はじまり
耳鳴りが止まない、怨嗟の声がこびりついて取れない
“お前のせいだ” “貴方のせいです” “お前が生きているから” “お前が存在しているから!!”
鳴り響く
能無しの私に丁度いいように、空っぽな頭の中をからん、ころんと
頭の中で転がる声が痛くて堪らない
ふと、手の感覚が消えた、なのに温かい、いや冷たい?いや熱い?
初めての感覚の正体を知りたくて、手に目を配らせる
暗くてよく見えないので、もっともっとよく見てみる
自然と頭に転がる声が増えた気がする、手のことが頭から抜け落ちる程に転がっているものだから、ついに一つ声が転がり落ちた
“デミちゃん”
「■■■?」
“どうして?”
その声が届いた瞬間に、目をつぶったように真っ暗だった手が見えた
そうか、血だ、■■■の血だ
そうか、流れ出す命とはこんなにも冷たいのか
そうか、命とはこんなにも『熱』を持っているのか
そう自覚した時に背後から声が聞こえる
“どうして?” “どうして?” “どうして?” “どうして?” “どうして?” “どうして?”
頭の中にはもう声は転がっていない
朱色に染まった手を首に伸ばす
「……ぅ………ぉぁ…………」
視界が定まり、首から手を離すと同時に吐く、休憩室のシーツを胃液で汚して、まだ止まらない吐き気で身動きが取れない。
時刻はお昼、正義実現委員会の誰も居ない休憩室でぼーっとしていた。
吐瀉物に塗れて、未だ吐こうとしている口からゴポゴポと血が泡立っている。
早く、誰にも見られない内にシャワーを浴びて洗濯しよう、頭の中はそれでいっぱい。
今日もこの世界は透き通っていて、太陽が眩しい。
耳鳴りは止まない。
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「アビドスに出張~!?本気っすか先生?」
口ではそういうものの、ようやく来たかと喜びが隠しきれない。偶然、本当に偶然だが、私が当番の日に対策委員会からのメールが来た。
「あんな砂まみれでなんも無いところ……“困った生徒を助けるのが先生の役目”って、そりゃそうですけど…」
ここで気をつけなければいけないのは、初手遭難からのdeath…。シロコの巡回ルートと噛み合わなかったら割と有り得るのが怖い。
それに新しい問題が湧いているのだ。
「え〜うーん、私も着いていきたいんすけどね~」
“良いよ?デミを一時的にシャーレ部員として向かい入れれば一緒に行動できるし”
“それに、必要…でしょ?シャーレの権限”
ついに私に対して先生が包み隠さずグイグイ『オラ!お前なんか知ってるし単独行動するだろ!!』ムーブをするようになってきてしまった。
(察しが良いにも程がありますよ…先生)
“あはは、デミは察しがよすぎる人は苦手かな?”
「うげぇ……」
ちょっと動揺したらこれだよ、心読んでんじゃない?
「はぁ、まぁ分かったっす。先生に着いていきたいのは本心だし、課題も一通り落ち着いた時期なんでお供しますよ」
“そっか、ありがとうね?デミ”
“やりたいことがある時は支えるから、『大人』を頼ってね…今みたいに”
そういって優しく、暖かく微笑みかけられる。
「ぁ」
「あー!もう本当に先生の事嫌いになりそうです!!!」
“そ、そんなぁ…!
これで恋愛感情0とか巫山戯てるだろ????
「ともかく!アビドスからの支援要求、今から行くんすね?」
“残り書類をデミが一緒に片付けてくれたからね、今すぐ行こうか”
今更だがこの先生、事務スピードもイカれている。目の下の隈は相変わらず真っ黒だが私が当番(そこまで事務得意じゃない)だったのに山の様な書類がどんどん消えていっていた。
本人は生徒が居たら頑張れるし、手伝ってくれてるからとか言っているがいつか身体ぶっ壊さないか心配である。
「よっし、じゃあ出発しますか!出張inアビドス〜!」
“おー!”
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うん、まぁ分かってたけど
「のどがわぃだぁぁぁ」「疲れだぁぁぁぁ!!」
“ハハハ!見て!デミ!足が勝手に震えてるよ!あ、デミ吸いしていい?”
「死んでも嫌です」
“あはは…そう言われると傷ついちゃうな!”
絶賛遭難中!!!!
「た、助けてぇ…対策委員会……」
悲壮感たっぷりに呟いた声に返事があった。
「ん、誰か今呼んだ?」
“うん?”
その場に居ない第三者の声が聞こえて、道の奥を2人で見つめていると…
「そこの二人、大丈夫?」
ロードバイクに乗ったシロコが現れた。
“「た、助けて!!」”
〜その後〜
間接キスイベントを済ませて、先生はシロコの背中に。私は並走して対策委員会まで辿り着いた。
「ただいま」
「おかえり、シロコせんぱい…!?」
「うわっ!え?誰!?そのおんぶしてる人とぶっ倒れてる人!」
「わお、シロコちゃんが2人も拉致してきました」
「拉致!?もしかして死体!?ついにシロコちゃんが犯罪係数オーバーに!?」
「み、みんな落ち着いて!2人までならまだ隠しきれるわ!体育倉庫からスコップとツルハシを」
「………」
「だ、大丈夫……生きてるよ…」
「死体が喋ったぁ!?」
「拉致してきたんじゃなくて、普通にお客さんだよ」
“こんにちは、対策委員会のみんな。私はシャーレの顧問先生、気軽に先生と呼んでね”
「そして私はシャーレ部員第一号羽音デミ……よろしく〜」
「え、えぇ!?まさか!」
「わあ、支援要請が届いたんですね!良かったねアヤネちゃん」
「え……この二人が?」
三人の視線は未だうつ伏せになりながら話す羽音デミと、シロコの背に付いて離れない先生に集まる。
「と、ともかくホシノ先輩に知らせないと!これで弾薬や補給品の援助が受けられます」
「私が呼んでくるわ!」
“あ…そうだ……デミ、物資”
「あ〜らほ〜らさっさ〜」
ナメクジの様に這いながら外にある大量の補給物資を中に運び出す、これを持ったまま爆走したため、今こんな事になっているのだ。
「こ、この量を運んできたのですか!?…ありがとうございます!これでまた長めには…」
(ダダダダダダダ!!)
