ただしウィッカは『破魔無効の悪霊ウィッカーマン』というかなり厄介な敵になりました。
……なので念入りに殺す。
邪龍四天王との戦いについて、オレたちは事前に作戦を立てていた。
四天王がいるとかそんな話は聞いてなかったが、とりあえずでやれるように考えた作戦だった。
すなわち。
「まずは出来るだけ手数を減らして絞る!……ノーラス!」
「ワオーン!」
いつものように誰よりも早くノーラスが吼える。使うのは、新たなる大技。
ーーーマカラカーン
魔法を跳ね返す障壁。これで攻撃が物理に限定される……バッドステータスを食らう可能性がグッと減るのだ。
「ビカラ!」
「はい!お任せください!」
流れるようにビカラが鞄から取り出した爆弾を敵側の地面にたたきつける。
色は……青!
「凍っちゃえ!」
投げつけられた液体窒素ボンベが爆発し、前衛に凄まじい冷気をバラまく!
「わぷ!?なにすんのよ!?」
ヴィーヴルは凍らなかった。だが!
「ラームジェルグが!?」
ウィッカが驚愕した通り、ラームジェルグは氷の彫像になっていた。内部で砕こうとミシミシ行ってはいるが少なくとも少しの間は動けない!
「やりやがったな!これでも喰らえ!」
その攻撃で激高したらしいアマゾーンが怒りの矢をビカラに放つ。当たればただでは済まないような一撃。だが。
「食らってたまるか!」
矢の軌道を完全に見切り、紙一重でその場で半身ずらすだけで奇麗にかわす。ニンジャだってのは伊達じゃないらしい。
そして!
「いけぇえ!キラキラ!」
「任せて!行くよ!全弾発射ぁ!」
ここからが本命!銃を、ロイヤルポケットを構えたキラキラによる、後先考えない乱射!
ーーートリガーハッピー
「ひぇ!?」
ヴィーヴルはすさまじい勢いで飛んでくる弾丸にビビってこけた。そのせいで頭の上を銃弾が通り過ぎることになってよけきる。
だが動けないラームジェルグと、他の連中には当たる。あの小さな拳銃とは思えない肉を弾き飛ばす一撃!
「痛い!?な、なんなのこの威力!?ていうかまさかアレが銃だっていうの!?」
「あんなものから我が矢を越えるいりょりょりょりょ……?」
「バカな!?アレが銃だという*1のか!?……アマゾン!?」
何発も当たっているのに痛がる素振りすら見せないウィッカは恐らく銃撃そのものを無効化するのだろう。
一瞬で出た被害に驚きの声を上げている。
ついでに撃ったのはニコに頼んで用意してもらった神経弾*2だ。
それを食らったアマゾンが倒れ込む。まあ、麻痺を治療できる奴がいない限りは無力化出来たとみていいだろう。
後は前衛の何体かも麻痺になった。どうも銃撃に強い耐性があるらしくダメージはロクに与えられてないが、麻痺ればそれでいい。
オレは何が起きてもいいように待機する。さて、そちらの番だ。
「く、食らえ!」
敵側の初手はヴィーヴル。起き上がったあと腕を振り回すヒステリービンタ。
「で?この程度でどうこうできると思った?仮にもウチさあ、女神なんだよねえ?」
「ひ、ひぃ!?ごめんなさい!」
だが、相手が悪かった。殴られたのは女神フォルトゥナ。Lvは30。友愛に満ちた回復役で……物理にちょっとだけ強い。ロクなダメージを与えられてない。
余波がこっちまで飛んできたが、かすり傷だ。
「さあ!我が炎で、ガングロになるまでまとめて焦げなさいな!マハラギ!」
続いて動くのは、地母神ペレ。炎に特化したコイツは炎を無効化出来る……すなわち反射を気にせずに攻撃できるのだ!
