地獄のトイフェル   作:産地直送の焼き鳥

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 気合いが出る。ファイア!

 評価下さい(乞食)


漁夫ノ利ヲ狙フ

 さて、非常事態に何をすべきか。

 まずは現状確認である。今の状況は何をすれば良いのかわかっていない。まずはここが安全かどうかから確認してみるとしよう。

 

 まあ僕がいるところは比較的安全である。

 この辺りは凸凹した大きな岩がゴロゴロしている。灰色や黒色の岩が中心として存在していた。まあ溶岩が冷えて固まった玄武岩とかのあたりだろう。

 運が良いというべきかなんなのか。ひとまずは危険な敵対動物もいないし居住場所としては最適かもしれない。

 しかしながら遠目に見える火山のようなところでは馬鹿でかいドラゴンみたいのや、貴公子みたいのが火の玉を繰り出したりしてバトルをしているのがよくわかる。絶対にあっちの方に行きたくはない。コッチの方に火の玉は飛んではこないだろうが少し不安である。

 ひとまずはここから移動してみよう。

 

 安全そうな寝床を探すために僕は移動を始めた。僕が目覚めた場所は危険そうな火山や気色悪い色の森に近いからだ。あのあたりからはとても嫌な予感がする。そう思いながら寝床となる場所を探していた。

 できることなら飲食、住居とかがしっかり確保できるところが最適だ。そこが上手く手に入ればいいんだけど。そう思いながら僕は探索していた。

 しかし、

 

 「何もないぞ?この辺り…。」

 

 少し歩いてみたが、何にもない。岩が凸凹している以外には特徴がなく、見渡す限り岩岩岩岩岩岩岩岩岩岩、たまに枯れ木である。

 生き物もたまにいるが気色悪い芋虫や僕と同じようなちっこい悪魔、単眼の黒犬しかいない。僕は岩陰に隠れながら見ていたが、アイツらは凄まじいほどに痩せていた。アイツら同士が出会った瞬間からファイトだ。会話をする動作すらなく、ただ我武者羅に相手へと向かっていった。そして勝った方が相手の肉を貪り食っている。

 まさかそういうことか?

 

 少し敵がいない理由を考えながらも、さらに探索を続けてみる。

 

 やはりというか何というか。結論としては予想は当たっていた。嫌な予想が。

 ここは圧倒的に食い物が少ないのだ。たまに枯れ木を見つけるがそこはほとんどの場合、他の奴らよりも大きなサイズがいることが多い。そこに陣取っているため、枯れ木には近づけないのだ。

 岩石は硬く、『人外になったから案外いけるかも』と思って齧ってみたけれどとても食えたもんじゃない。

 つまりは相手の肉を食らうしかない。見つけた敵と戦って、勝って、相手を食らうしかない。負ければ死。格好の肉の塊を勝った奴が逃すはずがない。生き残るためには戦闘をしないか、全部の勝負で勝ち続けるか。

 

 …できるか?この僕に?

 前の人間の肉体だったら、少しだけ齧った武術とかを使えばまだ勝てたかもしれない。

 だけどこの体はとても弱い。豆腐レベルで柔らかい。何なら油揚げくらい柔らかい。…案外油揚げの方が硬いか?まあ一旦置いといて。

 

 もう一度言うがこの体はとても攻撃力が低い。

 まじで。ほんとに。

 ちっこい悪魔、めんどくさいから小悪魔でいいや。痩せている小悪魔同士が戦っていたところを、さっき隠れながら見ることができた。結果としては凄まじいほどの泥沼。

 爪も牙も拳も大したダメージにならないから、かなりの長時間がかかっている。さらに勝負の後に漁夫の利を狙われて、殺されるなんていうことも何度か見ることができた。

 

 「ひとまずは一息つけるところを探してみよう。最低でも小さな穴が空いていればいいんだけど」

 

 今後どうするか考えるべく、まずは眠ることができる穴を探すことにした。

 

 他の奴らから見つからないように隠れながら、良い寝床となる場所を探していく。

 多い、とまでは言わないけれどそこそこの数の敵がいる。だから必死に隠れながら移動していく。

 そしてついに良さげな隠れ場所をみつけることができた。

 

