ブルーアーカイブの隅っこで   作:カピバラバラ

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みんな!!周年楽しんでるかい!!!私は神引きした!!!素材集めで更新遅れた!!ごめんねひゃっほーーい!!ブルアカ最高ーーーーーー!!!!!





ヒナ……結婚しよう、カスミ……可愛い……結婚してくれ………………。







普通に、普通に考えるとするなら

「ハナコーー!!!」

 

 

「デミちゃん!!」

 

 

ボロボロになったハナコを迎え、医薬品と飲み物を渡して一息つきながらも走っていく。

 

 

《絶対にッ!逃がすなァァ!!殺せェッ!!》

 

 

「アデュー☆」

 

 

いつぞやか振りの『アデュー☆』をキメながら、とりあえずグレネードを後方へ投げに投げまくる。

 

 

「事情は分かってる?」

 

 

「全く!」

 

 

「先生の敵対組織からの攻撃!」

 

 

「分かりました!!」

 

 

《…………》

 

 

うようよとユスティナ聖徒会も追いかけてきていて、足が悲鳴をあげているが……まぁ、ここで捕まると悲鳴すら上げれなくなりそうだから一生懸命に脚を回してなんとか距離を保てている状況となっているのだが。

 

 

遠目で見た時、やけにボロボロだと思ったら思っきし背後にアリウス生徒とユスティナ聖徒を引き連れて逃げている途中で、持ってきた全ての火器を駆使してなんとか先生達の所まで走っているが、やはり限界はある。

 

 

「ハナコ!五番目の奴ピン抜いて!フラッシュバンね!」

 

 

「了解ッ……ですっ!」

 

 

ハナコにフラッシュバンを投げさせてから、タスキ掛けのベルトに装着してある複数個のスモークグレネードのピンを全て外してベルトごと投げ捨てる、ある程度軽量化が出来たので更にスピードを上げて走っていかなければならないのだが…………。

 

 

「はぁっ…はぁっ……」

 

 

「……ハナコちゃん、流石に疲れてるっすね」

 

 

「えぇ…頼みの綱の……ふぅ、シスターフッドの皆さんも、今は先生の……はぁっ…えっと」

 

 

「ユスティナ!」

 

 

「そう!ユスティナという敵に行く手を阻まれています!けほっ…」

 

 

本当に限界が近そうだな……。

 

 

迎えに行く途中、遠目に大聖堂で大爆発っぽい何かが起きていたのを見た、お得意の火力突破だろうけれど、それでいて今尚行く手を阻まれているという事は、ハナコ一人を逃がすのに精一杯だった事が伺える。

 

 

《サーモカメラを付けろ!迷彩は無効化されている!他機能を使え!!》

 

 

「……ここで体力使ってる暇は無い、か…ハナコちゃん、ちょっと失礼」

 

 

迷っている時間が勿体ない、こういうのは即断即決だ。

 

 

「はい…?きゃっ!」

 

 

一度やってみたかった事があってね、青春を過ごす者なら誰でもしてみたい……それのやり方はとっても簡単、残りのグレネードを前方へ投げて起爆のタイミングを待って、後は……ね?

 

 

「お、お姫様抱っこ?デミちゃん、一体何を…」

 

 

「しっっっかり、捕まってて下さい」

 

 

耐えてくれよ対爆シールド!(先生支給) 私の命は御社の製品品質に掛かってますぅぅーーー!!(カイザー製)

 

 

「うりゃぁぁぁ!!やっぱり死ぬかもーー!!?」

 

 

「ま、待って下さーーー」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

合宿場 体育館入口

 

 

 

 

 

 

“……流石ファウスト”

 

 

「え、えぇ…?先生、これ、一体何をしたんですか…?」

 

 

体育館襲撃を行ったユスティナ聖徒会は、皆一様にファウストの銃撃によって粉々に砕け散っていた…………

 

 

というのは冗談だが、先生の指揮によって一体残らず聖徒会を退けたヒフミは、これが明らかに己の力量を超えた火力と命中精度に戸惑っていた。

 

 

“相手も大人が関わるなら、私も大人として相手しなきゃ不平等だからね”

 

 

「大人として……」

 

 

