ブルーアーカイブの隅っこで   作:カピバラバラ

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ブルアカをプレイしている時、疑問に思った事があるんです。

生徒達が戦闘を始め、それを先生が指揮する……その視点です。

先生は物語を話す時には生徒のそばに居るにも関わらず、指揮の視点は全てを見通せる空からの視点。

もちろん、普通に考えたら『ゲームの都合』なのですが……それがもし本当に先生の視点だったら?と考えた結果、辻褄合わせのために産まれた装備です。捻り出したものなんで設定ガバガバ!!!!



後…ちょっとだけ……残酷な描写ありかも?


雪月花時最憶君

対デカグラマトンアロナ専用装備、通称『神の目』…別名は『アルティメット雷ちゃん二号機』

 

五徹夜目の先生が要らない資材をクラフトチェンバーにぶち込みまくって、エンジニア部、ヴェリタス、アロナ協力の元完成した『電波塔』。

 

その機能…それはサンクトゥムタワーを経由して放たれる、アロナの電波侵入、この電波塔がある限りキヴォトス全域にアロナの手を伸ばす事が出来る。電波塔本体にも何故か動き出しそうなキャタピラが支柱に付いているし、盗聴機能もあったり(※後で取り除いた)地味にBluetoothになっていたりと色々おかしな部分もあるけれど。

 

アロナが先生に行っている『シッテムの箱』内への招待、あれは噛み砕けば時空間操作の極地であり、制限はあるとはいえ作り出された異空間の独立管理を『計算』で行っている最強のOS。存在そのものが奇跡に等しいまさにオーパーツなのだが…。

 

そのアロナでさえ、この『電波塔』は、作り出したのにも関わらず、制作者全員が内部を完全に把握していないブラックボックスであり、オーパーツじみたものになってしまった。アロナに詳細を聞いてみると、内部が迷宮の様になっていて、侵入出来ても攻略不可能な場所になってしまったらしい。

クラフトチェンバーで出来た謎のオーパーツをエンジニア部がくっつけ過ぎた結果こうなってしまった…………。

 

設置場所はクラフトチェンバーの地下室一階と二階をぶち抜いて建造した。アロナの空間操作能力によって、クラフトチェンバーで作り出した物資を指定の場所に転移さえ出来てしまう。

 

……なぜそのようなことが出来るのかというと…これは『増幅装置』でもある。アロナの干渉能力を高めるだけでなく、電波塔内に電子的な異空間を作り出す事が出来てしまう。転移や、擬似的に『鏡』の様なコピーを行い、ハッキングしきって『攻略済』となった相手のハードウェアをそのままペースト、一方的なハッキングが可能となる…元々アロナの能力があれば問題無いが……預言者の様な規格外の相手に対し、あらゆる要素を無視してこちら側からの干渉を可能にする、アロナの為の武器と言って差し支えない……欠点としては出来ることと距離は増えても、タブレットの電力が切れればそれまで、無理に稼働させすぎると電力をバカ食いしてしまう。

 

 

“…どうかな?私の声、届いてる?”

 

《うん、しっかり聞こえてるよ〜》

 

遠隔で、私の指揮とアロナのサポートを届けることができる。本来、先生である私が生徒を差し置いて戦線に居ない等、許せない事ではあるのだが、不測の事態…こういった私が離れられない状況での対応をするべく、この設備は生み出された。

 

皆の自習時間の間、自室で決着をつける。

 

“敵性機体活性化と同時に叩く、四十五秒前”

 

“活性化後、十秒間はフリーズさせる、全火力を頭部へ集中、敵機の硬度、火力兵装、行動パターンはみんなの視界に写すよ”

 

《よし、おじさん頑張ってみようか…!》

 

“…ごめんね、先生なのにみんなの前に居れなくて…”

 

《…大丈夫だよ、私は先生が安全な場所にいる方が嬉しいし、先生こそ…補習授業部だっけ?何か助けて欲しいことは無い?トリニティ程のマンモス校、何を隠しているか分からないからね…》

 

“ありがとうホシノ、今の所は大丈夫かな…この件が終わって落ち着いたらまた一緒に水族館にでも連れて行ってくれるかい?”

