ブルーアーカイブの隅っこで   作:カピバラバラ

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私は愛に 貴方は罪に 真実はいづこ

“……今日は…”

 

 

“色々あったなぁ…”

 

 

「先生〜!お肉焼けたよー!」

 

 

現在時刻、夕方七時頃。

 

 

ここに集まった皆で、砂浜BBQを開催し、和気あいあいとした雰囲気が浜辺に満ちて潮の香りと共に流れていた。

 

 

夏海の彼方に、半分に切られた赤く温かい満月が沈もうとしている。

 

 

夏の一日、その終わり。

 

 

 

 

 

“……”

 

 

 

夕日を見つめてぼーっとする、本当に色々あった、そもそもあれが序章に過ぎないものだったのかもしれない。

 

沢山の事件を解決してきたが…結局、キヴォトスの仲の良い者同士の遊びに関しては、一般人である私にとって死線が見える程のものになった。

 

 

『アルティメットビーチバレー』

 

 

それぞれの学園から集まった猛者達によるビーチバレー勝ち上がり大会。

 

 

Aブロック ヒナ イオリ vs ハルナ アカリ

 

 

『先生、見てて…頑張ってくるから』

 

 

『先生!勝ったら私の……あれ!あれ捨ててもらうからな!』

 

 

『先生、私が優勝しましたら今日の夕方の予定…全て空けておいて下さいね』

 

 

『勝ちがいのある相手が来ましたねぇ…あの時の腕の借り、返してもらいましょうか』

 

 

一見、最初は皆ヒナが居るという最大の戦力を持つヒナチームが圧勝するかと思っていたが……。

 

 

『それッ!』

 

 

『なっ!?委員長ごめん!』

 

 

アカリ、ハルナによるイオリの一点狙い、ヒナにボールを打たれるか受けられた時点で詰みを察知した美食研二人組のコンビネーションで捨て玉を見分け、一方的に体力を消耗せずにイオリを動かし続けた事により…。

 

 

『ぐっぞぉぉ!!』

 

 

18ー20

 

の大接戦。

 

 

『イオリ、ごめんなさい』

 

 

しかし…。

 

 

『そんな、委員長が謝ることなんて…』

 

 

『…本当に、ごめんなさい』

 

 

『ちょ、なんでそんなに…』

 

 

ガシッ…。

 

 

『へ?』

 

 

イオリの足を、ヒナが掴む。

 

 

『うわぁぁぁ!?!?』

 

 

『な、なんてデタラメな…!』

 

 

()()()を振り回してボールを打ち返す事により、勝負はヒナチームの勝利となったのだけれど…ーー。

 

 

『“イオリ、大丈夫?”』

 

 

『死ぬ、死んだ』

 

 

勝者側のほうが負傷していたのは、うむ、まぁ。

 

 

 

Bブロック ツルギ アズサ vs バシャバシャヘルメット団 ワカモ

 

 

『アズサちゃーーん!!頑張って下さ〜い!』

 

 

『あぁ』

 

 

『“ツルギ、ワカモ、頑張って”』

 

 

『が、がが頑張り、頑張ります!』

 

 

『はい♡貴方様の為に…貴方様をお救いする為に!』

 

 

『……ワタシ…バチガイ…』

 

 

ちなみにワカモは私が優勝景品になっている事を危惧して試合相手を全て叩き潰そうと参加してくれたよ、何故か私がいつの間にか景品になっていた殊については誰も言及してくれてなかったから初耳だったけどね!!