ヒフミが目をぱちくりとさせるのは当然で、退避しようと入口付近まで来ていたのに、先生は踵を返して待ち伏せと制圧を始めたのだ、逃げに徹した立ち回りからの殲滅、絶望的な戦力差を数秒で返した、この時ヒフミの目には普段の優しげな先生がこの一瞬だけ得体の知れない何かにすら見える程の急変だった。

 

 

“……良かった、本当に…うん、そっか…”

 

 

「せ、先生?本当に大丈夫ですか?”」

 

 

“……大丈夫ーーぉっと…”

 

 

様子がおかしい……というより、何処か眠たそうな装いでフラフラとする先生、ふと、前のめりにコケそうになってヒフミにもたれかかってしまう。

 

 

「先生!?」

 

 

“ごめんごめん、コケそうになっちゃった”

 

 

「なっちゃった…って、明らかに倒れていましたよ!?」

 

 

“…よし!眠たくないぞーー!!ちゃんと起きるんだ私!”

 

 

頬をペチンと叩いて背伸びをしているのだが……どう考えても眠たいとか寝そうとか以前の問題でしかない倒れ方をした先生に不安が募るが、状況が状況、一旦飲み込んで体育館内に戻ろうと提案した。

 

 

“うん、流石にここまで籠城に適した場所は無い、合流地点の変更は無しだ”

 

 

「そうですね…それに、アズサちゃんとコハルちゃんも、もうすぐ……」

 

 

与えられている現在位置が指し示しているのは、本館からここに到達しようと走っている二人。先程まで本館で立ち往生していた様だが、漸く動き出せたみたいだ。

 

 

その前に…やはり気になりすぎる事に決着をつけておこうと先生に声をかける。

 

 

“…………ん”

 

 

「……先生、少し失礼しちゃいますね」

 

 

服を脱がそうとワイシャツに手をかける、先生は苦笑いを続けるだけで抵抗はしない……というよりは、抵抗できる元気を失っている風に感じる。

 

 

(……)

 

 

先生はデミちゃんが出掛けてから、少し雰囲気を変えた。ここまで逃げる時も身体の一部分を庇いながら走っていたし、ほんの一瞬だが目元に皺を寄せる……そこまで観察をしていた訳ではないのだけれど、二人っきりの時間だと先生しか見るものが無かったから……。

 

 

私から見た先生の状態は、一言で言えば風邪を引いた患者、動けはするけれど無茶をし続けている、張り詰めた糸のような感覚がある。

 

 

(同じ感覚を…私は、デミちゃんから……)

 

 

デミちゃんから感じてきた『違和感』、同じ様なものを先生から感じるが、見抜く力が鍛えられてしまった私でもデミちゃんが先生からは離れるまでは気づかないほど隠されていた。

 

 

「よいしょ…」

 

 

ただ、この時ばかりは気づきたくは無かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁっはぁっ……よし、あと少しだ、コハル」

 

 

「こ、これから籠城戦もあるのに…」

 

 

指定合流場所の合宿場別館、その入口が見える程まで近づいた二人はヘトヘトになりながらも、ゴールが目前という事もありスピードを落とさずに走っていた。

 

 

日々の訓練でもそうそう無い程に走り続け、この後の籠城戦を不安に思うが…先生の顔を思い浮かべればその憂いも晴れた。

 

 

「み、見えた!先生とヒフミ!おーーい!おーー……?…あれ?」

 

 

「どうしたコハル」

 

 

「ん、んー?なんか……ヒフミが怒ってる?」

 

 

そう言われてアズサも目を細めてよく入口付近に居る二人を見てみると、何やらヒフミが目元を赤く腫らしながら先生に擦り寄っている。

 

 

「え?えぇ??何があったのよ」

 

 

「……今はとりあえず建物に入ろう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ーーーー先生!」

 

 

“…ヒフミは、本当に強い子だね”

 

 

「…と思ったら今度は凄く仲良しだし、何してるのよ」

 

 

何かあったのかと心配して駆け寄れば、今度はヒフミがニコニコと先生に抱きついていた。

 

 

“コハル!?それにアズサも!良かったぁ…無事だったんだね”

 

 

「あ、あぁ…何とか、それより二人はどうしたの?」

 

 

どうしたの?と聞かれても……みたいな顔をして、先生とヒフミがお互いにヘニョっとした顔で向き合ってしまう、…言及するのが難しい事なのか?

