今回のモチーフはそう『真女神転生TRPG』です!
つまり、あれです。真女神転生TRPG名物『ご当地メガテン』です。
サタスペ的には和歌山に当たる場所になります。
和歌山と書いて『ホウゲーシャン』と読みます。仕様です。
サタスペはね、アメリカとソ連とナチスドイツと中国共産党に四分割統治された日本のオオサカが舞台なんだ。
なお、東京は1960年代に核で消し飛んでます。静岡に新東京があります。
色んな意味で豪華に過ごしたクリスマスが終わると、世間はすっかり年の瀬ムードになっていた。
オレたちはニコのハイエースで移動し、流れていく雪景色をみながらしんみりと思いをはせる。
(楽しかったな。クリスマスは)
トーキョーに居た頃ですら祝った覚えがなかったクリスマスは、産まれて初めて祝った。
クリスマス当日。オレたちは旭川ロイヤルホテルで『家族全員』が揃ってのパーティーをした。
急遽加わることになったフブキさんもいれて全部で8人の大所帯だ。
「へへっ。どうよこれ?結構うちってパーティーとか出ること多いから、一張羅だけど持ってるんだ」
そういって白を基調にしたドレスをばっちり着こなしたキラキラ。
「買った。けっこう高かったけど、合法的にかせいでるので、問題ない」
普段は着ないような黒いゴスロリ服に身を包んだポルノ。
「完璧だ」
最高だった。いつもよりちょっとだけおめかし……と言ってもおろしたてってだけの普通の服着たオレは正直に感想を言った。
ばっちりドレス着ておめかししたポルノとキラキラは本当に奇麗で、思わず見とれるほどだ。
「うん……よかった。変とかいわれなくて」
「まあ、とうぜん」
二人も照れくさかったのか、ぷいと顔を赤くして横を向いた。可愛い。
「ちなみにこれ、明日の朝にはそのままクリーニング出す予定だからさ……」
「色々できる。フィーバータイム」
……やべえめっちゃ楽しみ。
「……カーナ」
「やらないわよ?少しは歳を考えなさい」
しっかりスーツ着たダードがばっちりドレス着こなしてメイク決めたカーナを見て言って却下されしょんぼりした。
「……フブキ」
「やりませんよ?これレンタルだから破かれでもしたらことですし……この前札幌で買ってきた下着姿で我慢してください」
しっかりスーツ着たニコがばっちり着飾ったフブキに却下されてしょんぼりした。
変なところ親子だなこいつら。
つまりオレの勝利である。勝ったなガハハ。
そんなちょっとお下品な会話をした後は豪華なクリスマスディナーを見ながら、夜景を見る。
「うん、やっぱ奇麗だね。こう毎年同じだから、飽きたなとは思ってたけど、なんか今年はすごくきれいに見える」
「きれい。札幌を思い出す」
「……そうか。オレも一度は行ってみてえな。札幌」
そんなほのぼのとした会話をする。今はこう、家族で楽しむ時間だから。
……地底人の巣の方で『なんか』が盛大に燃えてるのが見えたのは、家族全員で見なかったことにした。
「……まあ、よくあることだ。気にするな。今晩は特別手当も出しているんだ。その分の働きはしてもらおう。本当に必要ならばホテルに直接連絡がくるだろうさ」
「いやあ、快く代行引き受けてくれた天龍には感謝しないとね……『ふ、フブキさんが恋人とクリスマスだと!?に、似合わねえ』とか言った罰だ。ざまあみろ」
この街の権力者サイドであるダードとフブキは、普通にスルーを決め込んだ。すっと、同時にしきりに鳴っていた携帯の電源オフにするのは、芸術的ですらある。
「なんかこう、フブキがどんどんヒルトリア人になってる気がする」
「いいことじゃない。大学卒業したら式上げるんでしょ?本田家に嫁ぐなら、本田家に馴染んでもらいたいわ」
ニコがちょっと引きつって、それをカーナが猫みたいな笑みを浮かべて言う。
「さ!今日くらいは仕事のことをすっぱり忘れて楽しみましょう!明日からまた『仕事』よ!」
そんな宣言と共にパーティーを再開。メインはクソデカ七面鳥の丸焼きに、すげえ豪華なケーキという、まさにTVで見たクリスマスまんまな感じだ。
大人組はシャンパンだし、子供組もなんかコップ1杯で3000円とかするらしいジュースである。
「うん、だな!楽しもう!外のことは知ったこっちゃねえ!」
