Re;Start外伝 合法サマナー   作:ぶらまに

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この話がリプレイ"風"である理由その4:DDがオープンダイス主義である

というわけで血戦です。まずはポルノから!
多分ここが一番きつい。ノリと勢いで普通に死にかける奴。
あとソウルハッカーズだと何故かスザクが電撃特化で驚いた。お前炎ちゃうんかい!?

……若干のホラー演出な気はしないでもない。


合法サマナー30 合法血戦

ーーー防毒マスク6型は、見た目がダサい。女の子がつけるようなものじゃない。

 

そう思ってしまったのが、全部の間違いだった。

あの頃、ポルノとクマはナユタで有名になっていった。円盗として、成功率こそ大したことは無いが、必ず逃げ切る奴らとして。

そして、ポルノとクマが得意としていたのが幻魔ハチダイオウに限界まで酒を飲ませてドランクスマイルをする『カッパスマイル』だった。

 

あの技はあまりにも有名になりすぎた。コンビナート連中が魔力無効の防毒マスク6型を標準装備にし、街のチンピラダークサマナーが悪用するくらいに。

 

どんなに強い奴でも、魅了されてしまえば、終わりだ。好きなように扱われる。

見た人間まるごと、耐性なければほぼ確実に魅了されるので、周囲の被害を考えなければ雑にぶっぱすれば、それだけで混乱を作り出せる。

 

……クマとポルノみたいに、敵と味方しかいないときにしか使わないという配慮が出来るほど、合法都市のダークサマナーは、賢くなかった。

 

あちこちで魅了された奴らの同士討ちが発生し、手口がどんどん広まっていった。

 

相手は、格下だった。対して強くなかったし、実際使った後は、お母さんの遺品で、魔力も無効化できる『四神装備』をきっちり付けたおねえちゃんが普通に殲滅してた。

戦いのセンスは、私なんかよりずっと上だった。お母さん譲りの一気呵成(プレスターン)の呼吸を完全にモノにした『殺戮の夜』の後継者に相応しい強さだった。

 

ぐらんぐらんして、おねえちゃんを殺さなきゃ!って考えたバカな私くらい、どうとでもできたはずだ。

……だけど、おねえちゃんは私を殺せず、私が正気に戻った時はもう、手遅れだった。

 

ーーーごめんね。バカなおねえちゃんで。ミドリに銃向けられたら、まともに動けなかったよ……私の分まで、ミドリは、生きて……

 

そう言って、おねえちゃんは死んだ。私がバカで、格好つけで、クソ雑魚だったから。

私が死ねばよかった……私が一番殺したいのは、私だった。

 

でも、自殺は怖かったし、おねえちゃんに生きろって言われてしまった。

 

……だから私はカッパスマイルを使いまくって広めたクマとポルノを殺すことにした。アイツらが悪いんだって思うことにした。

そのために、鍛えたり薬に手を出してLvを上げ、お母さんが残した四神装備を使いこなせるようになり見た目だけでもそっくりな造魔として『おねえちゃん』を作った。

私なんかが生きててはダメだから、私はおねえちゃんになった。

そして、こんな失敗しか見えない反乱計画に乗った。クマとポルノと戦うためだけに。

 

……きっとあの二人なら私を、惨たらしく殺してくれるだろうから。

 

 

前衛は物理を無効化するカマプアアと、魔法を反射するメルキセデク、そしてこの前作ったビャッコ。

後ろにロイチェクタと、わたし、そしてエンヴィー。

訓練洞窟で色々鍛えて一番安定した組み合わせで、戦う。

 

向こうは、銃撃弱点で一番Lvが高いスザクを後ろに置いて、他を前衛に出してきた。

サマナーの基本として造魔ともども、後衛にいる。

 

……こいつ。やっぱり才能ある。そう思いながら、指示を出す。

 

「エンヴィー!テトラカーン!」

「ニャーオ!」

叫びながら貴重な魔反鏡を掲げてマカラカーンを展開する。

 

テトラマカラ両掛け。とりあえず、相手が何をしてくるかを見極めるのに、重要。

 

ーーーすぅ。

 

ミドリが、息を吸い込んだのが聞こえた。動く。

 

「おねえちゃん!3秒後にガンフォーンでメルキセデクを攻撃!いくよ!テトラコワース!」

 