 

《うん…!よし、みんな〜いくよ!》

 

《先生!私にも姿見せなさいよ!?ホシノ先輩だけだなんてそんな……》

 

《ん、先生は私とマラソンするべき、みんなとあちこちに行くから》

 

“あ、あはは…もちろんみんなに顔を見せに行くよ、安心して………っ!”

 

「先生!反応急増しました!」

 

“……ありがとうアロナ、十秒後起動!気をつけてねみんな!”

 

タブレットを通じて見えてくる景色は、一面砂嵐に包まれているが…。

 

《…見えた!!》

 

アロナのサポートが付けば鮮明な視界へと変わる。

 

《あれが……アビドスを……》

 

ビナー…【違いを痛感する静観の理解者】観測出来たデカグラマトンからのパスは理解を通じた結合。アビドスの砂漠地帯を、恐らくだが作り上げた存在だ。鋼鉄の大蛇と鯨が混ざりあった様な形状をしており、主砲【アツィルトの光】は真正面から受けるにはホシノの強度を持ってしても少なからず手傷を負わせる事ができる。度々交戦記録はあったが…。

 

“…!!塗装…?いや……ヘイローの色すら……黒色?”

 

何だ…?装甲の変化というよりこれは…別の何かの支配を受けている様な…?いや、確かにパスは観測されたはず…。

 

“いや、今は……みんな、起動三秒前だ、頑張って!”

 

 

《《了解!》》

 

 

“二秒前…一秒前!”

 

 

起動と同時の十秒間のハッキングによる停止、それ以上はデカグラマトン側からのサンクトゥムタワーへのアクセスの危険性がある。アロナ自体には歯が立たない様子だが、それ以外の機器に対しては無敵。デカグラマトンにサンクトゥムを掌握される事で引き起こされる事態は未知数だ。

 

 

“今!”

 

 

ビナーが起動する。

 

 

 

生徒全員の火力が叩き込まれ、その後の戦闘に備える皆。

 

 

 

 

 

 

“…………なっ…”

 

《え?》

 

《……先生?これ…………》

 

 

スタン解除と同時に、『頭部』が破裂した。

 

“……ヘイローも消えた…”

 

《ちょっと!?…本当にこれが先生の言うデカ…デカでかなんちゃらの奴の兵器なワケ?とんだポンコツじゃない》

 

《デカグラマトンだよセリカちゃん…おじさんも説明が欲しいな〜…まっ、様子を見るに流石の先生も想定外だったのかな?》

 

そのまま崩れ落ちてアビドス砂漠に沈んでいくビナー……恐らくこれで完全には破壊はされてはいないだろうが、沈黙はする筈だ。……あの破裂の仕方…生徒の火力で起こせるものなのか?

 

“うん、ごめんね…みんな、わざわざお昼の時間帯に呼び付けちゃって……お詫びにこれで柴関でラーメンでも…”

 

電子通貨一万円分、対策委員会の皆のお財布に入れておく。

 

《ん、ありがとう先生…マラソンの約束は覚えていてね》

 

“あはは…昨日体力不足を実感したからね、頑張るさ、そしてありがとうみんな…それじゃ私は補習授業部のプリント作りに戻るよ、バイバイ!”

 

《困ったことがあれば今みたいに頼りなよ〜それじゃぁね〜先生》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

“……あ、デミ”

 

「よっす」

 

一通りの作業が終わったので補習授業部が自習している教室に向かう途中、通路でデミと鉢合わせた。

 

“どうしたんだい?”

 

「いや別に…小便行った後の帰りっす」

 

“小便って…もう少し上品に……”

 

「ほいほい、んじゃ一緒に戻りましょっ」

 

身体を寄せて、通路を二人で歩く。

 

“…………”

 

(…硝煙の匂い……?)