 

 

『しねぇぇぇぇ!!!』

 

 

『むりむりむりむりむり!!?!?』

 

 

『ギャハハハハ!!!!!!』

 

 

勝負の結果は……レーザービームが如く繰り出されるツルギのアタックにヘルメット団の子が耐えきれない不利を抱え、ワカモが敗北した。

 

 

21ー8

 

 

ワカモ側も完璧な先読みと指示でバシャバシャヘルメット団の子を配置したのだけれど、ツルギどころかアズサのサーブにすら腕が耐えられなかった様子で…。

 

 

『……』ゴゴゴゴゴ…

 

 

『申し訳ございませんんんん!!』

 

 

『わーい!アズサちゃんかっこよかったです!』

 

 

『ツルギ先輩、怖すぎでしょ』

 

 

『“ワカモ……よく頑張ったね、ツルギもお疲れ様”』

 

 

『うっ……うぅ…貴方…様ぁ…』

 

 

AブロックBブロック共にサーブの打ち合い、レシーブ合戦によってボコボコになる砂浜は毎度毎度整備し直している為、試合事に二十分のインターバルを挟んでいる。

 

 

Cブロックに関しては……正直、語りたくも無いのだけれど、話そうか。

 

 

Cブロック 私 vs 黒服

 

 

…何コレ?と聞きたい人も居るかもしれない、けれど一旦聞いて欲しい。

 

 

『“どうしてこうなった…”』

 

 

何故景品係の私が出場しているのか、何故黒服が出場しているのか、どうしてこうなったのか。

 

 

『クククッ…!さぁ、勝負です先生』

 

 

『“お前さぁ…”』

 

 

『誰?あの人』

 

 

『……何で黒服が?』

 

 

ホシノが殴りかけたのを抑えて事情を聞いてみると……。

 

 

先生と夏の思い出を作る。

 

 

らしい。

 

 

『…うわぁ』

 

 

『“キッ…”』

 

 

ともかくエキシビション的に始まってしまったこの勝負、知らない間に挟み込まれていたらしく、誰もその事を覚えてはいないのだが…用紙にはちゃんと記入されており、参加を認めるしか無かったので仕方なく。

 

 

記憶……はい、そうです…デミの仕業だね。

 

 

それで、試合の結果はというと。

 

 

21ー0

 

 

『“私の足が不自由になった所で…私の体力が無くなった所で……私の身体能力が落ちた所で……!黒服が強くなった訳じゃないからなぁ!!』

 

 

『ぐふっ…せ…んせい…口調…』

 

 

『ゴライアス・ハードイーター!!』

 

 

ビーチバレーでボコボコにしてやった、してやったけどスッキリしないので物理的にもボコボコにして砂浜に埋めて埋葬しといた。

 

 

それで終わり、このきちゃない記憶は彼方へと放り投げておこう。

 

 

Dブロック ホシノ シロコ vs 黒ヘルメット(デミ) 黒ヘルメット(デミ)

 

 

『…本当に誰?』

 

 

『ん、誰であろうと先生に何でも命令する為にぶっ倒す』

 

 

『具現化系……オレが二人分になる』

 

 

『“色々怒られるから辞めなさい”』

 

 

勝ち上がり決定戦の中では最も白熱した戦いになったと言って良いだろう。

 

 

『うらァァァ!!』

 

 

バチン!

 

 

『……はい?』

 

 

『うへぇ〜残念残念』

 

 

()()

 

 

ブロックが固い、点が決まらないのだ。更にシロコとホシノのセーブ領域が広く、互いに互いの隙間を縫うように庇い合う。

ビーチバレーの二対二の勝負は基本的に前衛と後衛に分かれている、前衛のコート内の手が届く領域が空き過ぎれば点は決まるもの、後衛が前に出すぎたり、横側を空ければ点は決まる…筈、そう決まる筈なんだけれど…。

 

 

『ホシノ先輩!!』

 

 

『よいしょぉ!』

 

 

この二人においては前衛と後衛の概念が無い、自由に動き、完璧な形でカバーを組む。

恐ろしいほどのコンビネーションを見せつけ試合を優位に進めていたのだ。

 

正直、ビーチバレーの選手よりも上手かったと言っても過言じゃない。

 

 

『アタック!』

 

 

『ぶへぇ!?』

 

 

但しデミ側は二人で一人、そもそも意思疎通どころか一人なのだからコンビネーションは完璧なのだけれど……。

 

 

『おりゃっ!あれ?』

 