どうやら向こうは自らの銃撃で攻める腹のようだ。

テトラカーンのバリアが砕けた直後に、造魔が掲げた腕から出た銃弾が、爆音とともに弾ける。

それは『かつてのモモイ』が得意としていた機関銃の乱射に似ていた。

「ぐああああ!?耳が、耳があ!?」

テトラカーンを解除され、弱点の銃撃を受けたメルキセデクが穴だらけになる。死んでこそいないが、死にかけだ。

「くっ!?ならば!」

両方の召喚した仲魔にいるビャッコにそれぞれが指示を飛ばす。

「ビャッコ。アイスブレス」「ビャッコ!みずのかべ!」

まだこちらはダメージを与えていない。ならばビャッコに吸われても問題なし。

ビャッコの口から溢れだしたアイスブレスが向こうの前衛を攻める。

ビャッコには全く効果がないが、それでも運よくゲンブが凍った。セイリュウも凍りこそしなかったが、ダメージは与えた。

一応は、これでよし。

 

「ダメージを抑えないと……スザク!テトラカーン。セイリュウ、悪魔の歯ぎしり!」

 

怪鳥音を上げてスザクがテトラカーンを展開し、セイリュウの歯ぎしりで麻痺を狙って来る。こっちもゲンブがそれでやられた。

これでこちらは物理攻撃とタルンダとラクカジャを封じられた。ミドリらしいうごき。

頭おかしくなっても、戦い方はそうそう変わらないみたい。

「ロイチェクタ。マハラギオン」

「ほおおお!焼く尽くすぞい!って通らんぞい!?」

なのでこっちも、ビャッコが展開したみずのかべをマハラギオンでなぎはらう。

ダメージは与えられないけど、みずのかべ消さないと、次につながらない。

(……ビャッコが、邪魔)

そう思いながら、相手の出方を伺う。

(まずはたてなお!?)

 

「うおおおお!我が一撃をみよおおおおおおお!ぐあああああ!?」

 

こっちが指示を出してないのに、メルキセデクが動いた。ガンフォーンで高揚していたらしい。

勝手にツイスターキックを放ち普通にテトラカーンに反射され、砕け散った。

(メディアで回復させるつもりだったのに……ついてない)

こっちはガンフォーンの余波で少しだけだがダメージを受けている。それを直したかったのと、なにより。

(かべを失った。これ、まずいかも)

わたしは、なぐられるのに慣れてない。もろい。洞窟でも一撃死連発だったので、少し鍛えたほどだ。

「……カマプアア。ラクンダ」

「イツモノ、ダナ」

とりあえずラクンダで防御力を下げつつも、次の動きを思案する。

 

思考時間は、お互いのカーンが消えるまでの10秒。それまでの時間だ。

 

(しょうぶに出るしか、ない。弱点は、分かった)

 

焼けつくような緊張の中、動きを決める。

 

「エンヴィー……子守歌」

「にゃ~お♪」

喉を鳴らしてエンヴィーが歌う。精神相性の子守歌。魔力を無効化する装備は、大体精神か神経に弱い。

そしてあのククバット仮面が『セイリュウの兜』ならば!

 

「う、うぐ……くう」

 

ミドリがふらついた。眠りに落ちた!ついでにビャッコも!

そのままたたみかけたい。でも、こうげきのチャンスだからこそ、しんちょうに。クマを思い出しながら、二個目の魔反鏡を使う。

スザクとセイリュウは電撃相性を得意とする。感電でもしたら、終わりだ。

 

……クマならば、生活安全局って書かれた歩人甲で電撃無効化できたのに。

 

「……メ・パトラ」

「……くぅ!よくも」「ギャウ!?」

だが、こうなることをミドリは予想していたらしい。反射的に使ってきた造魔のメ・パトラでミドリとビャッコが目を覚ます。

行動を一回分、潰せたが、それだけだ。隙がない……クマと戦ってるみたいだ。

 

そう思いながら、慎重に行く。

「ビャッコ。ひっかけ」

まずはセイリュウとビャッコ、ついでにゲンブの全部にダメージを与えられる。ひっかき。

ビャッコの爪が一閃されて、三体全部にダメージが行く。

 

「スザク!スクカジャ!セイリュウ!目の前の女にかみつけ!」

通常攻撃!?こっちの装備から神経効かないの見切られた!?