 

「なんすかジロジロ見て」

 

“いや…最近ヒナとかイオリと会ってないからね……吸わせてもらってもいいかな”

 

「なんで一部分だけは真性のド変態なんすか???トイレ行った後っすよ???あとヒフミちゃんに対してやるなら朝に風呂入れてないんで吸ったら私がコロスっす」

 

“大切な生徒が嫌がることをする訳ないじゃないか”

 

「……一回精神病棟にぶち込んだ方が良いんすかね…?」

 

 

 

 

 

 

■教室

 

「……ーーーーれと、流石に勉強漬けばかりだとモチベーションも上がらないと思いまして――何と、御褒美も用意しちゃいました!」

 

「ご、御褒美……?」

 

「はい! えっと――」

 

“ヒフミ、持ってきたよ”

 

ヒフミに頼まれた先生は、大きなサンタクロースの様な袋を持ってきて、皆が自習している目の前で広げた。

 

「ありがとうございます先生、ご褒美は…こちらです!」

 

 そうして中から現れたのは大量の縫い包み。髑髏の仮面を付けた巨大縫い包み、スカルマン。きゅるきゅるな目をした身体が伸びているウェーブキャット。水色の梟、Mr.ニコライ。アイスクリームで窒息しているものと、眼鏡を掛けて白目を剥いているペロロ様……。

 

「どうですか? 凄いでしょう! 良い成績を出せた方には、何と! この『モモフレンズ』のグッズをプレゼントしちゃいます!」

 

「モモフレンズ……?」

 

「でた……何それ?」

 

「……っ!」

 

「――あ、あれ……? 最近流行りの、あの『モモフレンズ』ですが……もしかして、御存知ないですか?」

 

「…ヒフミちゃん、そこまで知名度無いんすよ…モモフレンズ…」

 

「そ、そんな!?」

 

「初めて見ましたね……いえ、どこかでちらっと見たような気も……」

 

「なにこれ、変なの……豚? それともカバ……?あの猫…?の雑巾も変だったし…」

 

「ち、違います! ペロロ様は鳥です! 見て下さい、この立派な羽! そして凛々しいくちばし!」

 

ヒフミの説得も、悲しきかな…どこからどう見てもイッちゃってるペロロ様の擁護には程遠い。

 

「え、えぇ……目が怖い、それに名前も何か、卑猥だし……」

 

「確かにそう仰る方も一部にはいますけれど……よ、よく見て下さい、じっくり見ていると何だか可愛く――」

 

「み、見えないし……」

 

「――あぁ、思い出しました、そう云えばヒフミちゃんの鞄やスマホケース、そのキャラクターでしたね」

 

「あっ、はい、そうです!」

 

「確か、舌を出して涎を垂らしながら、もう許して……っ! と泣き叫ぶキャラクターだったとか……?」

 

「後半部分が違いすぎますよ!?」

 

「あんましヒフミちゃん困らせるんじゃないっすよ」

 

「わ、私は要らない……っ!」

 

「あ、あうぅ……」

 

せっかく用意されたご褒美もここまで反応が悪いと人形の顔すら涙目に見えてくる幻覚を味わう、デミはある程度喜んではいるが、ハナコとコハルからは知らない変なぬいぐるみでしかない。ただし一人様子の違う者がいた。

 

「…………か」

 

「……か?」

 

「可愛い……!!!」

 

「……あら?」

 

「えッ…!?」

 

「ははっ…」

 

「か、可愛すぎる!何だこれは、この丸くてふわふわした生き物は……!?この目、表情が読めない……何を考えているのか全く分からない……!可愛いすぎる……!!!」

 

「あ、アズサちゃん……?」

 

普段の姿とは一変した様子に驚くハナコ、皆から絶妙な反応をされて顔がシナシナになっていたヒフミの活気がみるみると戻り明るくなっていく。

 