 最初に意識が目覚めた場所から数キロほど。そこの所に岩がいい感じに重なって屋根のような場所ができていた。

 そこそこ運が良かったようである。だけど今の自分が入って寝転がることができるくらいのサイズの穴だ。

 物を入れるとなったら丸くなって寝るしかないだろう。

 今はこれで我慢するしかないだろう。

 

 それとお腹が減ってきた。

 『安心できる寝床』が発見できたからだろうか。緊張が解けたからなのか、それとも寝床を探すために運動したためか。

 ともかく今はお腹が減ってきた。

 

 だけど他の奴らに勝てる自信がない。

 技術とかは少しはあると思っているし、生まれたばかりだからアイツらよりは痩せていない。だから勝負のアドバンテージはあると思っている。

 だけど相手を殺す自信がないのだ。

 

 コンビニ強盗の時はアドレナリンが出てきたのか、思いっきり動くことができていた。

 だけど今ここでコンビニ強盗が出てきた時うまく動ける自信はない。

 だから今襲われた時どう動けるか分からない。多分動けるとは思っているけど、少し不安だ。なのでできるだけ安全マージンを取っていこうと思う。

 

 そう思い立って、僕が見つけた寝床から離れた。

 

 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 まずは戦闘中の奴らを探すことにした。

 狙うのは漁夫の利だ。できれば戦闘せずに、肉を手に入れたい。先程寝床を探している最中に2、3回ほど戦闘中の奴らを見つけることができた。

 

 だから僕でも漁夫の利を簡単に狙えるんじゃないんだろうか。さっきも言った通り、寝床を探す最中に漁夫の利を狙ったやつを見つけることができた。

 というか毎回、だ。アイツらが戦闘している間、僕の他にも隙をうかがっている奴が二、三体はいた気がする。つまりは僕と同じ考えのやつもいっぱいいるんだろう。

 それと戦っているのは比較的弱い奴らばかりだ。周りで隙を窺っている奴らより、戦っている奴らの方が痩せていた。

 そうなると腹が減りすぎて漁夫の利も狙えないような奴らが戦いあって、ある程度余裕がありそうな奴らが漁夫の利を狙ったりするんだろう。

 

 つまり漁夫の利をする際に気をつけなければいけないのは、僕と同じ漁夫の利を狙う奴だ。

 それを心に留めながら戦闘している奴らを探していく。

 

 「ギャギィ!」「ギュウアゥ!」

 

 早速見つけることができた。

 小悪魔と、単眼の黒犬が戦っていた。予想通りどっちも痩せている。

 今のところは犬の方が有利な状況だ。単眼犬の方が少しガタイが大きいし、少しだけ牙が大きい。

 小悪魔の方はちっちゃな羽を必死に動かして、ジャンプをしながら攻撃を避けている。だけど少しづつ攻撃が当たっている。実際左肩が若干抉れているし、右脇腹から血が出ている。一歩単眼犬は頭から血が出ているけど、軽傷の部類に入るだろう。

 しばらくしないうちに小悪魔は負けるだろう。だけど単眼犬も結構傷を受けている。勝負が終わった時が狙い目だ。

 

 岩陰に隠れながら、単眼犬の背後に移動する。

 それと移動する間に気づけたことがある。

 

 (1、…2。二体は見つけた。そこの右奥の岩陰と左側にいる。)

 

 僕と同じように狙っている奴らを見つけた。

 移動している時にチラッとだけ頭が見えたのだ。右奥にいたのは多分小悪魔。そして左側にいたのは初めてみた。太めの尻尾を見ることができたが、そのほかは見ることができなかった。

 多分今の戦闘が終わったら、この奴らと戦うことになるはずだ。できれば相手がどんな姿か見たかったけど、仕方がない。

 まあまずは目の前の戦闘に集中するとしよう。

 

 戦闘はさらに激化していた。

 気合いを込めて小悪魔が突撃しながら爪を振るう。それに対して単眼犬が噛みつこうとする。

 小悪魔は避けようとしていた、が。脇腹の怪我から血が噴き出た。

 そのため小悪魔が避けようとしていた単眼犬の攻撃が、頭にそのまま直撃してしまった。

 

 「…!ギッィ。ィィ!」

 「!」

 

