ブルーアーカイブの隅っこで   作:カピバラバラ

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クリスマスに投稿…?妙だな……

気づいてしまった貴方はSANチェックだ。


EAT and SAVE

 

「来たぜ繁華街〜!」

 

「まだここを繁華街と言っていいのかは分かりませんけどね……」

 

「ほ、本当に来ちゃった…」

 

極彩色、夜のネオン街に照らされて、補習授業部一同ははしゃぎ回っていた。

 

「どうですか? もう既に楽しくないですか? 禁じられた行為をしているというこの背徳感、そしてそれを同時に行っている仲間がいるという安心感、この二つが合わさって、もう……!」

 

「ふむ、なるほど、深夜の街はこんな感じなのか……想像していたよりも活気があるな」

 

「えぇ、そうなんです、二十四時間営業の店も多いですから!」

 

「二十四時間も営業しているのか……ん、あれはスイーツショップ? あ、喫茶店も開いている」

 

「あっ、そういえば、此処からもう少し行くと、モモフレンズのグッズショップもあるんですよ、その向かい側には限定グッズだけを取り扱う隠れた御店もありまして……」

 

「むっ、何だと!? それは重要な情報じゃないか……!」

 

「ふふっ、さすがはヒフミちゃん、詳しいですね」

 

「あ、あははは……」

 

彼女にとって、夜の外出など慣れたものである。なにしろ、ブラックマーケットにまで足を運ばせるモモフレンズに対しての熱意があるのだからグッズ販売が行われやすい場所は網羅しているのだろう。

 

「け、結局乗って来ちゃったけれど、こんなところ万が一ハスミ先輩に見られたりしたら、すっごい怒られそう……」

 

“そういう時は大人に任せなさ〜い、いざとなったら私の十八番芸で何とかするよ”

 

「随分とノリノリっすね……十八番芸って?」

 

“土下座”

 

「ほんとにどうしようもねえなこの人!?」

 

「それにしても、ハスミさんは後輩たちに優しい方だと聞いていましたが……そんなに怒ったりするんですか?」

 

「も、勿論優しいわよ! それに文武両道で、さいしょ……けんび? で、品もあって、すっごい先輩なんだから! で、でも怒る時は本当に怖くて……」

 

「そう云えば、最近、何か荒れるような事があったんだっけ」

 

「う、うん……前に一回、私もその場にいたんだけれど……」

 

「あ〜あれっすか…」

 

“あれかぁ……”

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、あの〜ハスミ先輩?」

 

 

「絶対に、絶対に許しません!万魔殿!ゲヘナッ!どうして、どうしてあそこまで……ッ!」

 

「ミッ」

 

「はぁ、はぁっ……!」

 

ぐるぐると獣性を含ませる程の唸り声を腹の底から出し、鋭く線のように睨みつける目は底冷えさせる冷たさがあった。一体何が彼女をここまでの憎悪に染めているのだろう。

 

「……よく、良く聞いておいて下さい、私は今此処に、宣言します!」

 

「……?」

 

「これから、私はッ……!」

 

周囲を一瞥し、決意を込めた目で宣言をおこなう。

 

「――今度こそ、ダイエットをしますッ!」

 

「……!?」

 

「……っ!」

 

「…………」

 

 そう、宣言したのだ。

 

「だ、ダイエット、ですか?」

 

「はい、ダイエットです!」

 

「これから私が一日に二回以上食事をしたり、おやつを口にするところを発見したら、その場で指摘してどうか叱って下さい!こういったことは自分だけでは難しいので、宣言しておきます!皆さんの助けが必要なんです!」

 

「……ハスミせんぱーい…そんなことしたって、見つからない様に夜にどっか出かけちゃったり、絶対失敗しますって…ていうか何があったんすか?」

 

「…そ、それは…」

 

デミにそう聞かれ、口澱んでしまう。

けれどあのことを思い出すと未だに腹が立つ、赤い顔を一旦収めて、事情をデミに対して耳打ちする。

 

「ゴニョゴニョ…」

 

「ふむふむなるほど……ぶふっw」

 

ガツンッ!!

