) (帰りたい……)
(更に次の日)
「そうですか……ツルギ、貴方がそこまで楽しんでリラックスするのも初めてでしょうか?」
「ぁぁ……」
ツルギもデミが入部して、放課後に遊びに来てくれたり……スイーツを一緒に食べてくれる様になって、今日の休みでも普段からは信じられない程に落ち着いている。
「きひひ……」
「本当に楽しかったのですね、私も一安心です」
「そうなんですか……?」
ツルギならば、ツルギ程の力があれば……私は彼女から真実を吐き出させれるのだろうか……?
「…………デミに…………感謝しなければな」
「あぁ、何やらツルギの補佐をしてくれたと」
(喋った……!?)
「あぁ……良い…………キェェエエエ!!!」
「……そうですか、私から伝えておきます」
(伝わるんだ……)
■
「シャーレに一時的に入部……ですか?」
「そうっすね、あの先生が来てから面倒見てもらうこと多くなったんで、少しだけ助けに行ってくるっす」
「…………………………」
「……は、ハスミ先輩?」
……納得ができない、彼女がこんな突発的な事を…?エデン条約が近い中……この様な離脱は好ましくないのは彼女が一番分かっている筈……。
「……理由は」
「はへ?」
「理由はなんですか、と聞いています」
「あ〜う〜んその…………助けたい人達がいるんす」
以前ならば心を打たれる返答、なのに……。
「……あまり、無茶をしないように、貴方が抜けて崩れる様な業務体制ではありません、丁度いいです、休暇としても行ってきなさい」
嘘だ、本当はあの先生ならば……この違和感を取り除いてくれるかと思ってしまったからだ。
「マジっすか!?よっしゃ頑張ってくるっすよ!!」
私は……結局ここで引き止めるべきだったのだろうか?それとも彼女に踏み込めば良かったのか……?未だに分からない。
(数日後)
「……倒れて搬送された……?」
今の彼女は、人を救えば救うほど、ボロボロになっていっているというのに。
6、7話程度……みんな視点を挟んで、エデン条約編行こうかと思います