ブルーアーカイブの隅っこで   作:カピバラバラ

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窮地、そして疑惑

■ カタカタヘルメット団 制圧後弾薬庫

 

 

 

「これぐらい離れていたら大丈夫っすか?『先生の相棒』の力届いてます?」

 

“大丈夫、ありがとうね”

 

しかし困った、ここまで先生を連れてきたのはいいものの、あの新しい敵……明らかに自分の知らない相手だ。

 

いや、多分カイザーの兵士ではあるんだろうが、こんな場面で出てきはしない。アイツらは一切自分達の痕跡を残したくない奴らだからな。

 

「むむむ…」

 

何が目的だ?逃げる最中遠目でみたが、あの程度ならば『小鳥遊ホシノ』には何百人一斉にかかろうが勝てやしないだろう。向こう側も黒服が居る以上その事は理解している筈……。

 

 

見たことない敵……見たことない敵?いや、それは無いだろう。この対策委員会編は何処まで行っても『対策委員会vsカイザー』という形だ。そういう運命にある。

 

現に絶対遭難しない様にしていたはずの私諸共アビドスで先生と迷子になった。確かにあるのだ『運命』らしき何かが。

 

 

黒服……黒服のせいか?…………ゲマトリア?

 

 

見た事がない装備、ヘイロー…シッテムの箱でやっと突破できる技術を持った敵…。

 

 

………ベアトリーチェか?

 

 

十分有り得る、この世界の先生は本来よりも強く、聡い。

 

 

勘違いをしていた?そもそも『先生』というテキストが世界に与える効果は絶大だ。主人公であり、強制閉幕装置(デウス・エクス・マキナ)

 

ほんの少しの差異で数多のストーリーが作られる運命の結び目。ならば私の勘違いというのは……『今はまだゲマトリアは干渉しないと思っていること』?

 

「先生!やばいか……も……」

 

危機を伝えようと口を開き、気付く。窓からチラリと見えた反射光…スナイパーライフルのスコープの反射が。

 

窓から投げ込まれる手榴弾、扉から突撃してくる兵士達……全て同時に解決する方法をひねり出さなければならない。

 

 

ーーーーー集中。

 

 

 

「ッッッ!!!!」

 

 

思考よりも早く身体が動く、状況を理解する前に本能で走り出していた身体で先生を庇い、持ち上げる。

 

アロナのバリアがあるとはいえ、それは今から私の全力に耐えるものとして張って貰わなければいけない。

 

思考が追いつき、弾薬庫の壁をぶち抜いて進もうとした瞬間ーー

 

 

「ギっ……がぁっ!」

 

腹部に着弾したライフル弾が、この身体を貫いていった。

 

(慢心した…!ベアトリーチェならどっちに当たってもいい様に生徒に対して有効なものを用意するよね…!)

 

ましてやこの身体、モブ程度の強度しかないのだ、貫くのは簡単だろう。

 

“デミ!!!”

 

「舌噛まないように黙ってて下さい!!!!自分の身体最優先!!いいですね!!!!」

 

先生が私にリソースを吐く前に動く、でなければ先生は自身の守りを薄くしてでも生徒を守るだろうから。

 

すぐさま足に力を入れ、弾薬庫の壁をぶち破るべく兵士のいる反対側に向けて跳ぶ。

 

拳を握り込み、壁を破壊し外に出た。後はこのまま対策委員会の皆の所へ…。

 

 

 

しかしーー

 

 

「は」

 

壁をぶち破って見えた最初の光景は、弾薬庫を囲うように配置された大量の爆弾。

 

自らの失態を悟る、この肉体は超人級の出力を出せても、思考に関してはそうではなく予想外に見舞われれば一瞬フリーズする。

 

先程の様に身体が先に動くことも無い。『こうしよう』として動いた身体は未だその脳からの指示に従ったままだ。

 

 

受けるしか、ない!!!

 

 

「アロナァ!!全力で先生を守れ!!」

 

“…!?!?どうしてアロナを…!?”

 

 

その問いに答える間も無く、ーーー爆発。

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

「ククッ……やはり、羽音デミはシャーレの先生を信用していないみたいですね、『先生』に頼る、それが出来ていないお陰でやりやすくて助かります」

 

「それにあの神秘……死に近づけば近づくほど強くなっていっていますね……混ざっている恐怖の影響?分かりません、何故?何故私が求めていた恐怖と神秘の同居を彼女は行えている?」

 

 

「クックック……やはり貴方は先生と同じく興味深い…」

 

 

「黒服、私の要求は忘れていませんよね?あの先生という存在、その抹消」

 

 

「えぇ……ですが、まだ決めかねています。あの者が本当にゲマトリアの敵にしかならない人物なのか」

 

 

「まだそんなことを……理解していないようですから言っておきましょうか?あの方は救世主、このキヴォトスにおける救いの神です」

 

 

「その救いに私達大人は含まれていない、あの方が先生に成った瞬間、私の中に存在していた定義が……ゴルゴンダの言葉を借りるならテキストでしたか?その全てが意味を失うような感覚に襲われました」

 

 

「貴方も感じているのでしょう?あの『先生』が齎すものを、そして……固形化した神秘とも言えるあの『カード』の力を」

 

 

「……」

 

 