 

吹き出したデミが地面に埋まる勢いで頭を叩かれた。

 

「「「……?」」」

 

困惑する委員達、ここまでの憤怒とダイエットがどう結びつくか想像につかない。彼女がやたら滅多らに暴力行為を働くのも珍しく、本当に何があったのかと様子を確かめていた。

 

時は数時間前……。

 

 

■万魔殿 パンデモニウムソサエティその来客室

 

その日、ハスミはゲヘナ中央機関、敵の胃袋の中のような場所でとある人物と会合していた。

 

「私がこのゲヘナ、万魔殿の主……マコト様だ」

 

一言告げるだけで分かるその剛健不遜さ、自信の表れなのか元来の性格によるものなのか。何故ハスミが忌避するゲヘナ、その中心に来たかというと、デミの騒動の件で呼び出され、会議をする事となった。

 

「――ふん、どうした?トリニティの正義実現委員会とも在ろう者が、挨拶の一つも碌に出来んのか?」

 

「……トリニティ総合学園、正義実現委員会の――」

 

彼女の言葉に応える為、ハスミは一応礼儀として口を開いたが……その言葉を吐き切る前に、マコトは静止させる動作を見せ、言葉を止めさせる。

 

「――あぁ、良い、結構だ、素性は既に理解している、いや……今、理解したというべきか……よくぞ来たな?トリニティの戦術兵器…剣先ツルギよ」

 

「ーーは?いえ、私は……」

 

「そうか、想定以上に規格外だな、不愉快になる位に――」

 

「……………デカイな」

 

「はい?」

 

マコトの視線はそのそびえ立つ双丘に注がれている。

 

「キキッ! がそんな戦略、このマコト様には通用しない!出会い頭のインパクトで我々に勝とうなど甘いわッ!」

 

「……一体、何の話で――」

 

「イロハ、サツキを連れてこい!トリニティの奴らに負けてなどいない事を示してやるぞッ!」

 

「はぁ……」

 

 マコトはそう高らかに叫び、隣で黙って手元の資料を整理していたイロハを見る。彼女は小さく吐息を零すと、余りにもいつも通りな自身の上司を見つめながら、とても面倒臭そうに告げた。当のハスミは一体何の話をしているのか理解できず、困惑を隠せない。

 

「マコト先輩、この方は委員長のツルギさんではなく、副委員長のハスミさんです、予め書類にもそうあったと記憶していますが――」

 

「それに、今もし胸の大きさの話をされているのであれば、多分サツキ先輩が来ても勝てないと思いますよ」

 

「……は、胸?」

 

「な、なにぃっ!?ツルギじゃないだと!?ば、バカな、代役……いや、そういえば……」

 

聡明な頭を働かせて必死に考えるマコト、ぐぬぬと頭を捻り、昨日のことを思い出す。

 

『例の件で、副委員長である【羽川ハスミ】が……って、聞いてます?聞いてませんね?』

 

「はぁっ…!!」

 

がたんと、イスから跳ね上がり目の前に座るハスミを凝視する。彼女の脳内で繰り広げられていたゲヘナとトリニティの壮絶な情報戦は誰にも知られる事無く幕を閉じた。

 

「き、キキ……いや、何でもない……羽川ハスミ、だったか…」

 

「ですから元々ハスミさんが来る予定でって言ってたじゃないですか…本当に私の話を聞いてないんですから」

 

「ぐ、ぬぅ……ッ!それにしてもデカすぎるだろう!?副委員長でこれとは、どっちにしたって万魔殿の面目が立たぬではないか!!」

 

「落ち着いて下さい、あともう胸の話はやめて下さい、そろそろ万魔殿として恥ずかしいです」

 

「イロハッ!こうなったらあれを用意しろッ!このままこの【デカ女】に負けてたまるかっ!」

 

「――デカ女?」

 

マコトの放った一言、それはハスミ自身の一番気にしている部分であり、隠しきれぬ憤怒が表情に現れていく。

 

「あれ、と云われても何のことかさっぱりですが……取り敢えずこの会議がおじゃんなのは良く分かりました、私は逃げますね、じゃ」

 

「……お待ちを、イロハさん」

 

「……おや」

 

一度吹き上がった怒りを抑える、ハスミにとってこの会議は、デミの処遇を決める大切なもの、易々と自分の身勝手な怒りで台無しにしてはいけないのだ。

 