 

『“アウト”』

 

 

力任せに振り抜くから命中精度が死んでいた、驚くべき球威だが、シロコは突破できてもホシノには五割で受けられる、それを超えられないまま消耗戦へともつれ込み、その結果。

 

 

32ー30

 

 

デュースによる点の取り合い合戦は……デミの連続ミスによって幕を閉じた。

 

 

『クソォ…!覚えてろよーー!!先生とのイチャパラ計画はまだ終わってないんすからねーー!!!』

 

 

『ひぇー…疲れたぁ…ナイスシロコちゃん』

 

 

『はぁ…はぁっ……ん、ナイス』

 

 

私は記憶を持っているだけで経験はしていないが、キヴォトス名物の大祭と同レベルの白熱具合で学園間を問わず楽しむ、素晴らしい光景だと眺めていたのだが…。問題はここから。

 

 

そう、この競技はただのビーチバレーじゃない。究極のビーチバレー…。

 

 

『ん、最終決戦は六人全員が敵のサドンデスマッチ、さっきまでの味方さえ敵の生き残りゲーム……覚悟してね、ホシノ先輩』

 

 

『…おじさん、本当はそこまでがっつくつもりは無いんだけどねぇ』

 

 

『それじゃ、先生を諦めるんだ』

 

 

『……うへぇ…私とサシでやるつもり?』

 

 

『うん、ヒナも強敵だけど…貴方が一番強いから』

 

 

『へぇ?』

 

 

始まってしまった最終決戦。

 

 

このルールにおけるたったひとつの追加事項…それは……。

 

 

『何でもあり』だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドコオオオオン!!!

 

 

 

『きひゃひゃひゃひゃ!!』

 

 

『もう…無理…』

 

 

『チッ』

 

 

『“辞退してよかった…』

 

 

地獄絵図…そう評価するのが正しかった。

 

 

六人、たった六人の手で巻き起こされた争いは…瞬く間に砂浜を血で染めた。イオリは途中でリタイアしてしまったが試合は関係なく進行していき、最終的には…。

 

 

『くっ…さすがに強いな、ツルギ…』

 

 

『…負けた』

 

 

三学園のトップが残る形となり、その頃には観客席の皆も海辺に倒れ伏して砂浜に再び死屍累々の光景が広がって、それはもう酷い酷い。

 

流石にそれ以上の試合…戦闘は被害の規模を考えて私が止めに入ったところ、ある条件を受け入れてくれたらと、平穏にアルティメットビーチバレーは終了したのであったとさ。

 

 

 

 

 

 

 

 

“それにしても…本当に良かったのかな、私程度と一緒にいるだけでいいって、う~んまぁ三人がいいっていうのなら仕方なかったのかなぁ…もっといいものを……”

 

 

「先生!みんな待ってますよ!」

 

 

“ヒフミ、ごめんごめん、すぐ行くよ”

 

 

気が付いたら、炭が心地よくパチパチと弾ける音と肉のいい匂いが漂ってきていた。

美食研が持ち寄ってきた食材も並べられており、色とりどり、華やかな食卓が広がっていた、それを囲んでいる皆を見ていると…やっぱり本当に私は本来必要のないものなんだと感じる。

 

だって、こんなにも美しくて綺麗で、笑顔でいれるのは皆が皆互いを拒んでいないからで、元々こうあれる存在なのだから。

 

 

“…”

 

 

感傷的なのもわかっている、自分を慰めているだけとはわかっているけれど癖になってしまっていて…ーー。

 

 

『自虐もほどほどにしてくださいね』

 

 

“…■■”

 

 

「…先生?」

 

 

“■■■…ん?”

