ブルーアーカイブの隅っこで   作:カピバラバラ

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温泉開発における爆破の必要性

《もしもし、こちらチームアルファ…薬の配達が終了、試験場所に移動中》

 

 

「…デミか、《こちらベータ、前に火炎放射器を持った人物と作業着の生徒達、後ろは無敵化したゲヘナ生に囲まれている、後で会おう》」

 

 

《げぇっ!それ温泉開発部の作業班長っす!!ヤバいんですぐ逃げて下さっーーー》

 

 

ドカァァァァァン!!

 

 

 

爆裂音と共に、迷彩が解除される。

 

 

「…向こうも向こうで大変そうだ、行けるか?ハナコ」

 

 

「はい♡ 盛り上がってきましたね!」

 

 

「ここら辺は全部吹き飛ばす予定だからさ〜…退いてね!」

 

 

「開発だー!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「みんなとはぐれてしまいました…」

 

 

「ま、任せてよ!私だって正義実現委員会の一員!戦闘は慣れっこ……」

 

 

ドカァァァン!!

 

 

「キャァ!な、何なになにーー!?って、迷彩がーー!」

 

 

「あ、貴方達は!」

 

 

「あら…貴方は、確かあの時居たデミさんのご友人の…」

 

 

「阿慈谷ヒフミです!えっと、黒舘ハルナさんでしたよね?」

 

 

「…ふふっ、ここで出会ったのも何かの縁、貴方の目的がデミさんなら、これ…乗っていきますか?」

 

 

目の前にスクーターを差し出される。

 

 

「え、あ、はい……よろしくお願いします?」

 

 

「何方かは分かりませんが、親切なお方がデミさんの出没位置を教えてくださいましたから、後は捕まえるだけです…!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

三十分後……

 

 

 

Brrrr…。

 

 

 

 

「爆撃とアリウスの闇討ちが始まった時はどうなるかと思いましたけど、先生のドライブテクニック様々っすね」

 

 

“任せてよ、通信教育仕込みのドラテクだからね”

 

 

「世界一信用ならないっすね!?」

 

 

いつの間にか、オープンカーに乗ってサングラスを掛けながら爆走する先生チームと

 

 

「ヒフミ、揺らさないで!照準が合わない!」

 

 

「何ですか何なんですか!!なんでこんな事になってるんですかーー!!」

 

 

「アカリ、五秒毎に爆撃が来ます」

 

 

「任せて下さい☆」

 

 

スクーターに乗って爆撃から逃げるヒフミと給食部の車に乗っている美食研究会チームと

 

 

「アズサちゃん!捕まっていてくださいよ〜!」

 

 

「任せたぞハナコ!追手は私が対処する!」

 

 

「待てェ!この変態露出狂!」

 

 

本当にいつの間にかライダースーツに着替えたハナコとアズサがバイクに乗って、皆でレースの様な状況になっていた。

 

 

「……なんか、後ろ騒がしいっすね」

 

 

ふと、後ろを振り返ってみるデミ。

 

 

「…………」

 

 

“何かあったかい?”

 

 

「……っすー、何もないっす」

 

 

「待ちなさい!デミさん!」「待ってデミちゃんんん!」「開発だー!!」「ハナコ、途中で拾ったロケランを使う、反動に気をつけろ」「とっても青春って感じですね!」

 

 

 

 

「知らねーー!!なんも無いっす!」

 

 

ロープをカウボーイの様に構えながら先生が運転する車に接近する美食研究会、そこに並走するヒフミコハル、更に隣にハナコアズサ、その後方に風紀委員と温泉開発部が爆発をまき散らしながら迫っていた。

 

 

「それッ!」

 

 

「せんせぇ!避けてぇ!?」

 

 

“アカリ、勝負といこうか!”

 

 

「あらあら、先生から誘って頂けるとは〜…燃えちゃいますね☆!」

 

 

「なんでそんなにノリノリなんすか!?」

 

 

給食部の車と車体をぶつけ合う程のカーチェイスをしながら、持ち前のドラテクでハルナのロープを躱し続ける先生、シビレを切らしたのかジュンコがアンカーフックを取り出す。

 

 

「アカリ!車捕まえるから車体の揺れ抑えて!」

 

 

「了解です!」

 

 

「ちょ、なんで!そんな!危なっ!」

 

 

次々と飛んでくる捕獲用ネットを紙一重で躱していく。

 

 

「陰鬱に考えるのは辞めました、フウカさんも気前よく車を貸し出して下さったので貴方をもう一度、捕まえさせて頂きます!」

 

 

「いや、フウカちゃんがそんな気前よく……」

 

 

「むーっ!むーっ!」

 

 

「……案の定じゃねぇか!」

 

 

近付いてきた事で分かったが、フウカが後部座席に荷物のように積まれていた。

 

 

「アンカー射出!」

 

 

ジュンコがトリガーを引き、先生が走らせるオープンカーに突き刺さる寸前、二つの車体の間に割り込む影が現れる。

 

 

「させま、せん!」

 

 

「ぐっ……!」

 

 

「ハナコ!?」

 

 

アンカーはハナコのバイクに突き刺さり、そのまま美食研究会を他の道へと引き摺っていく。

 

 

「後で合流しましょう!」

 

 

「頼んだ!だけどなんでライダースーツなんすか!?アズサちゃんは!?」

 

 

「アズサちゃんは陽動で分かれました、この方達を相手した後回収しに行きます、服装はこういう時の為に準備しておいたので!」

 

 

「なんでこんな時の備えがあるんすか!って、ぎゃあああ!?」

 

 

「デミ先輩ィーー!!助けてー!」

 

 

「デミちゃーーーん!!」

 

 

先生が運転するオープンカーにロケランが着弾しそうになる、爆風がデミの頬を撫でた。

 

 

“このままじゃ追いつかれちゃうね…掴まっててよ!!”

