ちなみにサタスペにおけるオオサカにおいては『映画』が滅茶苦茶盛んにつくられてます。豆知識な。
かくて『今回のMVPは間違いなく神経弾』という身もふたもない結論が出たところで、ついにS型デバイス『メルトセゲル』は完全に沈黙した。
(正直ヤバかった……最初から雑にメギドラオン連射されてたら負けてたな)
そう、結局のところコイツの弱点は『クソほど頑丈な癖にどこまでもサマナー戦の動きをしていた』それにつきる。
だからこそ、初手メギドラオンから攻撃連打されるのが一番ヤバかったと思う。なんで勝てたんだ?レベルだ。
……否、結局は普通の女の子であった。それに尽きるのだろう。
認められなかったんだ。たとえ脳みそだけになっても、自分が化物だなんて思いたくなかった。
だからこそ、与えられた知識を元に『人間として』戦い続けた。そうなってしまった。
(これは、勝ったとは言い難いな……)
そう思いながら、オレは、残骸から焼き切れて肉の残骸になった脳みそを引っ張り出す。
「……ナユタ。悪いがこれ『戦利品』だから持ち帰ってもらえるか?」
後ろで待機していたナユタに告げる。
「なっ!?貴様!死者を戦利品などと!?」
「一つだけ言うとさ……それ、もう魂が壊れてるから、絶対に生き返らないよ?」
一応、とばかりにミドリが聞いてくる。隣では菊ちゃんが頷いていた。泣きそうな顔で。
ザッパとコタローは『しゃーねえなあ』って顔だ。ああ、分かってるさ。そんなことは。
……なんだよ。これだから合法都市人はダメだ。こんなの『常識』じゃねーか。
「しらねーのか?どんな姿でも、たとえ死体の一片でも残ってたならば。それは絶対に持ち帰って待ってる人に返してやらなきゃならねーんだぜ?じゃねえと葬式が上げられねえ」
沈黙が訪れる。
そう、命が軽い世界に生きてるからこそ絶対に忘れちゃいけないこと。ジンの教えの最初の最初。教科書にも書いてある。
例えどんなにお前にとって『自分の死』が軽いものであっても『他人の死』というものを決して軽んじてはならない。
死は等しく訪れ、平等である。だからこそ、死というものを敬うことを忘れた奴から、外道に堕ちる。
命は重い。それが誰のものであっても。だからこそ、忘れるな。
Lv100の魔王にLv99の勇者様が殺されるのとLv1の悪魔にLv0の一般人が殺されるのは『同じだけ重い』ということを。
より貴重ですげー奴の死は、その辺のパンピーが死ぬより重いだなんて言い出した時点で、負けだ。
ぜってえこのくらいなら殺してもいいながエスカレートして外道送りになる。
殺していいのは『人間の死の重さを理解できねえクソ悪魔か、他人の死を軽んじる外道か、自分を殺すために来た敵』だけでなくてはならない。
自分の命が何より重いのは誰でも一緒だろう。それを守るために他人が死ぬのを見て見ぬふりするのも、戦うのも、殺すのも当然だ。
……だからって、それは他人の命軽んじていい理由にはならねえ。殺人は、絶対に『遊び』であってはならない。
オレはそう教わってきた。だから、出来るだけ殺しは避けるようにしてる。死を玩具にしないために。
だから、出来るだけ知り合いの死を防ごうと思ってる。悲しいから。
その辺のしらねー奴が死ぬのまでは面倒は見ない。そこまで自分の命安く見積もってねーからな。
……まあ、全部ただの親父からの受け売りだ。でも、それがあったから『合法サマナー』になれたと思ってる。
「おう!じゃあ、帰るか!ミドリ。丁重に扱えよ!」
豪快に笑いながらザッパはデモニカを着たサーシャの遺体を担ぎ上げた。流石に分かっているらしい。
「……うん。そうだね。クマ。アンタ、すっげえカッコいいと思う」
丁寧に取り出した袋に、ダードの妹の遺体を入れて、ミドリが笑う。
なんせあの無名地区で『母親の葬式』を泣きながらもちゃんと上げた奴だ。信頼度が違う。
「……ああ、肝に銘じよう。ひとつ、学べた気がする。ありがとう、ございます。先輩」
菊ちゃんも、ちょっと一皮むけたな。
……まあ、死体2つ持ち帰ったとき、全員にドン引きされたのは、しゃあねえと思う。
説明したらみんな分かってくれたのは、ありがたがったがな!何故か胴上げされたけど。
「ああ、そうだな。失念していた。家族の遺体は、こんなにも重いものだったんだな」
「……そうだった。サーシャのお葬式は私がやるから……妹さんの死くらいは悼んであげて」
家族二人に泣きながらお礼を言われた。やり遂げた気がした。
*
こうして、合法都市の闇は消えた。
そして、怒涛のように2か月が過ぎた。
ニコの結婚式が終わってすぐにカーナの戦友とダードの家族の葬式、まあ例によって酷いことになった旭川最大のお祭り、ダードのドン引くほどの圧勝で終わり、市長就任が行われた市長選。
日本人には必須らしい冠婚葬祭。全部成し遂げた。
そして訪れたのはいつものバカ騒ぎ……まあ、色々あった。そんな騒ぎの喧噪の中で、オレらはついにLv51となり、『教科書通り』を終えた。
これからは、色々と考えなきゃならねえ。世界は広い。広すぎる。きっと全部理解できる日は来ねえだろう。オレごときには……多分、世界中の誰にも無理だ。
だったらどうする?無論、走り続ける。いつか死んで止まる日まで。その日が、いつどこで来るかは分からんが、せめて笑って死ねるように、精一杯生きようと思う。
で、多分旭川では最後の事件になるはずであるアレの日……すなわち『宇宙怪獣フェクダ』襲来の日。
「あー、諸君。例のアレだがな。旭川は『敵が死ぬまで防衛』で終わるそうだ」
我らが市長ダードはそうおっしゃった。どうも本体が『名古屋』にいるらしく、それ以外は名古屋の本体が倒されるまで狩り続けて防衛で良いらしい。
つーわけでオレらにはどうしようもない。たどり着くだけで明日になっちまうわ!?