 

 

「今何か、いえ誰かのことを呼んだりしましたか?何か用事でも…」

 

 

“あぁ、ごめん、何でもないよ…そうだね…しいていうならこれだけいろんな学園の子が集まることもないし、そんなせっかくのBBQを最大限楽しもうか”

 

 

「はい!」

 

 

 

 

※ちなみにカイザーの悪巧みは先生の手で引きつぶされました。

 

 

どうやら島の所有権をあちこちにオークション形式で販売していたらしく、更には抽選方式で島の土地権利書も配っていたらしい。

 

正し配られた権利書は偽造のもの、噂と情報で価格が高騰していた島の所有権に関してもカイザーグループ所有のもので、カイザー元理事にそれをどうこうする権力はなかったが、それでも元理事…コネを利用して身元をばらさずオークション出品にまでかぎつけたみたいで…。

 

 

『いち早くアビドスの連中には送り付けておいた…フハハ、真実が明らかになるまでにアイツらはどこまで島に手を付けてしまうかな?』

 

 

『偽装書には島の所有権について明記されていない!一時的なものに過ぎん、このまま土地の権利に縋り付いてきたバカどもに好き勝手開拓させ、オークションの値段を吊り上げ……元手を超えた時点で引き渡す、元から荒れ果てた島だ、儲けは出るぞ!』

 

 

『後は島で勝手に争えばいい、抗争に抗争を重ねろ!派手に抽選組が抵抗すればするほど所有主も弱る、後は不法占拠という名目がある、権利は偽装と不正の塊だからな、カイザーの武力で…』

 

 

なんて、悪いことを考えてるとこ悪かったが、普通にアロナの力を借りてオークション元と権利者相手に証拠を突き出しちゃった、てへぺろ。

 

 

『グウォォォ!?!?きさまぁぁぁ!!』

 

 

ネタ晴らしに彼の元をアビドス全員で訪れると、胸ぐらをつかまれかけたのをホシノが振り払ってくれてその後というと。

 

 

『ねぇ』

 

 

『き、貴様!小鳥遊ホシノ!!』

 

 

『今、何をしようとしたのかな……本当に消されたいのか?』

 

 

ホシノのガチ脅しで消し飛ぶほどビビったのか海の中に突っ込んでいっちゃって、この話も終了。

 

 

『リゾート、残念でしたね』

 

 

『仕方ないねぇ、また次の機会を目指そっか』

 

 

『ん、今度はレッスン教室でも開こう、銀行強盗の仕方についてレクチャーして時給は…』

 

 

『思いっきり犯罪教唆じゃないの!』

 

 

『レッスン…アイデアとしてはとてもいいんですけどね…』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

“ちゃんちゃん、か”

 

 

「先生、その…こちらのトウモロコシも…」

 

 

“ん、おぉ!甘い!上手に焼いてるね、ハルナ”

 

 

「先生!こっちのお肉も食べようよー!」

 

 

“皿の上のものがなくなったら頂こうか”

 

 

後、勿論ヒナとの水泳練習も完璧に泳げるようになるまで付き添うつもりで、このBBQ後にも二人で会う予定である。

 

 

ワカモへのお礼がここまで発展してしまったが、本当に楽しい一日だった。帰りはワカモをちゃんと車に乗せて寝かしつけないと…。

 

 

夏の輝かしい一日は幕を閉じるには、最後まで美しいままで…。

 

 

 

 

そう、青春の一幕として生徒の皆の夏は、だが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

“……”

 

 

手元にあるUSBを眺める。

 

 

これは、禁忌。私の失態、それそのものだ。

 

 

黒服から受け取った、()()()()

 

 

“デミ”

 

 

黒服が私に話したことを思い出すたびに、血が出るほど拳を握り締めてしまう。

 

 

あの時、店の前で話したことだ。

 

 

 

 

 

 

『まず、私は彼女に噓をついています』

 

 

『彼女自身が自分自身のことを理解せぬ様、その力の出生であったり、契約破棄をしたという嘘もつきました』

 

 

多次元世界からのエネルギー供給?彼女の力はそんなもので説明がつかない、多次元にわたり彼女らしき存在がいたことは確かだろうが、そもそも説明できるものじゃないのだから。

 

 

そして…。

 

 

『何せ私も記憶がないのです、先生』

 

