ブルーアーカイブの隅っこで   作:カピバラバラ

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新年近くて大忙し!暫く更新遅くなるかも……今回はめちゃくちゃ短いぞッ!


おかたづけ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ーー新鮮な負傷者四名と、誘拐された人質一名、引渡しありがとうございました」

 

 

“うん、セナもこんな夜遅くにお疲れ様”

 

 

「はい、それでは出発の準備をしておきますね」

 

 

美食研究会を抱え護送車に運び込むセナを片目に、白くてモフモフとした彼女に話しかける。

 

 

“やぁ、ヒナ…久しぶり”

 

 

「先生…久しぶり」

 

 

ヒナとはあの事件以来、仕事の関係上、しばらく会えていなかったためオーバーワークになっていないか等、心配事は多かったが、やはり働きづめだったのだろうか。目元に黒いクマが浮かび、元々の白い髪の毛も少しぼさついている。

 

 

“よし、おいでヒナ”

 

 

彼女の至近距離まで近づき両手を広げる、ハードな仕事を日々こなし続け、オーバーワークになる彼女は基本的に自分の内面を人にさらす事は無い。風紀委員長という立場はその権力に見合った重さを兼ね備えている。

 

 

「……駄目よ、先生…エデン条約が近い中…政治的配慮で先生が仲介に来たのでしょう?」

 

 

“ふふっ、じゃあ私から”

 

 

「……先生…」

 

 

優しく抱擁を交わす、彼女の力があれば、私は簡単に振り解かれてしまう…こうして甘んじて受け入れてくれる間だけでも、肩の力を抜いてくれると良いのだが。

 

 

“夜遅くに、お疲れ様だね……本当に頑張り屋さんだ、エデン条約が終わったら…また部屋に案内してくれるかい?”

 

 

「うん…」

 

 

“良かった、んー…最近の風紀委員の皆は大丈夫かい?”

 

 

「えっと、アコは…また死んだ目をしながらストレスを溜めてる、チナツもアコに絡まれて…イオリは先生と会えなくて不安がってるよ」

 

 

“…色々と、お疲れ様…”

 

 

これは本格的にゲヘナにしっかりと挨拶しに行ったほうがいいかもなぁ…。

 

 

「……?先生、今までチョーカーなんて付けてた?」

 

 

抱き寄せる距離にいるため、首に付けていたチョーカーを手でずらされてしまった。

 

 

“あっ…と”

 

 

「……ッ!!先生!!それ、誰が付けたの?」

 

 

先生の首からチラリと見えたそれは、手形の絞跡だった、赤黒く変色したアザとなっているそれは明らかに暴行の跡だと分かる…致命傷レベルの。

 

 

“あー…えっと、これは…”

 

 

「言って」

 

 

“あ、あはは…大丈夫さ、古傷って奴だよ?”

 

 

「古傷…って、今までそんな傷…!」

 

 

“ううん、本当に古傷だから、大丈夫だよ、ヒナ”

 

 

これは古傷である、カードを使ったことによって現れ、幾度も繰り返した私の罪の形。彼女に付けられた消えない思い、だから、これは古傷なのだ。それを背負って歩んでいくものなのだから。

 

 

「…トリニティの奴ら?」

 

 

“ヒナ、それは駄目…君たちは生徒で、互いに憎み合うものじゃない……これは本当に私の古傷だからさ?”

 

 

「……………分かった」

 

 

「…トリニティでの生活はどう?」

 

 

“ん…あ〜ちょっと色々あったかな”

 

 

トリニティでの出来事をヒナに説明する、補習授業部のこと、そこに仕組まれた陰謀、エデン条約に繋がる事態となっている現状。ヒナの表情は険しくなるばかりだ。

 

 

「…随分と厄介なことに巻き込まれてるね、助けは必要?」

 

 

“大丈夫、私は生徒を信じているからね……きっと良い方向に進んでいくさ”

 

 

「風紀委員長」

 

 

セナの声が届く、どうやら準備が終わったようだ。

 

 

「またね、先生」

 

 

“またね、ヒナ”

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜数日後〜

 

 

グッ……パッ、グッ……

 

 

「………」

 

 

いつも通り路地裏に居る私は、手を握りしめ、加減を確かめてみる。本気で握ったり離したりしてみているのだが……肉体が崩壊するほどの力が出ない…というより、やっぱり先生と同じ状態になっている。

 

 

「どう思う?黒服」

 

 

「実に興味深いですね…!まさか種族的な特徴すら、ヘイローと同じ神秘の産物だったとは…クックック……『ゲマトリア』の起源を、デミさんは知っていますか?」

 

 

当たり前の様に傍に居る黒服は、最近の恒例行事だ。勉強の間を縫って毎回会っているのだが……こいつ暇なのか?