 しかし一矢報わんと単眼犬に噛まれたまま、小悪魔は単眼犬の首を引っ掻いた。

 だけどそのまま単眼犬は顎に力を入れる。バキバキと小悪魔の首の骨が折れるような音がする。しっかりと単眼犬の首に爪を入れていたはずの小悪魔は、手足の力が抜けてしまい、ぐったりと倒れた。

 その後単眼犬は小悪魔を口から離した。しかし戦いが終わった今でも周囲を警戒している。首筋の怪我からも血がだらだらとでているし、頭からも血が出ているけどそれでもなお周囲を警戒している。

 

 (動けるのは…今、か?だけどあの単眼犬はめっちゃ警戒している。)

 

 今動いてちゃんと勝てるのか怪しい。もう少し待ってあの単眼犬が弱るのを待つか?

 そう思っていると、左側にいる奴が動いた。出てきた奴は見た目は蜥蜴。全身真っ黒だったのだが、普通の蜥蜴とは違う。まず眼がない。それに六本足だ。それと全身が傷だらけ。古傷なのか分からないが、とても痛そうである。

 

 ソイツが単眼犬が倒したばかりの小悪魔の死体を、単眼犬と間に挟んで現れた。

 単眼犬の警戒度が上がる。だけど毅然として眼の気力は失っていない。

 戦闘状態に移ろうとしていた。

 

 (今だっっっ!)

 

 そこに僕が背後から嘆願犬に襲いかかる。ジャンプをして単眼犬のうなじに噛み付く。

 そのまま全力を込めて首の骨を噛み砕いた。

 ゆっくりと単眼犬が倒れる。

 

 そして目の前の目無し蜥蜴と対面した。

 

 場の緊張感が増す。

 

 そこに右奥の岩陰にいた小悪魔が動いた。三つ巴の状況へと動いた。

 

 三体とも単眼犬と小悪魔の死体を見ながら、警戒を続けている。目無し蜥蜴はジリジリと小悪魔の死体を咥えながら後退していった。

 だけどもう一体の小悪魔は欲張りのようで、小石を両手に持って投げるような動作をしている。

 目無し蜥蜴も後退を止めて、小石をすぐに避けれるように小悪魔を見ている。

 

 それらの動作を見て僕は行動に移した。

 単眼犬の死体の右後ろ足の付け根部分を噛みちぎる。そのまま単眼犬の足を咥えてすぐさま後ろに下がる。

 小悪魔は残った単眼犬の死体と、僕が咥える単眼犬の両足を交互に見ている。

 

 その隙に目無し蜥蜴は逃げていった。小悪魔の死体を咥えながら。

 

 それに驚き、小石を持った小悪魔が目無し蜥蜴が逃げた方向に目を向ける。

 

 (よしっ。さっさと逃げるぞ!)

 

 蜥蜴の逃げた先を向いている隙に、僕はさっさと逃げることにした。

 小悪魔が片手に持った小石を投げてきたが、当たらない。

 

 そのまま逃げることができたのだった。

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 (ふう、何とか逃げることができた。かなり緊張した。)

 

 あそこから逃げ切った僕は、先ほど見つけた寝床にやってきた。

 岩陰に隠れながら、周りを警戒しながら。

 そして寝床の中に単眼犬の足を隠してから一息をついた。

 

 (最初っからこんな感じか。こんなに疲れてこれから生き残ることができるのか?)

 

 あんな短い間だけでかなり疲れてしまった。

 すごく腹も減っている。怪我に関してはほとんどないけど、とても疲れた。

 

 (不安だなあ…。)

 

 この地獄に生まれ落ちて少し経ったが、かなり不安である。

 ここがどんなところか分からない。なぜこの姿になったのかわからない。この体はいったいどういった能力があるのか、ここには本当の意味で安心できる場所はないのか。

 気になることはたくさんある。あるのだが…。

 

 (今気にしても仕方ない。)

 

 今そんなことを気にしても何にもできることがない。と言うか気にしている間に死んでしまう気がする。

 余裕が出てきたら考えることにしよう。

 まあまずは

 

 「これを食べてみるとするか…。」

 

 僕は寝床の中に入れておいた単眼犬の足を食べてみることにした。




 大体プロットはすでに完成したんだけど、その間の小話みたいのが全く思いつかねえ!

 まあ他にも連載中の話あるからゆっくりすることにします。

 
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