『羽音デミ』という生徒は一体どういった人物なのか?
そう問われた時、ある者は「お調子者」ある者は「ゴリラの化け物」ある者は「甘いものが大好きな可愛い子」………ゴリラの化け物???
誰だ今ゴリラつったやつ、今名乗りあげるならゲンコツ1発で済ませてやるからさ!!!お前か?そうか、殺す!!!!!
胸のデカさ勝負しようぜ!?私より小さかった奴ら全員私の魅力以下な!!?!
ん?胸だけが女の魅力じゃない?ゴリラに恋愛は分かんねぇかw?……オマエら全員ブッコロシテやる!!!!!
ドッタンバッタン…………
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サントゥクムタワー復旧から4週間…
■トリニティ学園 正義実現委員会
「羽音デミはどんな生徒か、ですか?」
“うん、あの子がどんな生徒か先生である以上、知っておかなければと思ってね”
トリニティ学園、羽川ハスミを訪ねてきた先生。
「どんな生徒か……そう聞かれると難しいですね、1年次から軽薄な面はありつつ業務は至って真面目で、あの戦闘能力は私達の中でも頼りにしています」
「それによく、朝からトリニティ周辺の警護…もといマラソンの一環で自治活動をしていたり、彼女に救われた生徒がよくお礼に来てくれています」
「テストの点数も、課題も良く頑張っていて…努力家とも言えますね」
“良い子なんだね”
「ただ……最近、不安な部分が」
“不安?”
「最近…というより2年生になってからなのですが、何処か……何処かは分からないのですが、彼女の中で何かが燻っているような気がします」
「髪色の変化、どこか張り詰めた風に感じるお気楽さ…気の所為だといいのですが、私一人の感想はこれぐらいしか」
“なるほど……ありがとう、覚えておくよ。他の子達にも聞いておいた方が良いかな?”
「はい、私一人の意見では暗雲を探るようなもの、ツルギにも聞くといいと思います。多忙な身でしょうが先生も頑張ってください」
“重ねてありがとうハスミ、今度また一緒にケーキでも食べに行こうか”
ニコッと笑ってハスミの手を取る先生の笑顔に、ついつい邪な推測をしてしまう。
「先生……それはその…デートという事になってしまうような……」
別にそう言う訳では一切ないのだろうけれど、思わず口から出た言葉に自分自身も驚いている。
“…ん?あはは……生徒が望む事をなるべく支えてあげるのが先生だからね”
“ハスミが喜んでくれるなら、なんと思われようとも大丈夫だよ…。それに生徒に邪な気持ちは抱かないようには絶対してるけど……”
“ハスミは綺麗で可愛いから私以外にも気を付けてね?”
羽川ハスミの脳内に電流走る、モモトークでも感じたが、この先生…スケベ過ぎる!!!
何とかしなければと羽川ハスミは決意したが、悲しきかな騙される側であった羽川ハスミ、先生にまんまと乗せられてしまっていた。
“ハスミ?…あの、ごめんね、羽…”
ボーッとしていると、羽をいつの間にか先生の身体に回していたらしく、慌てて引っ込めて向き直す。
「と、とりあえず…聞きたいことは以上で宜しいでしょうか?」
“ん…なら、それと……”
■トリニティ学園 放課後スイーツ部
「羽音デミ先輩はどんな生徒か……ね」
“正義実現委員会のみんなにも聞いてきたんだけどね……コハルちゃんは私が近づくと『エッチ!駄目!死刑!』しか言わなくなっちゃって”
“ツルギも訓練中の彼女について話している途中に耐えれなくなっちゃって……”
「そりゃまぁ先生が相手ならそうなるよ」
“……?”
「ねぇ、先生前に言ったよね?いつか誰かが先生に襲いかかっても自業自得だって」
“あはは……なんだかごめんね?”
「ッ~!もう!」
杏山カズサはいつか誰かが先に襲うより前に先に襲ってしまえばいいと、そんな考えが過ぎるが…せめて自覚を持たせてからやってしまいたいと思い再び封印した。
「はぁ、で…デミ先輩の事ね。一言で言うなら、レイサを数倍越える大馬鹿」
“それは……”
「先生がわざわざ聞き込んでるってことは、デミ先輩の悪い所…見たんだね」
“シャーレの部室を取り戻す時に一度ね…”
「なら遠慮なく言わせてもらいます」
「レイサは、昔の私の影に縋ってるだけ。自分の煌めきを追い求めているだけだからまだしも……デミ先輩は自分が何を求めているか理解せずに突き進んでる」
「固く硬く塞ぎ込んで隠しきって、なのにそうやってしているものの正体を自分で分かってない。隠してるから私達にも分かんない、あれは来るかどうかも分からない不安に怯えてる…いつか不安に憑り殺される顔……かな?何をそんなに考え込んでるのかは分かんないけど」
「抱え込んでいるものに押し潰されて………泣いて歩いてるっていうか……」
“そう思ったのは……その、昔の…?”