「ふぅっー…改めて、私はトリニティ総合学園、正義実現委員会所属の羽川ハスミと申します、今回はこちらの不祥事でゲヘナの自治活動に多大な被害を……」

 

「ん?なんだそんな事か、キキッ!むしろ感謝しているぞ羽川ハスミ!貴様ら正義実現委員会のメンバーがヒナと戦い、勝利したと聞く!奴の風評も崩れ落ち、これでより万魔殿の権威が拡大するというものだ!」

 

「は、はぁ、では処遇は…」

 

顔色を伺うように話すが、返事が決まっているのか、既に頭ができあがってそうな雰囲気を醸し出すマコトに問いかける。

 

「そんなもんある訳なかろう?話したい内容はそれだけか?ならさっさとトリニティに帰る事だな【デカ女】よ」

 

「……」

 

彼女に対しての処遇が決まったという事は、私が我慢する必要もないということ。

 

「あ、今度こそ私は逃げますね、ご無事を祈ってます…」

 

「……?」

 

「……」

 

「な、ちょっ、まて!」

 

ガスッ! ボコッ!

 

「む、無言で殴るなァァ!!?」

 

ドゴン!ボゴッ!!ガスッガスッガスッ!!

 

 

 

 

 

「あれは酷かったっす」

 

“顔が五倍くらいになってたね…”

 

「そんなことが…気を落としてご飯を食べられ無くなっていないといいのですが…」

 

「ハスミ先輩は色んな意味で強いから大丈夫よ!立派な人なんだから……」

 

そんなこんなで、色々話しながら街を散策していると、鼻腔に甘い匂いが漂う。

 

「……むっ、こんな所にスイーツ屋が、それも凄く良い匂いだ」

 

「何だか食べ物の話をしていたら、お腹が減って来ましたね……」

 

「折角ですし、此処で何か食べて行きましょうか?」

 

「そうですね……あっ、此処の限定パフェ、確か凄く美味しいって話を聞いた事があります! 二十四時間やっているとは知りませんでしたが――」

 

「パフェか……うん、悪くない、行こう」

 

“サイフ係は任せて”

 

「ここ美味しいっすよね〜」

 

「え、えっ……?」

 

トントン拍子にみんな店内に入っていくのを、後ろめたさからか鈍い動きで後を着いていくコハル。

 

「うぅっ……誰もみてないよね?」

 

 

 

 

 

 

「いらっしゃいませ~」

 

「真夜中にスイーツ屋さんだなんて……緊張もありますが、何だか凄くワクワクしますね」

 

「確かに」

 

「五名様でしょうか?御注文を伺います、席はご自由に」

 

「限定パフェってまだありますか?」

 

この時間帯ならば!と、限定パフェを申し込むデミ、普段ならば売り切れ必須な商品なだけに、彼女の真剣度は凄まじい。

 

「あぁ、申し訳ございません、限定パフェは先程、別のお客様が三つほど購入されたのが最後でして」

 

「っす……そうっすか、ありがとうございます」

 

「ふむ、一歩遅かったか……こんな時間まで狙われているなんて、侮れないな」

 

「売り切れですか…」

 

逆に言えば、この時間帯で売り切れてしまう程の味、それを想像すればするほど残念さが増す。ガックリと肩を落とすヒフミ。

 

「まぁ、ないものは仕方ない、ヒフミ、何か他におすすめのメニューはある?」

 

「えっと、そうですね、それなら――」

 

「……あら?」

 

頭にメニューを思い浮かべながら、アズサと話すヒフミ。そんな中、窓側の席から聞き覚えのある声が飛んできたかと思い、視線を向けると赤と黒の色が混ざったセーラー服、見覚えのライフル、コハルは既に気づいたようで、ぷるぷるとしながら、先生の後ろに隠れている。

 

「――せ、先生?」

 

“こんばんは、ハスミ”

 

二人の声が交差し、補習授業部の視線が一点に集まった。

 

「ハ、ハスミ先輩……」

 

「あら……もしかして、それが限定パフェですか?何やら沢山……」

 

コハルはその出会いに驚いてすっかり焦燥しきっている。ハスミが座っている席の上には限定パフェの空き容器、三つ分が並んでいてまさか、これを一人で…?と言う視線がハナコから向けられていた。

 

「先生、それに補習授業部の皆さんも、こんな時間に一体――」

 