女神フォルトゥナと地母神ペレの女神コンビ。オレが本気で戦うときには大体スタメンに入って来た面子だ。
「ぎゃああああ!?熱い、熱いいいいいいいいいいいいいい!?」
アルラは見た目通りに『炎に弱い』らしい。のたうち回っている。恐らくは後一発で死ぬ。
「ぐう!?この程度で焼き殺せると思わないことね!」
銃弾を無効化するウィッカも、炎ならダメージが通るらしい。ぶすぶすと肌が焦げていく。
「ぎゃああああ!」
そして動けないアマゾが悲鳴を上げている。こっちもあと一撃だな。
「おのれ!我が呪術により死ね!ムドォン!」
焼かれてもなお、敵側の指揮官らしきウィッカは冷静だ。冷静に全体を一撃で殺す呪殺をやってくる。だが。
「悪いな。呪殺対策は、オレの故郷じゃあ、常識だったぜ?」
「右に同じ!」
「リフ殿を殺した呪い!対策を怠ると思うなあ!」
「バウ?」
呪殺対策をしていたオレたちには効かない。ノーラスは元々呪殺できない造魔だ。
「ちょっとぉ?仮にも女神を呪い殺そうとかなくね?」
「もう少し強い呪いを扱えるようになってから出直してらっしゃいな!」
そして女神や地母神には呪殺は効かないわけではないが効きづらい。幸い両方とも耐え抜いた。
「ならばこいつはどうだ!?」
アルラがものすごい勢いで花粉を飛ばしてくる。まずいぞ!?アレは魔法じゃない!?
しかも狙ったのは、後衛だ。
「わわっと!?」
咄嗟に口元を抑えて伏せたビカラには効かない。だが。
「「ひゃっほーう!テンション上がって来たあああああああああああ!」」
もろ吸い込んだキラキラとペレは両方目が逝っちゃってる。
無名地区で買えるヤバ目のドラッグキメたハイな顔になっちゃってる。
「ビカラぁ!治療任せるぞ!」
「はい、大帝閣下!」
大丈夫だ。メ・パトラの石は鞄に突っ込んでおいた。ビカラに指示を出しながら、次の行動にうつる。
「ははは。どうだ……これが我が邪龍四天王のほん「ああ。ヤバいな。ヤバいので、とっとと死ね!」
オレはアルラに発砲する。撃った弾はもちろん『パンプキンボム』だ。
既にボロボロだったアルラは弱点だったらしい炎の爆発に飲まれ、声すら上げられずに消し炭になった。
「……流れは、大体決まったかな?あらやだ、頬に跡が残ってる、ディアラマ」
特にすることはなさそうだと判断したらしいフォルトゥナが、自分をディアラマで治療したところで、次の流れが始まる。
「バウ!」
敵側は崩した。ならばとノーラスはテトラカーンを張る。
「みんな!しっかりしてください!」「「はっ!?」」
ビカラが地面に人を正気に戻すメ・パトラの石を叩きつけてペレとキラキラを正気に戻す。
「……よし、冷静になった。冷静に、殺せる」
キラキラは冷静に麻痺で動けないアマゾンを狙い撃った。アマゾンはビクリと痙攣して、動かなくなった。
「そのまま燃え尽きろ雑魚どもぉ!」
続いてテンション上がったままのペレがマハラギで前衛をなぎはらう。
雑魚はそれで全滅した。
「いやああああ!?焦げちゃううう!?」
ヴィーヴルはなんか騒いでる。なんかコイツだけ明らかに弱いな。コネ採用か?邪龍王の娘とか言ってたし。
趨勢は決した。さあ、どう出る?
「こ、こうなったら……助けてお兄さん!ま、マリンカリン……」
ヴィーヴルが小便みたいなマリンカリンを飛ばし、ガスマスクの耐性で防がれる。
……だが、これは、チャンスだ!
「うおおおお!愛してるぅーーーーー!」
「え?嘘きいたの!?よ、ヨシそのまま奴らを……ひぃ!?」
叫びながら電光村正を抜き放ち、腰だめに構えて真っすぐに突っ込む。
「愛してるから、死んでくれええええええええええ!」
これぞ百鬼夜行名物、仁義なき突撃殺法!*3
「ご、ごめんなさい許してぇ!」
狙うのはもちろん、ビビってしゃがみこんだヴィーヴル。
ーーーではない。
「死ねええええええええええ!」
「え……ええ!?」
一連の流れをどこか他人事のように見ていたウィッカの腹に、ずぶりと刀を埋め込む。
「え、あ、ああ……ぎゃああああああああああああああああああ!?」
電光村正の電撃が体内を焼くらしく、目と口から光を上げながらウィッカが絶叫する。
また感電しただと!?上振れか、上振れなのか!?
「……行くぞみんな!コイツだけは殺す!」
そうして腹に刺さった剣を捨てながら、オレは銃を構える。炎は通るみたいだし、パンプキンボムなら、普通に焼けるだろう。
フルボッコタイムだ!