「そうだね、まじでそこには触れられたくはないけど……勘ってやつかな?」
「うん…思い出したら腹立ってきたな、この世の悪いこと全て自分のせいだって顔しながら助けられんの」
“確か、一度デミが無茶をしたんだったね。正実のみんなが口を揃えて心配してたよ”
「そうそう、その後倒れちゃって…私の膝上で寝てたの。その時の寝顔がそんな風に見えたんだよね」
“そう…か、ありがとうカズサ”
「ん、別に。でも…デミ先輩は馬鹿なだけで悪い人じゃないからさ?」
“分かってるよ、デミも私の生徒だからね。きっとあの子が背負っているものは『大人』が背負わなきゃいけないものだ”
“そして、きっとその責任を背負わせた者がいる”
“私は先生としてあの子を叱らなきゃいけない時が来るだろうし、大人として背負わせた奴に一発殴ってやらなきゃね”
「そう…そこまで分かってくれてるんだ、先生」
“ハハハ…これでもれっきとした大人だからね”
「大人…大人かぁ、なら…先生?」
“ん?何だい?”
「特に用……は無いんだけど、この後またお邪魔してもいい?」
“大丈夫だよ、カズサの話で聞き込みも終えるつもりだったからさ”
「そう…じゃあ『フォンダンショコラ』先生の為に買っていくね。一人じゃ食べ切れないサイズの…熱々で、頼りになる大人が冷まして分けてくれないと食べきれなさそうな……ね?」
“あ、え…”
「先生、駄目かな?」
“うん、大丈夫だよ”
…そこで何も言わずに受け入れるのが、なんというか…言葉には出来ないけど、アレという奴だ。
「はーっ、やっぱり先生って馬鹿だね、冗談だよ、冗談」
“あ、あはは……そっか冗談か…うーん、残念だな…カズサと一緒だとケーキが更に美味しく感じるからね、来てくれると本当に嬉しいよ”
“…そうだ、今度一緒にカフェで…そうだね、カスミにも言われちゃった事だけど、カズサが嫌じゃないならお茶会でもしようか”
冗談だと分かってしょぼくれた顔をする先生、その後に続く言葉を聞いて心臓が跳ね上がる、以前のお返しに軽口を叩いたのが何百倍になって帰ってきたみたいに頭がクラクラする。
“また、ノーメイクで会うのは嫌だと思うからさ、予定を決めて行こうか”
「サイテー…………本当に……」
“なんで!?”
キャスパリーグと呼ばれた過去が、今になって重くのしかかる、外出して不良にでも煽られたら先生にはしたない姿を見せてしまうかもしれないからだ……まぁ、別に楽しみでは無いという訳では無いけど。
“あぁ、それと……”
■トリニティ学園 校門前
あの後特に何も無くトリニティ学園を後にしようとする先生、そんな時視界にあの特徴的な鳥、ペロロ様のバッグが見えた。
“ヒフミ!ちょうど良かった”
「わ!先生!急いでどうしたんですか?」
“ヒフミの事、探していてね。会えて良かった…ペロロ様グッズを買いに行ってたのかい?”
「はい!今回はこの先着1000名様まで限定のスペース怪獣ペロロンヌスキーホルダーを!」
また追加されてるキーホルダーを横目にヒフミに問う。
“可愛いキーホルダーだね……ごめん、話があるんだけれど、以前、デミについて聞いた事があったよね”
「可愛いですよね!!あ、はい!デミちゃんはペロロ様が大好きで、私の大切な友人だって」
“もう一つ聞いておきたい事があってね”
“羽音デミを端的に表したら、どんな子?”
「それは勿論……!」
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「不器用で、不真面目を真面目にするような子ですが……」
「馬鹿で、おちゃらけてて駄目な部分いっぱいある先輩だけど……」
「とても頼りになって、ブラックマーケットでも助けてくれて、良いところが沢山有りすぎて決めきれませんが、一番を挙げるなら!」
「「「『優しい子』です。かな。ですね!」」」
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頭の中で話を組み上げていく、今、相対しているのは迷路をしながらパズルのパーツを探している様なものだ。
何を、何故、一体誰が、一体何が、今どういう状況なのか。
シャーレの休憩室で、辞めたタバコの代わりに飴を転がし、意識を集中させていく。
まだ足りない、まだ分からない。どれだけ足りている?どれだけ分かっている?
今問う意味は無いが、先程決意した想いを強める様に頭の中で分解と解答を繰り返す。
ガリッ!と飴玉を砕く。
“私は先生で、君は生徒だった”
“君の負う責任は私が背負わなきゃいけないものだった”
“「生徒を導くのが、先生の役目」”
「ですね!先生!」“そうだね、アロナ”
この世界の先生はイオリ以外にはアルティメットウルトラスパダリなので、基本絆ストが最後まで進んでいます。
今回は間話ですが、ストーリーの重要度高めです。実はここで大きな掛け違いが双方で起きるようになりましたね。
先生は責任を背負うものとして、羽音デミの荷物を全て引き受けようとしています。
そんな先生を庇護対象にしか見ていない羽音デミ、背負っているものを全て自分の責任として考えているせいで、先生が手を伸ばせば伸ばす程『羽音デミ』という自我が崩壊していきます。唯一のアイデンティティ……自分が自分である、という事に執着しきってますね。
いつ解消するだろうか分からないこの掛け違い、解くのは一体誰に、はたまた何になるのでしょうか