「あ、あぁああぁあ………」

 

この夜に、まさか職場の先輩と出会うなんて言う奇跡じみた確率、奇跡という言葉を、今だけは呪いたくなったコハルは泣きそうになりながら震えている。対してデミは呆れるような表情をしており、それはまさか自分の言った通り、彼女が隠れてデザートを食べ食いしているというものから来る感情だった。

 

「三つ……?ハスミせーんぱ〜い?」

 

「ハスミさん、奇遇ですね♡真夜中にパフェを三個も……確か、ダイエット中と伺いましたが?」

 

「えっ!?な、何故それを……こ、これはですね……――違うのですよ!?デミ…そんな目で見ないで下さい…!」

 

「ふふっ、はい、心中お察しいたします、真夜中に襲ってきた悪しき欲望に導かれて、ここまでやって来てしまったのですよね?」

 

「あ、悪しき欲望……い、いえ、その……」

 

「そうして欲望のままに振る舞った後、理性を取り戻した頃にはもう、取り返しが付かない方に乱れて――」

 

“ともかく、無茶はしてない様で良かったよ、夜中はお腹すいちゃうよねぇ〜……皆と相席は大丈夫かな?”

 

「は、はい」

 

先生がそばに寄って、席に腰下ろすと、どこか恥ずかしそうにもじもじとするハスミ。先生が席に座ったので、補習授業部の面々も同じく席に座った。ただしコハルだけは一つ一つの動きがぎこちなく、極度の緊張に見まわれているようだった。

 

「せ、先生?その、自分の事を棚上げするようですが、補習授業部の皆さんはそもそも、合宿中の外出が禁じられていた筈では……?」

 

“合宿が勉強ばかりだと息も詰まるからね、息抜きって奴さ”

 

「……そうですか…ここはお互いに、見なかった事にするとしましょうか」

 

先生の後ろでプルプルと震えるコハルを見兼ねて、話を終わらせる。

 

「は、ハスミ先輩、その……」

 

「コハル、お勉強は頑張っていますか?」

 

「あ、えっと、それは……――」

 

“コハルは最近、成績がすっごく伸びていてね、合格も目前だよ”

 

恐る恐る声を上げ、ハスミに向かい合うコハル、それに対してハスミは優しく、穏やかな口調で問いかける。何故それ程優しげであるのか、外出している事に怒らないのか、様々思案するコハルを見て、合いの手を入れるように、先生は言葉を送った。

 

「は、はい、そうです!コハルちゃんはこのままいけば合格圏内に届く位、頑張っていて……!」

 

「――そうでしたか」

 

コハルの成績の上昇具合は、本当に合格に近いものとなっていて、それを聞いたハスミは安心したかのような穏やかな表情を向けた。

 

「うぅ、その、えっと」

 

「それは何よりです、言ったではありませんか、コハルはやれば出来ると」

 

「は、ハスミ先輩……」

 

「そうです、あの時も――」

 

“やっぱり、悪い話じゃ無かったんだね…良かったよ、コハル”

 

「……えへへっ、は、ハスミ先輩の期待を裏切りたくないですから……」

 

コハルの麗らかな表情は、あの時見たものと同じで、ハスミはそんなコハルに慈愛を受け渡しながら、頷く。

 

「えぇ、引き続き応援していますよ、コハル、早く正義実現委員会に戻って来て、一緒に任務が遂行出来る時を心待ちにしていますから」

 

「は、はい!頑張ります……っ!」

 

「…そして、デミ」

 

「はーい、なんでしょうか?欲張りハスミせんぱーい」

 

「…………」

 

煽るような口調、いつも通りの風体、何も考えてなさそうな表情、全て…いつも通りの彼女。

 

「わっ……ぷ」

 

優しく、優しく優しく、割れ物を扱うように、羽毛の様なハグを交わす、自らの羽で包み込み近くに抱き寄せる。傷つかないように、痛まないように。

 

「ハ、ハスミ先輩?」

 

「………」

 

色々言いたい事がある、けれど一言でも話したら、全て決壊して…周りの目を憚らず話してしまうと思うから、優しく、無言で。

 

“…青春だね”

 

「あら、先生が何処か遠くを見ているような…」

 

「……凄くおじさんって感じの顔ですね」

 