 

『“記憶?”』

 

 

『はい、私は重大な見落としをしていました…違和感を抱かなかったのが不思議なくらいです、私は、そう…』

 

 

()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

終幕理論。

 

 

羽音デミとは終末の洛陽を超える、終幕兵器。

 

 

『私はこの推測を、何故か正解だと確信している』

 

 

『今も尚』

 

 

『“……!!”』

 

 

『ただ安心してください先生、これについては噓ではありません、研究の結果、羽音デミの権能にはその役割を遂行できる力があり、また彼女自身の認識もそれでいいと考えていいでしょう』

 

 

『ならば私はどこからこの知識を得たのでしょうか?古文書にも聖書にも教義にもその影はなかった』

 

 

『つまるところ、行き着く先は記憶の齟齬……そう、羽音デミさんの得意技』

 

 

記憶改変…。

 

 

しかしそれは、彼女の権能によるものの筈。

 

 

 

...。

 

 

 

…いや、まさか、そうであるはずがない、もしそうなら彼女は、羽音デミは…ーー。

 

 

『私が現在手をこまねいているのは、あの不可解な存在である羽音デミであって彼女じゃないというのは理解していただけましたか?』

 

 

『“…あぁ”』

 

 

羽音デミについてわかることはもうほとんど無い、それが意図的であるのかも知りようは無いが、先生ならばあるいは…。

 

 

『しかし彼女についての存在理由は、研究により理解できました……これをお渡ししておきます』

 

 

渡されたのは黒いUSB。

 

 

『研究記録を保存しています、閲覧にはご注意を……ククッ、私が殺されてしまうかもしれませんので』

 

 

『“…秘密裏に撮っていたものか、デミが気を使って見せたくなかったからだろうけど”』

 

 

『クッククク…話を戻しましょう、端的に言うと彼女の存在は蓋です』

 

 

『“…蓋、蓋だと?”』

 

 

彼女という一個人に対して使うには余りにも非人道的な言葉だ、一体その研究で何が分かってその言葉を使っているのか?

 

 

『全能にしては矮小であり、終幕にしては踏み切らず、永遠に苦しみの怨嗟に囚われている』

 

 

『大人からすれば、付け込みやすすぎる唯の少女でしかありません』

 

 

考えてみれば簡単なことだ、そのような権能を持つ者としてはいささか不安定すぎる。

 

 

つまりは彼女には彼女なりの役割があるということ。

 

 

『その答えは、USB内映像の中で』

 

 

『“黒服”』

 

 

『何でしょうか?先生』

 

 

『“何をした?”』

 

 

病室の時と同じ、語気は一切変わってないのに纏う圧だけが首を絞めてくる、言葉を発するだけでも死地に向かうような気分にさせられてしまう。

 

 

恐ろしくも不可解でもある先生、あぁ…でも、先生、既に貴方は間違えた後なのです。

 

 

その問答が、彼女の心を、愛を否定するものでもあるのですから。

 

 

 

『…私は彼女の要求であらゆる苦痛と破壊をできる限り与え続けました』

 

 

『精神を凌辱し、あらゆる薬物を投与し、その心が砕け散るまで』

 

 

『肉を裂きました、その奥にあるかもしれない真実を求めて、死骸のような彼女を幾度となく分解し…一体いくつの器具使用したか覚えておくことすらできない程に長い時間、彼女の悲鳴と共に……』

 

 

『“いい”』

 

 

 

ーー初めて、先生の声が震える。

 

 

 

『“もう、いい…分かった、理解したよ”』

 

 

『“デミがそう望むことは…”』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そうして、私の手元にはこのUSBが残った。

 

 

 

USBをパソコンに差し込む。

 

 

せめて、この映像と対面することが今の私にできる事。

 

 

 

“…ーーこれは”

 

 

 

そうして目に入り込んできた映像は、幻にしては残酷すぎて、現実というよりは

 

 

 

悪夢のようなものでした。

 

 

 

 

 

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