「ひ、ひぃ……もうやだあ……おうちかえるぅ……」
かくて、がたがたと震えて小便漏らした邪龍王の娘(笑)ヴィーヴルを無視しての処刑で、ウィッカは息絶えた。
*
「ご、ごめんなさい!邪龍王のクソ親父に騙されてただけなんです!許して助けて殺さないで!この迷宮の最新のマップ上げるから、ね!ね!?」
「ふーんどうしようかなあ?とりあえず邪龍王の能力とか弱点とか全部教えてくれる?そうしたら考えてあげなくもないかなあ?」
「は、はい!クソ親父は正式には『邪龍ファフニール』とかいう脳筋でして……でも魔法を跳ね返す魔法を使えるんですよ!」
「ほほう。それは良いことを聞いた……褒美に我が国の大臣にしてやってもよいぞぉ?」
「へ、へへへ……ありがとう、ありがとうございます!一生ついていきますぅ!」
……うーん流石は地底。悪魔ですらクソみたいな命乞いしやがる……
オレは宮廷連中と降参した邪龍王の娘(笑)ヴィーヴルの『交渉』を見ながら、ついていけないと思った。
あと、すごい勢いで敵の死体漁って『素材』にして拾ってるザンク連中。
「よし!ここまで色々充実した状態で挑める侵略なんて初めて!行くよみんな!」
「「「「おー!」」」」
そうして仲間に加えたヴィーヴルを連れ、宮廷どもがダンジョンに突っ込んでいく。
なんでも『ボス部屋以外』を宮廷が先んじて突破し、集められた他の連中が人質の救出とか、制圧確保とかそれ以外を担当するんだそうな。
……シルキー以外と馴染んでるな。悪魔だからだろうか?
「というわけで、とりあえず邪龍王戦までは待機だってさ」
「ああ、みたいだな」
最初の四天王より強いのは、邪龍王とその配下の『邪龍三神官』だけらしいので、そいつらはオレが一当たりすることになった。
まあ、挑んでみて、勝てそうにないなら素直に逃げて諦める。そういう割り切りは大事だ。
「ボス以外は向こうのファンタジーな人らが突っ込んであとは数の暴力でなんとかなりそうだし、それまで休んでてよ」
というわけで、ニコの提案に従い、待機というか、休憩タイムだ。
「というわけではい!お弁当作ってきましたー!みんなで食べよ?」
なるほど、昨日の夜にやりたかったのはコレか。
ハイエースに積んであったデカいバスケット一杯のサンドイッチに、冷めても美味しい味付けの唐揚げ。
保温ポットに入れたコーンポタージュスープと、デザートにカットしたフルーツの詰め合わせ。
最近とみに上がったキラキラの女子力を感じさせるお弁当だ。
「お、お弁当*4……?これが?どう見てもフルコース*5ですよコレは!?」
ビカラが驚いて、プルプル震えてる。コイツら全体的に無名地区並みかそれ以下の暮らしがデフォだったらしい。
「まあちょっと張り切り過ぎちゃったかなとは思う。ビカラちゃん、普段は動物のお肉とか食べてたの?」
「え?普通にもやしとかキノコとか金魚*6ですけど」
「OKもう聞かないから話すな。ほれ、どんどん食え」
絶対愉快な話にならないのを察して、話を流す。金魚って食うものじゃねえだろ。
「ふおおおお!?こ、コレ!このサンドイッチ滅茶苦茶美味しいですよ!?これ、この肉と黄色いの挟んだ奴とか!?」
「あ、それ。ハムとチーズのサンドイッチね。ハムはお母さんが選んだお店の良い奴使ってるから自信作!」
オレたちも結構ガツガツ行ってるんだが、ビカラはそれ以上のすごい勢いで食っていた。特にハムとチーズがお気に入りらしい。
最初はちょっとは見られた遠慮とかすっ飛んでるのが、故郷の無名地区のガキや、さっき見たコンビナートのガキども思い出させる。
「……なんかさ。ちょっとポルノっぽいよね」
「オレも思った」
髪の毛が白くて、おかっぱで、食欲旺盛。それで札幌に行ってるポルノを思い出す。
「元気にしてるのかな……」
「まあ元気にしてるとは思うぞ。ポルノだし」
あいつ、そこはかとなく猫みたいなところがあるから、結構離れてても寂しいとか思わない気がする。
……オレは、少し寂しい。
「……なんで、着いて行かなかったの?」
「……なんでだろうな?」
思えば合法都市時代は、オレとポルノはいつも一緒だった。トラブルや調査で一時的に分かれることはあっても、基本は2人で行動だった。
だが今回は完全に別行動してるし、ポルノが居ないところでこうして命がけの戦いをしている。
「ね、ねえ。やっぱさ、本命はポルノなんだよね?」
「正直、分からん」
だから、キラキラの確認にもそんな答えしかできない。
ポルノと一緒にいない自分は想像できないが、ポルノと結婚したり子供作ったりというのも想像できない。
「……なんか、キラキラと結婚したり、子供作ったりは普通に想像できるんだよな……」
「ほへ!?そ、そうなんだ……」
思わずそんな感想が漏れる。まあ結婚式の流れのビデオ見せられたせいだと思うけど。
「ち、ちなみに何人くらい?」
「うーん……3人くらい?」
「へえ。3人かあ、確かにそれくらいだといいよね?お兄ちゃんとアタシだけだとお兄ちゃんが留学してた頃はちょっと寂しかったし」
「そっか。一応、キラキラの子供も本田家の子供ってことになるもんな。ダードの孫か……」
「……父さんも母さんも滅茶苦茶甘やかしそうだから、お兄ちゃんみたいにならないように気を付けないと」
そんな特に意味のない会話をしていると、倒したらしい謎の悪魔が奥から運び込まれる。
「……なんだありゃ?デカいマヨネーズ?」
「ああ、マヨネーズキング*7ですね。結構定番の悪魔ですよ。小鬼*8と死にぞこない*9の次くらいに見ます」
いや知らんが。地底の生態系ってどうなってんの?