慌ててかわすもかすった。それだけでも、結構なダメージを受ける。もう一発来たら、ヤバい。

そう思いながらも、ロイチェクタに指示を出す。

 

「……焼き払え!ロイチェクタ!」

「まかせるぞい!マハラギオン!」

 

わたしの知る限り最大規模の業火が全体を焼き払う。マハラギオン。火炎系の最上位。

……クマの話では、もっと上が世間にはあるらしいけど。

 

「グオオオオ!?」

「く、弱点見破られてた!?」

 

炎が弱点である『ビャッコ』と『ミドリ』が炎に苦しむ。

そう、私は知っていた。四神装備の一つ、ビャッコの鎧は炎に弱い。キラキラが普段から使ってる。

キラキラはエア・セエレと合わせて炎と氷結、どっちも無効化してたが、四神装備で統一だとそれはできない!

 

「カマプアア!ラクンダ2回目!」

「オウ!」

わたしが丹念に仕掛けを続けた直後。

 

「グオオオオ!」

 

さっきのアイスブレスで凍ってたゲンブが氷を砕いて復帰してきた。

 

お互い、ボロボロになっている。どっちが勝つのか……本当に読めない勝負は久しぶりだ。

そのことに緊張しながら、エンヴィーに指示を出す。あえて、分かりにくいように。

 

「エンヴィー。メルキセデクを呼んで」

「……ナーゴォ」

わたしの指示に従い、再びこの世にメルキセデクが現れて、わたしを庇える位置に立つ。

見破られれば、多分、負け。そんな勝負だ。

そう思いながら、勝負に出る。

「……食らえ!」

選んだ動きは、メルキセデクを壁にしながらの射撃!前衛をなぎはらう。

回復でもされたら、また危険度が上がる!せめてビャッコだけでも殺さないと!

 

アールズ・ロックから神経弾が吐き出され、敵に刺さる。幸い、回避はなし!

 

グオオオオ……

 

ビャッコは、死んだ。これでマハラギオンを防ぐみずのかべはもう出てこない。そして。

「「グヌウウウウウウ!?」」

ゲンブとセイリュウ。両方がまひった!クマがたまに叫ぶ『うわぶれ』を引いた!

これで少しこっちが有利になった。まだ、勝てるか分からないけど。

 

「ならば、こっちも勝負に出るよ!おねえちゃん!併せて!」

 

そう言ってミドリはすぅ、っと息を吸い……

 

「ドットを撃つように……正確に」

 

乱射とは違う、狙撃のような動きで前衛に銃弾を打ち込んでいく。

「グヌアアアアアアアアアアアア!?」

物理無効なはずのカマプアアにダメージが通った!?銃撃が貫通した、だと!?

「ぎゃう!?」

おまけにビカラの事前情報通り、神経弾だ。ビャッコが麻痺って倒れた。回復させるひまがない。

 

わたしは咄嗟に倒れなかったメルキセデクに抱き着くように盾にする!

 

ガガガガガガ……

 

一拍遅れて造魔のガンフォーンがさく裂する。わたしにも、少しかすった。こっちはカマプアアにはダメージ通らない。

「スザク!サンダーボルト!」

怒涛のように攻撃の連打だ。スザクの雷の雨が降り注ぐ。

その電撃で、麻痺ったビャッコは、そのままお亡くなりになった。

 

感電したら、終わる!

 

そう思いながら、必死にかわして耐える。ロイチェクタが感電すれば、多分、終わる。

そう思いつつ、指示を飛ばす!

 

「ロイチェクタ!マハラギオン!」

「うおおおお!ジジイの意地じゃあああああああああああああ!」

 

幸い感電を耐え抜いたロイチェクタの炎が辺りを焼き尽くす!

 

「きゃああああ!?」

 

敵側に、炎に強い奴はいない。その炎に撒かれ、麻痺ったセイリュウとゲンブが焼き尽くされ、生き残った奴らもボロボロだ。

ここで、一気に決める!

 

「エンヴィー!テトラカーン!」

残ったのは、後衛3人。だから、テトラカーンで銃撃を封じる。そして。

 

「こいつで、終わりだ!」

 

アールズ・ロックでなぎはらう。スザクさえ処理できれば!