なのでオレたちも忘れることにして、普通に楽しんだ。晩飯も、その後も。
……お楽しみした翌朝には炎も消えてたので、多分何とかしたんだろう。地底人ども、そういうのだけは得意だし。
*
それが終わった後、ダードとカーナは『年末年始特別慰安旅行』に出かけることになった。今年新たに始まった制度で、年末年始にかけてバスで旅行に行くらしい。
旭川ヤタガラスの職員と、旭川市警の契約刑事で家族も恋人もいなくてロクでもない正月になるの確定している有志一同が参加するという。
「まあ、職場の連中と行く慰安旅行など半ば仕事みたいなものだ。正直気乗りはせんが、こう言うのをやるのが正しい大人というものだからな」
「というわけで、年明けには帰ってくるから、気をつけなさいね。最近、色々物騒だから……本州よりは大分マシだけど」
そんなことを言い残して、ダードとカーナはバス旅行で旅立っていった。
……ちなみに、今年の行先は日本で一番有名な観光地である『京都』だそうだ。
「わたしも、行きたかった」
「まあまあ。代わりに良いところに連れてってあげるから、ね」
この前の札幌で旅に目覚めたらしいポルノを、キラキラが慰める。
そう、ダードとカーナが居ない年末年始、オレたちもまた『旅行』に行くことになったのだ。
行く場所は、北海道の旭川から300km位離れててスキーとスケートが楽しめるらしいマニアック観光地『
最初に地名見た時、読めねえよ!?と言ったらキラキラに不思議そうに言われた。
「北海道の地名って大体こんな感じだよ?どこも元々が『アイヌ語』で、それに漢字で無理やり当て字にしてる*1から」
「「へぇー」」
ポルノと一緒になって感心する。てかキラキラ、流石は生粋の道産子だけあって詳しい。
「まあ、私たち本田一家の冬の観光地って感じだね。毎年行ってるから、顔見知りも多いし」
ニコがいつもの朗らかさでそんなことを言う。なんだかんだ金持ちだよな本田一家。
ちなみに行く方法はニコのハイエースである。入有遁村の周りは電車どころかバスも1日に2本しかないとかいうド田舎らしい。
車が無いと移動もままならないレベルだという。まあ北海道の田舎の方では一家に一台自家用車が当たり前らしいからしょうがないんだろう。
「というわけで、ボクも同窓会兼ねて退魔生徒会時代の友達誘うから、他に連れてきたい人が居たら誘ってもいいよ?ちょうどあと1人は乗れるし」
そう言われ、オレはこれまでに知り合った数々の知り合いの顔を浮かべ……呼ぶべき奴を決定した。
「おい、ビカラおま「ありがとうございます!クマ大帝閣下万歳!」
はえーよ!出待ちしてただろお前!?
というわけで、ビカラである。いやだってシズコとアクメちゃんはどっち呼んでも死ぬほど面倒なことになりそうなんだもん。
コイツ、地底人とは思えないくらい付き合いやすいし……ジータ?ハハハ御冗談を。
というわけでオレたちはビカラを呼ぶことにして、ニコに紹介する。
「OK。ボクとしてもビカラなら問題ないと思う。じゃあ、次はボクの生徒会仲間を紹介するね」
そう言うと同時に、すっとハイエースから降りてくるフブキさんと3人の女たち。
……全員女かよ。ニコ、意外とやるな。
そう思いながらとりあえず名乗り、改めてその顔を見て驚愕する。
「ドーモ、クマ=サン。ポルノ=サン。ビカラ=サン。ルナール=大久保デス。ルナールって呼んでね。見鬼と呪殺が得意ジャンルよ。戦闘に使える魔法それしかないけど」
小人族の血でも混じっているのか、ポルノよりも小柄な悪魔人間だ。この前のポルノみたいなドレス着てて目がつぶれているのか眼帯をつけている女が挨拶をする。
そう、確かいつも『ポポルスキー』とか呼ばれてた謎の女だ。
呪殺特化か、割と使いづらい感じだ。特に人間相手には通じないことが多い。呪殺が強すぎて逆に人間だと対策積んでるのが当然になってるのだ。
「ドーモ、クマ=サン。ポルノ=サン。ビカラ=サン。
サイズは普通だし、見た目も普通のどや顔女子だが、あのポポルスキーと一緒にいる時点でまともなわけがない。
確かそういつも『オータムクラウド』とか呼ばれてた謎の女。
続いてあいさつをした秋雲は、対照的に破魔特化らしい。対人間には当然通じない。
……い、いつもの人を女装させたがる変態コンビ!?