「流石はアズサちゃん!ペロロ様の可愛さに気付いてくれたんですね!?そうです!そういうところが可愛いんです!」

 

「う、うそぉ……」

 

「こ、こっちは?この長いイモリ……いや、キリン?何だか首に巻いたら暖かそうな……!」

 

「それはウェーブキャットさんです!いつもウェーブして踊っている猫なのですが、仰る通り最近、ネックピローのグッズが――」

 

「こっ、これは!?この小さいのは!?」

 

「それはMr.ニコライさんです!いつも哲学的な事を云って不思議な目で見られてしまう方ですね!」

 

「あ、そうでした!今回の御褒美の一つとして、そのニコライさんが書いた『善悪の彼方』という本もあるんですよ、それも初版!」

 

「す、すごい、すごい……!これを貰えるのか?ま、まさか、選んでも良いのか!?」

 

「はい!アズサちゃんが欲しいものを持って行って下さい!」

 

「あらあら」

 

「な、何なの……」

 

「……可愛いっすね」

 

そんな光景を微笑ましく見つめるハナコ、それを更に纏めて微笑んでいるデミ、一人一生困惑しているコハル。

 

「……やむを得ない、全力を出すとしよう 」

 

もふもふに囲まれたアズサは、覚悟を決めた表情でヒフミと向き合う。

 

「良いモチベーション管理だ、ヒフミ、約束する、必ずや任務を果たし、あの不思議でふわふわした動物を手に入れてみせるッ!」

 

「ᓀ∧ᓂ ‎  ̖́-‬」

 

「はいっ!ファイトです、アズサちゃん!えへ、えへへへへっ……!」

 

「あら、何だかヒフミちゃんが楽しそうに、と云いますか、あのお人形と同じような表情に……♡」

 

“モモフレ仲間は何人居てもいいからね……分かるよヒフミ…”

 

「えぇ……」

 

 

 

 

 

 

“あ、そうだ…私からもご褒美を用意していてね”

 

「え!?先生からも?」

 

「あら、先生からのプレゼント…ですか♡」

 

「ふむ…モモフレンズの様なものだと…嬉しいが……」

 

「マジっすか!」

 

“勿論ヒフミの分もね”

 

「え?わ、私の分もですか?」

 

“頑張ってる部長さんがご褒美無しだなんて、先生嫌だからさ……まずはコハルからだね”

 

袋ごとコハルに手渡し、中身を確認させる。

 

「……おかしばっかりじゃない」

 

“ふふっ、一番底、見てご覧?”

 

「……!!こ、こ、これって!?サミュエラの『ザ・ビヨンド』!?そ、それに…… これ…⸝⸝⸝⸝⸝⸝」

 

『禁断の恋 総シリーズまとめ本』コハル好みの恋愛本を纏めた一冊だ。

 

“今からみんなに渡す奴全部に『ザ・ビヨンド』は入れてあるよ、次はハナコ”

 

「…これは……パズル、ですか?」

 

“うん、私が作ったパズル……開けたその時ハナコが望むものが入ってるからお楽しみにね”

 

「……望むもの、ありがとうございます先生…♡」

 

“……ついでにこれとね”

 

「……?」

 

先生からハナコに何か折りたたまれた紙が手渡される。

 

“アズサには…ごめんね、ヒフミと被っちゃったけど…”

 

「こ、これは!!着物を着たペロロ様に……舌が長いペロロ様、メガネをかけたペロロ筆箱…!!」

 

「舌が長いペロロ様は、ペロロジラというんです」

 

「が、頑張るよ先生…ᓀ∧ᓂ」

 

“あはは、ヒフミにはこれ、ペロロ様の公演ライブの特等席券”

 

「やったー!!良いんですか先生!!?」

 

“デミ”

 

「な、なんすか私だけ名前で」

 

“確か…デミの銃の見た目って、何も手を加えてないよね、だから塗装キット買ってきたよ”