 

キュオオオオオ……

 

スザクは殺した。あとは……

 

「お、おねえちゃん……え、うそ……また、なの……」

 

何故か最後に両手を広げてミドリを庇った『モモイ』がマグネタイトになっていくのを見送り、息を吐く。

 

「まだ、やる?」

「ううん。もういい。私の負けだよ……ポルノ」

それで、膝をついたミドリが、銃を捨ててその場にひざまずいた。降参らしい。

勝った。本当にぎりぎりだけど。

「殺す前にさ、一つだけ教えてくれる?」

「なに?」

 

「あの、なんで、そのメルキセデク、幾ら撃っても死ななかったの……?」

 

そう、メルキセデクが盾にならなかったら、多分負けてた。だから、種明かし。

「ネクロマで呼び出した。見抜かれてたら、負けだった」

「……死天の王(笑)のあれ……破魔してたら、勝ってたのか。酷いなあ。あんなの、招来の舞踏だと思うよ普通……」

ばったりと倒れる。限界らしい。何故か、笑ってた……しょうらいのぶとうってなんだろう?

 

ーーーいつでも通じる、最強の戦術なんてないけど、状況に刺さる戦術ならばいくらでもある。使い分けろ。

 

そう、父親(おっさん)から習った。正面からやりあうのが男、その後ろから絡め手でいやらしく攻めるのが女。

それが『ワクワク☆サマナーいくせいけいかく』に書いてある、戦い方だった。

 

「メルキセデク。ここにいるみんな(・・・)に。メディア」

死んだままのゾンビメルキセデクが無言でこくりと頷き、それから回復させる。

 

ミドリとわたしたちの傷が癒えて、メルキセデクが自分のメディアで回復して死体に戻り消えていく……

 

「じゃあ、とりあえず、拘束するね」

銃を蹴り飛ばして遠くに行かせた後、仮面だけ外して、ロープと手錠で拘束。

ミドリは、抵抗することなく従った。ガッチガチに固めたので、動けないだろう。

 

「……殺さないの?」

「降参した相手殺したら、合法じゃないから」

わたし一人とタイマンで戦い、それでなおギリギリで負けたおかげか、すっかりキジルシの雰囲気が消えたミドリに聞かれたので、答える。

クマ曰く、降参した相手は殺しちゃダメらしい。

……まあ、知ってる人殺すのも、死なせるのも大分つらいから、やりたくないのも確か。

今回だってそのために無茶をした。もう二度とやりたくない。戦闘的にも心情的にも。

 

「ミドリ。忠告。わたしを殺しかけたこと、黙ってて。造魔と二人で挑んできて適当に戦ってズタボロに負けたクソ雑魚ってことにしといて」

「……なんで?」

武装解除の一環としてミドリのガントレットから『造魔おねえちゃん』以外の悪魔を全部抹消されてることにも文句を言わず、不思議そうに聞くミドリにこっそりいう。周りに誰もいないことを確認して。

「キラキラ。アイツの本名『本田ターチヤナ』だよ?」

「……え?本田って、もしかして、本田一家?」

無言でこくりと頷いたら、ミドリは真っ青になった。

 

迷わず撃て。弾を切らすな。本田一家(・・・・)には手を出すな。

 

ミナミに伝わる警句。旭川で生きてたいなら、絶対に守らないといけない掟。旭川日本語学校でも伝わっていたらしい。

 

旭川に君臨し、旭川市警を顎で使える最強の家賊(ファミコン)。それが本田一家。基本は優しいが、敵に回したら恐ろしく容赦が無いことで有名らしい。

 

おっさんの友達は、本当にやべえやつだった。ミナミでも、キラキラの顔見た瞬間、そそくさと去っていくやつ普通にいるくらいに。

少なくとも旭川で逆らってまともに生きるのは不可能だ。

「……なんでそんなのと」

「無名のおっさんが、本田一家の大哥長(ゴッパパ)*1のダードとカーナ両方とマブダチだった。あとクマがキラキラ抱いた」

もう、わたしたちは逃げられない。身内カウントされてる。だから、わたしを殺しかけたとか、絶対許してくれない。

キラキラの性格だと、ロイヤルポケットで死なないところ撃ち抜きながらディアラハン繰り返すくらいは余裕でする。

 

アイツ、権力持った家に産まれたヒルトリア人だから、敵や裏切り者と見なした相手にはニコよりはるかに容赦がないのだ。

 