 

 

“ヒフミが大人だったってだけさ、よし!直ぐに籠城の準備と行こうか”

 

 

「……ヒフミ?」

 

 

「あはは、その…ご、ごめんなさい……秘密という事で…」

 

 

どうやら本当に少し込み入った事情がありそうなので、これ以上は突っつかず、そして話したかった道中での『謎の人物』の事を話そうと口を開いた。

 

 

「そうか……それと、先生、私達が逃げる最中ーー」

 

 

ドカァァァン!!!

 

 

爆裂音、建物に何かが破裂したような音が響き、同時に大きな揺れが見直すか、足元をしっかりと踏ん張って耐えて、こけそうになった先生を支えるが……頭上、建物からパラパラと土埃が落ちてきたという事は、攻撃を受けたのはここ別館ということ。

 

 

「なんッ……だ!?」

 

 

“アリウスからだね、早く体育館に行こう……それと、何があったのかは終わってから話そうか、アズサ”

 

 

遠方からロケランが打ち込まれる、ここまで大規模な火力だと、室内ではさらに危険な目に合うかもしれないが……ただ、それでも人数差による戦略差は大きい、危険を察知した直ぐに校舎内へと入り体育館に目掛け皆で走り出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……先生!?こ、これ…」

 

 

ワイシャツを開いて目に入ったのは、大きな火傷跡と、明らかな致命傷になったであろう銃傷。

 

 

【心臓を貫いている】

 

 

「……ぁ…」

 

 

誰がどう考えても、『死んでいる』筈の傷だった。そして何より……

 

 

「ど、どうなって……」

 

 

血が、血管が……どうなっているか分からない、それというのも

 

 

「何が流れて…?」

 

 

明らかに血では無い何かが流れている、重い銀色、人体に流れていい筈の無い色が、皮膚の上から透けて見えた。胸周辺と、脇腹辺りの血色がおかしい、人として壊れている。

 

 

“…ごめん、見苦しいね”

 

 

「え!?いや、そんな……そんな!そんなこと思っていませんよ!?え?これ…どうなって……」

 

 

“……あはは、えっとぉ…”

 

 

「……先生、これ…みんなで水着着ていた時は、無かったですよね?隠していたんですか?」

 

 

“…あ、あはは……”

 

 

「…話して、もらえますか?」

 

 

“本当に大丈夫な傷さ、古傷の名残り…いや、傷というよりは皆の頑張りの足跡というか、私にとっては大切なものなんだ”

 

 

先生が服を着直して、今度は力強く立ち上がる、別に大丈夫、問題無いとでも言いたいのか?こんなものを隠しておいて。

 

 

「…それでも、先生、私、デミちゃんに怒っていた事があります……先生は、知っていますか?」

 

 

“あ、あの叱っていた時とかにかな?ぇっと……む、無茶しちゃ駄目だ!…とか?”

 

 

わざとらしく分かっているであろうに、自身の状態から話をズラしたいのか目を泳がせながら口笛を吹く先生。

 

 

「…辛いことを、辛いと言う事、無茶を続けない事、抱えてなくていいんですよって」

 

 

“……うん、やっぱりヒフミはデミのーー”

 

 

「い・ま・は!先生が無茶をしてるじゃないですか!辛い事を隠して、倒れる位に……!しかもその傷、古傷とかじゃないですよね!?至る所に生傷がありましたよ!?」

 

 

“え、えっと、その…”

 

 

「えっとも誤魔化しも禁止です!先生はデミちゃんと同じなので!こんな状況で叱ってる場合じゃありませんが、ここまで隠していたのは先生が悪いんですよ!」

 

 

“うぐぅ……”

 

 

「説明をして!下さい!」

 

 

“は、はい”

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

誰にも知られず、憎しみは芽吹きかけていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

『廃墟 ロボット 風紀委員 デミちゃん』

 

 

『アリウス』

 

 

先生が今まで古傷と称してきたそれは、全て無茶から出来た……どれも致命傷レベルのものだった。

 

 

場合によっては病院に通いつめても後遺症が残りそうな傷も、誰にも話さず、誰にも見せずに。プール掃除の時の傷は、自分でも気付かぬ内に出来ていたものだという。

 