 

「え!?デミちゃん何も手を加えてないんですか!?」

 

「え?ええ、まぁそうっすけど…というかヒフミちゃんは一旦落ち着いて…」

 

トコトコと歩いて後ろのロッカーからデミが銃を取り出して机の上に置く、無骨なデザインであり、市販のものと一切見た目が変わらないオートマチック式拳銃だ。

 

「うわ、デミ先輩今までこれ使ってたの…?」

 

「コハルちゃんまで……いや、別に良くないっすか?特別何か悪い訳でも……」

 

“なんて、言うと思ってたから買ってきたんだ、ヒフミ、ハナコ、アズサ、コハル……試験が終わったら頼めるかい?”

 

「ちょっ!?そんな卑怯なーー」

 

 

 

 

 

 

■合宿場 ロビー

 

 

 

 

 

 

ーー時刻は夜。

 

 

 

 

 

 

キヴォトスにおける銃のデザインは、各々の個性と言っていい。アズサがよく点検を行うように、己が用いる銃とは相棒であり、己の分身といっても差し支えない、姿が完全に隠れていても、持っている銃のデザインで誰かを判断するのもザラにある事だ。

 

故に塗装や独自の改造が行われていない銃を持つのは、足が着きたくないヘルメット団や、お金が無い不良。学園に通う身でそれをしていないのは中々、というよりほとんど居ないだろう。

 

「あはは!コハルちゃんったら、本当に可愛いっすねぇ…もう!」

 

「あらあら……やっぱり…?」

 

「おっと口が滑ったっす」

 

今は自習を進め、コハルの例の参考書(R18)が見つかってしまい、先生と一緒に正実まで行ってしまったところだ。

 

「…………」

 

「デミちゃん、モジモジして……もしかして」

 

「黙れっす色狂いピンク頭アルティメット、ちょっとトイレ失礼するっす」

 

「うん、行ってらっしゃいデミちゃん」

 

扉を開けて、トイレに向かっていくデミ。

 

「…………ヒフミちゃん、私も少し失礼します」

 

「はい、行ってらっしゃいハナコちゃん」

 

 

 

 

 

 

 

 

ロビーを後にし、外に出る階段を下り、汚れが目立たない裏庭の草むらにしゃがみ込んで、いつも通りに処置を行わなければいけない。

 

「よいしょっと、まずは……これ被って、首に巻いてっと」

 

それから拳銃を口に加え、引き金を下ろし何度か頭を撃ち抜きながら、首に巻いた小型のヘイロー破壊爆弾の起動スイッチを持ち、再生と共に起爆させる……爆発や血飛沫の問題を黒服に相談したところ、この袋を渡された。

 

『いやこれでどうしろと?』

 

『クックック……それは複製(ミメシス)で作り出してもらった、貴方のあの布の拡大版です』

 

『なるへそ』

 

最初、期待して黒服に着いていったはいいものの、今は有効な手段は無いと言われてキレそうになったが、研究の末、見つかった事が一つある。

 

『デミさん、貴方のヘイローは再生時、先生のカードと同様の現象が起きている、神秘を超えた『奇跡』の物質化……顕現ともいえるでしょうか』

 

そして一時的に発案されたのは、日常的に自害とヘイロー破壊爆弾による殺意を己にぶつけること、実際に効果はあった。以前、頭を撃ち抜いた時に血が出た。私が安堵した理由は『効果』があったからなのだ。最近は思考もボヤけ、私が余計な干渉もしないから平和が続いている。朝昼晩のルーティンが大切な作業である。昼でのトイレ帰りに先生と鉢合わせて心臓に悪かったので外でやることにした。

 

バン…!バン!バン!バン!バン!