「うわあ……」

ミドリは大分ビビってる。わたしに負けたことで、元々の臆病さが戻ってきたようだ。それでいい。

合法サマナーは臆病なくらいでちょうどいい。世の中、オレらより頭いいやつなんていくらでもいる。クマも、そう言っていた。

……ここまで言っておけば、もうクマを殺そうとはしないはず。

 

「疲れた。あとは、お任せ」

 

やることを終えたので、寝る。多分向こうは、向こうで何とかするはずだ。

 

 

昨日、死天の王(笑)が湧いた運動場、そこが、オレたちの担当の戦場だった。

「あはははは!思ったより早かったですねえ!人間風情のくせに!」

昨日は無かった機械っぽい翼が生えた、天使形態になったエル。

既に呼び寄せたのであろう複数の造天使に囲まれながら高笑いしている。

昨日とはうって変わって豊かな表情。ここまで『演技』だったらしい。

(思ったより厄介だな完全造魔)

ここまで人間らしく振舞えるとか、ヤバい、ヤバくない?

そう思った。完全造魔、ほぼ人間じゃん。

と思いつつも。

「ですが、既に貴方の能力は解析済です!造天使も既に改良を済ませている!」

……お前、それはこの前の戦闘の更にメタ張れって言ってるようなもんだぞ?

どうやらサマナーとしてはまだまだ未熟らしい。いやまあ造魔がそれできたらびっくりだが。

メタの取り合いこそが、サマナーの戦いってもんだ。

というか、前とメンツ一緒なの、オレとキラキラくらいだし……

「さあ、戦いの始まりです!我ら『約束の国』の力!とくと見せてあげましょう!」

 

そう言って現れるのは、この前と違って完全に普通の天使に見える造天使の群れ。

多分レベルはこの前と同じ50だとすると、かなりの強さではある。

 

……だが。

 

「ああ、勝負だ。ナユタのメンバーとおまけのピアサがいるオレらに、楽に勝てると思うなよ?」

「え?私、おまけ扱い!?」

このメンツなら、負ける気がしねえ。

 

「は!ならば見せてあげましょう!我らが力を!」

一斉に動き出す!恐らく、早めに蹴散らさないと酷い目にあうな!

 

「行きますよ!テトラカーン!」

オレよりも、恐らくノーラスよりも早くテトラカーンが展開される。

素早さと、カーンこそが強さの秘訣と見たんだろう。

まあ、知ったこっちゃねえ。この状況なら……

「ピアサ!マハガルーラ!」

「はい!」

まずはスピード特化型のピアサによるマハガルーラ。疾風の魔法。

「馬鹿め!疾風を得意とする造天使に疾風が……ちょ!?あれ!?いたたたた!?」

吹きすさぶ風に普通に切り刻まれる造天使と自分に困惑の声を上げる。

「……あなたがたの鎧には、風を糧とするこのピアサをも引き裂く疾風を防げるほどの力はなかったようですね」

そう、コイツの疾風は、疾風貫通とかいうスキルがあるので反射以外の相性を貫通する。

流石にマカラカーンまでは貫けないようだが、無効や吸収くらいだと普通にぶち抜かれるのだ。

「ビカラ!氷結!」

「はい!ダイナマイト帝国直伝の爆弾捌き、見せてあげましょう!」

「えあ!?そこはライオットボムのはず!?」

いやだって、前回電撃弱点だったなら、そこは耐性とかつけそうだし……

その読みは当たってたらしく、前衛に投げつけた液化チッ素ボンベは普通に通り、一体が凍った。

そう思っての指示だ。前回からの改良型な上にテトラカーンまで乗ってるとなると有効打は狙えなさそうなので、オレとキラキラは目を合わせて待機。

キラキラはディアラハン使えるし、オレもアイテム係なら出来る。そして何より。

 

「つうわけで、行くぜ!テトラカーン壊す謎のハンマー!」

 

コタローの謎発明品で、テトラカーンがぶち壊れる。

なんでも無名地区のあちこちでたまに拾えるらしい。あと、例の心の怪盗団とかいう謎の戦隊見かけた後とかに辺りを探すと残骸が落ちてることがあるので、それ拾ってリサイクルしてたとかどうとか。

他にも攻撃力や防御力がすげえ上がるお札とか、滅茶苦茶攻撃力や防御力下げる謎のスプレーとかも持ってた。なんだこいつって思うわ普通に。

 

