ブルーアーカイブの隅っこで   作:カピバラバラ

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今回に至ってはマジの雑談会です、文章量も少なきゃ進展もほぼ無いんで適当に皆さんのゲマトリアの解釈等お待ちしております。


野郎ォォォぶっ殺してヤラァァァ!!!

プラ容器を開けて焼きそばを食べる、味としては……そんじょそこらの焼きそばとは段違いの美味さだ。

黒服が手作りしたものなので、どことなく拒絶感を感じるが普通においしい、麺自体に合う味付けがなされているのか、塩焼きそばのままその風味を保ち、ソース焼きそばの味をしっかり味わえる。

 

 

“……はぁ”

 

 

「ため息が多いと幸せが逃げてしまいますよ、先生」

 

 

“貴方が言う幸せと私の幸せは意味が違いそうだけどね、黒服”

 

 

「クククッ…貴方の幸せはため息をついた所で逃げたりしませんか」

 

 

…頭痛の種が隣にいる。片手にビールと焼きそばプラ容器に入ったカレーを持って、私の隣のビーチチェアに腰掛けてきた。

彼に関して、ストレスを感じないかと聞かれればそれはもう感じまくる……が、黒服は無作為に私に接近したりしない、これがおふざけならより有り得ないのだ。

 

 

確かに黒服は私の事を好いていると言ってもいい位に興味を持って接している、故に『無意味』な事はするかもしれないが、『無価値』である事は行わない。

 

 

“これで打算抜きだったら…貴方を誘って食事‎でも行ってあげたい所なんだけどね”

 

 

「心外ですね、今日に至ってはデミさんに連れて来られた身で打算等………」

 

 

“だって基本黒服が私に優しいのは、ゲマトリアに懐柔したいからでしょ?それか好印象を持ってもらえれば交渉がやりやすくなるから”

 

 

「……」

 

 

見るからにしょげ始める黒服だが、それならそれでビールを飲む手を止めなさい。

 

 

“契約という一点において貴方は本気で取り組んでいるからね、本気で私に好意を寄せ、本音で語り、本当に落ち込む”

 

 

“けれどそれも、一種の交渉術だ、貴方の根本は変わらない”

 

 

「先生もお変わりない様で」

 

 

“私だって、別に貴方の事は面白い人だし、話し合える大人だとは理解してるけど、それはそれとして許してないからね”

 

 

結局はお互い様なのだ。大人として永遠に終わらない腹の読み合い、互いに話している事、考えている事、その感情を理解し合いながらも受け入れる事は無い。

 

 

【互いに競い合い、高め合う仲間】

 

 

黒服の認識がそうであっても、大人として相互理解が出来てしまうが故に、私は彼と分かり合う事も、手を取り合える事も無い。

 

 

「あぁそれと…マエストロとゴルコンダに関してはお気になさらないで下さい、彼らも先生を一目見ておきたい、会遇に価値を感じての事ですので」

 

 

“流石にマエストロがエプロン付けてるのは驚いたよ、黒服は何故かアロハシャツだし……ベアトリーチェは?”

 

 

「……クククッ!!」

 

 

黒服の表情が、より愉悦を含んだものとなる。

 

 

“…なるほど”

 

 

「おっと、流石のエスパーですね?先生」

 

 

“貴方にその言葉を使われたくは無いかな”

 

 

「まぁそう言わずに、彼も招待しているんですよ?ご覧下さい」

 

 

見せられた携帯に写っているのは、アロハシャツのカイザー元理事……というので既に事態を察してしまい、目頭を抑えて呟いた。

 

 

“……ぁぁ……なるほどねぇ……”

 

 

「察せられましたか?」

 

 

“大体ね、後は黒服とデミ…貴方達だけだよ”

 

 

この異常な夏の日、何が起きているのかを大体把握したので後は解決に向かうだけだ。

だから今重要なのは黒服が何をしたいのか、ここに来て、ここで話して何を求めているのかだ。

 

 

「……先生、私達ゲマトリアの本懐は、崇高へ到達する為の研究です、それに対し各々独自の形を以て崇高へと近づいていく」

 

 

「色彩という宿敵、敵対者あれど、私達はどこまで行っても研究による『結果』を求める」

 

 

「私の目的は、完成したパズルを得る事、神のオルガンに踊らされ、運命の糸に操られる……その上で『答え』を欲するのです」

 

 

「疑問に対する答えを」

 

 

“……それで、貴方の疑問って?”

 

 

 

 

「世界とは」

 

 

 

 

“………”

 

 

「この世界とは、一体何なのか」

 

 

焼きそばを啜る手が止まる。

 

 

「私は崇高に至る過程、そして崇高に至り色彩を打倒したとしても……ベアトリーチェ、彼女の様に大人として世界を救った者になる気もありません」

 

 

大人とは、世界の在り方を決める者。

 

 

「元から解釈が各々異なる身、ならば私は崇高へ至る事で何を成すのか」

 

 

「元々考えていた事は……彼女によって取り払われ、今はこの世界全ての『疑問』を解き明かす事を目標としています」

 

 

大人とは、本来そうであれと求めた世界の形に責任を持つ者。

 

 

つまり、彼が今話している事は……『大人』を手放すという事だ。

 

 

「太古から暗闇は未知であり、恐怖だった」

 

 

「人類は未知を暴き、既知を発展させ、暗闇に足を踏み入れる、それこそ偉業と言えるでしょう」

 

 

「私はこの世界の全ての暗闇を照らし、崇高へと至る」

 

 

世界を作る側では無く、今有るものを受け入れて……それを全て解き明かす事で、乗っ取りを行う事。

端的に言ってしまえば、世界征服。

この世界の全ての形を、知られざる秘匿を彼自身が解き明かす事で、元々のこの世界を侵略する。

 