 

『痛くないんですか?』

 

 

先生の相棒…という人の力で上から映像を貼り付けて見せないようにしていたが、先生曰く、流石に見苦しいだとか、生徒が気にしちゃいけないから、とか……。今はみんなのマッピングにリソースを使ってしまって、見せつけるような形になってしまったと謝られた。

 

 

「……」

 

 

曰く、

 

 

 

 

『謎の敵』デミちゃんを襲った敵の正体はアリウス生徒で、先生も被害にあったらしい。

 

 

ゲヘナの風紀委員会からの迫撃砲に巻き込まれたらしい。

 

 

廃墟と呼ばれる場所に立ち入り、謎の機械からの自爆、巨大なロボットからの追撃を受けたらしい。

 

 

デミちゃんが無理を、無茶をするから止めたらしい。

 

 

胸の火傷と傷は、話して貰えなかった。

 

 

「………………」

 

 

そっか、治らないんだ。

 

 

身体を治す……いや、直す薬品を使って、その副作用で体力が落ちている…らしい。

 

 

『それじゃ、いつか壊れてしまうんじゃ?』

 

 

先生は、デミちゃんを助けて、補習授業部を救ってくれて、一生懸命私達の為に尽くしてくれた先生は、無茶の塊の様な人だったらしい。

 

 

らしい、らしい……らしい…………

 

 

 

知らなかった。

 

 

 

今まで、ずっと知らずにいた。

 

 

 

「なんで、話さなかったんですか?」

 

 

“私という存在が、皆の道を邪魔してはいけないからね”

 

 

 

 

 

…『似ている』

 

 

似ていた、私の大好きなあの子も、誰もそんな事を思わないのに、自分の存在に『役目』以上の価値を持てていなかったんだ、ずっと。

 

 

似ている、ひたすらに似ている、先生には可視化された『無茶』がおびただしく張り付いていて、デミちゃんにも見えない『無茶』が大量にこびりついている。

 

 

知らなかった、先生ってこんなに脆いのに私達より前に出ていたんだ。

 

 

知らなかった、先生ってこんなに傷だらけで私達のプリントを作ってたんだ。

 

 

知らなかった、先生ってこんなに弱くて、みんなだったら、何週間かたったら治る筈の傷もそう簡単に治らないし、一生残るかもしれないし、私達みたいな身体じゃないのに、そうだと解っていて私達の『先生』なんだ。

 

 

デミちゃんは知っていたのかな。

 

 

 

「先生…」

 

 

 

ヒフミに訪れたある種の気づきは、彼女自身にも知られずに、心に負の苗を植え付けてしまった……。

 

 

聞き逃してはいなかった事がある、それは二人のゲヘナのハイウェイでの言葉、『アリウス』。

 

 

アズサが苦しめられ、ナギサ様が苦しめられ、先生が傷ついて、デミちゃんも傷つけられて、苦しまされて、今はみんなを苦しめている。この一連の騒動も根幹はアリウスにあると、つい思ってしまうのだ。

 

 

普段のヒフミ、あるいは『本編』のヒフミには絶対芽生えなかったであろう憎しみの芽が、少しづつ咲こうとしているのは、仕方が無いと言うしか他ならない。

 

 

度重なる親友の負傷、壊れ続けている彼女の心、そして…尊敬していた、頼りにしていた、補習授業部を、無茶をするそんな彼女も支える存在は、本当はボロボロで……。

 

 

事ある毎に『大好き』な皆が壊れていく、その愛を保つ為に、皆…己から壊していく。

 

 

ナギサ様も、アズサちゃんも、デミちゃんも、ハナコちゃんも、先生も。

 

 

どんな状況であっても揺らぐ事の無い彼女の優しさが、今揺らごうと……。

 

 

 

「ぅ、ぅぅ…」

 

 

 

『大好き』

 

 

 

それは私にとって呪いの言葉になってしまった。

 

 

その言葉が出てくるたびに、誰かが傷ついている、その言葉が放たれるたびに、今尚苦しみを味わうものが居る。

 

 

正しさを証明できない、彼女に語った言葉の真実が歪んでしまう。

 

 

補習授業部での時間は、あの言葉を肯定してくれるものだと思っていた……本当にそうだと、信じていたし、実際にあの時間は……。

 

 

けれど、一枚皮を剥げば誰もが『無茶』をして、ハッピーエンドを求める自分も、いつしか心に嘘をついていた気がして、もう訳が分からなくなりはじめてしまう、分からないのだ…自分が信じたい事が……。

 

 

 

そう思い始めた時ーー。

 

 

 

 

“ヒフミ、ごめんね、許してあげれるかい?”