……コイツ、昔からガラクタから謎のアイテム作り出す才能あったんだよな。

 

全体的に戦闘能力はしょっぱいんだけど、攪乱とか逃走にはやたら強いアイテムが作れるので、円盗(イェンタウ)のナユタとしては重宝した。

「テトラコワース!?そんな効果発揮する謎のハンマーってなに!?情報にないですよ!?と、ともかく行きなさい!造天使ども!」

 

残った4体の造天使が、一斉に攻撃してくる。ガルダインと強烈なキックが2発ずつ。まあオレらが食らったら普通に痛いんだろうけど。

 

「はっはあ!オレの目が黒いうちはそうそう攻撃は通さねえぜ!」

仁王立ちして両手広げたザッパが全部食らって余裕の高笑いである。

そう、ザッパは動きは遅いがやたら頑丈なのだ。何しろ体格が違いすぎるし、痛いのをものともしない。

多分、グリさんより頑丈なんじゃないだろうか?ロクな装備もないのに素の耐久力だけで耐えるんだから。

まあ、その分バッステには弱いし格闘技もにわか仕込みの素人喧嘩殺法なので、あんまり期待はできない。

まあ、みんなを守ってくれる壁ってのは一人だけでも十分にありがたいものだからな。

 

で、だ。

「キラキラ!頼んだ!」

「もちろん!ハチの巣にしてやる!いえーーーーーーーーーーーーーーーーい!」

ロイヤルポケットから撃ちだされる無数の神経弾。

コイツらは、テトラカーンを張った。

つまり、物理に弱い可能性が高い。まあ魔法は元々氷結以外は耐える仕様なんだろうけど、物理を無効や反射するのは至難の業だ。

オレが戦ったこともないギリメカラやランダを知ってるのも、そいつが『物理反射』とか言う危険すぎる特性持ってるからこそだ。

物理反射をうっかり攻撃して死ぬことを意味する『ギリメった』とか言う言葉が、悪魔業界で慣用句になるレベルなのは、伊達ではない。

 

読み通り、こいつら、銃撃に弱かった。エル以外が全滅するレベルだ。というかエルも明らかに銃撃でズタボロになってる。

 

「え?あれ……これ、詰んでないですか?メルトセゲル様から送られたの再召喚しても一度に2体だと完全に嬲り殺しにされるだけじゃないですか?」

お気づきになられたか。やっぱ完全造魔って頭いいんだな。

 

キラキラの弾丸で見事にハチの巣にされ、エル以外の造天使が全滅した時点で、コイツは終わった。

あとはどんだけ丈夫でも死ぬまでの時間が延びるだけなわけだが。

 

「くっ!いいでしょう!今回は……え?あれ?『電霊により追跡されている痕跡を感知。回収リスクと今後の戦力としての期待値算出の結果、契約解除』って……

うえ!?メルトセゲル様との契約強制解除された!?うっそ、え……これ、どうしろってんです!?」

……メルトセゲルとやら、すげえな。いや、悪魔は道具ってのは分かるんだけど、間違いなくタダの造魔より貴重であろう完全造魔すらポイ捨てかよ。

なんつう割り切りの良さだ……いやまあコイツがアホほど無様な負け方したのは認めるけど。

 

「……ふざんなよ!?あのクソ脳みそ!?ああもういいですよ!そう言うことするなら、こっちから願い下げですよもう!」

そう言いながら取った行動は。

 

「降参いたします。なんでもするので、ロストだけは勘弁してください」

 

流れるような土下座であった……そういうところまで人間っぽいんだ。本当に完全造魔すげえな。使いたくはないけど、色んな意味で。

「なんでもですか……うーん。処女ではあるんですが……やっぱり人間じゃないとあんまり使いでがてあれ?送還!?」

うるせえ黙れエロドラゴン。完全造魔の処女とか知るか。そう思いながらリターンする。

 

かくて、オレたちの戦いは終わった。

 

……ニコたちの方は大丈夫だろうか……オレたちとは比べ物にならんほど危険な悪魔と戦うって話だったが。

*1
家賊において、伝説的な亜侠になったもののみが名乗れる称号。ゴッドファーザーともいう




戦力比があからさまに偏った結果、片方が死ぬほどギリギリなのに片方がすげえ楽に終わるというあるある。
3人と3人に分かれてそれぞれが頑張る感じを想定してたんやろなあ……
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