 

 

「あ〜…確か、科学技術、AI開発による神の再現……?その開発チームの援助を行ってたところの名前だったっけ」

 

 

「よくご存知で、概ね合っています、が……そもそも、彼らが作ろうとしていた『神』の定義が我々と異なっていたのでしょう、物品としての性能は理解出来ても、作成された意図が全くもって分からないものばかりでした」

 

 

「どんなもんが作られてたんすか?」

 

 

「遺伝子技術に連なるものですね、何故、電子の世界に人生を投じた彼らがそのような分野まで手を伸ばしているのは謎でしたが、『神』をAIによって再現するには、それに耐えうる…もしくは適した『器』を作るまで構想されていた……」

 

 

「なるほど?つまりは神の再現にはAIだけじゃ不足だったんすね」

 

 

私が知り得る知識の中では、ゲマトリアも無名の司祭もデカグラマトンも、それぞれ『神』の解釈には若干の違いがある、昔のゲマトリアが支援していた神がどうであれ、アリスとケイの事例がある以上、想像はできる。

 

 

「…ふむ……彼らは精神や、その思考回路に神を見出すと共に、その肉体も同様に神らしさを……『全ての生物』の特徴を求めたのですね、あらゆる神秘を利用して」

 

 

「『全ての生物』の特徴ねぇ……そんなの突き詰めれば肉の塊になる……ぁッ…!!なるほど〜っ!という事は、あの時の私が…」

 

 

「はい、あの時のデミさんの肉体は限りなく神に近いものでした、あの壁を食い潰した肉の塊は弾け飛んでしまっていたため、鑑定は出来ませんでしたが…恐らくあれが、『無名の司祭』の目標地点でしょう」

 

 

「はぇ〜無名の司祭共が崇拝していた『名も無き神』もこんな感じだったんすかね〜?自然を模った形をするって……まさか全部混ぜとかセンス無いっす、それでキヴォトス人と敵対して『色彩』頼り……こうなると『色彩』の正体が気になるっすね」

 

 

色彩は実際に生徒が目撃するだけで、その神秘を反転させる規格外の過負荷(マイナス)。カオスとも言える程の極地に至った死の星だ、けれどあれは肉体を持たない、プレ先の肉体に宿った上で行動したり、色彩が宿った所で、その支配と行動の抑制を行っていたのは無名の司祭による呼び声、ようは意志を持たない最悪の木偶の坊だ。

 

 

「かーっ!やっかいな事ばっかっすね!『ウトナピシュティプの本船』の起動リスクも背負いたいし……あれって様はクソデカい世界最大の量子コンピュータみたいなもんすよね?リソースと演算でなんでも出来るってゲームじゃないんだから……宇宙戦艦っていうのも機能の一部でしたっけ?」

 

 

「クックック……ククッ…何やら貴方から聞こえてはいけない情報が聞こえてきた気がしますが、補足して付け足すと恐らく、『神』という万物の祖が、把握できてないもの等無い、そう決定づけた者たちが作り上げた解析機でしょう、宇宙戦艦として使用できるのも宇宙の果てまでを知ろうとし、その始まりを解析しようとしたのでは無いかと」

 

 

「再現の一環って事っすか、解析、再生成、クラフトチェンバーの要領で好き勝手する『アトラ・ハシースの箱舟』も多分同じ感じっすねぇ……」

 

「それにしても敵対する二つの組織が作り上げた最終兵器の結論が同じって、デカグラマトンもいつかあんなんになるんすかね?……あ、後あんまし悪さしても叩き潰しに行くから駄目っすよ?黒服」

 

 

「おっと…そのような顔をされると困ってしまいますね、私も私で動かさせてもらっていますが」

 

 

「ふーんだ、大人の事なんか信用するかーってね、まぁそうなる前に何とか……アーン…」

 

 

バンッ!

 

 

口に拳銃を加え、頭を打ち抜いてみるが…元に戻った。再生は今阻止できているものの、死傷は自動的に修復されるみたいだ。

 

 

「ぁがッ……やっぱり駄目か、根本的にはどうにもなってないみたいっすね、まぁ感謝はしてるっすよ?なんだか久しぶりに…肩の力が抜けたというか…てかノリで死ねるかと思ってましたが、こう考えると厄介事多すぎるっすね?」

 

 

「ククッ、今の貴方は超人的な身体能力も、例の神秘による力もございませんが…」

 

 

「変わんねーっすよ、別に私がどうあれやる事やるだけっす……ベアババアだけ怖いけれど、まぁなんとか抗ってみるっす」

 

 

 

 

 

 

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