 

 

「は、はひ…え、いまなんて…うわぁぁぁーーーー!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一時間後…

 

 

 

 

 

「つ、着いた……」

 

 

“ハルナ達、大丈夫かな”

 

 

「まさか空中で光り輝きながら衣服パージしたハナコがバイクを乗り捨てて、そのままぶつけるとは……まぁなんだかんだ親指立てながら川に沈む元気はあったから大丈夫じゃないっすか?」

 

 

一番最初に試験場に着いたのはデミと先生、途中色々有りすぎた事を思い出しながら皆の無事を祈っていると、へにゃへにゃになったヒフミとコハルが足を引きずりながらやってきた。

 

 

「あ、あぅぅ……」

 

 

「し、しけん、かいじょうは……ここ…?」

 

 

“お疲れ様、ヒフミ、コハル”

 

 

「せ、せんせぇ〜…!私もう疲れた、テスト受けたくない!」

 

 

「コハルちゃん……後は受けるだけですから、もう少しだけ頑張りましょう……」

 

 

“ハナコとアズサは…”

 

 

「『シュコー…シュコー…』」

 

 

「ここに居ますよ、先生」

 

 

水着姿になったハナコと、ガスマスクを付けたアズサが水を垂らしながら到着した。

 

 

「そっちは一体何があったのよ…」

 

 

“……詳しいことは聞かないでおくよ”

 

 

「うふふ…♡」

 

 

「さぁ、後は頑張って試験解くだけっすね」

 

 

「見渡す限り、試験官や試験用紙らしきものも無いですね…?本当にどうしてこんな所で試験を…」

 

 

「いや、何も無い訳では無いだろう、何かしら試験を受けれる手段を用意している筈……」

 

 

アズサがガサゴソと周辺を漁っていると、不自然に綺麗な不発弾が落ちていた。

 

 

「……あった、これだL118索引式榴弾砲の弾頭、スローガンの散布用で雷管と爆薬を取り除いた奴だ、以前見た事がある」

 

 

「L118、ティーパーティーの…なるほど、ナギサさんからのメッセージという事ですか」

 

 

アズサが不発弾を解体し、中身を見てみると案の定解答用紙と録画機器が入っていた。

 

 

「よ、良かったぁ…一先ずは試験が受けられそうですね!…そちらは一体?」

 

 

「録画機材の様だが、これで試験経過を写せという事だろうか?」

 

 

“いや、これは…”

 

 

ザザッ……

 

 

《こんばんは、補習授業部の皆さん》

 

 

「…桐藤ナギサ、さん」

 

 

《あらかじめ言っておきますが、これは録音したものの為、返事は出来ません》

 

 

《そして、こんばんは……先生》

 

 

“……”

 

 

《私は、私は…選択をこの手に取る事すら放棄して、今ある苦しみから逃げてしまいました、それでも先生は……優しいお方ですから、『先生』として私と接してくれるのでしょうね》

 

 

《モニタリングは続けています……それと、健闘を祈っています、『補習授業部』の皆様方、どうかお気をつけて》

 

 

ピッ…。

 

 

“…ナギサ、一体……”

 

 

「あうぅ…」

 

 

「い、今のがティーパーティーのナギサ様…?なんだか随分と…暗い人だったのね…」

 

 

「先生、時間がありません…始めてしまいましょう」

 

 

「……」

 

 

ミカの急変は予想していた事だが、ナギサの変化は…何処か掴みどころの無い、覇気の無い姿になってしまっていた。

 

 

“分かった、それじゃ……中に入って試験を始めようか”

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

チックタック……チックタック……。

 

 

 

廃墟に備え付けであるには綺麗すぎるレトロな置時計の針が時間を刻む。

 

 

(九、九十点、九十点取らなきゃダメ……!)

 

 

補習授業部の部長であるヒフミは、この中で誰よりも取り乱していた、元より補習授業部にはナギサの指示、『トリニティの裏切り者』を探す為、そして試験の欠席が理由で入れられた上で、ナギサは補習授業部全員を退学させるつもりでいた。

 

 

それはつまりヒフミが失敗すれば、ハナコもデミもコハルもアズサも退学になる、それは皆も同じではあるのだが……。

 

 

『みんな、デミちゃんの事が大好き』

 

 

あの日、あの夜放った言葉は、今形となった悪意で否定されている。デミはずっと気楽な風に装っているが……私は真実を切り出せず、ハナコは何やらデミとの距離が遠い、ナギサからの妨害に、未だに分からない『トリニティの裏切り者』。

 

 

彼女は苦しんでいただけなのに、尚も悪意に晒されようもしている。

 

 

(私が…試験を受けていたら?)

 

 

(私が、みんなにもっと早く事実を教えていたら?)

 

 

負い目、それが思考の邪魔をする。どこまで行っても結果論であり、選択した道を歩まなければいけない運命であると分かっているからこそ、気力を振り絞っていく。

 

 

(だから、ここで精一杯を、もうデミちゃんが、みんながこれ以上不幸にならない為に…!)

 

 

 

ゴゴゴゴゴゴ……

 

 

 

(……?)

 

 

 

試験時間が残り半分といった所で、地響きが鳴り渡り…。

 

 

 

 

ドカァァァァァン!!

 

 

 

 

「ハーッハッハッハ!」

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