「じゅ、銃声!?」
来たか…カタカタヘルメット団!さっさとアイツらを叩き潰して……動けねぇ!!!!あ、足が小鹿の様に震えてやがる…!
「アイツら……!性懲りも無く…!」
“…これが手紙に書いてあった問題だね、よし、私が指揮を取るよ”
「わだじもいぎだぃ〜!」
“デミは寝といてね”
くっ!今はその細やかな気遣いが腹立たしい!動けマイfoot、奮い立てマイBODY!
「ホシノ先輩連れてきたよ!」
「むにゃ…まだ起きる時間じゃ……この二人は?」
「ホシノ先輩!ヘルメット団がまた襲撃を…!この二人はシャーレの方々です!」
“私は連邦生徒会、シャーレの先生、よろしくね?ホシノ”
「へ〜先生、連邦生徒会の…か、よろしく〜むにゃ…」
…今わざと連邦生徒会って言葉挟んだな、先生……考えるに『暁のホルス』事情まで知ってるって事か?
「はっはー!出てこい対策委員会共!オラこいよ!銃なんて捨ててかかってこい!」「お前らなんて怖かねぇ!」「ぶっ潰してやる!」
「ホシノ先輩しっかりして!学校守らないと!」
「おちおち昼寝も出来ないじゃないか〜ヘルメット団め」
「先生のお陰ですぐ出れる、行くよ」
「はーい、みんなで出撃です☆」
“対策委員会のみんな、任せて!”
「……なら先生、私の背中から降りてから言って」
“あはは……うん、まぁ……デミ!!助けて!立てない!”
お前普段のスパダリ具合どこ行ったんだよ!?…丁度先生を守るのに都合もいいし背負うか!
ーーーーーーフルボッコヘルメット団ーーーーーーー
「わあ☆私達…先生に勝たせてもらいました!」
「アハハ!どうよ!思い知ったかヘルメット団め!」
「ん、先生の指示…凄くやりやすかった」
[まさか無傷で勝利するとは…皆さんお疲れ様です、学校に帰りましょう」
■対策委員会 教室
「いやぁ~、まさか勝っちゃうなんてね、ヘルメット団も結構良い装備揃えてきたみたいだったけれど」
「ん、二十人くらいで来てたけど、よゆーだった」
「まさか勝っちゃうなんて、じゃありませんよホシノ先輩…!勝たないと学校が不良のアジトになっちゃうじゃないですか」
「先生が居てくれて助かった、多分私達だけだったら貰った補給品も台無しになってた」
「そうですね~、本当に素晴らしい…というか未来が見えてるんじゃないでしょうか」
シロコとノノミの言葉は傍から見ていたデミにも分かる、やはり原作と比べて以上過ぎる程の指揮能力。
戦闘が終わった今でも鮮明におもいだせる先生の指揮、そして先生が言うには『頼れる相棒』の力だという視界に表示される先生の指示によって先読みされた行動予測位置。
視界に映った予測線に従い、動き、引き金を打つ。ただそれだけで約十倍もの人数差を覆した。
「確かに凄い指揮だったわね、あの……大人って皆こうなの?」
「先生が特別なだけっすよ〜?ただまぁ相応に悪い部分もあるんで…」
「うへ、凄いんだね、先生って」
“ありがとう、ホシノ…やっぱり可愛い生徒に褒められると素直に嬉しいね、デミも私を支えてくれてありがとう”
手を伸ばし、私の頭をさする先生。
「わあ、先生って案外大胆なんですね☆」
「うへ〜先生ってもしかして…結構なタラシ?」
“タラシって…別に私は生徒に邪な気持ちは絶対ぶつけないよ?”
「うへ〜………こりゃデミちゃんも大変だねぇ」
「言われなくても分かってるっすよ…!」
「と、とりあえず!えっと、改めて御礼とご挨拶を、先生…私達はアビドス廃校対策委員会、廃校の危機にあるアビドスを救うため活動しています」
「しかし私達は現状……」
“大丈夫、分かっているよ。君たちが今までどれだけ努力と苦労を重ねたか”
“君たちが苦しい状況で頑張って耐え続けてきたからこそ、今がある。本当によく頑張ったね……私の力でよければ存分に貸すよ”
「…うへ、その様子だと借金の事もバレてるかな?」
“うん、知った上で言わせてもらうよ?”
“生徒の頼みを聞くのも、先生の大切な役割の内さ”
始まりましたアビドス編
………
…ちが、違うんだ…わた、私は、楽しく明るいアビドス編を始めたかったんだ……!信じてくれぇー!嘘だーー!!俺!本当はもっとデミに吐いて欲しぃ〜!!もっともっと幻覚と幻聴に悩まされて欲しぃ〜〜!!!本当は悪いことだって分かってるけど!!起きてる間も寝ている間も苦しんでいてほしぃーー!!!!!
欲望をそのまま原動力へ……デミちゃん爆誕!!初めてのスマホ手書きなもので下手っぴではありますが……。
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