「ふう。ボス悪魔以外は大体攻略完了したよ。あとは、ボス悪魔討伐したら終わりかな。あいつ、扉閉ざして引きこもってるから、扉爆破して不意打ちできそう」
ニコからそんな言葉を掛けられ、休憩は終了した。
*
如何にもボス部屋って感じの、巨大な扉の前。
そこには、突入準備を整えた部隊が揃っていた。
「まずは、この扉を、旭川市警の突入班が爆弾でフッ飛ばします。次にクマくんチームが不意打ちします。あとは流れで」
ニコの説明にみんな頷き、オレは作戦を告げる。
「今回は『コンビナート式暗殺術』で行く」
「分かった!……で、コンビナート式暗殺術ってなに?」
首をかしげるキラキラに、ポンと手を置く。
「……キラキラ、一切の遠慮抜きだ。全力で、すべての弾丸をバラまけ!」
高火力の銃で、全弾、死ぬまでぶち込む。それがコンビナート式暗殺術だ。どこが暗殺なのかとか言ってはいけない。
「……それ、銃撃反射居たらアタシが死なない?」
「やっぱ気づいたか。大したもんだ」
そこがコンビナート式暗殺術の弱点だ。だが問題ない。この戦法考えたのは『ジン』だ。
当然、対策もある。
「……分かった!クマを信じる!とにかく、全力ぶっぱでいいんだよね?」
その『対策』を説明する前にキラキラが覚悟を決めた。
「お、おう。任せろ……ノーラス、頼むぞ。ビカラ手筈通りにな」
「バウ!」「は!大帝閣下の仰せのままに!」
一番危険なポジに信じられると、逆に緊張するわ。
「はーい。爆破します!3,2,1……爆破!」
そして扉が吹っ飛んだ瞬間に、俺たちは突っ込み、不意打ちを仕掛けた。
*
アタシたちが吹っ飛んだ扉を踏みつけて入ると、そこには大きなドラゴンと怪物。
そしてドラゴンの影に隠れるように後ろに鳥系の悪魔が3体いた。
(とにかく、信じる!今は一秒でも早く弾丸を打ち尽くす!)
普段ならビビったであろう強大な悪魔。だが、今はアタシは無敵だ!
「ノーラス!」「バウッ!」
ノーラスのテトラカーンが私の前に魔法の壁になって表れる。
「ビカラ!」「はい!タルカジャ!」
ビカラのタルカジャで力がみなぎる。
ーーーああ、そっか。これで、殺れる!
「死ねやコラァ!」
湧きたった頭で、すべての銃弾をバラまく。何発か『反射』されて返って来た弾丸はテトラカーンに防がれる*10。
なるほど、これなら何も考えず、弾丸ばら撒けばいいよね!
「いええええええええええええええええええええい!」
そうだ。これで、いい。これがいい!
ーーーああ。思い出した。アタシが『ガンスリンガー』になろうとした理由。
連続する発砲音で何も聞こえなくなりながら、アタシの脳裏に浮かぶのは……存在しないはずの記憶。
アタシたちの『死と敗北の記憶』の数々。
ーーーごめんねえ?たきな死んでさあ、もう不殺とかどうでもよくなっちゃったからさあ?普通に、死ね
ある時、赤い拳銃使いは壊れた笑顔を浮かべて、クマを死ぬまで撃ち続けた。
ーーーアンタたちみたいなのがいるから!ちさとは、ちさとはぁあああああああああ!