 

 

「……え?はい?」

 

 

“私は『先生』だからね、生徒の皆がどんな失敗をしても、別にそれを許すのは私じゃない、彼女達が許されなくてはいけない誰かなんだ”

 

 

“私はただ、過ちを犯した生徒の贖罪を手助けするだけ、許される様に一緒に謝る、許される様に一緒に歩む、たったそれだけの事”

 

 

“だから…ヒフミがそんな顔をして、私の為に怒ってくれるなら……私は怒られる子と一緒に、ヒフミに謝らせて貰えるかな?”

 

 

“ごめんなさい…ってね”

 

 

そ…れが、先生にどんな事をしたとしても?デミちゃんに、コハルちゃんに、私が大好きな皆に……。

 

 

「……???そ、そんな無茶苦茶な事を言われましても……先生が損をするだけでーー」

 

 

無茶苦茶だ、謝るって…そんな次元じゃない、命が天秤にかかって尚、そう言っている?『無茶苦茶』だ……それに、先生も許す側の立場だ、こんなに被害を受けて……。

 

 

“私は、生徒の皆が大好きだからさ……みんな良い子で、本当に大好きだと思っているんだ、それじゃ駄目かな?”

 

 

「ーーー」

 

 

絶句。

 

 

私は普通の生徒だ、だから分かる、それはおかしい事だって。

 

 

おかしいのに、すんなり受け入れてしまった。

 

 

「あ、あぅぅ…」

 

 

…だって、だってそれは…………

 

 

私が求めたハッピーエンド(大好き)の形、そのものだ。

 

 

“過ちが許されるまで、私は生徒の傍に立ち続ける”

 

 

“私は、先生だからね”

 

 

気付かない間に流れていた涙を拭って、私の頭をさすっている先生と向き合う。

 

 

「……もう!先生!」

 

 

“あはは、ごめんごめん”

 

 

「グスッ……分かりました!…でも、みんなにも、話しますからね!!」

 

 

“う、うへぁ……”

 

 

「……せんせい…せんせい、先生!」

 

 

いつも呼ぶ名が、ずっと暖かく、脆く、優しく感じる。

 

 

より、特別に。

 

 

“……ヒフミは本当に強い子だね”

 

 

「…と思ったら今度は凄く仲良しだし、何してるのよ」

 

 

(……コ、コハルちゃん!?)

 

 

思わず抱きついていた為、慌てて手を離して顔を赤らめた。

 

 

阿慈谷ヒフミ、彼女が抱いた感情は特別なものでは無い、ただの心配、ただの憎しみだ、誰にでもありうる感情の露出、普通の生徒らしく、普通の人なら誰にでもあるもの。

 

 

ボロボロな人間を、普通は心配するし、傷つけた者を怒りもする、だがしかしこの場で芽吹きかけていた憎しみの芽は……螺旋、終わりの無い憎しみの道だ。

 

 

憎しみが憎しみを産む、珍しくも無い世界の光景、けれどそれは少女達には、生徒には早すぎる。

 

 

誰にも知られず咲いた芽は、誰にも知られず摘みとられた。

 

 

 

「あはは、その…ご、ごめんなさい……秘密という事で…」

 

 

だが、気づいた事がある。

 

 

「……」

 

 

私だけでは、彼女(羽音デミ)に、届かない。

 

 

 

 

 

 

それは先生から齎された、真実。

 

 

 

 

 

先生と、デミは似ている……いや、根本が殆ど同じに思えた、ならば……。

 

 

 

 

 

(…デミちゃんの事を、デミちゃん自身が大好きだって言えるように、絶対に…!!!)

 

 

 

 

目の前の頑固者を見つめる、揺らいでいた眼は……一点を見ていた。








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