コイツら、ニコの知り合いだったのか!?
「きょうがくの事実」
ポルノも同じ感想だったらしい。驚いている。
「いやまあアタシは知ってたけどね?どもども。ターチヤナです。兄がいつもお世話になってます」
キラキラは知ってたらしい。まあそりゃあ兄貴の友達なら知っててもおかしくないわな。
「ふっ……タナちゃんもついこの前まで白馬の王子様とか来ないかなあとか言ってたおこちゃまだったのに、すっかり奇麗になったわね。クマきゅんと付き合い始めたおかげかな?」
「ついこの前まで初々しい女子高生だと思ってたのに、もうキスはすませたのかしら?」
対する二人も大人の余裕を見せてキラキラに尋ねる。まあ、ニコの知り合いならフブキと同じ歳くらいだ。大人なんだろう。
「え?普通に最後まで行ってますし、何ならこの前ポルノと一緒にドレス着て3Pしましたけど?」
「「何やってんのあんたらー!?」」
キラキラの言葉に、二人で目をむいて奇麗にハモった。なんか驚く要素あったか?
「まずいわ!?完全にJKのタナちゃんに先を越されてるわ!?むしろ神とか崇めるべきなのかしら!?ダメ元でやってるところ書かせてくれって言うべきかしら!?」
「あの将来は立派な聖華学園名物『喪女ゴリラ』ルート一直線だなとか思ってたタナちゃんが喪女にして腐女子のあたしらにいきなりさ、さんぴぃとか言い放つとか。
もうお前ら付き合っちゃえよを5年くらいやってたフブキとニコの比じゃないよ!?
爛れすぎてる!?東京の方ではJCがもうイケメンに抱かれまくりで学校の食堂で堂々と話してるとか聞くけど、旭川にも爛れの津波が押し寄せてるよ!?」
お前らほどじゃねえよ。最近、お前らのこと旭川で聞いたけど、男同士がやってるエロ漫画書くのが趣味とか正気かってなるもん。
「そっかあ。アタシそういう風に思われてたんだ……」
後ろではキラキラがひっそりへこんでいた。
「あ、あのう……そろそろご挨拶、させてもらっても、いいでしょうか?」
おずおずと、見覚えのない一人が後ろから声をかけてくる。
でかいがなんかこう、影が薄い人だ。ルナールや秋雲と友達って言われたら納得しかない感じではある。
「と、東京の方から来ました『古関ウイ』と申します。今回は同志ニコラオス君のお誘いで参加させていただくことになりました……その、よろしくお願いいたします」
滅茶苦茶丁寧に頭を下げられる。天使系の悪魔人間なのか、頭にわっかがうっすらと見えた。
とりあえず、戦いは苦手そうだ。あからさまに。
「東京の方。そうか……つまり、あの『東京』の人間ってことか……」
思わず唾を飲む。オレの中で、旭川よりはるかにやばい場所である東京。そこの在住者は初めてだ。
そう思っていたときだった。
「うん……違うよ?」
「違うの!?」
ニコが普通にそんなことを言いだして驚愕した。聖華学園って東京にあるんじゃなかったのか!?