ある時、青い重火器使いは憤怒の表情を浮かべて、クマをアタシたちごと挽肉へと変えていった。
ーーーバカじゃない?どうして彼岸花の猟犬に、街の野良犬風情が勝てると思ったの?
ある時、黒い突撃銃使いは、呆れたような表情を浮かべて、倒れ伏したクマの頭を吹っ飛ばした。
ーーー残念だったね?もうちょっと運か頭が良ければ、勝てたかもしれないのにね
ある時、桃色の短機関銃使いは、嘲るような笑みを浮かべながら、クマの顔面に、無数の弾丸を叩き込んだ。
ーーーうーん。普通に銃の扱い下手っぽい?じゃ、バイバイ
ある時、重機関銃振り回す白い人型戦闘犬に、クマは手も足も出ずに、一方的に狩られた。
……それを全部、アタシは後ろから見ているだけだった。
だって、アタシの得意な『チェーンソー』は重くて、どうしても動きが遅くて……クマが先に死ぬのを防げなかったから。
「あは」
そうだ、アタシは、今度こそ『クマを守れるように』ガンスリンガーになったんだ。
「あははは」
クマは銃の扱いが下手だ。何回やり直してもそうだった。
だから負けて死ぬ。頭がよくても、あの銃の申し子とでもいうべき『銃侠』たちに対抗できないのだ。
「あはははははは」
でもアタシだったら、もしかしたらあの『化物ども』とやりあえるようになれる『かも』しれない。
「あははははははははははははは!!!!!!!!!!!!!!!」
だってまだ!試してない。可能性は、ゼロじゃないもん!
「0じゃないなら、あとはやる気の問題、だもんねええええ!!!!!!!!!」
本田ターチヤナ!通称キラキラ!アタシは、最強の銃使いを目指します!幸い、ヤバい
そう言いながら、アタシは前々から考えていて、お母さんにねだって手に入れた『秘密兵器』を抜く。
もう1丁の『ロイヤルポケット』だ。
『予備を用意するのは間違ってないけど、映画やアニメじゃないんだから両方を完全に使いこなすなんて現実的じゃないし、扱いきれないからやめときなさい』
お母さんからはそう諭されたけど、知ったこっちゃない。アタシの中の『
拳銃を二丁持てば、手数は2倍になる!一度にたくさん撃てる!そして何よりカッコいい!……つまり、強いって!
「いえええええええええええええええええい!!!!!!!!!!」
……その日、一人の
*
ーーー勝ったな。
呆然とする邪龍王と、後ろにいた蝙蝠……多分、銃撃反射のカマソッソ以外が『死んだ』のを確認し、オレはこのままいくことを決めた。
「ヌ、ヌウ!?キサマラハ!?」
「通りすがりの合法サマナーだ!覚えとけ!ノーラス!」
「バウ!」
テトラカーンが張られる。ファフニールは、マカラカーン使えるだけの脳筋バカらしい。ならば、テトラカーンで攻撃は防げる。
「……蝙蝠野郎はボクが殺ります!食らえ!マハンマ!」「キャアアアア!?」
ビカラは的確な判断で生き残ったカマソッソを弱点の破魔で昇天させる。これで残りはファフニールのみ。
「ヌ、ヌウ!?ツブレロ!メガトンプレ……グアアアアア!?」
「馬鹿め。焦って判断ミスりやがったな!」
自分のメガトンプレスをテトラカーンで跳ね返され横倒しになったファフニールを嘲りつつ、パンプキンボムを撃ち込む!
「グオオオオ!?」
よっしゃ通る!通るぞ……キラキラ!
「オッケー!パンプキンボム、装填!」
撃ち尽くしたロイヤルポケットにパンプキンボムを入れるキラキラ。
「コ、コノタタカイカタ……マサカ貴様『勇者シグルド』ノ……!?」
だから誰だよ勇者シグルド!?知らねえよ!アホか!
そのまま、逆転の手を残していなかった邪龍王……邪龍ファフニールは逃げることすら出来ず討伐された。
「王国奪還したぞコンチクショー!」
「「「「「うおおおおおお!」」」」」
そんなジータの宣言と共に、このどこか間抜けなファンタジーは無事終了を迎えたのである。
バトルと日常、そして覚醒!
良い感じにメガテンになったな!ヨシ!