 

例えばの話、発電、電気を開発した偉人が居たとしよう。

 

 

けれどそれはこの世界に元々発生し、存在していた概念だ。しかしかの偉人は電気を発明したとしてその概念そのものの保有者の様に振る舞い、またそれを周囲は受け入れる。

 

つまるところ暗闇の開拓者は、踏み込んだ暗闇の中にあったものを己が物として保有するに至る。そして最終的には彼の種族であった『人類』にその力は渡った。

 

 

そこで問題が発生する、総体である『人類』は電気や電化製品による成果を手にはした、してしまえるという方が正しい。

元来自然物であった現象を、『人類の発展』の一部として吸収したのだ。

主観で世界は如何様にも変化する…いうなれば人間の主観の構成部品に組み込まれ、自然の一部であったモノが人が所有するものへと堕落する。

 

 

照らされた光に誘われて世界の所有物であったものが、人の手に渡ったのだ。暗闇を明かすというのはそういう事、黒服が世界スケールで行えば『人類』としての総体を黒服が担う世界へと昇華し……それは正に大神(オーディン)が如き権能。

 

 

我欲による世界救世を願うベアトリーチェとも、芸術、感性と主観による現実と非現実、虚構の世界を求めるマエストロとも違う。

 

 

真理解明、究明の神。

 

 

“…究明者、その完成を目指すか”

 

 

「えぇ、その為に先生、貴方の力も必要です」

 

 

“結局そこに行き着くのは相変わらずだね、黒服”

 

 

「ですので、如何です?ゲマトリアに入って頂けませんか?良いお話も付いてきますよ?」

 

 

“いやでーーーす!!!べろべろばァ!!”

 

 

「羽音デミさんのことでも?」

 

 

ムッカァッ……!

 

 

“クソォ……コイツ平然と返してきやがって!いいよ分かったよもう!話だけ聞かせてよ!!どうせ情報交換だとか信用だとか信頼だとかで来たんでしょ!?”

 

 

「ククッ…そうでなくては、私から先生へ送れるのは、欠けた未完成のパズルのピースのみ、組み立てられるのは貴方だけです」

 

 

「どうか、ご清聴を」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「貴方様ぁーー!!」

 

 

“ワカモ…怪我は無かった?痛い所も無い?”

 

 

「えぇ、あの程度の小バエ、私にとって貴方様へ向かう道の小石にすらなりません」

 

 

黒服との会談を終えて、しばらく待っていると……大爆発が起きたかと思えば煤を少し被ったワカモが帰ってきた。

彼女を追撃していたイオリは真っ逆さまになって砂の中に埋まっていた。

アズサはいつの間にかマシロ、シロコと一緒に不良達の相手をしている。

 

 

本来であれば私は彼女達の手伝いをするべきだし、せっかくの夏の思い出を脚色した方が良い事ではあるのだろう。

けれど今の私はワカモの付き添い、彼女と離れてまで首を突っ込む必要は無い。

 

 

今の私がすべき事は…悪意の排除だ。

 

 

“お疲れ様、戦ってる姿…カッコよかった”

 

 

「ありもしない難癖で羽虫如きが、私と貴方様の時間を邪魔するなんて万死に値しますが……その始末の時間すら、貴方様との時間の方が大切です」

 

 

“ありがとうワカモ、君なりの配慮がとても暖かいよ”

 

 

「貴方様……あぁ、貴方の言葉が、貴方の声が耳に入ってくる度に私の心は愛に満たされます……それで、あの…」

 

 

“ん…どうしたの?”

 

 

「その、先生…?私の…手を、握って下さいませんか?」

 

 

“勿論、喜んで”

 

 

恥ずかしがりながら手を伸ばすワカモは、いつもより初々しく、愛おしく見える。

 

 

私はその手を取って……。

 

 

〔そこーーー!!!〕

 

 

手を握った瞬間に、横槍が入ってきた。

 

 

黒いビキニにホクロ三点、真っ黒な髪に染まった……そう彼女は!

 

 

「……出ましたね、害虫」

 

 

“売店の方は大丈夫なの?デミ”

 

 

〔この…ッ…なに、何イチャついてんだァァァーー!!〕

 

 

えぇ……普通に殴りかかってきた……。

 

 

「貴方の様な害虫がッッ!!先生の優しさとその愛に纏わり付くこと自体が恥知らずですッ!!今ここで駆除してあげましょう!」

 

 

〔こっちのセリフじゃお前ぇ!!人が色々悩んでる間にそんな格好で先生と……先生も水着でェ!!ぶっ飛ばしてやる!〕

 

 

“ちょ、ちょっと!二人とも落ち着いて!”

 

 

「出番です!!来なさい!」

 

 

〔出番ッス!あんだけ痛かったんだから活躍しろ!〕

 

 

 

 

「バシャバシャヘルメット団!」

〔聖歌隊!〕

 

 

 

ゴゴゴゴゴ……!!

 

 

“えぇ……”

 

 

こうして、唐突に軽率にトリニティ以上の抗争がポンっと始まってしまった。

 

 

 

「貴方様!指揮をお願いします!」

 

 

〔先生ぇーー!!裏切ったら…えっと、泣く!無限に泣くっすよ!!〕

 

 

“え、ぇぇぇぇぇ…”

 

 

大人…大人?うん、大人として選択の時だ。

 

 

 

▶ ワカモの味方をする

 

 

▶デミの味方をする

 

 

 

“……こ、こんなの…”

 

 

選べない!選べないよぉ!?

 

 

「貴方様!」〔先生!〕

 

 

“う、うぅぅむ…”

 

 

「クックック……先生」

 

 

“お前マジで張り倒すぞ”

 

 

 

 

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