「メシアは私達悪魔(大人)に振り向かない。ただ純粋に……生徒を助けようとする……私には理解不能です。黒服、貴方にも分からないでしょう」

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

「いったぁ……」

 

爆弾に対して先生の壁になるように庇ったお陰か、アロナのバリアもあって先生はそう遠く離れていない場所に倒れている。起き上がっているから大丈夫だろう。

 

だが以前として窮地、戦闘において先生は私一人の様な火力枠だけではその指揮を十分に振るえない。戦場における複数の味方の力を組み合わせてあの神がかった戦術を練っている。送り届けなければならない。

さっきの爆発のせいで髪の染具が落ちていないか、それか腕に貼り付けた肌色のガーゼがーーーーー今はいい。振るえる力だけを今は考えよう。

 

「ふぃ〜先生大丈夫っすか?」

 

先生の方へと駆け寄る、自然と足取りが軽い気がした。

 

“デミ……!!!無茶をして!……っ!お腹と背中見し……その腕どうしたの!?”

 

声を張り上げて心配されるものだから、大丈夫という意思表示代わりにぷらぷらと手と体を動かしてみせる。

 

それよりも怖いのは先生に怪我が無いかだ。アロナが守ったとはいえ数メートル転がったんだから切り傷が出来ているかもしれない。

 

先生の身体をまさぐりながら、持ち上げると、更にギャーギャーとうるさくなってしまったのでさっさと動いてしまおう。

 

 

跳躍ーーーまさに翔ぶと言える速度で上昇し、上空から視界に入ったホシノの元へ着地する。

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

相手の思惑を理解したホシノと敵を全て打ち倒した対策委員会のメンバーはアヤネの指示で先生達が避難した方向に走っていた。

 

「うへ、やられたね。敵の目的が私達じゃやくて、救援に来たシャーレの先生だとは」

 

「ん、失敗した。先生を私の身体に張り付けておけば良かった」

 

[シロコ先輩、先生は赤ちゃんじゃないんですから…っ!?何か飛んできます!注意……]

 

アヤネの言葉が言い切られる前に、目の前に隕石が落下してきたかのような衝撃が走る。

 

「きゃあ!って!アンタ一体どう…し…て……!その身体どうしたの!?」

 

落下地点から現れたデミを見て、皆の顔が驚愕に染った。

 

「デミちゃん、その傷は…アイツらのせい……?いや…これ……」

 

「大丈夫っすよ?結構自分頑丈なんで。あとほれ、先生宜しくお願いするね?私じゃ守りきれなかったからホシノちゃんに任せるよ」

 

 

“デミ、話を聞いて”

 

「嫌です、じゃあ自分はアイツらにお灸すえてくるんで」

 

“駄目だ、君を行かせない”

 

優しく、そして力強く私の腕を握って離そうとしない。

 

“私のわがままを聞いてくれるかい?せっかく頼りになる大人だって見せたいのに、身近な君に逃げられる姿を見られたくない、ちっぽけな大人のプライドが”

 

「嘘っすね、先生は自分を卑下し過ぎっす、丸わかりですよ。それじゃ」

 

 

手を振りほどき、逃げるように、いや、逃げた。

 

 

周りの声に嫌だ嫌だと駄々を捏ねて振りほどき、子供の形で先生から逃げる。

 

 

こういう所が馬鹿なのだ。馬鹿で未熟で……何故かその言葉がしっくり来て……。

 

 

先程から全力を出しているのに感じない痛みに違和感を覚えつつあの下手人共を潰しに行く。

 

 

 

 

 

 

…………あれほど叫んだのに、結局先生は自身に割くバリアを緩めて私の方に寄越していた。

 

 

 

抱き抱えた時に気づいた、右脇腹、そして額に……身の守りを緩めた分傷を負っていた。

 

 

手に残る先生の生やかな血、あれだけ夢で見てきた筈なのに、現実では全然慣れない。

 

 

傷を、血を流させてしまった。あれほど大切なものは守れって言ったのに。

 

 

甘かった、既に本筋からはズレている。この程度の予想外に対応できずに何をのうのうと悔やんでるんだ私は。

 

 

腹部以外の傷は浅い、ならばせめて……自分の不甲斐なさを忘れたいという『わがまま』で残っている部分を使おう。

 

 

 

掌を握りしめる、強く、強く。

 

 

 

 

「許さない」

 

 

 




展開遅くてすみません……これでまだ最初のカタカタヘルメット団強襲作戦終わってないのマジ? 嘘だろこれ……。


ゲマトリア参戦!!!

先生の影響がここにも来ています。具体的に言うと初っ端から全員(ベアトリーチェを除く)先生ファンクラブ片足一歩です。

しかし特段「大人」として、「先生」を魅せていないので、バチバチに好かれている訳ではなく、先生を見る度心にしこりができる程度です。

もしかしてこれって……恋!?






日々の夢と幻聴、幻覚でだいぶ限界が来ているデミちゃん。

毎朝、毎朝毎朝飛び起きて、部屋の物を傷つける訳にはいかず自傷行為をしています。

過保護の域を超えて、このままだと先生を拉致監禁しかねないほどにメンタルがキテいますね。

だけれど、絶対に先生や生徒が傷つく事はしまいと思っていますが……自身が傷つく事で同じく傷つく者の想定は出来ていません。


お前が傷つけていいのは自分だけだぞー?
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