「いやだってウイさん、今は大学の関係で茨城在住だし?まあ東京まで電車で1時間かからないから東京の方って言えば東京の方*2だけど」
「い、イバラキ*3……?いやどこよそこ?」
そしてニコの口からジンからも聞いたことがない謎の場所の場所の名前が出てきて困惑する。
ジンも日本のあちこちを巡っていろんな場所を知ってたが、イバラキとやらの話をしたことはない。
「えっとね、イバラキは確か東京のすぐ隣の県で……なんか納豆が有名なんだっけ?」
東京については雑誌やらネットやらで詳しいキラキラが微妙に首をかしげながらそんな説明をする。どうやらキラキラもイバラキについては詳しくは知らないらしい。
「ナットウ……?なんか百鬼夜行人が好きな腐った豆?」
その薄い情報に反応したポルノが滅茶苦茶嫌そうに言う。正直同感だ。なんで百鬼夜行人は腐ってる上にひでえ匂いがするアレ食うんだろうって思ってたしジンも言ってた。
そんなもんが有名なイバラキとかいう場所は、オレの中である意味東京より謎の場所である。
「うん。父さんも母さんもアレは人間の食い物じゃないとか言って買わないからねえ。アタシもお兄ちゃんも大分苦手」
そういえばスーパーで納豆は売ってた気がする。オレも別段食いたいと思ったことないので、買おうと思ったことすらないが。
「そうか……いやなんでイバラキ?」
「うん。あそこには『筑波大学情報学群知識情報・図書館学類*4』があるからね。ウイさんの将来の夢『図書館司書』なんだよ。
なんか『司書とは、女神の化身にも匹敵する世界最強の職業なんですよ*5』とか謎なこと言ってた」
なるほどな……それでか。シショって仕事はよく分からんが、夢を持つのは大事だと思う。でないと何していいか分からなくなるしな。
「とまあこの5人がかつての『聖華学園 退魔生徒会』のメンバーってところかな?何番目だったかは、とりあえず言わなくてもいいよね?」
ニコがそう言って総括する。
「ちなみに退魔生徒会って?」
またしても出てくる謎の言葉をキラキラに確認する。
なんだかんだ外の世界というか日本のことはキラキラのが詳しいからな。
「えっと確か、聖華学園にあるらしい、悪魔退治専門の学生が集まった生徒会だってさ。アタシの学校でも来年度から新設するって言ってた」
「ほー。若い学生だけの対悪魔部隊。つまり『
そう言われれば合法都市にも似たようなのはあった。
悪を憎む残虐非道な罪狩どもがあつまった戦隊は正義の名のもとに悪党ぶち殺す集団だ。
大体周囲の迷惑考えないので合法都市でも嫌われてたが。
「戦隊かあ……正直、そう言えるほど強くなかったなあ。
『歴代最弱の退魔生徒会』とか『退魔図書委員会』とか言われてたよ」
オレの言葉に、ニコが遠い目をする。
よく見ると他のメンツも同じような顔をしている。
最弱はまあメンツ見れば分かる。破魔も呪殺も通る奴には滅茶苦茶強いが、通らない相手にはマジ通じない奴だし。しかし図書委員会?
「ああうん。副会長のウイさんが図書館のヌシって言われるくらい図書館通いしまくっててね、生徒会室より確実に図書館にいるからでついたあだ名が『退魔図書委員会』だった」
オレの顔をみて察したらしく、恐らくは外部交渉担当だったのであろうニコが言う。
「聖華学園の図書館は、悪魔知識に関する文献が豊富でしたので……学園にいる間にあそこにしかない文献はなんとか読みつくしましたが」
続くのはウイ。恐らくは生徒会とやらのトップだったんだろう。
「まともにボス級の悪魔と戦えるのサマナーのニコとガンナーのフブキだけだったもんね。いやまあ、これでも結構学園内の評価よかったのよ?情報収集"だけ"なら滅茶苦茶強いって言われてたし」
ルナールが言うにはどうも学園内部の情報収集専門の諜報機関みたいなもんだったらしい。
「ウイの知識、ニコの人脈生かした情報収集力、私の西洋魔術知識と各種黒魔術儀式、秋雲の古式陰陽術知識と巫術があわさって大概の情報は何とかなったからね。
むしろ2年の半ばあたりから『お前らは学園に居てくれ。戦闘は俺達に任せろ!』とか言われて悪魔退治ロクにしてなかったわ。旧校舎異界で鍛えてはいたけど」
秋雲から明かされる能力の詳細……うん。お前らすげえやべえぞ普通に。
情報収集の大切さと難しさはジンから散々に教わって来た。
それに特化してるならどこからも引っ張りだこだったはずだ。
「逆に私が浮いてるって言われてたレベルだったからねえ退魔図書委員会。そのせいで『一人図書館戦争*6』とか呼ばれてた」
フブキさんが浮くのもそれはそうだろうとなる。まあ、人を統率する力はあるから、前線指揮官向けの人材だとは思う。
そんな感じでオレたちはこの年末年始を共に過ごす仲間たちと旅立った。
……この時はまだ、あんなことになるなんて、思いもよらなかったのだ。
因習村!因習村!