おじさん、直接言われてしまうと何かこう……抉れるような感覚が先生を襲った……慈しみながら見ていると、不意に電子音が鳴った。

 

「……失礼、私の端末の様です」

 

音の正体はハスミの所持していた。携帯からであった。ハグを解き、至福の時間を潰されてしまったかのような苛立ちを見せるハスミ。先ほどまで緩んでいた表情は、業務の時と同様に冷酷な装いを見せていた。

 

「こんな時間に連絡?一体……」

 

応答ボタンを押す。

 

「はい、イチカ?どうかしましたか」

 

《すみません先輩、こんな時間に……ちょっと問題が発生しちゃいまして、今どちらに?》

 

「問題とは……?詳細を聞かせて頂けますか」

 

《えっと、どうやら学園の近郊にゲヘナと推測される生徒達が無断で侵入したらしく……更に無差別に銃撃を行いつつ、トリニティの施設を襲撃している、との情報が》

 

「襲撃……ですか」

 

その報告に表情は極寒のものとなり、立て掛けてあったライフルを持って、店から立ち去ろうとする。

 

「相手はゲヘナの風紀委員会ですか、それとも万魔殿がついに本性を?」

 

《あー、いえ、それが……》

 

「――誰であれ、恐らく狙いはエデン条約の妨害でしょう、直ぐに向かいます……!敵の規模と場所、施設の情報を、全力で敵を叩き潰しますよ…!!」

 

《落ち着いて聞いて欲しいっす先輩、取り敢えず相手はゲヘナ風紀委員会ではなく、兵力も全然少なくて、確認されているのは四名だけっすね》

 

「四名…?しかも風紀委員会でも無いと?」

 

《そうっすね、それで襲撃された場所なんですけれど……アクアリウムみたいっす》

 

「あ、アクアリウム……何故、そんな所を……?」

 

『さぁ、あたしにも良く分からないっすけど、何だか展示中だった希少種の【ゴールドマグロ】を強奪して逃走しているとかで……』

 

「……ゴールドマグロ、ですか」

 

『えーっと、どうやら相手は……ゲヘナのテロリスト集団、【美食研究会】らしいっすよ』

 

「はァァァァ!?またアイツらっすか!?」

 

そういえば、先ほどから片手で抱き寄せていたため、通信機の声がデミにも届いていた。

 

「……ゴールドマグロって美味しいのでしょうか」

 

『それは分かりませんけれど、首謀者は会長の【黒舘ハルナ】、ゲヘナの中でも要注意人物とされている……というかいつもの奴っす』

 

 

 

 

 

「――ねぇぇぇええッ!?何でこんなところまで来ちゃったの!? トリニティのど真ん中じゃん!?色んな人に追われるしっ、服はずぶ濡れだしっ、走り回って疲れるしッ!」

 

「仕方ありません、あのゴールドマグロとなれば、正義実現委員会総出で私たちを捕まえに来るはずです☆」

 

「やばいじゃん!?」

 

「ふふっ、あの伝説のマグロを只の観賞用として扱うだなんて……そんな事、美食に対する礼儀がなっていないというものですわ、それに……アカリさんの言う通り、【総出】でくるでしょう」

 

頭に思い浮かばせるは、『羽音デミ(私の美食)』。

 

「それと美食というものは、孤高でありながら普遍的でなくてはなりません……ただ見世物としてお金稼ぎの手段に終わるなど、このゴールドマグロさんも望んでいない筈……フウカさん、戦いが終わったら、調理お願いしますね?」

 

イズミに指示を送り、彼女だけはこの場からゴールドマグロを隠し持ったまま退却させる。

 

「えぇ!任せなさい!」

 

廃ビルの一角、美食研究会の部員でも何でもない彼女が、何故か一番先頭に立ち音頭をとる。

 

「あの子から、『食』を取り戻すわよ!ハルナ!!」

 

「――大事なのは食べられるか、否か……食を分かち合い、その想いは孤高であり普遍、誰と共に、どんな時を過ごし…どうやってそれを食すかを問われています」

 

「つまり、彼女が『食』を失ったのならば、取り戻す!【食べて、救う(EAT and SAVE)】それこそが、私たち美食家が歩む道なのです!」

 





メリクリ〜!!という訳で!水着姿です!



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