 

「ごがっ…………ふがふが、よじっど、ま゛ぁ゛わるぐなるじんぞうも……ゲホッ、ないんすけど」

 

グチュッ…という音と共に頭が再生していく、そのスピードも今では中々にゆっくりなものだ。

 

「うっ……オ゛ェェ…」

 

トイレでも良かったのだが、見られる可能性があるといけないので裏庭に来た、びちゃびちゃと草木に栄養らしからぬものを与える。こんな幸せで、精神が安定しているなか、このような吐いてしまう体調不良も今まで無かったもので、とても嬉しい。

 

「よし、ついでにトイレ済ませてこよーっと……あ、そうだ…先生の買ってた、えーとザ・ビヨンドだっけ……何円するんすかね」

 

端末をポチポチと操作して、その値段が目に入ってくる。

 

「……ぇっ…!!?!?!いちじゅうひゃくせんまん……じゅうまん…二十一万円…!?」

 

吐き気がする、今まで史上味わったことの無い苦しみが胸を締め付けてきた。

 

「おっっげぇ……!!ば、馬鹿すぎる……学生のプレゼントに何買い与えてるんすかあの人!?…五人分…?あ、あは…あはは……」

 

高すぎる値段、自分が頑張って貯めた貯金等虫けらが如き価格だ。

 

「……か、帰ろ…トイレして全部忘れよ……」

 

先生の大人の力を見せつけられて、ションボリしながらロビーに戻って行ったデミなのであった。

 

 

 

※クラフトチェンバーで作ったものなので、先生的にはサイフダメージ0でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………な…にが…」

 

見てしまった、彼女の所業を。

 

「…………ふ、ふぅー…!ふぅー…!ふぅー……!」

 

吐き気が止まらず、抑えるようにゆっくりと深呼吸を繰り返すが、心臓の鼓動と共に吐き気がどんどん大きくなるばかり。

 

「うっ…ぷ…………ォエ…」

 

何だ?何がどうなっている?

 

「はァっー……デミ…ちゃん………」

 

この補習授業部が作られた要因は既に推測してあった、が、しかし…先生に手渡された紙に入っていたもので認識を改めた。紙には、小型ボイスレコーダーが入っていて、ナギサと先生の会話が記録されていたのだ。

 

「……ふっ…ぅ…だから……こうして………」

 

嫌になる、私は再び醜い自分と直視しなければならない。けれど彼女達を悪意に晒す訳にも行かない。裏切り者は恐らくアズサちゃんだが……あの顔をする子が……。

 

「はぁっはぁっ……ふぅ…………」

 

「貴方の訳がないと…踏んでいたのですが……」

 

月下の私を打ち砕いたあの子は、自害をしていた。

 

「………ううッ…………ぐッぅぅ……」

 

涙が止まらない、地面に座り込んで溢れ出す涙を袖で受け止めて、それでも涙が地面へと零れていくほどに泣いてしまう。

 

耳に残る破裂音と水の音、思い出す度吐き気がするあの光景。

 

「………………ぅぁ…」

 

手が震え、脳を揺さぶられ、目が灼熱の如き熱さを持ち、心臓の鼓動が痛いくらいに早くなる。

 

「な……にが、なにが、起きて……」

 

『分かる』事が自分の強さで、賢さなのに、肝心なあの子の事が何も分からない。

 

「わ、わから、分からない……なんで……あんなことを…」

 

 

 

『ハナコちゃん』

 

あの顔の裏にはこんなことが潜んでいたのか?

 

『ハナコちゃん』

 

あの言葉の裏にはこんなことが潜んでいたのか?

 

『初めましてっすね』

 

あんな風になってしまったのはこんなことが潜んでいたのか?

 

「なんで……なんで!!分からなかったの……私は……」

 

賢い筈じゃ?能力がある筈では?

 

「なんで……」

 

 

いつも、一番大切な場所に、私の手は届かない?






ハナコは『羽音デミ』の人格形成に大きく影響していたと、一言。


残念ながら、デミちゃんのメンタルは第18話、あそこで砕け散って以降戻ってないんですねぇ……前に進む必要があるから歩んでるだけです。
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