「倒し方についてはキリギリス掲示板で開示されてたから、まあ、それの通りやれば勝てると思うよ?」
我らが外道二代目ことニコはおっしゃった。五人の嫁に囲まれながら。時折、胃が痛そうだ。頑張って欲しい。
「まあ、オレは初めてだが……相手はよくわからん宇宙怪獣だ。宇宙的な何かしてくるかもしれんから油断はするな。それだけだ」
そしてオレがそれだけ言った……例の最強装備で!
……クソほど恥ずかしいが、まあ、生き残るために必要なんだと自分に言い聞かせた。
そして現れる宇宙怪獣フェクダ!
「行くぜ……」
後ろに控えるは『合法都市 旭川』の面々。善、悪、日和見、秩序、混沌、想い、信念、野望、敵、味方全部ごちゃまぜで絶対意見が全部一致なんてあり得ねえ連中。
だけどたった一つだけ合意できたから、みんな集まった。全員参加だ。サボった奴はあとが怖いのもあるが。
この街に滅んでもらうのだけは、困る。
それだけは一致した。だから今だけは全員仲間だ。
なので最後はこれでいく。これしかない。そう。
「ーーー俺たちの戦いは、これからだ!」
ヒルトリアン3『合法サマナー』
完!
※1.この物語はフィクションです。実在の人物、団体とは一切関係ありません。似てる人ならいるかもしれませんので旭川に着たら探してみてもいいかもしれません。
※2.この作品は旭川市および入在遁村の全面協力のもとに作成されました。旭川市と入有遁村の観光名所にて撮影されていますので、是非一度遊びに来てください。
※3.旭川市市長本田太郎氏は裏表のないクリーンな政治家ですので、そこのところはよろしくお願いいたします。
※4.ヒルトリアン1~3はすべて無料にて旭川市公式チャンネルにて配信中ですが、それはそれとしてDVD買ってくれると監督が喜びます。
ーーー以上、ヒルトリアンシリーズ監督『五反田泰志』からのお知らせでした。
*
戦いは、終わった。
宇宙怪獣フェクダは無事討伐されたし、街にも大した被害はない。
合法都市の住人が頑張ってくれた。準備は大変だったがこれでしばらくはやすめ
ジリリリリ!
そんな僕を嘲笑うかのように市長室に置かれた緊急回線の黒電話が鳴った。何が起こったのか。そう考えながらも、とりあえず出る。
「ああ!繋がった!まさか本当に誰かと連絡が取れるなんて!」
……響いてきたのは、聞き覚えがある若い女の声だった。
「……君は誰だね?どうやってそこに入った?」
そう、これは直通電話。あの女学園のセキュリティを突破し、綿密に隠された地下秘密通路を見つけ、専用カードを使って解錠して初めて入れる通称『聖域』に置いてある黒電話からだ。
……世界崩壊に備えた、真のシェルター。そこからの連絡など、ありえないはず。そして知ってる。この世界、ありえないことなんてないって。結局性癖メシアンとやらはなんだったんだ?
「は!申し遅れました!私は、聖華学園旭川分校『退魔生徒会顧問』アレクサンドラ・ローガノフです!
現在、世界崩壊案件により世界が崩壊し、危機的状況にあるため最終防衛地下シェルターにて籠城中。その最中に見覚えのない電話を見かけ、上手くいけば外部と連絡だけでも取れると思いま」
反射的に切ってしまった。なんだこれは?
ジリリリリ!
そう思ってたら、再びの電話。あのクソ真面目なサーシャらしいというか。絶対アイツだよ!?
この前、葬式普通にして火葬して骨だけになった後に入在遁の墓場に埋まってるはずの奴!
この世界、一体どれだけふざけた真似をしてくれるんだ!?
そう思いながら、僕は旭川市警に連絡をいれる。
「あー、壬生君?ちょっと頼まれてくれる?うん。すぐに例の女学園の地下シェルターに契約刑事連れてって中にいる人『全部』逮捕。罪状は不法侵入ね。絶対に顔や体を傷つけないで。
あとちょっと、お使いというか、全力出撃頼めるかな?目的地は『旧合法都市』。多分不審者が複数いるし、普通に武装して襲って来るだろうから、『全部』逮捕で」
ヒルトリア時代の経験が生きたな。こういう時は『とにかく動け』だ。なんとなく嫌な予感に従って動く。これが一番大事だ。
そうしてアレクサンドラ・ローガノフを名乗る不審者&自称彼女の教え子である退魔生徒会を名乗る不審者複数が逮捕された。
全員覚醒者の女子で、大人しく投降したらしい。むしろうれし泣きしてたとかどうとか。
そして追い打ちのごとく入ってくる、旧合法都市からの連絡。
ーーー旧合法都市にて『ナユタ・ファミリー』を名乗る『家族』が投降してきたので逮捕。他多数の所属不明の人間を逮捕。
ほらね?僕はこう言うときの嫌な予感だけは外したことがないんだ……畜生め!
そして、ヤタガラスから『漂流者』と呼称される『平行世界の住人』が大量に発生しているという、異常事態の説明が入ったのは、それから少ししてのことだった。
ーーーヒルトリアン4『ナユタの家族』 同時上映『漂流退魔生徒会』
続かない。
というわけで終わりです。お疲れ様でした。
年内に終われてよかったな!